2004年の年金改革では、厚生年金の保険料率を毎年0・354%(従業員と折半)ずつ引き上げて、2017年度には18・3%(決定前は13・58%)にすることが決定されました。社会保険料が5%も上昇するということは、企業側にとっては利益が減り、従業員にとっては給与が下がることになります。
このように、社会保険などの負担増はもはや避けられないところにきています。会社の財務に深刻な影響を及ぼし、社員を抱え続ける限り、ハイリスク要因としてつきまといます。
バックオフィス業務は一銭の利益も生まない
もう1つの負担要因としては、毎月社員の保険料や税金を計算して、給与などから差し引く作業、つまりバックオフィス業務です。この業務は社員が多いほど手間暇がかかる反面、一銭の利益にもなりません。
所得税の年末調整の際には、総務課全員が夜遅くまで残業を強いられることになり、その残業代も会社の経費になるのです。
労多くして益なしの企業にとっては、ハイリスク要因の1つです。本来なら、これらは保険者・納税者の自己申告制として、社会保険料は社会保険庁が、所得税などの税金は国税庁が、自ら徴収するのがあるべき姿です。要は日本の場合、国家が徴収するべき手間とコストが、企業側に押しつけられているだけなのです。
また最近、金融制度の改革によって株主資本主義が重視されるようになりましたが、株主から真っ先に問題にされるのが、このバックオフィス業務だといえます。つまり、バックオフィス業務が少ないほど経営を圧迫しないし、本音はないにこしたことはない業務なのです。
いずれにしても、社会保険料や税金の徴収代行をさせられことで、企業側が大きな損失を被っているのは確実なのです。
社会保険労務士など外部スタッフに委託している場合もありますが、その分コストもかかります。その余分なコストを削減するために、中小企業の場合には、社長自らあるいは社長夫人が手弁当で行っているケースも多いでしょう。
サラリーマン法人化ならバックオフィス業務は不要に
これらのコストは、従業員数に比例するので、少なくすれば負担が軽減されますが、人員を削減した分、売上げが落ちることも予想でします。社員の士気が落ちたり、営業活動に支障をきたすことになります。
しかし、これまで導入を進めてきたサラリーマン法人化なら、そのリスクをすべて解消してくれます。業務に携わる人員は変化なしで、そのうえ、社会保険料の計算など一切の総務の作業から、会社は解放されることになります。
たとえば、社員が20名の会社で、そのうち10名がサラリーマン法人化したとすると、総務の業務は半減しますが、他の業務には一切支障がありません。それどころか、総務の人員を減らして、営業など他の部門に移動することも可能になるので、売上げがアップすることも期待できます。
ということは、コスト削減だけでなく、人的資源の有効活用にもつながっていき、一石二鳥になります。そこで、こうした会社側のメリットを説明しながら、コスト削減分について一部でも、サラリーマン法人化の報酬に加算してもらえるように、交渉することも可能なのです。
サラリーマン法人化を希望する社員側からいえば、確定申告の手間が少し増えるだけで、手取額がアップして、工夫次第で節税にもなる千載一遇のチャンスになります。
“サラリーマン法人化”なら消費税アップにも対抗できる
また、サラリーマン法人化は、近い将来予想される消費税額アップに対する備えとしても有効です。