“歴史に光を”　福岡で証言集会
“歴史に光を”　福岡で証言集会 07/07 19:41

今年は日韓併合から100年に当たる年です。

日韓併合と言っても、若い世代ではご存じない方もいるようです。

こちらは70年ほど前までの日本地図です。

ちょんまげを止めて近代国家となった日本は、1895年に台湾、そしてちょうど100年前に朝鮮半島を自分の国の領土としました。

1910年、半島を日本国家に組み込んだことを日韓併合といいます。

明治維新の後、日本が飛び出した世界は植民地主義の時代でした。

その歴史に光を当てようと、日本と韓国の市民団体が福岡で証言集会を開きました。

コン・ジェスさん。

65年ぶりに、福岡県飯塚市の地を踏みました。

●コン・ジェスさん
「私が何度も生死をさまよったこの地を、再び訪ねることができた。感無量です」

コンさんは、1943年から2年半、福岡県飯塚市の炭鉱会社の寄宿舎に収容され、採炭作業に従事しました。

いわゆる「強制労働」です。

コンさんが再び日本に戻ったのは、先月、飯塚市の公民館で開かれた証言集会で、当時の労働実態を語るためです。

●コンさん
「朝5時に起床、食事して坑内で作業、すべてが終わるのは、夜11時から12時でした。厳しい作業で睡眠不足、栄養不足。身体が疲れ果て、坑内では眠気をこらえきれず、倒れて寝ました」

作業に耐えられず、仲間と逃亡、つかまって暴行を受ける。

コンさんは当時を、「人間以下の奴隷のような待遇だった」と振り返りました。

この集会は、日本と韓国の市民団体が共同で開催したものです。

この点に韓国のメディアが注目、2つの放送局が取材に訪れました。

●YTNイム・チャンヒョク記者
「韓日の間でいまだに残る様々な問題を、良心的に解決しようとしている、日本の健全な市民の活動を取材にきました」

集会に集まったのは、日本人のほか在日の2世3世たち250人。

8月に特番を予定しているという韓国メディアには、どう映ったのでしょうか。

●YTNイム記者
「熱心に講演を聞き理解しようとする、また準備にかかわった日本人がいることを見て、これからの韓日関係はとても明るいと、希望を持ちました」

飯塚市にあるムグンファ堂。

強制労働中で亡くなった韓国・朝鮮人の無縁仏が、118体収められています。

今回、韓国の市民団体と共に集会を開催したのは、10年前から無縁仏を収集し、家族に遺骨を返す活動を続けている日本のNPO法人です。

●NPO法人ムグンファの会・吉�暴膂賤�事長
「(開催は)当然のことだと思います。朝鮮と日本の確執ではなく、やれることからやろうというのが始まりなんです」

吉�砲気鵑薀爛哀鵐侫，硫颪砲蓮�遠い目的があります。

太平洋戦争で日本が敗れ、海外の植民地は独立しました。

しかし、戦後の混乱の中で、朝鮮半島は資本主義の韓国と、社会主義の北朝鮮とに分断されたのです。

●ムグンファの会・松隈一輝事務局長
「(目標は)南北の平和的な統一です。日本が南北の分断に大きな責任を負っていますから、日本人の一人としてその責任を返したいという思いが強くあります」

ムグンファの会では今回の集会のような市民レベルの交流や活動を続けることで最終的には朝鮮半島の平和に貢献したいと考えています。

九州には、15万人以上の韓国・朝鮮人が連行されたといわれていますが、正確な人数は分かっていません。

そして戦争が終わっても、半島へ戻れなかった人たちは、在日韓国人・朝鮮人として今も日本で暮らしています。

日本の市民に招かれ、証言を終えたコンさんは今86歳。

両国の関係についてこう語りました。

●コンさん
「両国はこれからきっと仲良くなると思います。私はあまり生きる時間がないのでできませんが、なんとか古い心の傷を癒して…」

併合から100年、日本と韓国の関係は新しい世紀に入りました。

両国に根強く残る負の感情を、草の根の交流で溶かしていこうという動きに、期待が高まっています。

朝鮮半島から自ら日本に渡った人もいたのは確かですが、ほとんどの人はやはり古里を離れたくはなかったでしょうね。

そして、戦争が終わっても戻れなかった…

日韓併合から100年、新しい歴史を踏み出す年になればと思いますね。