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口蹄疫「生き残り」6頭、国はあくまで「殺処分を」

2010年7月9日14時16分

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 家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)のために家畜の殺処分が行われた宮崎県東部で、畜産農家1軒が所有する種牛6頭だけが生き残っている。農家側が処分を拒んできたためだ。周囲の流行がほぼ治まったため、県と所有者は県の管理として延命させることで合意した。だが国は、「1頭でも残ると日本全体が食肉の輸出を再開できない恐れもある」などとして殺処分を求めている。

 この種牛問題が浮上する前は、東部一帯で家畜の移動制限が16日に解除される予定だった。農林水産省は「6頭が生きている状態では16日の解除は認められない」としており、対応が注目される。

 感染拡大を抑えるため、同県東部の高鍋町周辺では5月下旬から、口蹄疫の発生農場から半径10キロの地域にいる健康な家畜約12万頭へのワクチン接種が行われた後、すべて殺処分された。同町の薦田(こもだ)長久さん(72)は、所有する一般の牛160頭の処分には応じたが、種牛6頭のワクチン接種と処分を拒否してきた。

 県は6月29日、薦田さんにいったん殺処分を勧告したが、6頭が健康であると確認できれば、特例で延命させられないか検討。東国原英夫知事は8日、所有者を県とすることで薦田さんと合意し、国と協議すると表明した。

 だが、農水省は「ワクチン接種対象の家畜が残っている限り、一帯の制限は解除できない」という立場だ。制限が解除されなければ、国際機関に「口蹄疫の発生の恐れがない状態に戻った」とする申請ができず、日本からの食肉の輸出が止められている現状が続いてしまうと指摘する。

 公平性の問題もある。周辺の約2千戸の農家はすべて殺処分に応じてきた。山田正彦農水相は「特例を許せば、仮にもう一回こういう事態になったとき、ワクチンに同意しない人が出てくる。県は国家的危機管理の意識が足りない」と厳しい。

 県は5月、所有する特に優秀な種牛6頭について国と協議し、特例として移動させたうえ、そのうち1頭に感染の疑いが出ても残る5頭を延命させた。

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