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白鵬ぶちまけた「国技つぶす気か」

 テレビ局の公開録画番組の収録で、土俵入りを披露する横綱白鵬。太刀持ちは安美錦=名古屋市中区のCBCホール
 テレビ局の公開録画番組の収録で、土俵入りを披露する横綱白鵬。太刀持ちは安美錦=名古屋市中区のCBCホール

 横綱白鵬(25)=宮城野=が8日、募る思いを一気に吐き出した。日本相撲協会が名古屋場所(11日初日・愛知県体育館)の幕内優勝力士への表彰をすべて辞退したことや、NHKの生中継中止について率直に疑問を口にし「自分たちの手で国技をつぶす気だなと思います」と発言した。協会などへの「不満」「批判」とも取れる言動。野球賭博問題で大相撲が揺らぐ中、モンゴル人の一人横綱があえて一石を投じた。

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 神妙な表情を浮かべた白鵬が、包み隠さずに“現場の考え”を口にした。「全部(表彰辞退)ですよね…昨日知りました。われわれ力士は天皇陛下の賜杯を頂くために一生懸命けいこに励み、日々努力しています。本当に心から残念に思います」。募っていた思いをとつとつと語り始めた。

 協会は7日、名古屋場所で幕内優勝力士への天皇賜杯授与を自粛すると発表。併せて協会外の団体からの表彰もすべて辞退することを決定した。「この国の唯一の国技ですし、日本の横綱としてはあまりにもやりすぎだという考えもあります」。改革に取り組む姿勢を示すことが大事なのはわかる、しかし力士の思いも酌んでほしい‐。切実な訴えだった。

 大相撲が揺らぐ事態となり、頂点に立つ者として強い危機感を抱く。同時に、角界を取り巻く状況に対する疑問を隠せない。NHKの生中継が中止となったことには、「あと何百人か(賭博にかかわっていない)力士がいるからね。全国、世界中で(中継を)楽しみにしている人がいる。日本だけの問題じゃない」と反発した。

 ここ最近は口が重かったが、一度話し始めると、次第に口調が厳しくなった。「天皇賜杯とか、NHKとか、自分たちの手で国技をつぶす気だなと思います。そう思いませんか?」。協会批判と取られる可能性があっても、最後は不満をすべてぶちまけた。日本の国技を愛するモンゴル人としては、協会理事をはじめ日本人の対応と姿勢が不可解でならなかった。

 自身も花札賭博を行ったとして、上申書を協会に提出。さらに付け人頭の幕下光法が野球賭博関与で謹慎処分となり、契約する専属トレーナーが仲介役を務めていたことが発覚した。それだけに角界再生へ向けて、先頭に立つ覚悟を決めている。この日午後の名古屋場所前夜祭(名古屋市・CBCホール)では、「全力士が心を入れ替えて土俵に上がります」とファンの前で誓った。

 朝は2日続けて陸奥部屋(名古屋市西区)に出げいこ。新小結白馬らを相手に21番全勝と、3場所連続優勝へ順調な仕上がりをみせた。「(目標は)千秋楽まで取りきること。結果も良ければ一番いいけど」。力士として、一人横綱として、土俵の充実に全力を尽くす。

(2010年7月9日)





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