ノムさん帰った直後に大リンデン返し！値千金逆転２ラン…楽天

８回１死二塁、リンデン（右）が中越えへ４号２ランを放ち逆転する

　◆楽天５―４ロッテ（８日・Ｋスタ宮城）　ノムさんのボヤキが充満した重い雰囲気を、反逆児・リンデンが吹き飛ばした。野村名誉監督が体調不良から復帰後、初めて本拠地・Ｋスタを視察。時間の都合で前指揮官が球場を後にした直後の８回、昨季に起用法を巡って衝突した助っ人砲が「ノムラサンにささげるホームラン、と書いておいて下さい」とあざ笑うかのような決勝の逆転４号２ランで決めた。

　おなじみの“毒ガス”がチームに火をつけた。今季３度目の現場視察に訪れたノムさんは、終盤までリードを許した展開に「何とも言えない複雑な試合。景気のいい勝ちを期待してたんだが」と不満爆発。最下位に低迷するチームへ「基本に返って投手の整備。守って勝つ、野球の基本をやっていくしかない」と辛口評価。帰京する新幹線「はやて」の終電に間に合わせるため、疾風のように球場を去った。

楽天の試合を観戦に訪れた野村克也名誉監督（右）。左は米田代表

　その直後だ。リンデンが１点を追う８回１死二塁からセンターバックスクリーンに逆転アーチ。昨季終盤、首脳陣を批判したとしてノムさんを激怒させ、ＣＳ争いのさなかに２軍降格を告げられ、服装や育ちまで否定され、あげく謝罪までさせられた男が、運命のいたずらか、ヒーローの座を獲得。ブラウン監督も「（名誉監督が）３―４で帰ったのは知らなかったが、リンデンのスイングを見てほしかった」と皮肉交じりに残念がった。

　球場入り前もノムさんは、仙台市内で行った講演で「楽天が気になってしようがない。（退団時に球団へ）来年もＡクラスなんて評価していたらとんでもない、というのを別れの言葉にした。やっぱり思った通り」とバッサリ。ぼやきまくっていた。厳しくも温かい“愛のムチ”の効果が出たのか、チームは今季３度目の同一カード３連勝。嵐のような野村劇場はハッピーエンドで完結した。

　◆リンデンの造反劇ＶＴＲ　昨年のソフトバンクとのＣＳ第１ステージ開幕を前にした１０月１０日の日本ハム戦（札幌Ｄ）で、リンデンがスタメン落ち。点差の離れた場面で代打起用され、プライドを傷つけられたのか、試合後に会見中の野村監督に「アリガトウ」と日本語で叫んだ。これにノムさんは「監督侮辱罪というか、人間失格」と激怒し、登録抹消の制裁措置を取った。後日、Ｔシャツ、短パン姿で謝罪に訪れ、指揮官の怒りはヒートアップ。リンデンの親や育ちまで否定した。結局、第１ステージでは最後まで出場させず、第２ステージ直前の２度目の謝罪でようやく許した。

　◆楽天・野村名誉監督の観戦メモ　今季３度目の視察。初めて現場に足を運んだ４月１５日の西武戦（西武Ｄ）は、先発・ラズナーが６回途中６失点ＫＯで３―７の完敗。試合後に「負けているから余計に、なんだろうけど。元気がないな。覇気がない。元気出せ！」と辛口エール。本拠地・Ｋスタを訪れた４月２３日の日本ハム戦は、ラズナーが完投勝利して「ラズナーとは縁があるな。『ラズナーは出すなー』と言っていたんだけどな」とダジャレを交えコメント。