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2010年7月 7日 (水)

国旗はしまおう-7月4日にハワード・ジンを追悼する

ハワード・ジン

2010年7月3日

"The Progressive"

今日7月4日は、愛国心と愛国心のあらゆる象徴は放棄したほうがよさそうだ。国旗、国家に忠誠するという誓い、神はアメリカのみを祝福したもうという国歌へのこだわりを。

そうしたものは愛国心ではない。余りに熾烈で、大量虐殺を生み出すような、国旗、国歌への心酔は、人種差別や宗教的憎悪と並ぶ、現代最大の悪の一つだ。

子供の頃からずっと、はぐくまれ、仕込まれ、吹き込まれてきた、こうした考え方は、権力者にとっては便利だが、権力を持たない人々にとっては極めて有害だ。

国が小さく、軍事力も、拡張への熱望も欠けているような国々(スイス、ノルウェー、コスタリカ等々)にあっては、愛国心も無害な可能性はある。しかし、わが国のように、巨大で、何千発もの大量破壊兵器を保有する国家においては、無害なうぬぼれでありえたかも知れないものが、他国にとっても、また自らにとっても、危険で傲慢な国粋主義と化してしまうのだ。

アメリカ国民は、わが国は、他の国々とは違っていて、世界の中でも例外で、比類なく高潔であり、文明、自由、民主主義をもたらす為、他の国々進出するのだと考えるように育てられている。

そうした自己欺まんは、遠い昔に始まったものだ。

最初のイギリス人入植者がマサチューセッツ湾のインディアンの土地に移住し、抵抗に出会った際、武力衝突は、ピクォート・インディアンとの戦争へとエスカレートした。インディアン殺戮は、神によって認められたものであり、土地の奪取は、聖書によって命じられたのだ。清教徒は聖書の詩篇2:8を引用するのだった。"求めよ。さらば汝に諸々の国を嗣業(ゆづり)として与え、地の果てを汝のものとして与えん。"

イギリス人がピクォートの村に火を放ち、男性、女性や子供を虐殺した際、清教徒の神学者コットン・メーザーはこう言った。 "その日、600人以上のピクォート族が地獄に送られたものと想定される。"

米墨戦争直前、あるアメリカ人ジャーナリストは、"神意によって割り当てられた大陸を覆い尽くすのは、我々の明白なる運命である"と宣言した。 メキシコ侵略が始まった後、ニューヨーク・ヘラルド紙はこう宣言した。"あの美しい国を文明化することは、我々の運命の一部だと信じている。"

わが国が戦争を始めるのは、いつも、建前は悪意のない目的だった。

キューバ人を解放するために、アメリカは1898年にキューバ侵略し、それから間もなくフィリピンで戦争を始めたが、マッキンリー大統領は フィリピン国民を"文明化し、キリスト教化するため"だと語っていた。

アメリカ軍がフィリピンで虐殺をしている最中(少なくとも600,000人のフィリピン人が、数年の武力衝突の間に亡くなった)、陸軍長官エリフ・ルートは、こう語っていた。"戦争が始まって以来、アメリカ人兵士は、他の全ての国々の、他の全ての兵士たちと違っている。アメリカ人兵士は自由と正義、法と秩序、そして、平和と幸福の前衛部隊なのだ。"

イラクで、わが兵士が他の国々の兵士と変りないことを我々は目にしている。彼等は、おそらく、その良心に反して、何千人ものイラク民間人を殺害した。そして兵士の中には拷問という残虐行為を行える能力を発揮した者もある。

それでも、彼等とてアメリカ政府の嘘の犠牲だ。

兵士たちに、もしも君たちが死んだら、もしも彼等が手足を失ったり、盲目になって帰国するようなことがあれば、それは"自由" の為、 "デモクラシー"の為なのだ、とブッシュ大統領が語るのを、我々は一体何度聞かされただろう?

国粋主義思想の効果の一つは、バランス感覚を喪失することだ。真珠湾で2,300人が亡くなったことでが、広島と長崎で240,000人の人々を殺戮したことを正当化しているのだ。9月11日に3,000人が亡くなったことで、アフガニスタンとイラクで、何万人もの人々を殺害していることを正当化しているのだ。

愛国心は神意によって祝福されているのだと言われると、愛国心は更に毒々しさを帯びる。今日アメリカには、四年間で二つの国を侵略し、2004年の選挙遊説で、神は私を通して話しておられると宣言した大統領がいる。

わが国は違うのだ、世界史上の他の帝国主義大国より、道徳上優れているのだという考え方に、私たちは異議をとなえる必要がある。

特定の一カ国にではなく、人類に対する忠誠を、私たちは主張しなければならない。

第二次世界大戦では、爆撃手として服務したハワード・ジンは、ベスト・セラー"民衆のアメリカ史" (最新版はPerennial Classics、2003年=邦訳、上・下巻は明石書店刊)の著者である。本記事は、2006年プログレッシブ・メディア・プロジェクトによって配信された。

ハワード・ジンは今年1月7日に亡くなった。彼の業績のより詳細については、マシュー・ロスチャイルドの"有り難うハワード・ジン"を参照されたい。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article25862.htm

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違法侵略をする宗主国の指令に、唯々諾々として従い、基地を提供し、みかじめ予算を渡し、アフガニスタン、イラクでの空爆による違法な民間人殺戮を支援する属国支配者が、権力を持たない国民に属国国旗・国歌を押しつける。

某イスラム国の人に、原爆を二発を落とされたのに、どうして日本人は、アメリカの後を素直についていくのか?と、詰問されたことがある。

質問する方がまっとうで、質問される側の方針がまっとうでとないだろう。

「個人的には、大勢とは逆のことを考えています」と答えたが、相手の方にたいする答えにはなっていなかったはずだ。

もうずっと昔の話。今なら、もっと激しく詰め寄られるだろう。イスラム教の人々を違法に殺害するのを進んで幇助しているのだから。日本は中立ではない。あきらかに侵略に加担する側にいる。日米軍事同盟というのは、それが目的だ。日本中の米軍基地はそれが目的だ。

野球賭博は悪いことだろう。しかし、国民の圧倒的な反対を無視して、宗主国用に侵略幇助基地を作る約束をするほうが、はるかに罪は重いだろう。国民に対しても、そして、侵略される外国の人々に対しても。マスコミは、本当に重要なことは決して触れない。

七夕の日、来る選挙で、ますます属国化・ガラパゴス化し、内田樹教授が『従者の復讐』で主張しておられる、抱きつき心中高等戦術が促進されることでも祈ろうか?

日本の民はかしこい。無駄な抵抗などせず、さっさと属国化を促進し、宗主国・属国ともども、破滅を早める決意だ。特攻隊精神は、しっかり遺伝しているのだ、ろうか?

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コメント

私は愛国心は嫌いではありません。一部の利益集団が特をするために愛国心という言葉が悪用され続けていることが問題なのだと思います。世界の人々から米国が敬愛されるようになり、米国民が平和に暮らし、他国を侵略して虐殺に加担することがなくなるように提言することは「真の愛国心」と言えるでしょう。その意味でこのような文章がstars and stripesやNY timesでなくprogressiveというようなメディアに載せざるを得ないのは悲劇的ですね。それは日本も同様で「愛国心」も「反愛国心」も追及してゆくと本来の国民の幸福につながらない「ある種の権力」につながっている所が「愛国心」という言葉を不純なものとし、国民を政治的思考から遠ざけさせている元凶なのだろうと思います。

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