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きょうのコラム「時鐘」 2010年7月9日
日本海を中心に南北を逆にした「逆さ地図」(環日本海諸国図)が売れているという。15年前に富山県が発行し、いろんな本でも紹介されている
気の利いた逆転の発想が浮かんできそうな地図である。日本列島は島国というよりも、大陸に通じる大動脈に見える。日本海の拠点を、北陸が大威張りで占めている。「面白い地図がある」と、最初に教わったのは伊藤忠商事元会長の瀬島龍三さんからだった 瀬島さんは、シベリア抑留を体験した。大陸から北陸を仰ぎ見るという目線は、かつての望郷の日々を思い出させる。そう語り、相互交流の大切さを語った。南北を逆転するだけで、海は狭い湖のように見える 逆さ地図は、対岸諸国からも引き合いが多いという。日本海交流、大いに結構である。が、北方領土でのロシアの軍事演習や、中国海軍の不穏な動きが報じられる昨今、「待てよ」とも思う 子どものころ、校庭の鉄棒に逆さにぶら下がり、あべこべの景色を楽しんだ。程なく、血が下がって頭が痛くなった。秀逸な発想は、「平和利用」だけを促すのではない。用心が肝心かもしれない。 |