ビジネスを軌道に乗せるまでは案外長い だからこそ週末起業を
藤井氏は、週末起業の長所として「トライ&エラーしながら自分に合ったものが見つけ出せる」点をあげる。
「会社勤めをしながらですから、収入の心配はありません。むしろダメなのは、ちょっとうまくいったからといって、会社を辞めて独立してしまうこと。その後にうまくいくとは限らず、あまりにもリスキーです。
私は結局のところ独立しましたが(笑)、それでも経営コンサルタントとサラリーマンを、2年間並行していましたから。週末起業をはじめた当初は、コンサルの収入は月5万円程度。週末起業に関する書籍を出して注目を浴びるようになり、依頼が増えてやっと独立できました。
もちろん、最終的に独立を目指して週末起業を始めるのもアリですが、基本的なコンセプトは、『収入は確保しつつ、小資本で起業。趣味や得意なジャンルで楽しみながら実践する』ということ。好きなことなら長続きしますし、もともと趣味にはお金を使うでしょう。本業で収入はまかなえるので、失敗しても大きなダメージになりません。腰を据えて、改善を繰り返していけば、おのずとビジネスは軌道に乗るのではないでしょうか」
とくに女性に増える「自己実現」目的での週末起業家
ちなみに最近は、週末起業を志す人の年代やメンタリティに変化が訪れているとか。約10年前、藤井さんが週末起業を提唱し始めた当時は、副収入目的の40代の男性サラリーマンが多かった。しかし近年は、若い世代、さらには女性が増えたそうだ。
「どちらかというと、副収入目的、週末起業で成功したいというより、自分らしい生きかた、ライフスタイルを確立したいという方が増えてきました。私はこういった傾向を歓迎しています。というのも、自分が満足して過ごしたいためなら、好きな分野で起業するでしょうし、結果的に長続きします。週末起業でもっとも大事なのは『継続すること』。だとすれば、自己実現が目的であるほうが、いいのかもしれません」
実際、週末起業家の多くは、自身の得意分野や好きなジャンルで行っている人のほうが、うまくいき、長続きする傾向にあるという。
「営業マンであれば、営業コンサルや営業代行、ビジネスマンの方はコーチングのトレーナーとして活躍するケースが目立ちますね。初期投資が少なくてすみますし、勉強したことが本業にも活きますから。
趣味が高じた、面白い例を紹介しましょう。とにかく洋服が好きで、最新のファッションを追い続けたいという方がいます。その方は、自分が一度着ただけの最新トレンドの洋服をオークションで売り、その売り上げでまた新しい洋服を買う、ということを繰り返しています。ある意味、好きなジャンルでお金を回して自己満足につなげているわけです」
副収入といえばネットビジネスを連想する人も多いだろう。以前は自らネットショップを開く人が多かったが、やはり集客に苦労する。最近では、ネットオークションに出品する週末起業家が多いとか。その道の成功者は、やはりニッチなニーズを探り当てているという。
「古書を転売する『せどり』の成功例も耳に入ってきますね。古書のチェーン店で専門書や絶版本を安く仕入れて、高い値をつける。研究者や著者などにとって、そういった本はどうしても必要な資料ですからね。
アパレルなら季節にあわないものを売る。冬に南半球のリゾート地へ行くことになったら、水着や夏服が必要でしょう。でも、リアル店舗にはないから、ネットを探すわけです。こういう発想ができれば、当たる可能性も高いですよね」