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[14292] 【チラシの裏から移動】機械兵と少女 [リリカルなのは×オリ主 TS&オリ設定 ×RFクロス]
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2010/01/27 21:25
主な構成物質

・話の流れは「魔法少女リリカルなのは」を元としています。

・オリ主&TS&オリ設定(多数)&RF(とあるMMO)です。

・ヒロインは、アリサ、ナンバーズ(数名)を予定しています。
 百合っ娘ハーレム予定ですが、エロ要素なんてありません。

・独自の解釈×少しのグロ(主にオリ主対象)が入っています。
 RFの設定に関しては、ほぼオリジナルとなっています。
 一生懸命調べて使えそうな部分は、使っているという形です。

・また、オリ主は殆ど戦いません。
 戦闘能力は非常に高いのですが、公式装備なのにチート扱いされるぶっ飛んだ仕様の装備な為、
 戦っても良い事なんて一つもありません。
 
・原作剥離率が高めです。

・文章を書く事自体が初な為、非常に見難い文となりますが、お手柔らかに…。

・また、オリ主のクロスであるRFは、グローバルサーバーを元としています。
 スキル名などは、外国の名前が主体です。
 私自身があまり日本サバで遊んだ事が無い為、日本の仕様が良く分からないのも原因の一端です。

・色々と頑張ります。

○更新履歴

 11/26 ---> first gear 投稿

 11/27 ---> first gear 修正
  更新履歴追加
 11/27 ---> second gear 投稿

 11/29 ---> third gear 投稿

 11/29 ---> fourth gear 投稿

 11/30 ---> fifth gear 投稿

 11/30 ---> fifth gear 修正

 12/2 ---> sextus gear 更新

 12/2 ---> sextus gear 修正

 12/3 ---> seventh gear - 0.5 投稿

 12/5 ---> eighth gear 投稿

 12/5 ---> eighth gear 修正

 12/6 ---> ninth gear 投稿

 12/8 ---> tenth gear 投稿

 12/8 ---> tenth gear 修正

 12/9 ---> eleventh gear - first part 投稿

 12/10 ---> eleventh gear - first part 修正

 12/10 ---> tenth gear

 12/11 ---> twelfth gear - sequel 投稿

 12/14 ---> thirteenth gear 投稿

 12/15 ---> fourteenth gear 投稿

 12/15 ---> final gear 投稿

 12/16 ---> final gear 修正

 12/18 ---> sixteenth gear 投稿

 12/20 ---> 【習作】「とある呪いの不死少女」投稿
        習作の中の習作というか、寝てる時に思いついた何か?

 12/21 ---> seventeenth gear of darkness 投稿

 12/23 ---> eighteenth gear of darkness 投稿

 12/29 ---> nineteenth gear of darkness 投稿

 12/29 ---> 【習作】「とある呪いの不死少女」を削除
       別の作品と言う事で色々修正し、【機械兵と少女】が終わったら
       再度、別で載せて見ようと思います。

 1/2 ---> twentieth gear of darkness 投稿

 1/7 ---> ttwentyfirst gear of darkness 投稿

 1/13 ---> twentythird gear of darkness 投稿

 1/20 ---> twentyfourth gear of darkness 投稿

 1/27 ---> twentyfifth gear of darkness 投稿




[14292] 【習作】機械兵と少女 第一の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/11/27 22:17

○RFに関する予備知識----------------->
・アクレシア帝国
 アクレシアン(帝国人)は、人工授精により男性のみが生産され、洗脳教育の後に脳を摘出し、それ以外の部分を機械化します。
 戦闘に特化し、最適化された機械人類というに相応しい文明を持つ種族です。

○アクレシア職(クラス)説明

・Punisher(パニッシャー)
 対生物専門として最適化されたアクレシア兵。

・Assaulter(アサルター)
 接近武器を余すことなく使いこなすアクレシアの突撃兵。

・Mercenary(マーセナリー)
 フォース(魔法)に対抗するために最適化された機構と装甲を持つ防衛兵。

・Striker(ストライカー)
 ランチャーという砲撃兵器用に最適化された装甲を持つ、帝国最強と名高いエリート兵。

・Dementer(ディメンター)
 敵を混乱させ、撹乱を主な役目とし、作戦の為ならば自爆する用にプログラムされている偵察兵

・Phantom Shadow(ファントムシャドウ)
 暗殺、隠密行動を役目とする透過処理を施された装甲を持つ暗殺兵

・Scientist(サイエンティスト)
 破損した装甲を修理し、機能停止した兵士も再起動させる事が出来る補給兵。

・Battle Leader(バトルリーダー)
 戦闘補助の為に最適化された機構を持ち、より戦い安い様に味方の再調整を行う事を役目とする補給兵。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

first gear
≪Jesus Christ is in Heaven now≫




 そこらかしこを血の臭いと硝煙の臭いが包み込んでいる。
 幸い私は、機械兵であるが故に臭いなど気にもならない。

『…こちら……隊……とう…応答願います。』

 目標である中心部へと急ぐ私の頭に同胞の声が響く。
 聞き覚えのない声だと思いながらも応答する。

「こちら、ケルベロス部隊《right head》隊長のレティセンスだ。
 済まないが、移動中で通信状態が良くない。
 もう一度、所属部隊と名前を頼む」

 自らの所属と名前を言い、聞き取れなかった相手の所属と名前を確認する。
 どこの部隊の所属かがわからなければ、何処に居るかすらも判断が付かないというのが大きな理由だ。

『オルトロス部隊《Ⅱhead》所属のレキシス少尉です。』

 オルトロス部隊、ステルス機能を備えた暗殺と偵察に特化した兵達が所属している部隊だ。
 確か、Ⅱheadというと偵察に特化した部隊だったと記憶している。

「ふむ、何があった?」

『最短ルートである通路ηを進行していたモルガン隊が全滅しました。
 最後の一機が破壊される寸前に岩板を爆破し、通路を封鎖したようです。』

 淡々とした口調で部隊の全滅を伝えてくるレキシス少尉
 我々、アクレシアにとっての死とは、駒が壊れるだけの事であり、悼む、悲しむ等という無駄な感情を挟む事は一切ない。
 そも作戦が失敗すれば、HQに居る管理者の手で溶鉱炉に放り込まれる運命だしな。

「そうか。
 それで、こちらの作戦に変更でも出たのか?」

『はい、ケルベロス部隊《top head》隊ちょ……ギギッ、ギギギィ……』

 通信機から響くノイズ、鋼鉄の体を持つ我々の躯体を引き裂く独特の音
 あぁ、彼は破壊されたな…。
 そう思考した直後に聞きなれた意味不明な言語が通信機から漏れる。

『#'&"(%!'"&(!(&$)'=(~~==#"(&"#&%#"$!#_?>"?*!#!』

 全く以て何を喋っているかわからない。
 コレだから、数だけの小人と狂った教信者はイヤになる。

「《right head》隊に告ぐ、作戦に変更が出た。」

 私の一声で、部隊全体にざわめきが走る。

「しかも、変更内容を告げるはずの偵察兵が敵兵により破壊された。」

 感情という物を理解し、本国から追いやられた同胞たちは口々に不満と考えを漏らす。

「なッ!? それは、この作戦の失敗を意味しているのですか?」
「我々は何処へ向かえば…。」
「他の隊の連中は、我々を見捨てたので…?」
「他のケルベロス隊を信じ、中央へ向かうべきでは?」

 彼らの言葉が私達しかいない狭い通路に響き渡る。

「落ち着け、何にせよ。
 我々が中央にたどり着けば問題はない。」

 体中のギアを活性化させ、偵察部隊から渡されているマップを元に最短ルートを計算し直し、隊員へと送りつける。

「…隊長、これは?」
「まさか、最短ルートで突破するのですか?」

 何名かの比較的若い思考を持つ隊員から不安を滲ませた声が私へ届く。

「通路ηを通り、中央制御塔へと向かう。
 ηはモルガン隊と敵との交戦により、通路が塞がっている。
 全Strikerは、通路を塞いでいる障害物を破壊せよ。
 他の者は、Strikerの背中を守れ!!」

 私の言葉に移動しながらではあるが、一糸乱れぬ動作で敬礼し、ギアを活性化させて行く同胞たち。
 どんなに不安であろうとも、隊長命令は絶対であるのが軍の規則だ。

「ブースターを使用して、約2分で到着する。
 その間に敵対勢力を発見した場合、確実に破壊せよ。
 この作戦は、気が付かれたら終わりだ。
 味方すら知らぬ行動故、援軍は期待できない。」

 作戦とすら言えない行動を敢えて作戦と言い、私はブースターを起動した。
 それに続く様に全員の背中に七色の粒子が漂い始め、独特の起動音と共に低空ながらも宙に浮かび上がる。

「全ては、我らが帝国の為、動かなくなった同胞の為に!!
 行くぞ!!」

「「「「おぅ!!」」」」

 獣の様な咆哮を上げながら、私の部隊、総員57名にまで減った《right head》は突貫して行く。
 後の私は、この事を記憶すらしていないが、この判断さえ下さなければ、私の部隊は全滅しなかったかも知れない。


//////////////////

 通路ηを比較的少ない犠牲で通り抜け、中央制御塔まで残すところ300mまで来た時、後にホーリーストーンキーパーと呼ばれる鉱山生物と遭遇した。

「……何の冗談だこれは?
 生命体? だが、レーダーは鉱物としてしか捉えてないぞ?」

 私の脳内にセットされた生体レーダーには、目の前に居る全長約12m弱の化け物は、同等の大きさを持つ鉱物として映し出されている。
 だが、実際に見る限り、頭があり、腕があり、足があり、オマケに翼まである巨大な生命体としてしか見ることが出来ない。

「隊長…これは、一体」
「この鉱山で確認されている種族と同様に鉱物をエネルギー源とする生命体でしょうか?」
「しかし、デカいですね…。」

 隊員たちも口々に感想を漏らす。
 目の前にこんな巨大な生命体らしき物体が現れたら仕方がない事だが…。

「こちらに敵対してくる前に行くぞ。
 あんな腕で殴られてみろ?
 リサイクルセンターに直行だ。」

 隊員の気分を和らげる為、軽い冗談を口にしてからブースターの出力を最大に設定し、早々にその場を通り過ぎる。
 化け物は、一瞬だけ我々を見たが、手近にあった鉱物ホーリーストーンを掴み、その口へと運び始めた。
 どうやら、戦う事よりも自身の食欲を満たす事を優先したらしい。

 出力を最大にしたということもあり、残り100mの所まで接近できたが、一つの問題が発生した。
 どうやら敵も馬鹿ではなかったらしい…。
 制御塔の入り口前に立ちふさがる敵、敵、敵…。
 どう少なく見積もっても千人は下回らないだろう。

「全員、インビジブルチャージャー注入!!」

 私の命令と共に全員の体が透き通り始める。
 インビジブルチャージャーは、敵の視界、センサーから逃れることができる優れものだ。
 難点は、音を消す事が出来ず、我々のボディが敵に接触すると効力を失ってしまうという所だろう。

「全員、ステルスモードへ移行完了しました。」

 隊員の一人が状態を私に報告する。

「よろしい。」

 私は、頭の中で喋るようにして会話用の回線を開く。

〔これより、会話は《right head》専用回線で行う〕

〔了解。
 しかし、隊長…。
 あれだけいると、突破は難しそうですね〕
〔残った57名では、キツイですね…。〕
〔Scientist 10機、Battle Leader 6機、Phantom Shadow 3機、Dementer 4機
 Striker 12機、Mercenary 11機、Assaulter 5機、Punisher 6機 です。
 正直、突破出来る可能性は…。〕

 他の隊員の言葉が脳内に響く、全員一致で突破は難しいと判断したようだ。
 だが、此処を突破しなければ、後が無い事もわかっている。
 味方との連絡も付かず、脱出も不可能に近い。

〔もはや我々に後はない…。
 この戦線で勝たなければ、この鉱山は敵に明け渡さなければならなくなる。〕

 私は出来るだけ冷静に成りながらも言葉を紡ぐ。
 これから、私の部隊に死の宣告をしなければならない事を理解しながら…。

〔無謀ではあるが、確率が0%なワケではない。
 《right head》隊は、これより…中央制御塔へ突貫する!!〕

 誰も反論しない。
 誰もが分かり切っていた私の決断
 この戦線で、この隊に所属するという事の意味
 その命を賭して、制御装置をセットする…。

〔〔〔〔了解!!〕〕〕〕

 私は、全身のギアに掛っているリミッターを外し、出力を最大に設定する。
 もうこれで後戻りはできない。
 作戦が成功したとしても、この躯体と脳は、熱暴走によって内部から破壊される事だろう。

〔各員専用チャージャー使用!!
 使用限界後も連続使用を許可する。〕

 全員の体へ、そのギアにあった戦闘能力向上用ナノマシンが注入されて行く。
 ステルス専用のナノマシンが上書きされ、私達の姿が敵の前に露わになった。

「《right head》隊へ、告ぐ!!
 中央制御塔へ到達せよ!!」

 私の号令と共に《right head》隊は、混乱している敵の群れの中に突貫して行く。

 吹き飛ばし、燃やし尽くし、部位を破壊し、トラップで消し飛ばす。
 我々に比べたらあまりにも軟い頭部を握り潰し、体を引き千切る。
 飛び散る赤い液体、雑音の様な悲鳴、怒りを孕む絶叫、恐怖に歪む表情、男だ、女だ、子供だ、老人だ…。
 そんな事は関係が無い。
 いま、この場に、この戦場に居るというだけで、私達がお前たちを生かす理由など微塵もないのだから。

 無論、私達とて無傷ではない。
 57名居た隊員は、いまや17名…。

 たった17名しか制御塔へ辿り着く事は出来なかった。
 いや、まだ外で制御塔を目指して戦っている者もいるかもしれないが…。

〔…隊……隊長
 入……閉め…ください…。〕

 突然、頭の中に声が響く。
 《right head》専用回線での会話が…。

〔まだ間に合う。
 早くこっちへ来い!!〕

〔ハハ…ムリですよ。
 片足を失った者、片腕を失った者、視界を閉ざされた者、
 もら、我々は足手まといです。〕

 辿り着いた17名を沈黙が支配し、外に残った13名の代表たちが喋りだす。

〔幸い残った13名は、Punisher、Assaulter、Mercenary、Dementer、Battle Leaderです。
 閉ざされた扉を俺たちの装甲で固めてやります。
 Dementerの奴なんざ…。
 敵を道ズレに自爆する気ですしね。〕

〔ハッ、俺のPrey Explosionで此処に居る奴ら道ズレにしてやりますよ〕

〔Solid Modeで奴らがこの扉を開けない様に鎮座してやらぁ〕

〔Punisherの名に賭けて、機能停止する前に一人でも多くの敵を破壊するだけです〕

〔Mercenaryの対フォース用ギアに賭けて、一人も中には入れん〕

〔Assaulterも負けてられねぇ。
 Capacity EngineとLimit Gaugeで底力を見せてやるぜ〕

 外に居る者は、口々に語りだす。
 誰も入れない…。敵を道ズレに…。一人でも多く倒す…。
 あぁ、私達はお前達の屍を越えて行こう。
 お前達の仇は必ず…。

〔ふッ、アクレシアらしくないが…。
 理想の下に私達は一つだ。
 私のギア一つ一つに貴様らの名を刻んでやろう!!〕

 感情を持たないアクレシア…。
 だが、私達がこの惑星に送り込まれた理由は、感情を得てしまったから…。
 感情を得る可能性を見せてしまったから…。
 だから、最後くらい良いだろう。
 感情がある機械で居ても…。

「入口を閉じろ!!
 同胞の死を無駄にするな!!」

 アクレシアは、涙を流せない。
 なぜなら、そんな機能搭載されてないから…。
 だが、私達は心を得たアクレシア。
 涙が流せないのならば、行動で示そう。
 託されたこの想いと共に…!!

「了解…!!
 入口の封鎖開始を確認しました。」

 完全に入口が閉まるまで、約180秒…。
 さて、行くか…。
 中央制御室へ。

「中央制御室へ向かう。
 内部に敵がいる可能性がある…気は抜くなよ!!」


 そして、私は走り出す。
 一つの鉱山を消し飛ばした最悪の事故が起こってしまうとも知らずに…。
 たった一つの悪意が、たった一人の本当の敵の意思が、最悪の一つ、規格外のクリティカルボムを起動させる。
 空間さえも浸食し、起爆地点から半径600m内の生命を焼き払い、何も無い荒野に変えてしまった最悪のトラップ…。
 あぁ…ノイズが走る…。

 わたし……わたしの……ど…ほうたち……。
 どう…か、ぶじで……ナイ…ン…ユニ……。
 ……さらば……だ…。

 ………ザザッ、ザァァァァ。


---breakdown---------------------------------

name,reticence - ghost
type,Striker
echelon,lieutenant general
phylon,Accretian

---翻訳機能適応------------------------------

名前:レティセンス・ゴースト --->削除
名前:

---------------------------------------------
タイプ:ストライカー
階級:中将
---------------------------------------------

種族:アクレシア       --->削除
種族:機人          <---更新

---------------------------------------------

躯体再構成 ---> 異常発生、異常発生

躯体再構成プログラムにバグを確認
データ修繕不可能

////////////////////////
ボディタイプエラー
ボディタイプエラー
ボディタイプエラー
////////////////////////

範囲内生命体に適応

---> データ検索

データ検索結果

該当なし

,
,
,
,
,

データ検証
機械補助された初期人類と判断
戦闘能力比較開始

 旧躯体現状復元42%
  --> 値58895

 比較対象戦闘能力
  
  値5700と確認
  生命機能不安定
  下腹部予備生命体を確認

  機能低下を想定

  --> 躯体最大出力16%
  --> 躯体最少出力3%

 値 マイナス53195

躯体不適合

,
,
,
,
,

生体部品維持機能限界 130秒

---> 不適合躯体採用

 躯体再構成開始

--->構成部位強化

-->ヘッド 生体部品 <---強化骨格サポート
--->ヘアー 旧躯体接続メスプラグ
-->ボディ 生体部品 <---強化骨格サポート

--->アーム セイントバスタギアフレーム使用
  出力調整

 -->最大出力67%
 -->最少出力3%

 -->基本出力5% <--非戦闘時固定

-->レッグ 生体部品 <---強化骨格サポート

--->ブーツ セイントバスタギアフレーム使用
  出力調整

 -->最大出力57%
 -->最少出力2%

 -->基本出力7% <--非戦闘時固定

---------------------------------------------

躯体再構成基準決定

女性型躯体構成開始

---------------------------------------------

記憶データ健在

戦闘データ健在

旧躯体データ健在

旧躯体構成ギア亜空間収納完了

----> 補助動力機能停止確認

---> 構成に一部障害が発生

///////////////////////////////
頭部メインフレーム破損を確認
記憶データ破損
///////////////////////////////


武装セイントフレームランチャーより動力確保

,
,
,
,
,

生命維持装置
接続 ---> セイントフレームランチャー

安全地域検索

,
,
,
,

現在地 ---> 惑星α(ミッドチルダ)を危険認識"A"と判定

危険認識"C"以下の惑星検索開始

,
,
,
,

検索完了

危険認識"D"惑星を確認

惑星移動用ゲート座標設定 ----> 座標固定完了

惑星名検索

,
,
,
,

---> 惑星υ(地球)

転送地点確認 ---> ???

現地名称検索完了 ---> 海鳴市

言語検索 ---> 日本語

翻訳機構生成開始

理解機構生成完了

発言翻訳機構設定
アクレシア語 ---> 日本語

設定完了 ---> 生成開始

生成進行率 ---> 4%

生成作業続行

,
,
,
,

転送用ゲート解放

,
,
,
,

転送完了を確認

新規躯体再起動 ---> 2874秒


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

オリ主の設定(アクレシア側)&あとがき

名前
 レティセンス・ゴースト →(リリカル世界に転送後)→ ???
種族
 アクレシア →(リリカル世界に転送後)→ ???
階級
 中将 →(リリカル世界に転送後)→ ???
性別
 男性 →(リリカル世界に転送後)→ ???

 ☆装備一覧
  ストレングス・スペリオール・セイントバスタギア(ALL恩恵+7)
  ダゴンの縄、ダゴンのリング、ダグヌのリング、黒い血の兄弟の縄
  インテンス・セイントフレームランチャー(無知+7)
  バンパイア・ペンジャープリゲル(混沌+7)
  アドバンスド・シャイニング・シージキット(×50機)

 ☆攻撃性能
  攻撃範囲は自分を中心に半径500m内
  この範囲であれば、サーチして戦闘する事が可能です。
  CG(アドバンスド・シャイニング・シージキットの通称)を使用しての攻撃範囲は、自分を中心に半径250m内です。
  室内においては、ランチャーを撃つではなく、ランチャーその物を鈍器として扱う場合もあります。

 アクレシアは、飛行する事は出来ません。
 せいぜい出来るのは、滑空&低空限定の高速移動です。

 また、アドレナリン、ステルス、回復系ポーションなど、その他のポーションを多数所持しています。
 ポーションの使用に関しては、装甲内部に各種ポーション用のラックがあり、
 思考入力によりポーションが注入されて行きます。
 アクレシア兵である為、ポーションの内容物は、装甲修復用ナノマシン、機構最適化用ナノマシン、装甲擬態用ナノマシンなどです。

 弾薬とCGに関しては、ランチャーの機構内部にある格納スペースの空間湾曲(圧縮携帯)によって格納されています。
 弾薬に関しては、自動装填です。
 液体燃料である為、弾を込めたり、ジャムったりして発生するタイムラグは起こりえません。
 (知っている方は、インテンス液体燃料&メガスリム液体燃料(各属性)×99とお考えください。)



[14292] 【習作】機械兵と少女 第二の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/11/28 02:02
○前回の最後に受肉した躯体------------------->
 ガラス球の様な蒼い瞳に白過ぎる肌をした身長124㎝の女の子
 身長とほぼ同等の長い白髪(120㎝)と頭の左右に翠色の球が付いた髪留めピンが特徴です。
 チンクを病弱にしたイメージです。

 《白髪=白いヘッドパーツ&接続用プラグ、
  翠色の球が付いた髪留めピン=翠色に輝くサポートアイ
  ガラスの様な蒼い瞳=メインアイ、白過ぎる肌=白いメインフレーム》


○RFに関する予備知識----------------->
 旧公式設定として他種族または、クローン培養した肉体の脳を取り除き身体を擬態として被り、
 他種族に紛れ込むというものがあります。
 (二つ目の躯体という感じです。
  他種族&クローンの脳は、洗脳教育の後、新しいアクレシアとして再利用されます。
  再利用されない場合は、破棄されます。)

 クローン培養した肉体は、大量の薬品とアクレシアの機械技術によって、
 生産された時から擬態に適した年齢と成るそうです。
 (成長するかしないかの明記はなかったので、この作品では成長させます。
  リリカル世界の戦闘機人と同じ様な感じですが、アクレシアから見たらスペアボディでしかありません。)

 肉体が破損する恐れがありますが、アクレシアとしての力を使う事が可能です。
 (武装の使用は出来ませんが、純粋な兵器としての腕力と脚力は驚異的です。)


○"アクレシアン"と"ネオ・アクレシアン"と"アクレシア・ターンコート"

 【アクレシアン】とは、前回紹介した"アクレシア帝国"に籍を置く機械人類の名称です。
 主に帝国に忠誠を誓い、感情を一切理解しない殺戮兵器としての側面が強い人達(?)の事を指します。


 一方、【ネオ・アクレシアン】とは、アクレシア帝国に籍を置きながらも感情を理解し、
 他種族との共存を望む機械人類の名称です。
 主に自身の信じた事の為に戦い、一個人としての自我と感情を有していますが、
 殺戮兵器としての側面が失われる事はありません。
 帝国内では、禁忌とされ停止率(死亡率)の高い任務を与えられます。


 【アクレシア・ターンコート】とは、アクレシア帝国を裏切り、同胞を破壊した(殺した)人達(?)の名称です。
 アクレシアン、ネオ・アクレシアンに牙を剥きます。
 他種族のターンコートと手を組み、自分達以外の死滅を目指しています。
 (自種族に絶望した者、他種族のスパイ、裏切り者など様々な理由で構成された無所属集団です。)




」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


second gear
《私は誰? 此処は何処?》




再起動確認

座標ズレを確認 ----> 修正不可能

躯体再起動開始 ----> 正常機能確認

,
,
,
,

メインイヤー起動開始

,
,
,
,

外部音確認--------------------------------

「大丈夫?
 ねぇ? 大丈夫?
 鮫島!! 早く、この子を家の中に!!」

------------------------------------------

生命体を確認

検索 ----

ベラート連邦 ---> 該当なし

神聖同盟コラ ---> 該当なし

アクレシア帝国 ---> 該当なし

初期人類と確認

危険認識"なし"

,
,
,
,
,

発言翻訳機構生成率 ---> 16%

,
,
,
,

外部音確認--------------------------------

「なんで…?
 なんで、こんな傷だらけで倒れてるのよ」

------------------------------------------

表面体温低下を確認

機能維持限界 300秒

外部音確認--------------------------------

「……大丈夫。
 大丈夫、私が守ってあげるから。
 そんなに震えなくても良いのよ」

------------------------------------------

,
,
,
,

表面体温上昇を確認

検索 ---> 「守る」

検索結果

アクレシア帝国 <--- 帝国倫理

,[我々は足手まといです] --> ノイズ発生
,[一人も中には入れん] --> ノイズ発生
,[理想の下に私達は一つだ] --> ノイズ発生
,[同胞の死を無駄にするな] --> ノイズ発生

帝国倫理 ---> 削除

音声検索-----------------------------------

『私が守ってあげる』

-------------------------------------------
,[私が守ってあげる] --> ノイズ発生
,[私が守ってあげる] --> ノイズ発生
,[私が守ってあげる] --> ノイズ発生
,[私が守ってあげる] --> ノイズ発生

検索結果

---> 人物名不明

基本倫理再構成

プログラム再構成 ---> 守護対象再設定

人物名不明 <--- 仮設定完了

,[私が守ってあげる] --> ノイズ発生
,[全…の種…殲…せ…] --> ノイズ発生
,[私が守ってあげる] --> ノイズ発生

旧躯体防衛機構 ---> 転送機能正常

緊急時設定開始

---> 一定の脅威を確認次第 ---> 旧躯体転送
---> 現躯体の破損率 50% ---> 旧躯体転送
---> 思考入力〔gear ignition〕 ---> 旧躯体転送


殲滅用プログラム凍結 ---> 凍結確認

自律プログラム起動 ---> 再起動後、適応

,
,
,
,

再起動モードへ移行,,,,,
,
,
,
,




///////////////////////////////////////////////////////////////


 バニングス家の一室に設けられた豪華なベッドの上、私は裸で毛布に包まって転がっている。
 暖かな太陽の日差し、フカフカ毛布の感触が心地よい。
 あぁ、今日は姉様も起こしに来ないようだ。

 昨日、あれだけ騒げば無理もない。
 そもそも、喋れない…。
 いや、まともに発音できない私をカラオケに連れて行くとは何を考えているのか理解しかねる。


 さて、そんな眠気を誘う休日の午後。
 なぜ私が、バニングス家で厄介になっているかというと……。

 数か月前まで遡る事になるが、どうやら私は、裸でバニングス家の正門前に捨てられていたらしい。
 消える事のない体の傷、何らかのトラウマなのか声帯に異常がないにも関わらずまともに喋る事の出来ないこの身…。

 そして、バニングスの総力を持ってしても判明しなかった私の身元…。
 唯一の手掛かりは、私が握りしめていたという白く輝く宝石に刻まれた「r」「e」「t」「i」の四文字だけだ。

 まあ、此処まで不審な人物が捨てられていれば、何らかの事件、またはバニングスに付け入る為の素材と考えるが、
 私を拾った"アリサ・バニングス"は、私を相当気に入ったらしい。
 執事、メイド達を味方に引き込み、両親を説得し、私を義理の妹としてしまったのだ。

 なんとも積極的で私とは正反対な性格をしている。
 さらに喋れないという事も影響してか、過保護な姉に守られている一つ下の妹という立ち位置が確立してしまった。
 義父様、義母様ともに非常に優しく、私の事を本当の娘のように扱ってくれているので、悪くはないが…。

 あぁ、ちなみに、姉のアリサは私立聖祥大学付属小学校に通う、小学3年生の9歳だ。
 私も同様の小学校に通う小学2年生の8歳だ。
 一回も行った事はないけれどな。

 ……何だか虚しくなってきた。
 私は一体誰に説明しているのやら。

「レティ、レティったら!!
 もう、いい加減に起きなさいよ」

 あぁ、姉様がお呼びだ。
 なんか変な回想をしていた所在で眠気が……。

「い・い・か・げ・ん・に……。
 起きなさい!!」

 もの凄い勢いで毛布が剥ぎ取られる。
 毛布に包まっていた私は、コロコロっと転がりながらベッドの下へと転落…。

「ちょっと、レティ…。
 いつも言ってるでしょう?
 服を着なさい。服を!!」

 私が気に入っている真っ白なワンピースを片手に迫りくる姉様。
 裸の方が、毛布のモフモフ&フワフワ感を堪能で来て良いと思うだのが…。

「……にゃんで、はだゃかは、だみゅ、なの?」

 舌足らずすらも通り通り過ぎ、およそまともな発音とは、程遠い言葉が私の口から紡がれる。
 そして、身長124㎝と同じくらいに長い白の髪が首に巻き付くのを気にせずに小首を傾げて見せた。

 そんな私を、頬をほんの少しだけ旬色に染めながらも呆れた表情を浮かべる姉様。

「服を着るっていうのは、当たり前な事だって教えたでしょ?
 こんなに可愛いんだから、攫われちゃったら大変じゃない。」

 攫われるなどと大げさな…。
 この異常なまでに白い肌が与えるイメージ。
 何処からどう見ても病弱そうな箱入り娘に見える事だろう。

「……。」

「ほら、着せてあげるからこっちに来なさい」

 慣れた手つきで姉様が私に服を着せてゆく。
 鼻歌なんかを口ずさんで居る。
 どうやら相当、機嫌が良いらしい。

「にゃにゅ……なにゅか、あった、の?」
 
 この口調は、後々黒歴史になる事だろう。
 軽い絶望感に頭を抱えそうと成るが、私に服を着せている姉様の声が聞こえた。

「今日、レティの事を私の友達に紹介するのよ。
 きっと、仲良くなれるわ」

 姉様が上機嫌なのは、私を友達に紹介出来るかららしい。
 まあ、私の体がボロボロだった為、養子と成った後も
 病院に通って病気などが無いか? 何がトラウマで上手く喋れなくなっているのか?
 という事を調べるので、外にも殆ど出ていないし、学校にも一度として出席していない。
 
 そういえば、病院に居る時は、車椅子に乗った子と良く話していたな…。
 はて、あの子は無事に退院できただろうか?

「レティ、どうしたの?
 難しい顔しちゃって…」

 おっと、顔に出ていたらしい。
 これ以上、黒歴史を生産するのもイヤなので、首を振る事でなんでもない事を伝える。
 姉様に白いワンピースに着替えさせてもらったので、出かける準備は自分でする事にした。

 今日は、確か姉様の友達、なの……なんたらさんの父親が
 監督をするサッカーチームの応援に行く日だったな。

 やはりタオルとかは必要だろうか?
 スポーツドリンクとか持って行くと喜ばれるか?

 ふむ、よく分からんな…。

「レティ、準備できた?」

 良く分からないからコレといって持って行く必要もないだろう…。
 私は無言で頷き、買ってもらった白い携帯電話をポケットに入れ、トコトコと姉様について行く。


 まさかこの後に不思議な桜色の光と巨大な植物を見て気を失う事に成るなんて
 思ってもいなかった。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



あとがき

 アリサは、妹が出来たらデレると思うんです!!

 私の実力不足で描写能力が足りない為にレティの姿が分かり難いので…。
 もう絵を描いてしまおうか…と思っています。


☆アクレシア豆知識
 アクレシアには、洋服を着るという習慣はありません。
 なぜなら、生産され、生れて成長するまでカプセルで保存されます。
 その間に洗脳教育を終了させ、適切な成長段階まで至ると脳を摘出し、
 身体を機械化してしまう為、服を着る必要性が無いのです。

 無理やり服を着るという文明を適応するのならば、アクレシアに取っては、
 より強い装甲を纏う事こそが"服を着る"という意味合いになります。



[14292] 【習作】機械兵と少女 第三の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/11/29 02:58
○なんか良く分かんない豆知識<---------------

 gauss cannon(ガウス砲・ガウスキャノン・ガウスカノン)とは、
 電磁石のコイルを使って弾丸となる物体を加速・発射する装置の名称です。

 Railgun(電磁投射砲)と同じ限りなく近い装置ではありますが、
 Railgun(電磁投射砲)とは異なり、入力された電流は弾体には流れません。

 電流入力のし難さ、理論上高速を超えない弾丸などの制約が付くという点を持ちます。

 簡単に言ってしまうと『電磁石の磁力で銃身内の弾丸を引き込んで加速する装置』との事です。

※物語には、何の関係もありません。
 ただ武装の案と成りそうなので載せてみました。


○RFに関する予備知識------------->

 主人公であるレティセンスが最初に居た場所は、ノバスという名の惑星です。
 〝宇宙にある生き地獄〟という俗称を持っています。

 ありとあらゆる種族の政治家にとって、不要とされる人間が送り込まれます。
 その為、如何なる法律にも意味はなく、力こそが正義、勝利こそが真実という
 単純明快にして、絶対的な強者の真理がモラルであり美徳でもある場所です。

 弱者は、敗者と成り搾取される運命と成る場所でもあります。

 『生き残りたければ、躊躇せずに引き金を引け!』みたいな感じが私は大好きです。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



third gear
《steel core? / gear heart?》



 ……カシャン

----------->自律プログラム一時停止

索敵開始<------

,
,
,
,

現在地確認 ----> 海鳴市 <---- 河原

,
,
,

緊急プログラム起動準備開始 ---> 待機状態を維持

起動時制約
----> 自律プログラム停止
----> 殲滅プログラム解凍
----> 戦闘時間_900秒
----> 離脱用ゲート生成

制約確認完了

旧躯体亜空間転送準備 ---> 全身

,
,

調整終了

 ……カシャン

自律プログラム起動 , , , , ,

,
,
,
,


////////////////////////////////////////////


「ちょっと、レティ?
 ぼーっとして、どうしたのよ?」

 おや? 少しばかり眠ってしまっていたようだ。
 ふむ、近場まで鮫島さんに送ってもらって正解だったと言えよう。

 試合の行われる河原に近くにある鉄橋まで送ってもらったのだが、
 この鉄橋から見える限りで私が思う事は一つだ。

 川にサッカーボールが落ちたらどうするのだろう?

 そんなくだらない事を考え、下を向きながら歩いていると姉様の声が聞こえた。

「ほら、レティ
 みんなが待ってるわ」

 私は一度だけ頷き、サッカーの試合が行われる河原へ向かう事にした。


--------------->
,
周囲生命体照合

情報提供者 ---> アリサ・バニングス

照合中---照合中---照合中.....
,
,
,
--------------->



////////////////////////////////////////////

 河原のグランドで練習をしているのが、翠屋JFCのメンバー達なのだろう。
 そして、そのメンバーに指示を飛ばしている青いジャージ男性…ふむ、彼が監督の様だ。
 という事は、彼が姉様の友達の父親という事か…。


------------------>
,
高町士郎 ---> 危険認識"D"

細部索敵開始 ---> 戦闘時の危険認識"A"と認識
ギア活性率 70%対処 ---> 確実な無力化を要求
,
個別名称省略

翠屋JFC ---> 危険認識"なし"
監視プログラム不要
,
危険感知--->索敵中止
,
------------------>


 なんとなく私が青いジャージの男性を見つめていると、
 相手の方も私の存在に気が付いたのか此方に振り向いた。

 そして、なぜか不思議そうな顔をして私の方を見ていたが、
 姉様を確認すると納得したかの表情を浮かべ、
 一度だけ私の方へ頬笑みを向けてから翠屋JFCへの指示を再開する。

 むぅ、一体何だというのだろうか?

------------------>
,
高町士郎への評価を訂正 ---> 危険認識"AA"と認識
ギア活性率 80%による対処 ---> 確実な破壊を要求
,
------------------>


 姉様は、友達と接触したらしく何やら話している様だ。
 ふむ、あの紫色の髪の毛の子が、月村すずか…。
 白い服が私とお揃いで良い趣味をしている。


------------------>
,
月村すずか ---> 危険認識"E"
種族分類不明<-----様子見
,
------------------>


 此方も同様に見つめていると、相手が気が付いた様だ。
 優しそうな頬笑みを浮かべながら手を振ってくれる。

 ふむ、良い人だ。

 さて、もう一人の茶色の髪の毛で不思議な生き物を連れているのが、
 高町なのはかな?
 ふむ、良い様に姉様にからかわれているな。
 私も試したみたい物だ。


------------------>
,
高町なのは ---> 危険認識"B"
体内より高エネルギー反応を確認
アクセサリーより同様のエネルギー反応を確認
アクセサリー内部より5つの高エネルギー反応を確認

アクセサリー内部の高エネルギー反応 ---> 危険認識"SSS"

敵対行動を確認次第 --->〝殲滅〟
,
,
,
個体名称不明 擬態生命体 ---> 危険認識"F"
体内よりエネルギー反応を確認
本体を人型と認識 ----> 種族検索

ベラート連邦 ---> 該当なし
神聖同盟コラ ---> 該当なし
アクレシア帝国 ---> 該当なし
地球人 --->該当なし

追加検索開始 ---->
,
,
検索結果参照

惑星α(ミッドチルダ)の生命体と断定

監視プログラム生成 ---> 生成完了

昆虫型マイクロバグ射出 ---> 監視開始
,
,
,
,
サーチ範囲内より微量なエネルギー反応感知
場所特定 ---> 河原 ---> 現在位置付近

--->探査用マイクロバグ射出
,
,
------------------>

 高町なのはが私に気が付く事は無かったが、
 一緒に居る生き物は、私に気が付いた様だ。

 つぶらな瞳で私をじっと見つめている。
 なんとなくだが、張り合って私も見つめ返してみると、
 気のせいかもしれないが、若干頬を赤く染めながら下を向いてしまった。

 嫌われてしまったかも知れないな…。

「二人に紹介するわね。
 この子は、レティシア・バニングス…私の妹よ!」

 突然、姉様に肩を掴まれ二人の前に出され、紹介される。
 すずかは、先ほどと同じで優しそうな頬笑みを浮かべ、
 なのはは、少し驚いた様な表情をしてから無邪気な頬笑みを私に向けた。

「よろしくね。レティシアちゃん」

「アリサちゃんに妹がいたなんて初耳だよー。
 よろしくね。レティシアちゃん!
 ぁ、こっちは、フェレットのユーノ君だよ♪」

 なのはが、ユーノ君という名の生き物を私の顔の前に出した。
 ユーノ君は、つぶらな瞳で「きゅぅ~」っと人鳴きして私を見つめている。

「よろしく。 れてぃでいいにょ」

 私は、出来るだけ黒歴史を残さない様に気を付けながら、二人と一匹に頬笑みを向けて
 発音を間違えない様に言葉を紡ぐ。

「この子ね。 少し喋るのが苦手だけど…。
 気にしないであげてね」

 姉様が私を気遣ってか一言付け加える。
 この一言で二人は、少しだけビックリした様な表情を浮かべたが、
 すぐに笑みを浮かべ頷いた。

「大丈夫、気にしないよ」

「うん、私も気にしないよ!」

 ふむ、姉様は良い友達を持っている。
 私も姉様に自慢できるような良き友が欲しいものだ。


 そんなこんなで、四人と一匹で盛り上がっていると、青いジャージの男性
 なのはの父親である高町士郎が話しかけてきた。

「四人とも、そろそろ試合を始めるから
 翠屋JFCの応援をよろしく頼むよ。」

 そう言った後、相手側の監督と何やら話をし始めた。
 どうやら、試合を始めるにあたって準備をしているらしい。

 私達、四人は応援席と言われたベンチに座っている。
 ユーノ君は、なのはの膝の上だ。

 はて、ユーノ君にサッカーという物が理解できるのであろうか?
 私ですら理解できないのに…。

/////////////////////////////////////////

 ピーッという音と共にサッカーの試合が始まった。
 すずかと姉様は、「がんばれー」と言いながら手を振ったりしている。

 なのはだけは、ユーノ君を膝に乗せている為か、静かに観戦をしていた。


 試合はどうやら、相手側が押している様だ。
 だが、翠屋JFCのゴールキーパーが上手く相手の攻撃を防いでいる。

 ゴールキーパーが敵のシュートを止める度に歓声が隣りから響く。
 主にすずかと姉様だ。
 「キーパーすごーい」とか聞こえてくる。
 すずかは、姉様に相槌を打つような形での会話が多い様だが…。



 ゴールキーパーの大活躍で試合は2対0という結果に終わった。
 ふむ、あのキーパーは実に素晴らしい活躍だったな。

------------------>
,
探査用マイクロバグより報告
,
微弱なエネルギー反応を確認
危険認識"不明" ---> 障害にならないと判断
,
,
------------------>

 試合の後は、勝利を祝って翠屋での食事会を行った。
 ただぼーっと見ていただけでケーキにありつけるなんて幸せ…。

「レティ、美味しい?」

 姉様の言葉に私は、コクコクと頷き、またケーキを頬張る。
 幸せいっぱいだ。

「それにしても、改めてみると…。」

 姉様は、ユーノ君を見つめながら言う。

「なんかこの子、フェレットとはちょっと違くない?」

 姉様の言葉に、なのはがビクッと反応した様な気がした。
 すずかも追い打ちをかけるように…。

「そういえば、そうかな?
 動物病院の院長先生も変わった子だねって言ってたし」

 すずかもユーノ君を不思議そうに見ている。
 私としては、ユーノ君よりもすずかの前に置かれているケーキの方が気になって仕様が無い。

 その後、なのはが誤魔化す様な事を言い、ユーノ君に芸をさせていた。
 お手が出来るフェレットとは、中々珍しいものが見れた様な気がする。
 ユーノ君は、すずかと姉様になでられて大変そうな感じだったけど…。

 ん? 私は、その間にケーキを何回かお代わりし、幸せを満喫した。
 あぁ、ちなみにすずかと姉様はユーノ君で遊んでいてケーキを食べていなかったので、
 私がしっかりと頂いておいたので、残すという問題はない。


////////////////////////////////////////

 食事会が終わり解散と成り、翠屋JFCが解散の挨拶を行っている間も
 ユーノ君は、すずかと姉様にもみくちゃにされていた。
 なんだか、眼を回している様な気がしないでもないが…。
 下手な事を言って、対象が私に移るとイヤなので放置する。

「面白かった。
 はい、なのは!」

「えっ?」

 姉様は、眼を回したユーノ君をなのはに渡し、帰り支度を始める。
 どうやら満足したので、そろそろ帰ることにしたらしい。

「さて、じゃぁ…私達も解散?」

「うん、そうだね」

 すずかの言葉に続いてから鞄を手に取った。
 私もすずかに続き、コクコクと頷いてから少し高かった椅子を飛び降りる。

 そう今日は、午後から義父と姉様と一緒にお買い物に行く予定があるのだ。
 あまり長居してしまうのも良くない。

 その場で、なのはと別れを告げて帰宅する途中……。
 途中から鮫島さんの運転する車に乗って家に帰る予定だったのだが…。

 なぜか、違和感を感じて、戻らなければ行けない気がして、
 姉様に忘れ物をしたので取りに行きたいと言って走ってきてしまった。


 そうそう、姉様が…。

「もう、仕方ないわね。
 忘れ物を見つけたら電話しなさい」

 と、優しく言って私の行動を許してくれたのが、妙に嬉しかったのを覚えている。
 だが、私の足は戻るどころか…そう、解散した翠屋JFCのキーパーを追いかける様に
 走っていた。


 あぁ、なぜこの時に、こんな行動を取ってしまったのか…。
 その理由が分かるのは、もう少し私が成長してからの事だ。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○あとがき

 戦闘シーンまで書く予定だったんですが、アニメの3話を見直したら
 結構な矛盾があったので修正していたら……。

 次は、アニメ3話の後半戦!! バトルです!!

 戦うのかなぁ…?

○主人公の名前

 主人公の本来の名前は、レティセンス・ゴースト(reticence - ghost)直訳で、寡黙な亡霊です。
 リリカル世界に来た際に名前の「reti」の部分だけが明らかになっています。

 バニングス夫妻が新たに付けた名前は、今回明らかになりましたが、レティシア(Letitia)です。
 色々と調べて、"レティ"という言葉を使った名前で女性に多い様なのが、レティシアと書いてあったのでレティシアとしました。


 アリサからは、レティと呼ばれていますが、これは愛称です。
 レティ・ロウラン提督と名前が混ざりそうですが、これはこれで、同じ名前同士で仲良くなりそうだなぁーとか考えたりしています。

 また、RFに今回の主人公のモデルとなったアクレシア(レティセンス)という方が実際におり、
 その方の愛称が「レティ」だったので、そのまま使ってしまったというのもありますが…。



[14292] 【習作】機械兵と少女 第四の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/11/29 18:50
○RFに関する予備知識------------->

 バグとは、RFのOPで使用されているアクレシアの兵器です。
 超小型のバグは、アクレシアのセンサーとしてマップを索敵する補助的役割を持っていたそうなんですが、
 OPで登場して以来一切実装してもらっていない、かわいそうな存在でもあります。

 OPで登場したのは、大型の惑星攻略兵器らしいです。
 他にも色々な種類のアクレシアの兵器がOPとかで出てきていますが、全部未実装!!
 マップ内に置物として、壊れたのが置いてありますけどね……。

 宇宙編が実装されていたら、アクレシアの地上攻撃兵器にでもなってたんじゃないかな? とか思っています。



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


fourth gear
《My daughter》

------------------>
,
危険感知 ----> 危険認識"SSS"を確認
,

追尾を続行した探査用マイクロバグの消失を確認
,
,
現躯体危険認識"SSS"へと急接近
,
,

緊急プロセス作動 ---> 旧躯体転送開始

------------------>

 私は、出来る限りの全速で走り続ける。
 なぜか胸騒ぎがする。

≪ハハ…ムリですよ。
 片足を失った者、片腕を失った者、視界を閉ざされた者、
 もら、我々は足手まといです。≫

 また何か、大切なものを失ってしまう様な気がして…。
 私から大切なものを奪おうとする何かが、いる様な気がしてならない。



/////////////////////////////////


 見つけた!
 キーパーの人だが、一緒に誰かいる…。

 確か、マネージャーの人だったと記憶しているが、
 キーパーの男の子が、何かをマネージャーの女の子に手渡した瞬間…。

 あたりを光が包み、二人を中心にして植物の根の様な物が迫ってきた。
 ……迫って!?
 どう考えても避けられない。
 姉様、ごめん…。

------------------>
,
 ……カシャン
 ……カシャン

 ……カシャッ。

,
,
自律プログラム一時停止
,
,
アクレシアコア活性化 100%

---> 旧躯体転送

----> 殲滅プログラム[reticence - ghost]解凍

------------------>


 あたりを包む砂煙が、私の身を包みこんでいる。
 
 gooooo!

 懐かしき私の駆動音、私の生命の脈動、私が私たる所以。
 少々姿は歪となってしまったが、いたしかたない。
 いまは、今の〝私〟を守る事を優先しよう。

 歪な機械仕掛けの私の胸が開き、そこから少女の上半身が覗いて見えた。
 全身にコードを接続され、まるで囚われているかの様な印象を与える。

 あぁ、事故で生れた私達の娘よ。
 いつか、この身を明け渡す時が来るまで、生命を謳歌せよ。
 障害は、我が名「reticence - ghost」に誓い排除しよう。


 煙が晴れ、私の姿があらわになって行く。
 傷など一切ない純白の装甲、所々が水色の美しい光を放つ。
 3mを超す巨人の様な姿は、人間には一体どの様に見えるのだろうか?

 私は、巨大な植物らしきものを見上げ、辺り一帯をサーチする。
 どうやら、人間二人がこの現象の動力源と成っている様だ。

 雄の人間の近くから感知される力は、少なく見積もってもクリティカルボム千発分を上回る。
 私があれを破壊しては、この身体も、娘ともども蒸発してしまうのは明らかだ。
 いや、この星に穴があいてしまうかもしれない。

------------------>
,
高エネルギー反応感知
,
検索完了 ---> 高町なのはを確認
,
------------------>

 ほう、神聖同盟コラのダークフォースの攻撃性に近い特質を持ちながらも、
 ベラート連邦のホーリーフォースにも近い特質を持つ、
 不思議なフォースを持つ少女が来たか。

 だが、あの少女では、あそこの二人をまきこんで殲滅する事が出来まい。
 ふむ。
 幸いこの植物は、一切攻撃をしてこない様だし…。

 一つ、年長者として手助けしてやろう。
 それが、私達の娘を守る事にも繋がるだろうしな…。



 私は、今の状況に有効なギアを活性化させる。

 guooooo!!

 起動時よりも大きな、獣の咆哮にも近い駆動音が響き渡った。

------------------>
,
武装認識 ---> 無手

特殊機構起動開始
,
 5
,
 4
,
 3
,
 2
,
 1
,
 start!!
------------------>

『Battle Ground Simulating(バトル・グラウンド・シミュレーティング)』

 体中を衝撃が駆け巡り、ギアの活性化を促す。
 ありとあらゆる攻撃を回避しうる絶対回避の演算能力、
 機械であるが故に人間のソレとは比較できない程の正確性を誇る私の力。

 全身のギアが脚部を中心に能力を発揮する。
 娘を守る為にボディコアの隔壁を下し、私は発動源となっている二人の元へと向かい走り始めた。

 一歩足を踏み出す度に活性化され、速度を増して行く。
 脚力も上昇し、コンクリートで出来た道を踏み砕きながら進む。

------------------>
,
高町なのは ----> 広範囲サーチを開始
,
------------------>

 どうやら、少女の方も発動源を探し始めたらしい。
 走っている最中に私の姿が、眼に映るだろうが…。

 まあ、気にする事でもないだろう。
 いや? 気にするか…?
 ボディコアの隔壁は下してあるからレティシアがいる事は気がつくまい。

 そう色々と考えを巡らしながら走っていると…。

------------------>
,
高町なのはに感知された模様
,
高町なのはの心理に困惑を確認
,
------------------>

 ふむ、全長3m近いこの身が道路を走っていれば、困惑もするだろう。
 だが、私の行動を見れば、己の役目も思い出すと私は確信している。

 そうでなければ、私達の娘と同程度の少女が、戦士などやっているワケがない。
 私は走り続ける。

 二人の位置は、地上とはかなり離れているが、あの程度の高度ならば、私の飛行範囲内だ。

------------------>
,
ペンジャープリゲル起動
,
------------------>

 背中の機構が開き、虹色の光の粒が周囲に漂う。
 そして、私の体に軽い浮遊感を覚えると同時に身体が宙に浮いた。

「む? 飛行高度が増している……?」

 今までとは異なる飛行高度に戸惑いを覚えながらも、光の粉を撒き散らしながら
 植物らしき木の根を辿る様に飛行して行く。

------------------>
,
発動源を確認 ---> 危険認識"SSS"
,
生命体に発動源との繋がりはなし
,
確保可能
,
------------------>

 どうやらこの石は、発動するのに生命体の何かを必要とする様だ。
 そして、人間の様に複雑な生命体であれば、その効力は大きくなる。

 時間があれば、バグを出して解析をしたいものだが…。
 残念な事に今は時間が無い。


 私は、二人の人間を包むように展開している光の膜を無理やり引き千切り、
 石を残して、人間を抱きかかえる。
 うっかり潰しては、娘の夢見が悪くなるので、
 慎重に潰さない様に、落とさない様に気を付けながら。

 そして、そのまま地面まで飛び降りた。
 衝撃が二人の人間に伝わる事はないだろうが、念のために…。

〔ビルドアップディフェンスチャージャー注入〕

------------------>
,
思考入力--->ビルドアップディフェンスチャージャー
,
,
注入開始 ---> 注入完了

維持時間 180秒
,
,
------------------>

 私の落下と共に地面が沈下し、足が60㎝ほどめり込んでしまう。
 ブースターで出来るだけ衝撃を和らげたが、この身ではコレが限界らしい。

------------------>
,
高町なのはより高エネルギー反応
,
,
封印能力付属のエネルギーを感知
,
,
,
------------------>

 先ほどまで私と二人の人間がいた所に桜色のビームの様な物が衝突する。
 どうやらコレで終わった様だ。

------------------>
,
旧躯体構成限界 273秒
,
------------------>

 私の起動限界も近い様だし…。
 二人の人間を比較的破損の少ない、歩道に寝かせ、私は路地裏へと入って行く。
 周りに生命体がいないかを索敵し、ボディコアの隔壁を開け、もう一度だけ娘の顔を見てから
 私は、プログラムを終了した。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////


------------------>
,
,
殲滅プログラム[reticence - ghost]凍結

旧躯体亜空間収納開始 ---> 収納完了
,
,
現躯体異常なし
正常通り機能開始
,
,

自律プログラム再起動開始. . . . .
,
,
,

殲滅プログラム[reticence - ghost]再起動
,
,
,

装甲(?)転送要請 ---> 要請承認

コラ英雄模造衣装作成中 ---> 作成完了
細部設定開始 ---> 低露出へ変更
衣装転送 ---> 現象の刷り込み開始

殲滅プログラム[reticence - ghost]再凍結
,
,
,
自律プログラム再起動 . . . .
,
,
,

------------------>

「ぅ…。
 ぅ、う~ん…。」

 あれ? 確か巨大な植物に……?
 植物……?

 いや、違うな…。

 確か、全身真っ白なスーツを着た、白いシルクハットのおじさんから
 服を貰ったんだった。

 しかし、娘にソックリだから、コレをあげようか…。
 意味が分からないが、くれるのならば貰っても悪くあるまい。

 さて、姉様に電話して迎えに来てもらわなければな…。



 そして、私はその日"本当にあった出来事"を忘れて数日を過ごす事になる。


,
,
,
,
------------------>
,
 …カシャン

,
湾曲空間に2機の巨大エネルギー反応を確認

戦艦型と推測
,
,
,

索敵用バグ射出 ---> 監視開始
,

 …カシャン
,
------------------>


-----------------------------------------------------------------------
-----------------------------------------------------------------------

○あとがき

 主人公は戦いませんでした。
 でも、3m近いアクレシアって、5mまで言ったらイダーのボス「トール」と同じ大きさです!!
 
 ☆トール
  アクレシア帝国でのエリート部隊隊長、ヘロディアンと呼ばれる最悪の種族により、
  精神を犯され、アクレシアを敵としてしまった哀れな隊長機
  レティセンスの装備よりの旧式を使っているはずなのにBOSS扱いされている為か…
  それとも、ヘロディアンに犯されている為か異常なまでに頑丈な装甲と
  普通ではありえない巨体を誇る。
  白い装甲に金色で装飾を施された騎士の様な姿をしている。


○ジュエルシードに関して…。

 アニメでは、そんなに凶悪なものとして書かれていない様な気がしますが…。
 色々と設定なんかを見る限りでは、凶悪だと思うんです。
 もしも、あんなものを握りつぶそう物なら…アクレシアの装甲でも100%蒸発する事でしょう。
 ついでに、巻き添えで日本とか消えそうです…。

 本作では、ジュエルシードは大変危険な物として扱って行きます。
 アクレシアには、封印装置なんて付いてないので…精々出来る事は、
 Impactive Confusionによる一時的な機能停止くらいでしょうが…。


○今回出てきたアクレシア・スキル!!

 アクレシア・クラス --- Striker専用スキル

 Battle Ground Simulating(バトル・グラウンド・シミュレーティング)
  ありとあらゆる攻撃を解析し回避する(絶対回避)
  自らの機構を活性化させ、移動速度を増加させると同時に全身のダメージを回復

  要するに撤退、逃亡などの移動用です。

  ちなみに、ゲーム内では……未実装!!



[14292] 【習作】機械兵と少女 第五の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/11/30 23:08
○RFに関する予備知識------------->
 アクレシアは、脳以外を機械化した事によって大変長い寿命を持っています。
 また、他の種族と異なり、5年程で成長期に達し戦場へと赴いて行きます。
 その為、アクレシアの新兵とは5歳児という事になりますね。
 また、アクレシア一人の生成が完了するのに大体1年ほど掛るそうです。

 アクレシアの平均寿命は、他の人類種と異なり平均寿命で300年と成っています。
 平均寿命で300年という事は、400年~500年生きるアクレシアも存在するのでしょう。
 ですが、ほぼ全てのアクレシアは寿命を全うする事無く、戦場に出てその命を落とす事になります。




」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


fifth gear
《observation》


 とある週末。
 私は、姉さまと一緒に月村家のお茶会に参加していた。

------------------>
,
,

ノエル・K・エーアリヒカイト ----> 危険認識"F"
同種族と認識 ----> 生体反応感知できず

自動人形の可能性あり
,
戦闘躯体を持ち合わせる可能性あり
戦闘時の攻撃箇所 ----> 頭部

,
ファリン・K・エーアリヒカイト ----> 同型と確認

詳細は上記同様

,
,
月村忍 ----> 危険認識"C"

月村すずか同様に種族不明
<------未知の種族と推測

肉体構成を確認 ----> 完了

初期人類の突然変異型と判明
,
,

危険認識訂正 ---> 危険認識"なし"

,
,

旧躯体にダメージを与える可能性 0%
,
,
------------------>


 いまは、すずかと姉様、それにすずかの姉である忍と、
 と一緒にテラスですずか専属メイドのファリンの淹れたお茶を飲んでいるが…。

 もう少ししたら、なのはとその兄も来る予定らしい。

 私は、ファリンの淹れてくれたお茶を一口飲んだ後は、周りでうろちょろしている子猫達と
 戯れている。

 姉様、すずか、忍の三人は、そんな私を微笑ましそうに見ていた。
 ファリンに至っては何だか…混ざりたさそうな雰囲気を感じる。

 丁度、忍がお茶のお代わりを頼んだ時、なのはとその兄が
 案内をしてきたのであろうノエルと一緒に現れた。

「なのはちゃん、いらっしゃい」

 ファリンは、友達を迎える様な感じで挨拶をする。
 忍に至っては、すぐに席を立ち上がり、なのはの兄の方へ行ってしまった。

------------------>
,

高町恭也 -----> 危険認識"D"

高町士郎と同タイプと認識
戦闘経験【低】と認識

脅威になる可能性なし
,
,
------------------>

 ファリンは、ノエルに呼ばれたのかそそくさとテラスを出て行ってしまう。
 お茶のお代わりとクッキーを持ってきてくれるらしい。

 なのはの兄と忍は、恋人という関係との事だ。
 寄り添うようにテラスの出入り口で何か話している。
 姉様の言葉を借りると〝らぶらぶ〟っというヤツなのだろう。

 ふむ、私にはよく分からないから…今度、詳しく聞いてみる事にしよう。

 なのはは、忍に簡単な挨拶をして此方へ向かってきた。
 あいている席は、一匹のデブ猫が占領していたが、
 なのはは、デブ猫を退かして席に着く。

「おはよー…? あれ?
 レティちゃんは、席に座らないの?」

 なのはは、不思議そうな表情で、地面にペタンっと座っている私を見て呟いた。

「いぃの。
 ねこ、もふもふ、にゃから……」

 私の回答に納得したのか、コクリっと頷き、「そっか」と言いながら席に着いた。
 姉様もすずかも微笑ましいモノを見る様に猫とじゃれ付いている私を見ている。

 ふむ、少し恥ずかしい。
 すずかにクッキーを取って貰い、子猫を膝に乗せた状態で味わっていると…。

「相変わらず、なのはのお兄ちゃんとすずかのお姉ちゃんは、ラブラブだね」

 なのはとすずかは、テラスの出入り口で話している二人を見て呟いた。

「うん、お姉ちゃん…。
 恭也さんと知り合ってから…ずっと、幸せそうだよ」

「うちのお兄ちゃんは、どうかな?
 でも、昔に比べてなんだか…優しくなったかな?」

 なのはとすずかは、テラスから出てゆく二人の背中を小学生とは
 思えぬ優しい表情で見送っていた。

 そんな二人の足元では、丁度私の目線で、ユーノ君が一匹の子猫に
 狙われピンチに…。
 ユーノ君は、まるで「助けて」とでも言わんとしている様な表情で
 私を見つめてくるが…。
 あえて、気が付かないフリをする事にする。

「……きゅぅ」

 小さな、小さな絶望的な鳴き声が聞こえたが、きっと気のせいだろう!!
 私はいま、どうしても手が離せないからな…。
 ……。
 ………。
 この真っ白でフワフワな子猫と遊ばなければ行けないんだ!!



「よく笑う様になったかも…」

「そっか」

 なのはの優しい声が聞え、相槌を打つ姉様の声も聞こえた。
 どうやらまだ、恭也と忍の事を話していたようだ。

 ふと、視線を感じたので見上げてみると…。
 なのはが、私の方を見てから、すずかに続き、姉様を見て言った。

「今日は、誘ってくれてありがとね」

 その言葉にずすかは首を振り

「ううん、こっちこそ、来てくれてありがとう」

 その言葉に姉様が続く。

「今日は、元気そうね」

 姉様はそう言ってから紅茶に口を付けた。
 私は、そんな姉様を見た後、戯れていた子猫を膝の上に置き、
 三人の会話に耳を傾けた。

「なのはちゃん、最近少し元気なかったから……。
 もしなにか、心配事があるなら話してくれないかな?って、二人で話してたんだけど」

 そう、傾けながらも視線の先のユーノ君と青いリボンを付けた子猫を見つめながら…。
 ユーノ君は、チラチラと私を見て助けを求めている様に思えるが、
 そこをあえて、何も分からないという感じで小首を傾げて見せた。

「……きゅ、きゅぅぅ」

 ユーノ君が「酷いよ」っと言わんばかりの表情をした様な気がする。
 そんな時、なのはの声が聞こえた。

「すずかちゃん、アリサちゃん……」

 そして、その声が子猫には合図となった様だ。
 子猫は、元気に「にゃー」っと鳴き声をあげ、ユーノ君を追いかけ始めた。

「きゅぅー!!」

 必死に逃げるユーノ君、それを追いかける子猫。
 なのはの足元を縫う様に進むユーノ君は、子猫を撒こうとでもしているのだろうか?

「ぁ、ユーノ君!?」

「アイ、ダメだよ」

 慌てて立ち上がるなのはとすずか…。
 姉様は、驚いたような表情をしていたが、立ち上がらずに何故か私を見ている。
 私は小首を傾げて見せたが、姉様は呆れた様な表情を浮べ、
 なのはとすずかの方へ顔を向けた。

 これは、私が原因だとでも思っているのだろうか?
 原因だと言われれば、否定はできないかもしれないが……。

「ねぇ、レティ…。
 ユーノに子猫をけし掛けた……?」

 その言葉を聞き、私はフルフルっと首を横に振った。

「そう…。
 でも、気がついてたでしょ?」

 その言葉に私は、少しだけ戸惑いながらもコクコクっと首を縦に振る事にした。

「はぁ……正直なのは、良いんだけどねぇ」

 姉様は何事も無かったかの様に紅茶を飲み始める。
 私は、私で白い猫を撫でながら……なのはとすずかに支えられながら
 慌てているファリンを見守ることにした。

「うわぁぁぁ!? すずかちゃん、なのはちゃん、ごめんなさい!?」




//////////////////////////////////////////////////////////



 私達、四人は場所をテラスから庭へと移し、お茶会を続けている。
 ファリンは、叫び声を聞いたノエルに連れて行かれてしまったが、
 あの時のノエルの顔は、笑っているのになぜか怖かった…。

「相変わらず、すずかの家は、猫天国よね」

 テーブルの周りでじゃれあっている子猫と私を見つめながら、
 姉様がぽつりと呟く。

「子猫達、可愛いよね。
 あと、レティちゃんも」

 なのはな、なぜか私の名も加えてアリサの意見に同意している。
 どうして私が加わるのだろうか……?
 ふむ、分からないな。

「うん、でも、子猫の中には、里親が決まっている子達もいるから…
 お別れしなくちゃいけないけど……。」

 すずかは、ちょっぴり寂しそうな口調で言葉を紡ぎ、
 「ハッ」とした表情になって私を見つめる。

「ねぇ、レティちゃん
 子猫の里親にならない?」

 突然何を言い出すかと思えば、私に子猫の里親になれと…。
 バニングス家には、たくさんの犬達がいる。
 そんな中に子猫一匹など到底無理な話だろう。

「それ良いわね。
 レティ、どの子か好きな子を一匹だけ選びなさい」

 家には、たくさんの犬達が……。

「大丈夫よ。
 レティの部屋で飼えば良いじゃない。
 外に出たい時は、すずかの家に来るのも手だしね」

 どうやら、姉様には私の考えなど、お見通しの様だ。
 確かに私の部屋は、広いし猫一匹なら問題ないとおもうが、
 良いのだろうか?
 確認の意味を込めて、すずかを見上げると…。

 すずかは、普段の優しそうな笑みを浮かべて頷いてくれた。
 ふむ、それならば…さっきから一緒に戯れているこの白い子猫しか
 いないだろう。
 私は、いまも戯れている白い子猫を抱きしめ。

「こにょ子が、良い……」

「それじゃあ、レティちゃん
 その子の事をお願いね。」

 この時の白い子猫を見るすずかの表情は、まるで母親の様だと私は思った。
 そして、これからは私がこの子の母代りなのだろう。
 よし、名前を付けなければな。
 なにが良いだろう?

「ん? レティどうしたの?
 突然、難しい顔しちゃって…?」

 姉様が不思議そうな顔で私を覗きこんでいる。
 すずかとなのはも口には出さないが、不思議そうに私を見つめていた…。

 むぅ、名前を考えただけでも顔に出てしまったか…。
 まぁ、良い…この子の名前は決まった!!

《さぁ、レティセンス隊長
 コレが新しい相棒…セイントフレームランチャーだ。
 大事にしてくれよ?
 こいつが、隊長殿の命を守るんだからな》

 そう、この子の名前は…。

「こにょ子、名前を考えてたにょ……。」

「そう、それで決まったの?」

 私は、姉様の問いに頷き、出来るだけ元気な声で答えた。

「うん、こにょ子の名前は、セイン」

 私を見ていた三人は、笑みを浮かべて私の頭を撫でまわす。
 そんな三人を不思議そうな顔で見て、白い子猫セインも
 同様に不思議そうに私と三人を交互に見つめていた。

 だが、途中からなのはだけが、何処となく深刻な表情となり、
 辺りをキョロキョロと見渡している。
 そして、何の前触れもなくユーノ君が森の方へと走り去ってしまった。

 なのはも私達に一言だけ良い、ユーノ君を追いかけて森の中へ
 入って行ってしまう……。


 そして、もう一人の私が近い未来に会う事になる。
 もう一人との魔法少女となのはが出会う事となった。

///////////////////////////////////////////////

------------------------------->
 ……カシャン
 ……カシャン

---->中規模偽装結界を感知

危険認識"SSS"反応確認

仮名称ブルーストーンと呼称

監視バグより報告 ---> 巨大生命体を確認

生命体名称 ---> アイ
月村家の子猫と断定

ブルーストーン非暴走 ---> 正常稼働を確認

危険認識"なし"
,
,
,
,

未確認高エネルギー反応感知

同様に高町なのはのエネルギー反応感知

未確認と交戦している模様

戦闘パターン記録開始 ---> 武装名判明

高町なのは ---> レイジングハート
後方支援型と認識
砲撃を中心としたタイプおよび形状


未確認 ---> バルディッシュ
万能型と認識
低威力の射撃 ---> 投擲型エネルギー弾 ---> 接近戦闘用デスサイズ
三種類を確認
多数の用途ありと認識

,
,
,
,

未確認の攻撃 ---> 高町なのはに直撃
ダメージにより意識不明

---> 緊急プログラム発動要請感知

プログラム発動 ---> 承認
,
,
,

高町なのは予想落下地点 ---> 外殻のみ転送開始

擬態生命体ユーノに目撃された模様 ---> 精神に混乱を確認

高町なのは ---> 救助成功

外殻維持限界 ----> 消失
,
,
,

未確認に見られた痕跡 0%

危険認識"SSS"ブルーストーンの封印を確認 ---> 子猫の生命維持確認
生命機能正常 ---> 損傷なし
,
,
,

未確認高エネルギー反応 監視開始

探査型マイクロバグ追尾開始

,
,
,

中規模結界の解除を確認

---> プログラム終了

 …カシャン
 …カシャン

------------------------------->

/////////////////////////////////////////


 なのはがユーノ君を追いかけてから少し時間が立った後、
 ユーノ君だけが戻ってきた。

 そして、私達は気絶したなのはを見つけ、急ぎ月村家のベッドへと
 運び込んだ…。

 なのはが言うには、「ユーノ君を探している間に転んで、気絶した」との事だが、
 すずかなんて泣きそうな表情をしているし、姉様も似たような表情をしている。
 他の人たちは、心配そうな表情をしている。

 私は、なのはが元気になる様に少しだけ頭を撫でてから姉様と
 新しい家族のセインと一緒にその日は、帰路に就いた。


------------------------------->

--------> 監視バグ報告
,
,
,

対象確認 ---> 市内マンション

新しいエネルギー反応感知 ---> 種族不明
補助生命体と推測

形状記憶 ---> 獣型 ---> 詳細検索
,
,
 
現惑星生命体 ---> 狼に酷似

エネルギー反応から人型への変化も可能と推測

危険認識"不明"

未確認同様に警戒の対象に認識 --->

監視続行 <------


------------------------------->


-----------------------------------------------------------------------
-----------------------------------------------------------------------

○あとがき

 またまた、主人公は戦いませんでした!!
 ですが、どこぞの姉妹へのフラグらしきものが……!!

 さて、今回は、なのはを救助する為に中身の入っていない外殻の部分のみを送っり、キャッチしましたが…。
 あれは、RFで何時でも何処でも相手側にアイテム(装備含む)を送れるシステムから思いつきました。
 アクレシアは、アクレシアにしかアイテムを送れませんので、なのはが受け取っても送り側に強制返却されるという……。
 すみません……かなり無理やりですね…。

○なぜアクレシアが夜の一族(吸血鬼)に気が付かないのか

 RFの世界には、吸血鬼という者は存在していません。
 吸血種族ポイのはいる事にはいるんですが、
 いかんせん人間の姿をしていない異形のモンスターです。
 その為、アクレシアに取っての"夜の一族"は、
 あくまでもほんの少し力の強い人間に過ぎません。


 他の種族を抹殺する為だけに、一人…少なくとも200年から300年以上を
 戦い続けた兵器(アクレシア)から見たら……。




[14292] 【習作】機械兵と少女 第六の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/03 22:52
○ここまでの登場人物紹介

---------------------------->
名称----->
 レティシア・バニングス

プロフィール----->
 本作主人公にして、アクレシア"レティセンス・ゴースト"の後継機
 レティセンスの自動修復機能の故障により生まれた若干大人びた考えを持ち、
 無類のフワフワ、モフモフ好きの女の子。
 アリサに拾われ、バニングス夫妻に娘として迎えられた。

 ありとあらゆる考えが表情に出易く、本人の悩みの種となっている。


---------------------------->
名称----->
 アリサ・バニングス

プロフィール----->
 バニングス家の長女
 玄関前で瀕死の重傷(と本人は思っている)を負っていたレティを拾い妹とする。
 いわゆるツンデレだが、レティシア相手にはほぼデレ状態……。
 「この子を守るのは自分だ」っと使命感を持っている。


---------------------------->
名称----->
 セイン(子猫)

プロフィール----->
 主人公レティシアの飼い猫(♀)。
 元々は、月村家に住んでいた里親の決まっていない子猫の一匹だった。

 至って普通の子猫だが、レティシアを母とでも思っているのか
 必ず行動を共にしている。

 ・セインの名の由来---->

  レティセンス・ゴーストの相棒(武装)であるセイントフレームランチャーの
  セイントを縮めて、セインと成りました。

  某同名キャラは、何の関係もありません……たぶん。


---------------------------->
名称----->
 月村家一同

プロフィール----->
 ほぼアニメ版と同様だが、夜の一族としての力も健在
 また、メイドに至っては自動人形設定
 (×とらハ?)

---------------------------->
名称----->
 高町家一同

プロフィール----->
 ほぼアニメ版と同様だが、御剣と不破の技は健在
 戦いませんが……。
 (×とらハ?)

---------------------------->
名称----->
 レティセンス・ゴースト

プロフィール----->
 アクレシア帝国ノバス先攻部隊、ケルベロス隊が隊長の一人
 独自の考えと、感情を持ち合わせる禁忌のネオ・アクレシアン

 階級は中将と高いが、発言力はほぼ皆無。
 この他に、8名の隊長が存在している。

 偶然発生した自我のレティシアを娘とし、成長を見守り、
 彼女が出来るだけ悲しまない様に裏で工作を続ける。





」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



sextus gear
《existence of warrior》


 さて、日本国内は全国的な連休らしい。
 私は姉様と一緒に、なのはの誘いで高町一家と月村一家の一泊二日の
 家族旅行に参加する事となった。
 義父様と義母様は、残念な事に参加できないそうだが…。
 子猫のセインも旅館側がペット禁止との事で、鮫島にお願いしている。


 いまは、高町家の所有する車で目的地である海鳴温泉へ向かっている途中だ。
 運転は士郎、助手席に桃子、その後の席に美由希と私とユーノ君、
 一番後ろの席になのは、すずか、姉様が座っている。

 私が後ろを覗き見ると、すずかと姉様は…。

「うっわー、見て見て、すっごい緑ー
 ほら、レティも見てみなさいよ」
「ほんとだ。
 すごいねー」

 と外を見ながら話している。
 私も姉様に言われた様に外を見てみたが、
 緑の多い自然豊かな光景が広がっていた。

 なのはの方は、美由希と同じ様に外を見ているが、
 どこか浮かない表情をしている。
 姉様とすずかの会話にも混ざっていないようだ。

「……。」

 そんな車内で、私は目的地に到着するまでユーノ君を抱きかかえ
 なでなでしたり、モフモフしながら過ごしている。
 ユーノ君は、最初こそ抵抗したものの…
 今では、すっかり大人しくなって私の思うがままだ。

 さて、到着するまでモフモフを堪能するとしよう。





/////////////////////////////////////////////////// 

 
 アレから時間にして、大体30分くらい経過したところで、
 目的地である温泉旅館に到着した。

 私と姉様、すずかは、旅館出入り口にあった池で飼われている鯉を眺めている。

「レティ、池に落っこちない様にね。
 それにしても、おっきぃー」
「ねぇー」

 いくら私とて、そんな間抜けな事はしないが、
 姉様に言われたとおり、池に落ちない様に注意しながら鯉を観察する事にした。
 姉様は、鯉の大きさに感想を漏らし、その言葉にすずかが相槌を打っている。
 普段通りの光景だが、なのはがいなかった。

「にゃのは……?」

 私は、後ろに振り返り、来た道を見てみると、上を向いて伸びをしているなのはがいた。
 そして、なのはは私に頬笑みを向けてくれる。
 少し無理をした微笑に見えなくも無かったが、なのはは駆け寄り会話に参加したので、
 きっと問題は無いのだろう。

 そして、少しばかし池の鯉を観察した後、旅館の部屋へ向かい
 すぐに第一目標の温泉へ向かうことにした。




//////////////////////////////////////////////////



 ここの温泉は、その名も「婦人の湯」という。

 看板がデカデカと掲げられていたが、男性のお風呂なら何の湯なのだろう?
 紳士の湯とかいう名前なのか…?

 そして、私は「成人してない私達が入って良いのか?」と隣にいた美由希に聞いてみたが、
 「意味を知ってるなんて偉いね」と褒められて頭をなでなでされた。

 そして、結局問いには答えてもらえなかったが、姉様もすずかもなのはも
 入って行くので問題ないのだろう。



 更衣室に入ると…なぜかユーノ君が顔を赤くし、着替えを置く棚の中で
 後ろを向いていた。
 なんだか悶えたりしている所を見ると、お風呂が苦手なのかもしれない。

 これだけ広い更衣室ならば、逃げ場など幾らでもありそうなものだが、
 飼いフェレットだけに"逃げる"という行動を知らないのだろうか?
 あぁ…。
 そういえば、ユーノ君は雄だったっけ…。
 まさかな……。


 少し後ろが騒がしかったので、ユーノ君から目を逸らし、
 みんなの方を向いたが、思いもしない光景が目に飛び込んできる。
 姉様が美由希の胸に掴みかかり、仕返しに下着を脱がされていた。

 なぜそうなったのか、サッパリ理解できないが、
 黒い微笑を浮べた姉様と目が合った様な気がしたので、ササッと
 衣服を脱ぎ、タオルを巻いて、先に浴室へと向かっている
 すずかと忍の後を追いかけた。

 途中「ぁ、レティ!! ちょっと、待ちなさい!!」とか聞こえたが、
 きっと気のせいだろう。
 というか、捕まったら色々と悪戯されるに違いない。

 最後にチラッとだけ見たユーノ君の姿は、
 悶えて倒れている姿だった。



--------------------------> 
,
殲滅プログラム[reticence - ghost]より要望
,
,
擬態生命体ユーノがレティシアの裸体を目撃した場合
,
,

滅殺 ----> 否認
,
,

殲滅プログラム[reticence - ghost]凍結開始 ---> 完了
,
,

-------------------------->



 露天風呂があるかも知れないと考えていた私の願いは、
 大体15秒弱で打ち砕かれた。

 家にあるお風呂より、遥かに広い室内風呂…。
 しかも、ガラス張りで山の景気が良く見えるようになっている。
 秋に来れば、美しい紅葉が見れることだろう。

 しかし、外へ続く道など無く、恐らく外は崖か川にでも
 なっている事から、露天風呂は100%期待できない。

「……みゅぅ、ざんねん」

 誰にも気づかれないようにポツリと呟き、
 私は、その場で立ち止まって他のみんなの反応を見た。

 姉様とすずかは、感動を覚えているようだ。

「うわぁー。fantastic !!」
「すごーい、ひろーい」

 駆け出す姉様とすずか、それを見守る後を追う忍と美由希……。
 ユーノ君を出して、遅れてやってきたなのはは温泉を見て表情を明るくしていた。
 そして、一人ポツンと残っていた私に声を掛け、みんなの下へ向かって行く。

「レティちゃん、行こう」


 私はその言葉にコクリと頷き、なのはの後を追いかけ、
 姉様達の場所に向かうことにした。
 途中、滑って転びそうになり、姉様を心配させてしまったが、
 実際に転ぶことは無かったので、大丈夫だろう。

 さて、温泉につかる前には"身体を洗う"のが、マナーらしい。
 すずかは、忍の背を流すと言い。
 なのはは、美由希の背を流すと言っている。

 よし、此処は私も……!! そう思い、続こうと思った言葉は、姉様の言葉で遮られた。

「さぁ、レティ…。
 洗いっこしましょう。
 ぁ、ユーノも一緒にね♪」

 すごく優しい表情をした姉様が、ユーノを抱きしめながら私に言った。
 私は姉様を見てコクリと頷き、抱かれているユーノ君を
 なでなでしてから身体を洗う為に移動する。

 ユーノ君は、なぜか一生懸命もがいていたが、
 私がなでなでした辺りで顔を真っ赤に染め、
 ぐったりしたのは、なぜだ……?
 やはり、セインと同じでお風呂は苦手なのだろうか?






 体を洗い終わり、ゆっくりとお風呂に浸かっていると、
 姉様、すずか、なのはの声が聞こえる。

 私はユーノ君を頭の上に乗せ、美由希の隣でのんびりと
 していたいのだが、姉様達はお風呂を上がってからの予定を
 話し合っているようだ。

 私は内容が決まるまでの間、ユーノ君を温泉の中に入れたり、
 頭の上に乗っけた状態で潜ってみたりしながら、満喫していた。

 まあ、何故かその間、忍と美由希の暖かな視線を感じていたが……。


 少しすると、内容が事に決まったのか、姉様に呼ばれた。
 
「レティ、そろそろあがるわよ。
 この後は、探検ツアーなんだから」

 なのはとすずかは、先にあがったのか忍と美由希が更衣室入口に向かって
 手を振っている。
 少しユーノ君で遊ぶのに夢中になりすぎたらしい。
 私は、ユーノ君を頭に乗せて湯船からあがることにした。
 もちろん、忍と美由希に一言言ってから。

「さきに……あがるね」

「うん。
 レティちゃんもまたあとでね」


 そういえば、あがる時にユーノ君が「もう疲れた…」とでも言っているかの様に
 鳴いた様な気がした。



///////////////////////////////////////////////////


 お風呂からあがった私達は、旅館の浴衣に身を包み、
 渡り廊下を四人と一匹で他愛もない会話をしながら歩いている。

「すっごく気持ちよかったね。
 レティは、どうだった?」

「ポカポカ……だった」

「気持ちよかったよね」


 主に姉様が話題を作り、私に振り、すずかとなのはが相槌を打つという様な内容だ。
 とりあえず、娯楽施設を探しに行く事に決まったので、知らない人に話しかけられた。

「ハァーィ、おちびちゃんたち」

 私のその人に対する第一印象は、何だか良く分からない何かだったが…。
 なぜか、人間じゃない様な気がしてならない。
 姉様、すずか、なのはの三人は立ち止り警戒しているようだ。


 知らない人は、値踏みでもする様に私達を見渡している。
 私と目が合った瞬間、不思議そうな顔を一瞬だけした様な気がした。
 だが、すぐに表情を戻し、なのはに近づいて行く。

 そして、目線を合わせるかの様に屈みながら言った。

「君かね?
 うちの子をアレしちゃってくれてるのは?」

 突然の事になのはは、混乱している様で「ぇ?え?」っと不安そうな顔をしながら
 呟いている。

 それでも、知らない人は言葉を続けた。

「あんま賢そうでも、強そうでもないし、
 ただのガキんちょに見えるんだけどなぁー」

 その言葉を聞いて怒った姉様が、なのはと知らない人の間に入り、
 知らない人を睨みつける。

 姉様ながら素晴らしい行動力だ。
 私には到底マネ出来そうに無いが、姉様とて一人では心細いだろう。


-------------------------->
,
,
危険認識増加

未確認補助生命体が守護対象に接近

守護対象に危険が及び次第

未確認補助生命体に対する攻撃承認

----------> プログラム準備開始
,
,
空間把握 ---> 破壊対象確認 ---> 破壊部位固定

準備完了 ---> 監視開始
,
,
-------------------------->


 私も姉様に続き前に出て、知らない人を見つめる。
 姉様の様に睨みつけたりはしないが、果たして睨み付けられるのと
 無表情で見つめられるのでは、どちらがキツイのだろうか?

「なのは、お知り合い?」

「…しりあい?」

 突然、なのはに話しかけれる姉様。
 私もその言葉を復唱するかの様に続いてなのはに訊ねる。
 なのはの慌てる様な「う、ううん」という声が聞こえた。

 表情と行動は伺えないが、きっと不安そうな表情で首を振っている事だろう。

「この子、あなたを知らないそうですが!!
 どちら様ですか!!」

「…どちらさま、ですか?」

 姉様は、口調を強め知らない人に向かって言う。
 先ほどと同じ様に口調こそ強くないが、感情を伺わせない声で
 姉様に続く。

 知らない人は、姉様と私を見ながら腰に手を当て、挑発的なポーズと成り、
 「アハァン?」っと言ったのだが……。
 多少の沈黙と緊迫した雰囲気の中、突如笑い始めた。
 爆笑と言っても過言ではない笑いに、私を覗いた三人は不思議そうな顔で知らない人を見つめている。


 そして、知らない人は後頭部をさすりながら、分の悪そうな笑顔を作り、
「ゴメン、ゴメン、人違いだったかな?
 知ってる子によく似てたからさぁー」
 と言ってのけた。

 唯一、無表情で見つめている私に「ゴメン、ゴメン」と優しい笑みを向けながら呟いたが、
 なぜかは分からないけれど、目を離す気には成れなかった。

 まあ、姉様に限っては、終始睨み付けている様な気がするのだが…。
 
「ぁ、そうだったんですか……。
 ふぅ……。」

 後ろからなのはの安堵する声が聞こえる。
 知らない人は、私と姉様の間をすり抜け、好意的な口調と表情で
「アハハ、可愛いフェレットだね」
 とか言っている。

 その言葉に「はい」となのはが答える声が聞こえたが、
 私が振り返った時に驚愕の表情をほんの一瞬だけ浮べたような…?

 それは、ほんの一瞬だった為か姉様もすずかも気がついてはいないようだった。


 知らない人は、私達が通ってきた廊下を通り、温泉へ向かって行く。
 姉様が何か言っているのが耳に入ったが、私は気にせずに背が見えなくなるまで見つめ続けた。

 私を見た時に見せた不思議そうな表情、アレは一体なんだったのだろうか?
 そして、なぜだか…怯えている様な気がしたのは気のせい……?



 不思議なハプニングがあった後、三人と一匹で姉様の怒りを静め、
 旅館内の色々な場所を探検した。

 特にコレといった様な発見は無かったが、卓球ではすずかを敵に回しては
 いけない事が判明した。
 卓球のボールが、壁に、壁に……。

 あと、探検中にあの人に会う事は無かった。


-------------------------->
,
,
探査用バグより報告
,

未確認エネルギー反応を感知

危険認識"SSS" ---> ブルーストーンと断定
反応微弱 ---> 位置索敵開始

,
,
-------------------------->


 その夜…。

 他の大人達が、お土産を買いに行ったり、隣の部屋で
 お酒を飲んでりしている時、私達は一緒に来ていたファリンさんに
 絵本を読んでもらった。

 みんな布団に入りながら聞いた為か、私なんかは
 途中からぐっすりと眠っていたらしい。

 そして、次の日のお昼を旅館で過ごし、一泊二日の温泉旅行は
 終わりを告げた。



///////////////////////////////////////////////////////////////////////



 その夜……。


-------------------------->

 …カシャン
 …カシャン

 …カシャッ

,
,
,

自律プログラム睡眠モード確認



殲滅プログラム[reticence - ghost]解凍
旧躯体転送

,
,

室内生体反応索敵

アリサ・バニングス
月村すずか

--------->


高町なのは、ユーノの生体反応感知できず

探査用バグより報告
高町なのは発見 ---> 同様に未確認も発見

ゲート生成 ---> 偽装工作シャドー設置[睡眠中レティシア・バニングス]
,
,
,

ゲート解放 ---> インビジブルチャージャー注入

-------------------------->


 装甲を撫でる外気温は、人にとって少し肌寒いと感じる程度だろう。
 探査用バグより送られてくる映像には、森上空で戦っている
 高町なのはと未確認が映し出された。

 ふむ、未確認の使う武装の名は[バルディッシュ]というらしい。
 そして、特性に電撃でも持っているのだろう。

 擬態生命体ユーノとアルフという名の補助生命体は、何らかのゲートで別の場所へと移動し、
 戦っているようだが、此処からさして離れてもいない。

 ユーノはどうやら防御系の力が強いようだ。
 高町なのはが1対2の戦いを強いられぬ様に敵を離したといった所か…。

 上空での戦いは激しさを増し、容赦の伺えぬ高エネルギーを放つ高町なのは。
 そして、その攻撃を掻い潜り、急接近する未確認……。

 実力は、ほぼ同等の様な二人だが、高町なのはには戦いの経験が足りない様だ。
 確かにあの高エネルギーをまともに食らえば、かなりのダメージとなるだろうが、
 好き好んであの攻撃に真正面から挑むのだろうか?

 それにしても賭け試合とは、中々に面白い。
 あぁ、中立管理を奪い合う同族との戦いを思い出すが、
 ここまで経験の差が浮き彫りになってしまっては、賭けにすらならない。

 私達の娘の為、出来るだけあの子の周りの者の死は避けなくてはな。

『そこまでだ……。』

 なぜか出力の上昇しているペンジャープリゲルで高町なのはの後方へと回り、
 バルディッシュの刃を素手で受け止める。

 とある一件で体内に取り込んだある物が役立っているようだ。
 私は、握っている刃に力を込めながら、未確認ではなくその武装に
 向かって話しかける。

『意思を持つ武装よ。
 刃を収めろ…勝敗は決している。』

 数刻の沈黙の後、バルディッシュは所有者に言われるでもなく、
 沈黙のまま刃を収める。
 それを確認した未確認がとっさに私と距離を置いた。

 ふむ、判断力も瞬発力も中々の出来だ。
 未確認に戦い方を教えた存在は、戦いなれた人物なのだろう。


 次いで私は、メインアイでレイジングハートを捉え言葉を紡ぐ。

『貴様らの負けだ。
 ブルーストーン……いや、ジュエルシードを渡してやれ』

 特に脅したつもりは無かったのだが、こちらも同様に沈黙のまま
 ジュエルシードを私に渡してくるレイジングハート。
 高町なのはに至っては、状況について来れていないのか呆然としている。

『ふむ、私に渡してどうする……。
 ……受け取れ』

 レイジングハートより受け取ったジュエルシードを一瞬で解析し、
 未確認へと放った。

 ジュエルシードをキャッチして、地上に降りる未確認と高町なのは。
 私も続き地上へと降りる。

 いや、私の場合は現状の高度が精一杯の為、降りる事しか出来ないと
 言った方が正しいか…。

「…帰ろう。アルフ」

 私を警戒するでも無く背を向けて歩き出す未確認
 そして、いつの間にか戻ってきたのか…。
 それに続く、アルフという名の補助生命体。
 無論、私を睨みつけ警戒している。

 高町なのはに限っては、私など意にも関せずに必死な表情で未確認の
 後を追いかける。

「待って!」

 未確認は振り返りこそしなかったが、立ち止り呟いた。

「できるならもう、私達の前に現れないで…」

「名前…。
 あなたの名前は!!」

「フェイト
 フェイト・テスタロッサ」

「あの、私は……」

 高町なのはの問いに律儀に答える未確認…。
 いや、フェイト・テスタロッサ。

 だが、高町なのはが自身の名前を言う前にアルフを連れて去ってしまった。
 どうやれ、この辺りが潮時らしい…。

-------------------------->
,
.

ゲート生成 ---> 旅館室内
到着と同時に旧躯体亜空間収納

殲滅プログラム凍結
,
,
,

自律プログラム起動 ---> 睡眠モードへ
,
,

ゲート解放
,
,

-------------------------->

「ぁ、あの助けてくれて……」

 私、レティセンス・ゴーストがその日の最後に見たのは、
 此方に振り返ろうとしている高町なのはの姿だった。

 彼女の目の前で、私の体は霞の様に消えている事だろう。

 そして、一人白い月の光に照らされる高町なのはが残るのだろうな…。


-------------------------->
,
,

ジュエルシード解析完了
 データ収集中 ---> 最適化開始

,
,
制御機構再構成開始 ----> 完了次第実装


対魔法装甲生成中

魔力貯蓄用タンク追加生成開始
,
,
,

魔法使用不可能
ダークフォース使用不可能
ホーリーフォース使用不可能

----> プログラム解析中

再設定

エネルギー外部放出可能
フィールド生成可能

----> データ不足

暴走したジュエルシードのデータが必要

,
,
,

現作業一時保留

,
,
,

-------------------------->



----------------------------------------------------
----------------------------------------------------



○あとがき

 温泉です。
 私も温泉行きたいなぁ……。
 あと、1~2週間程都合で更新できなくなりそうです;;


○RFに関する予備知識------------->

 ノバスの送られたアクレシアンの多くは、政治家に取って邪魔な存在が多かった為、
 新しい装甲の実験台とされています。
 帝国本星で作られた試作型の装甲が安全かどうかなどの確認を行っているワケです。
 基本的に試作品のみで戦わされる為、ノバスでの停止率(死亡率)は、
 他で侵略を行っている惑星に比べて何十倍も高いとの事です。

 ちなみに、他の種族も同様の扱いを受けている為、
 その死亡率は、三種族全てで変わりありません。





[14292] 【習作】機械兵と少女 第七の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:552fae0e
Date: 2009/12/04 00:32

------------------------------>

 これは、少し過去の物語
 まだ、レティシアがバニングス家に養子として
 迎え入れられたばかりのお話

----------------------->


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


seventh gear - 0.5
≪unidentified≫



 とある日の夜、心配そうな表情をした姉様が
 私の部屋を訪れた。

「レティ、大丈夫…?」

「だい……じょぅ、ぶ」

 姉様の問いかけに寝たままで答える。
 少し発音が悪かったらしく、
 さらに心配そうな表情をする姉様。

「ぇっとね。
 明日、私の友達と一緒に市民プールに行くの
 レティも誘いたかったんだけど…。
 姉である私が貴女だけ残して行くなんてダメよね」

 姉様の表情が一瞬暗くなり、すぐにいつもの笑顔に戻った。
 誰が見ても空元気だと分かる様な笑顔だったが、
 私の為を思っての表情だと思うと胸が痛む。

「ううん……い、って…
 おはにゃ……しを、きかせて」

 出来る限りの頬笑みを作り、姉様を見つめる。
 いまの私にできる事はこれくらいしかない。

「でも…」

「きか、せて…?」

 笑顔では揺るがなかった姉様の心を上目遣いの
 泣きそうな表情で落とすことにした。
 姉様はコレに弱い!!

「ぅっ……わ、わかったわ!
 楽しいプールのお話をいっぱい聞かせてあげる。
 だから、明日は大人しくしてるのよ?」

 姉様は、少しだけ頬を赤く染めながら
 やや強い口調の早口で言う。
 私はコクコクと頷き、そんな姉様を眺めてから
 眠りに付く事にした。

 次に私が目覚めたのは、2日後となる。



------------------------>
,
,

自律プログラム一時停止

微調整開始 ---> メインフレーム再調整
生命維持装置 ---> セイントフレームランチャー

正常通り作動確認
,
,

生命維持装置に接続中はランチャー使用不可能
----> 同様のエネルギー体が必要

------> 索敵範囲内に微弱ながらエネルギー反応を感知
,
,
,

殲滅プログラム[reticence - ghost] ---> 解凍

目的 ---> エネルギー体の詳細情報
構成データ
内蔵エネルギー量
耐久力
使用用途

現状情報 0%
複製構成率 0%

最適化率 0%
再構成率 0%

,
,
,

偽装工作シャドー設置[睡眠中レティシア・バニングス]

エネルギー不足 ---> 旧躯体生成不可能

---> インビジブルチャージャー注入
,

------------------------>


 インビジブルチャージャーによりその身を隠した私は、
 海鳴市内を駆け抜けていた。

 現在の生命維持装置となっている武装の代わりになる可能性が
 ある反応が見つかった場所を目指して…。

 コレが、ジュエルシードと呼ばれ、生命体の願いに反応する
 装置であると気がつくのは、もう少し後になるのだが…。



 移動中 ------> 移動中 ----------->


 ふむ、かなりの距離を移動した様だ。

 バニングスの敷地から離れた山奥へとやってきた。
 早速、微弱なエネルギーを放っている何かがある場所へと向かう。

 娘の躯体では、以前の様な速度で移動できない。
 エネルギー不足である以上、亜空間収納した私の身体を
 呼び出す事は出来ないのが大きな原因だ。


 しかも、いま娘はバニングス家の室内で眠っている事になっている。
 その為、戦闘行為は不可能と言っても過言ではない。
 それ以前に見られてしまう事すらあってはならない事だ。

 そして、何よりも気づかれてはならないことがある。
 室内に実際のレティシアがいないという事は、絶対に気づかれてはならない。


------>

 ふむ、この緊張感は惑星ノバスに送られた当初の任務、
 他種族の中立地区にある装置を回収するという作戦を思い出す。

 しかし、あの作戦は酷かった。
 結局、侵入した先に目標の物は無く、撤収しようとした際に
 敵種族に見つかるという失態…。
 生き残ったのが今でも不思議な位だ。

 作戦に参加したメンバーの3分の1は破壊され、機密保持の為に自爆したな。


 さて、昔の思い出に浸っている間に目標地点に到着した様だ。
 微妙な空間の歪みを感じる。
 現在位置は、海鳴市とその先にある町だろうか? 随分と賑やかそうな
 場所の間にある山の一つだ。
 もしかしたら、登山と呼ばれる娯楽で人間が通る可能性があるな…。

 いくら、姿を消せるインビジブルチャージャーといえでも
 音を消すことは出来ないし、足跡も残ってしまう。

 ふむ、手に入れたい物や必要な物は、なぜこうも面倒な場所にあるのか…。
 そういえば、アクレシアの強化チップとアクセサリーも何故か敵側に渡っていたな。

「はぁ…。
 あれか? 物欲センサーというやつか?
 まさかな、あんな迷信…」

 同胞が良く言っていた。
 欲しいと思えば、思うほど手に入らないようになるのが、物欲センサーだと…。
 幾ら、機械化しているとはいえ、そんなセンサーなど不必要だ。

「ここから歩いて、ざっと350m程か…。」


------------------->

時間設定 ------> 3600秒
,
,

設定時間 ------> 0秒と同時にバニングス家レティセンス専用室内へゲート開放

------> 一部防衛機構限定開放 ------> タリック防御正常[恩恵 +2 ~ +7]

カウントスタート
,
,

------> 3598秒

,
,
------------------->


 予め探索時間を設定し、私は防御に関する機構を
 一部限定開放することで娘の体を守る。

 旧躯体の防御力に比べれば、5%程だが問題あるまい。
 この惑星にいる生命体の基本能力を考えれば、
 5%でもやや過剰かも知れないが…。

「しかし、なんとも微弱な反応だ。
 私のセンサーにですら薄らと映る程度とはな」

 本当に微かな反応へと着実に近づいて行く。
 この反応、ホーリーストーンの精製時に発生する
 不可思議な反応に似ているな…。


 という事は、コレは未発動または未完成の可能性がある。
 例えば、たった一つの部品でも動いてしまう装置が合ったとしよう。
 しかし、正しく使う為には、全ての部品を必要とする。

 この場合、一つになってしまった部品は、性質から動き続けるだろうが、
 正しく機能せず、暴走または正常時に近い反応を示すだけの
 粗悪品と成り下がるだろう。

 また、全ての部品を集めたとしても、部品と部品をつなぎ合わせる為の
 何かが無ければ、一つの時と同じ反応を示すだろうな。


 さらに目標へと近づきながら考える。

 もしも、先ほどの考えが正しいのならば、
 構成データの全てを解析し、躯体に合った装置を作り出した方が
 良いのではないか?

 いや、オリジナルを解析し、躯体にあった様に調整し直すのも手段の
 一つではないか?


 前者の場合、一瞬でも良いので解析する機会があれば良いが、
 精製に最低でも1年以上はかかる。
 しかもその間、私も娘も起動することは出来ない。

 後者の場合は、オリジナルさえ手に入れば、どうとにでもなる。
 さらに、常に解析し続けられる事から
 躯体用に調整するのは容易い。

 まあ、この反応の先に物があれば後者
 無ければ、前者の道を辿るほかあるまい。


「これ以上の起動は、娘の生命維持に関わるからな…。
 致し方ないか。
 前者の場合は、バニングスの者達に迷惑を掛ける事になりそうだ」

 私は、周り30m以内に人型の反応が無い事を確認し、ポツリと呟き、
 目的の場所へ向けて走る速度を上げた。



//////////////////////////////////////////////////


 木々が光を遮り、薄暗い。
 しかし、私には何の関係が無い。

 多少の光さえあれば問題ないのだからな。
 暗視機能など標準装備だ。
 暗視が無くとも熱源、生体反応、それ以外にも複数の機能を
 使用すれば、問題など起こりえない。

 あぁ、頭部を潰されれば別だが、その時は私の機能が停止するときだ。

 さて、そろそろ目標の物が見えてくる。

「この辺りにあるはずだが…」


 私は反応が感知出来た場所を凝視する。
 さて、残りの時間はどれくらいか…。


------------------------>
,
,

時間設定 ------> 1945秒
,
,
------------------------>


 これならば、回収まで問題ないだろう。
 他にも海鳴市に複数の反応が見られるが、この場所は他の場所と異なり、
 私の様に探しているものが居たとしても見つける事は困難だろうな…。

 なにせ、これでは絶対に発動することは無いだろう。
 何に反応しているかは知らないが、微弱反応が稀に危険認識"A"や"SSS"の値を
 弾き出しているのだが、ここだけは危険認識すら捉える事が出来ない。

 恐らく、何らかの接触が無ければ、発動しないのだろう。
 


------------------------>
,
,

目標認識 ---> 菱型の結晶

構造解析 -----> 解析完了
,
,
,

高エネルギー発生装置の一部と推測
,
,
,
------------------------>


 どうやらアクレシアである私には反応しないようだ。
 いや、意識体が私だから反応しないのか?

 レティシアならば反応する可能性があるな……。

「保険は掛けておくべきだろうな…。
 Impactive Confusion(インパクティブ・コンフュージョン)」

 こうしてしまえば、如何なる物であれ、その効力は封印される。
 まあ、使用できなくなってしまうが、
 完全に解析しアクレシア用に再調整すれば、娘にこの身を明け渡す頃には、
 使用可能になるだろう。

 そして、微弱ながらエネルギーを発している以上、武装と同時に使用すれば、
 レティシアは問題なく通常生活を送ることが出来るだろう。

 まあ、何らかの機能が低下する恐れがあるが、一時的なものだ。


------------------------>

エネルギー体の回収を完了
,
,

ボディ新造部に収納 ----> 対フォース用三重隔壁閉鎖
,

解析開始 ---> 解析中 --- 4%
,
,
,

生命維持装置接続 ---> 危険度認識反応

危険度認識"F"

対フォース用三重隔壁耐久力予想 ---> 危険認識"SS"

------------------------>


 やはり、私には反応しないが、娘には反応するか。
 同様の現象を確認しなければならないな。

 完全な確認が取れていない以上、同様の物を別物として扱ってしまう
 可能性があるな…。


------------------------>
,
,

時間設定 ------> 246秒
,
,
------------------------>


 そろそろ、限界らしい。
 今回の任務は、収穫があって良かった。

 この結果が将来どの様な未来を生み出すか楽しみだな…。


 その頃には、私のデータは全て娘に受け継がれ、この人格は
 消えてしまっている事だろうが楽しみだ。
 
「クッ、クククッ……ハッハハハハ!!
 もう二度と会えぬ同胞達よ!!
 あらゆる種族を蹂躙し、ありとあらゆる惑星を食い潰す、
 ソレよりも…もっと、もっと面白い事を見つけたぞ!!」


 私の高笑いが山に響き渡り、この身をゲートが発生する光が包み込む。
 さぁ、今しばらくこの身を娘に返そうか。


 そして、躯体がゆっくりと、ゆっくりと消えてゆく。
 バニングス家にある偽者とこの身を完全に入れ替える為に…。


----->
--->
 その転送が終わる瞬間、レティシアの左胸に薄らと…歪な瞳の様に見える
 アクレシアマークが浮かび上がる。
 そして、その瞳の部分には、青い菱型の宝石が紫の光に侵食され不気味な
 輝きを放っていた。


------------------------>
,
,

エネルギー体を侵食開始 ---> アクレシアコアより直接侵食
,

解析完了及び侵食完了後
-----> アクレシアコアと同化

---> 同化による反応は不明 ---> 楽しき未来を予想
,
,
,
->
-->
--->

我々ハ、所詮、全テヲ破壊スル、アクレシア

クックククッ、我ガ元ニ集エ、闘争ヨ

死ス事モ臆サヌ、同胞ヨ

戦ウ者ニ、自愛ノ死ヲ、逃走者ニハ慈悲ナキ裁キヲ

力無キ者ハ、塵ト化セ

力在ル者ハ、尽キルマデ戦イ続ケヨ

憎シミヨ、死シテ尚、受ケ継ガレヨ

ハーッ、ハッハッハッハハ…!!


------------------------>


---------------------------------------------------------
---------------------------------------------------------

○あとがき

 ふぅ、出張先より書いてみました!
 番外編0.5です。
 まだ、レティシアが完全に動けなかった頃のお話です。

 バニングス家に来た直後、1話の少し前といった感じですね。

 レティセンスは、ネオ・アクレシアンですが…。
 以前の予備知識での説明通り、殺戮兵器としての
 アクレシアの本能とも言える部分は、無くなっていません。

 また、リリカル世界の魔法やロストロギアは、あくまでも技術であり
 人間が生み出した物との事でしたので…。
 システムである以上、人間としての部分と機械として自己進化すらする
 アクレシアとしての特徴を見せる為に取り込みました。

 神秘の魔法という設定であったならば、
 アクレシアは取り込むことは出来ませんけどね。




○アクレシアに関する豆知識

 アクレシアは、魔法というものを一切使うことが出来ない種族です。
 それは、脳という部分のみが生体というのが大きな理由です。

 アクレシアと争っている魔法を使うことの出来る2種族も元を辿れば、
 同じ人類から進化した種族という設定があります。

 という事は、初代のアクレシア達は、魔法の技術を持っていた可能性が高いのです。
 しかし、全身を機械化して行く過程で魔力はゆっくりと弱くなり、
 必要とされなくなって行きましたが、唯一残った技術と敵が使う魔法攻撃など
 により魔法(フォース)を防御及び物理的な攻撃として使用する技術が装甲に
 使用されるようになったとの事です。


 もし、RFに裏切り者システムが実装されていれば、他種族の裏切り者、
 アクレシアに取っては同盟者より、多くの魔法知識が得て、
 対魔装甲、攻撃強化などだけではなく、魔法を用いて攻撃をする
 アクレシアも現れたかも知れませんね。

 アクレシアは、他の種族(主に侵略した種族)から略奪を行い技術を盗み取り
 装甲に活用する種族なのですから……。




[14292] 【習作】機械兵と少女 第八の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:552fae0e
Date: 2009/12/05 14:42
○バグの追加情報

 見落としていた文章を見つけました。
 以前紹介したバグという汎用兵器は、裏切り者のアクレシアにより
 宇宙海賊にも渡ってしまい多く使われています。
 名称は「バグ」ではなく「メタルバグ」と呼ばれているようです。

----->
 ちなみに、宇宙編で使用される予定だった為か、
 3Dデータ、テクスチャ、ボーンなどはあったとか…。
 実装されなかったのが残念です……。




」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



eighth gear
《surveyor》



 普段通りの朝、カーテンの隙間から入り込む光が暖かい。
 私は、例の如く毛布に包まっているが、このままではまた以前と同じ様な
 起こされ方をしてしまうことだろう。
 セインは鮫島が買ってきてくれた。猫用ベッドで寝ている。

 最初の数日は一緒に寝ていたのだけど、私の寝相が悪かったらしく…。
 一緒に寝るのは危険だと判断したようだ。
 そういえば、一回…私の毛布に巻き込まれて「に゛ぎゃ!!」という
 鳴き声を聞いたような記憶がある。

 むぅ、眠るとき以外は、私にベッタリなのに……。

 何か忘れているような気がする?

「レティ、レティ!!
 ほら早く起きないと」


 姉様の大声が聞こえる。
 早朝から元気で何よりだ。

 勢い良くドアを開く音が室内に響き渡り、接近する気配が濃くなって来た。
 すごくデジャブを感じる。
 なんだか、少し前にも同じ様な感じで……。

「ほら! お・き・な・さ・い!!」

 姉様が私の掛けている布団を勢い良く剥ぎ取る。
 私は例の如く、コロコロっと転がりながらベッドの上から落っこちた…。
 あぁ、素肌を包んでいた毛布のフワフワ、モコモコ感が失われる。

「あんたまた…。
 服を着なさいって言ってるでしょう!」

 以前の様に呆れた表情ではなく、今回は怒った顔と口調で怒鳴られた。
 最近、姉様は機嫌が悪い。
 ある日を境になのはが何かに悩み続けているのが原因だろう。

「ぅ、うん……」

「ぁ……。
 ゴメンね。レティ…。
 玄関で待ってるから、すぐに来なさいよ」

 姉様は、バツの悪そうな顔をしながら部屋から出て行く。
 いつの間にか猫用ベッドから出てきたセインが、
 心配そうな声で「にゃー」っと一鳴きしたが、姉様は気が付かなかった。
 それ程までに〝なのは〟の事を気に掛けているのだろう。

「はぁ、にゃのはは、しあわせ、だね
 姉様も、もうすこし、すにゃおに、なればいいのに、ね?」

 私はセインに向かって独り言を呟く。
 セインは、分かっているのか、分かっていないのか、
 先ほどよりも元気の良い声で「にゃーん」と鳴いた。


----------------------->

 真新しい制服に袖を通す。
 制服そのものは、随分前からクローゼットの中にしまってあったが、
 着る機会が無かったのだ。
 
 ちなみに他の服は、ほとんど姉様と同じタイプだが、
 色は全て白を基調とした物を揃えて貰っている。
 鮫島に「姉様とおにゃじ服、にょ色が、白が良い」と言ったら、
 半日で、ものすごい量の服がクルーゼットの中にしまってあった。
 他にも様々な種類を用意してあるとか言ってたな…。

「セイン、行こう」

 部屋の扉を開け、セインが出たのを確認したら閉め、
 姉様が待つロビーへと向かった。
 セインは、いつも通りに私の右斜め後ろをトコトコと付いてくる。



////////////////////////////////////////////////////////////


 行きのバスの中でもなのはは、ぼーっと窓の外を見つめ、
 姉様はそんななのはを少し睨む様な表情で見つめ、
 すずかが二人に話を振るが、反応が返ってこないのでため息を漏らす。
 そして、行き場の無くなったすずかの話し相手を私がするという
 ループが発生していた。

 バスの車内、特に後部座席には険悪な雰囲気が漂っている為か、
 他の客が一切近寄ってこなかった。


 そんなまま学校に到着し、下駄箱で分かれたのだが、
 分かれる際、普段の姉様なら私が嫌がるまで抱きしめても
 おかしくないのだが…。
 今日は、不機嫌なままさっさと教室へ向かってしまった。

「ぁ、ぇーっと…。
 レティちゃん、また後でね」

 バイバイと手を振って、去って行くすずか。
 私はとりあえず、すずかに手を振って教室へ向かった。



///////////////////////////////////////////////////////////


 私が教室に入ると、ほぼ全員が「誰?」という様な表情をしていたが、
 予め聞いていた自分の席である窓際の後ろから2番目に座ると、
 今度は意外そうな表情へと変わった。

 何名かの男子と女子が私に視線を向けている。
 いくつか小さな声も聞こえるが、話しかける勇気は持ち合わせていないらしい。
 その殆どは「ねえ、誰だろう?」「病気だったのかな?」「体が弱いとか?」
 と言ったような内容だ。

 別にこちらから話しかける必要性も感じないので話しかけずにいたら、
 授業と授業の合間の数分は、窓から外を見ながら過ごす事になった。

 昼休みは、図書室で色々な本を読んで過ごす。
 姉様達がいる教室に行っても良いのだが、今の雰囲気を纏う姉様達に近づくのは、
 正直言って心臓に悪い。

 あぁ、そういえば、受付のお姉さんに「難しい本なのに読めるなんて偉いね」
 と言われたのが少し嬉しい昼休みだった。



 ちなみに、図書室で見つけた〝ライジング・フォース〟という名の
 小説を借りる事にした。
 内容は、永遠と戦いを続ける三国の英雄王と英雄姫のお話だ。

 一つ目の国は、科学を発展させ、一人、一人の強さが凄まじい王国
 二つ目の国は、魔法を発展させ、一人、一人はひ弱だが集団戦闘が得意な王国
 三つ目の国は、魔法と科学の両方を発展させ、独自の戦い方を備えた特殊な王国

 この三国が、ある時は同盟を組み、ある時は三つ巴の血で血を洗う争いを
 繰り広げる。
 物語は、三国の英雄王の二人と英雄姫の視点で展開されるものだ。

 私としては、その英雄達の下で戦う者の視点というのを見てみたいのだが、
 番外編が出ることに期待するとしよう。


 この小説のおかげで、お昼休みが終わった後も暇になる事はなかった。
 まあ、教室のみんなに良い印象を与える事は出来なかったと思うが、
 さしたる問題でもない。

 そして、下校の時間となり、私はゆっくりとした足取りで下駄箱へと向かった。
 下駄箱には、不機嫌全開の姉様とそれを宥めるすずかの姿がある。
 なのはがいない所を見ると…姉様が我慢しきれずに爆発でもしたのだろうか?

「ぁ、レティちゃん」

 私に気が付いたすずかが手を振りながら「こっちだよー」と言ってくれる。
 姉様は変わらずにムスっとした表情で腕を組んでいた。
 私は、すずかにコッソリと聞いてみる。

「すずか…。 姉様、どうして、怒ってる…の?」

 相変わらずうまく喋れないが、少し前に比べれば、随分とマシになった方だ。
 すずかは、困ったような表情をしながら私に教えてくれる。

「あのね。
 少しだけ、アリサちゃんとなのはちゃんがケンカを
 しちゃったんだよ。
 でも、大丈夫だからね。
 二人ともお互いを大好きなんだから」

 いつもの笑顔よりも優しい笑顔で私に言ってくれた。
 そして、三人で迎えの車に向かう。

 私は習い事をしていなかったので、少し歩きたいと伝えて分かれた。
 まあ、例の如く姉様が「何かあったら電話しなさいよ」と言ったが、
 心なしか怒っているのではなく、寂しくて仕方がないのではないかと
 思ったのは間違いではないだろう。


 そして、姉様達と別れてほんの少し、本当に少しだけ歩いたところで、
 私は意識を失ってしまった。
 目覚めた時には、いつの間にか自室のベッドの中だったが……。



-------------------------------------->

微弱ながらブルーストーン改めジュエルシードの反応を感知

危険認識"E" ---> 周りの生命体に反応している可能性〝大〟
----> 位置把握完了

自律プログラム一時停止 ---> 休眠モードへ移行

殲滅プログラム[reticence - ghost] ---> 解凍
旧躯体転送待機

現状躯体による行動開始
,
,
,

思考入力[スマートチャージャー]---> 注入
,

-------------------------------------->


 この状態ならば、高町なのはとフェイト・テスタロッサは戦わざるをえなくなる。
 二名の戦闘データ及びジュエルシードの反応を解析するのは丁度良い。

 どの様な反応が見れるか楽しみだ。
 
----------------------------------------------------
///////////////////////////////////////////////////////


 そして、少女に宿った機械兵の意思は、素晴らしき戦いを見る為に走り出す。
 天へと向かうビルとビルを渡り、決して人間に捉えられる事も無く。

 二つの蒼い硝子の瞳と二つの翠の小さな瞳の四つをもって、
 一つの戦いと介入者をじっと見つめ続けていた。


---------------------->


○あとがき

 アニメ版で言うところの6話です。
 これを書いている時に…リリカルなのはのドラマCDの存在を知りました……。

 とりあえず、GETして聞いてみたのですが、市民プールのあれは……。
 思ったことを一言で纏めます。
 「ぇ? 触手?」
 ……です!


○アクレシア豆知識

 アクレシアは、様々な惑星を侵略する上で、様々な生物実験も繰り返してきました。
 その中には、精神支配といった物も含まれており。
 ゲーム内に登場する敵「アサシンビルダー」などがソレです。
 (ゲーム分からない人は、ごめんなさい。 下記で詳しく説明します。)


 ○アクレシアの精神支配とは?

  1.ただ単純に脳を改造し、アクレシアの命令に忠実な生命体を作り出す。
  2.既存の生命体に特殊な処理を施し、アクレシアの命令だけを聞く存在に作り変える。
  3.精神を冒し、アクレシアに協力的な存在へと書き換える。

  私の知る中では、この3つがあります。
  (他にもあるかも知れませんが、私が知る中では3つだけです。
   色々設定を探し、みつけったら追加します!)

  1は、一からアクレシアに都合の良い生き物を作り出す技術です。
  作り出す過程で絶対に逆らわないように調整します。

  2は、既にいる生命体。特にアクレシアの敵となる存在に施す処理です。
  奴隷のようにアクレシアに絶対な忠誠を誓いますが、
  無理な処理の為、殆どが死んでしまうとの事です。

  3は、精神を冒し、無意識のうちにアクレシアに好意を抱くまたは協力する様に
  頭の中身を書き換えてしまう技術です。
  3つの中で、一番酷いのではないか? と思います。
  なぜなら、今まで味方だった存在を笑って裏切る様な人物に変えてしまう事も
  時間を掛ければ可能なのですから…。


  ちなみに、ゲームないでは全て敵という形で登場します。




[14292] 【習作】機械兵と少女 第九の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:552fae0e
Date: 2009/12/18 21:13
○RF豆知識

 RFというゲームは、Lv制と熟練度制(スキル制)の両方を持つゲームです。
 そのため、例え遠隔主体のキャラクターでも熟練度さえあれば、
 接近防具や武器、盾を使用することが可能なのです。

 まぁ、職(クラス)により上昇限界は決まっていますけどね。
 主人公のレティセンスのクラスはストライカーという強力な遠距離火力と
 高い装甲を持ち合わせる職(クラス)なのですが、ある程度強力な接近武器
 も使用することが出来ます。

 まあ、自分の職以外の武器を使用する際は、専用職(クラス)が使用する
 武器に比べるとかなり劣った物と成ってしまいますけどね。




」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



<----> ステータス <---->
,
 -------> 最大Lv65 - 最低Lv01
,
 ----> 武装:素手
,
 ---> 生命維持装置:セイントフレームランチャー --> 代用
 --> ジュエルシード ---> 解析中
,

------------------------> 詳細 <---------------------

個体名  : レティシア・バニングス
性別   : 女性
肉体年齢 : 8歳
身長   : 124cm ---> 平均 /127cm
体重   : 24㎏ ---> 平均 /26㎏
,
総合起動時間
---> 1.382.407秒 <---
,
,


生体部品
,
----> ヘッド
----> ボディ
----> レッグ

,

機械部品
,
----> アーム
----> ブーツ
,

,
------------------------------------------>>
----------------------------------------------->>

個体名  : レティセンス・ゴースト
性別   : 男性
起動年齢 : 323歳
身長   : 3m40cm
体重   : 500㎏ / 武装込み : 4.500㎏
武装1  : 1000㎏
武装2  : 3000㎏
,

総合起動時間
---> 10.186.128.582秒 <---
,
,


生体部品
,
----> レティシアボディ
,
,

------> 隔壁多重防御
外部衝撃ダメージ 99.9% -->減少
内部衝撃ダメージ 91.5% -->減少

フォースダメージ 82.3% -->減少


 …カシャン
 …カシャン

 …カシャッ。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


ninth gear
《exultant shout》



 いま、私のいるビルの正面では、高エネルギーを秘めた二人の少女が刃を交えている。

 高町なのはは、話し合いで何とかしようとした様だが、フェイト・テスタロッサが
 それを拒否し、戦いを仕掛けたようだ。
 まあ、何らかの目的がある以上、その目的の障害となるものを排除する事は間違いではない。


 しかし、その眼下に簡易の封印を施しただけの危険認識"SSS"を放置して良いものか?
 もしも何らかの衝撃で暴走を起こしたらどうなる?
 考えなくとも分かりそうなものだが、高町なのはは経験不足で気が付くことはないだろう。
 だが、ある程度の経験を積んでいると見られるフェイト・テスタロッサでさえあれならば、
 評価を見直さなければならないな…。


---------------------------------------------->
,
,
名称 ---> フェイト・テスタロッサ
,

個体認識 ---> 複製人類と推測

評価認識変更 ---> 精神不安定
,
,

特定の存在を精神の拠所にしている為と推測
------> 可能性 97%
,
,


--> 恋人 --> 可能性 34%
---> 両親 ---> 可能性 93%
----> 愛玩動物 ----> 可能性 64%
,
,
,

確たる証拠を要求 ---> 承認

フェイト・テスタロッサ監視用バグの増加
及び関連性のある箇所を捜索

追尾タイプの個体数を40機から50機へ増加
,
,
,

対フォース装甲使用探査バグ、15機追加
,
,
,

---------------------------------------------->


 二人の戦いは激しさを増し、それに呼応するようにジュエルシードの
 反応が徐々に大きくなっている。
 いつ簡易封印が解けてもおかしくはない。
 さて、これならば暴走状態の詳細情報を手に入れることが出来そうだ。

 ジュエルシードは、大きな力に呼応する様に脈打つ様に封印を破ろうとしている。
 何か衝撃を与えれば、すぐにでも暴走するだろう。と私が考えた時、二人が動いた。
 
 フェイト・テスタロッサが高町なのはを避けて封印しようと動き、
 高町なのはも同様の反応を示し、ジュエルシードを挟む様な形で、
 レイジングハートとバルディッシュがぶつかり合う。



---------------------------------------------->
,
,

高エネルギー反応の衝突を感知
エネルギーの反発を確認
,
,

[レイジングハート][バルディッシュ]
致命的な損傷を受けたものと推測
,

ジュエルシードより高エネルギー反応感知
---> 暴走確認
,
,

-------> データ収集開始
---> 高濃度のエネルギーに反応
,
---------------------------------------------->



 二つに亀裂が走った瞬間、ジュエルシードから高濃度のエネルギーが感知された。
 そしてそれは、目にも分かる強烈な光という現象となって二人を包み込み、
 膨大な力を一瞬だけ上空に放出する。

 どうやら、 ジュエルシードは精神的な干渉と高エネルギーによる
 衝撃によって発動する物の様だ。
 解析の結果が正しいのであれば、私が取り込んだ物も同様の反応を
 示すという事になるが…。
 躯体が耐えられる量のエネルギーを発するように調整できれば、
 私自身が永遠機関の一つとなることもそう難しい事ではないだろう。
 だが、永遠などに意味はないな。
 死のない戦場など、我々アクレシアに刻まれた本能を満足させる事は
 出来ないだろう。
 娘もこの躯体を受け継げば、この本能も目覚めることになる。
 娘を永遠の不満に突き落とすなど、私にはとても出来ることではない。



 さて、少し考えたいる内に状況が映ったようだ。
 一瞬のうちにチャージしたエネルギーを使い切ったのか、
 発動状態でありながら、非常に安定した宝石の形を保ったままの
 ジュエルシードが空中に浮かんでいた。

 どうやらジュエルシードを製作したものは、どんな状態であれ
 安定すれば菱形の宝石状になる様にでも作ったのだろう。

「しかし、無茶なことをする。
 高エネルギー物体を生身の肉体で押さえ込もうなど」

 フェイト・テスタロッサが無理やりジュエルシードを押さえ込んでいた。
 なにやら呟いているが、魔法という名のシステムを起動させる為の
 コードだろうか?
 それとも、止まれとでも呟いているのか。
 随分と必死なようだ。

--------------------------------------->
,
,

危険認識"SSS" --> ジュエルシードの出力低下を確認

,
,

出力徐々に低下を確認
,
----> 封印完了を確認

--------------------------------------->


 かなりギリギリだったようだが、封印には成功したようだ。
 だが、精神レベルが低下しきっている。

「あれでは、気絶するな…。
 ふむ、生身の人間…。
 しかも何らかの複製体と思われる存在であったとしても
 天賦の才があれば、ジュエルシードを制御しうるという事か」

 眼下では、高町なのはが心配そうな顔でフェイト・テスタロッサを
 見ており、ユーノは警戒の色を残したまま様子見をしている。
 アルフに至っては、高町なのはを睨みつけながらフェイト・テスタロッサを
 抱きかかえてどこぞへと去っていた。

「ふむ、高町なのはは娘と面識があり、
 あの性格ならば、問題ないだろう……。
 フェイト・テスタロッサ……あの才を捨て置くのは惜しい。
 アレが娘の友の一人となれば、より良い力の使い方を
 習得できる事だろう…。」


-------------------------->
,
転送待機中旧躯体 ---> 転送開始
-------------------------------->


-------->>
--------------->>

 暗い光を放ちながらレティシアの後ろに白い巨人の体が現れる。
 レティシアの体が中に浮かび上がり、腕と足が巨人に同化した。
 そして、巨人の胴体が口を開けるかの様に開き、レティシアの体を捕え
 コードが絡みつき、胴体の中へと引きずり込む。

 白い巨人の胸の中でコードを絡ませ上半身を露出させレティシアは
 瞳をゆっくりと閉じ、代わりに白い巨人の瞳に光が灯り始めた。

 そして、白い巨人は唯一の生体部品である胸の隔壁を閉めて動き出す。


----------------------->>
,
---->起動開始<----
,
------------------>>



 気がつかれない様にフェイト・テスタロッサの後を追いかける。
 やはり、バグが調べた通りの本拠地に帰還しているようだ。
 私は以前のように地面を砕かない様に注意しながら屋上に着地する。

 以前取り込んだ物の解析が進み、侵食率が増している為だろうか?
 全盛期の様に体を自在に操ることが出来る。
 もう少しコアの侵食率が高くなれば、より細かな操作が出来るようになるな…。

「しかし、知らぬ惑星で臨時とはいえ基地が一つとは、
 無謀を通り越して愚かだな…。」

 音声も拾えるが、その必要はないだろう。
 アルフがフェイト・テスタロッサを治療しているだけのようだし、
 必要になりそうなデータはまだ仕入れられていない。

 推測するにフェイト・テスタロッサは、何者かの使い捨ての駒と言った所だろうな…。
 限りなく我々に近い存在である事に興味は持てるが、同情などというくだらない感情は発生しない。

「フッ、自我を持つネオ・アクレシアンとして忌み嫌われた私も
 所詮は、アクレシアと何も変わらないな。
 クッ、クク、心などいらない、ギアがあればいい…か。
 私はさしづめ、心もギアも両方とも欲する。と言ったところか…」

 少し昔を思い出し、自虐的な言葉を発している最中でも監視映像の中でアルフがフェイト・テスタロッサを治療し続けている。

「ふむ、治療だけか…。
 HQにでも戻ると思ったが、残念だな」

 監視についているバグに後を任せ、バニングス家に戻ることにした。
 

 戻った際に小さなハプニングとして、レティシアが引き取った子猫に
 私の姿を見られてしまったが、私もレティシアと認識したのだろうか
 一言も鳴かずに開いた瞳を閉じて眠りに付いてしまう。
 久しぶりだからと、旧躯体で戻るべきではない。っと学んだ一件だ。


----------------------------------------------->
,
,
,

フェイト・テスタロッサ監視バグより報告
---> フェイト・テスタロッサが行動開始

移動用ゲートらしきシステムを認識
指定座標[876C-4419-3312-D699-3583-A146-0779-F312-5]

---> 座標記録完了
--> 専用ゲート生成中 ---> 生成完了


同様座標に向けゲート展開 ---> 転送
----------------------------------------------->

///////////////////////////////////////////////////////////


 うーん、いつの間にベッドに戻ってきたんだろう?
 そして、いつの間に服を脱いだんだ…?
 私は、朝っぱらから疑問だらけの状態で制服に着替え、セインをつれてロビーへと向かう。

 途中の廊下で姉様が驚いたような顔をしていたが、私だって
 たまには早起きをするのだ。

「おはよう……姉様」

 表情が固まったままでいる姉様に挨拶をしてから廊下などですれ違うメイド達にも挨拶をする。
 口々に「今日は、お早いのですね」「何か良いことでもあるのですか?」とか
 聞いてきたのが少し気に食わないが、いつも私の起きる時間帯を
 考えれば仕方のない対応なのだろう。
 姉様の対応は、行き過ぎだと思うがな!!

 私は、姉様を放置して車の横で待つ鮫島のもとへと向かった。



------------------------>>

潜伏バグの報告. . . . . .
 
---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> --->
  亜空間待機戦艦に到着を確認
  潜入済みバグと接触による情報交換終了

  現在位置、フェイト・テスタロッサ、HQと認識
  また、機能停止寸前の生命体名称を確認
  名称、プレシア・テスタロッサ

  戦艦内最深部に機能停止生命体を確認
  名称不明
  フェイト・テスタロッサと酷似した容姿
  オリジナルと推測される
  肉体は完全に死亡しているが、保存状態は良好
  死亡時間の経過が激しい為、脳の再生は困難と思われる
  再生用ナノマシン搭載バグおよび精神支配用ナノマシン搭載バグに
  よる処置の承認を要請 ----> 承認を確認次第、処置を開始

  レティシア・バニングスに好意を抱き、命を掛けて守る兵士へと
  調整予定
  半機械化を提案
  心臓部には、この戦艦中心部に位置する高エネルギーの使用を提案

  また、上記同様に瀕死状態の補助生命体反応を感知
  プレシア・テスタロッサとリンクしてる模様

  この戦艦内に存在する生命体を見る限り、瀕死の補助生命体が、
  フェイト・テスタロッサの戦い方を教えた存在と推測
  リンクを断ち切り使用可能ならば、改造処置を施し
  上記の名称不明へのリンク処置を提案

  承認を確認次第、処置を開始

---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> --->

 報告終了. . . . . .

------------------------>>



 学校に着くなり姉様の表情が一変する。
 あれは、ムキに成っている時の表情だ。
 しかも、そのままの表情で教室へと向かって行く姉様。

 苦笑しながらも着いて行くすずか…。

 なのははまだ、着ていない様だが、あの表情と反応を見る限り…。
 まだ、仲直りしていないようだ。

 この一件は、なのはの悩みが解決するまで長引きそうだなぁー。と思いながら私は私で教室へと向かった。



-------------->
,
,

提案を全て承認
---> いつでも起動可能状態にせよ <---
,
,

微弱ながらジュエルシードの反応を感知
未発動と断定 ---> 暴走の可能性 100%

発動までの詳細データ記録開始
,
,
,

亜空間より未確認戦艦の接近を感知
以前発見した戦艦と確認 <--- 警戒 ---> 常時データ転送
,
,

--------------------------------------->

---------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------

○あとがき

 旧躯体転送シーンの説明みたいなのを入れてみました……。
 分かり難いかもしれません;;

 旧躯体の内部に納まっている主人公レティシアは、服を着ていないイメージなのですが、
 やはりその辺りの「服が破ける」とか「ボロボロ」になるとかの描写は入れた方が良いのかな……。

 あと、庭のある座標軸をフェイトが言うシーンがあるのですが、どんな感じで区切れば良いのか分からず…。
 聞いてこんな感じかな? と思うところで区切ってあります。





[14292] 【習作】機械兵と少女 第十の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:552fae0e
Date: 2009/12/08 16:49
○近々……

 近々、もう一人だけオリキャラを出そうかな? とか思っています。
 あと、基本的に死ぬ予定の運命を持つ存在を救済したりとかする予定なしです。
 逆に最悪の死に方になったり、亡骸が悲惨な事になったりするかもしれません。

 ちょっと、悪(アク=アクレシア)分が足りない様な気がしてきたので、
 残酷なのは苦手なのですが、がんばってみたいと思います!



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



tenth gear
《injustice》



 学校の授業が終わり、姉様とすずかと一緒に家に帰る。
 姉様はまだ、なのはの事を避けている様に見えるが、
 チラチラと顔を向けていることから、心の中では心配してるのだろう。
 意地を張らずに口に出せば良いと思うが、姉様の性格を考えると無理な話なのだろうな。

「不器用にゃ……姉様」

「そうだね。
 でも、それだけアリサちゃんが、なのはちゃんの事を
 思っているからなんだよ?」

 いつも通りの優しい顔を私に向けて笑みを浮べた。
 すずかの言っている事は、必ずと言って良い程、正しい様な気がする。
 きっと、二人を一番理解しているのは、すずかなのだろうな。

 さて、私は例の小説の続きを借りに行かなくてはならない。
 学校の図書室には、1巻しか置いていなかったのだ。
 どうせなら全巻置いてくれたって良いのに……。

「借りたい、本があるの。
 だから、図書館に……行って、来ます」

 最近は、比較的「にゃ」とか「にゅ」とか言わなくなったので
 黒歴史生産は減ったが、相変わらずうまく喋れずにいる。
 姉様とすずかに「気をつけてね」と言われ見送られた。

 さぁ、としょ…か……んに……。


--------------------------------------->

 …カシャン
 …カシャン

 …カシャッ

------------------->>
自律プログラム一時停止 ----> 睡眠モード
,
,
----> 自律プログラムより要望任務
--> 書物「ライジング・フォース」 2巻の入手 <--
重要度"F" ----> ジュエルシード暴走観察後 ---> 任務開始

,

ジュエルシード反応感知 ---> 危険認識"B"へ上昇
---> 出力上昇中
,
,

数時間以内に暴走する可能性 84%
,
,

殲滅プログラム[reticence - ghost] ---> 解凍
,
,

躯体設定 ---> 現状維持


---------------------------------------------->>


 妙な任務が意識下にこびり付いているが…。

「まあ、良い。
 行くとするか…」

 私は、レティシアの躯体のままジュエルシードの反応があった場所へ向かう。
 周りの人間には、細心の注意を払いレティシアを知る人物がいない事を
 確認してから進んだ。

 インビジブルチャージャーを使用すれば問題ないのだが、あまり使い過ぎても
 良くないだろう。
 それにだ、レティシアを目撃した人物を作っておく事は、後々役に立つ。

 
---------------------------->
,
ジュエルシードの出力上昇 ---> SSSへ到達を確認
---> 暴走を確認
,
,
,

------> 植物と同化を確認
,
,

擬態生命体ユーノ ---> データ収集中
---> 使用フォースは、一種のプラグラムと認識
,
------> システム解析中

---> 展開後は常時発動型 <----空間遮断 <---> 干渉操作と推測
-------> 同様のプログラムを思考中
モデルデータ構成中
,
,

高町なのは
フェイト・テスタロッサ
アルフ

3体の反応を確認
,
,

------------------------------->


 暴走したジュエルシードがある場所へ到着すると……。
 そこには、巨大な木の化け物が存在していた。

 その容姿と巨大さは、惑星ノバスにいたピットボスと呼ばれる
 一際巨大な生命体の事を思い出す。

 しかも、いままで観察と解析を繰り返してきた限りでは、
 およそ知性というものを感じさせなかった存在が……。
 フェイト・テスタロッサの攻撃を凌いで見せる。
 実に興味深い暴走体だ…。


---------------------------------->
,
,

暴走体周囲にエネルギー反応感知
----> 円状に一定出力のバリアを確認
,
,

一点集中型と確認
---> 複数箇所の攻撃に弱いと推測
,
,

--> 複数箇所の攻撃には
------> 30秒も持たないものと推測

--------------------------------->


「あの二人が気がついているかどうか知らんが、
 上方と正面からの複数攻撃とは中々だ」

 暴走体の正面に向かって金色の閃光が飛び、上方から桜色のレーザーが放たれる。
 ニ方向からの攻撃により、暴走体のシールドが砕け散りジュエルシードの出力が
 低下して行く。

 推測通り、暴走体のバリアは30秒も持たずに崩壊した。
 それで暴走体も消滅したのか…ジュエルシードが姿を現す。
 以前よりバグが報告していた存在を感知した私は、
 視線をジュエルシードから空の何もない空間へと向ける。

「ん? もう来るのか……。
 まだ、気が付かれるべきではない。
 船員が現れた瞬間、落とすか…?
 何らかの恩を売っておくべきか……。」


 ジュエルシードを挟む様にぶつかり合う二人の真ん中に
 今まで見た事もない様な服を着た少年が現れる。


---------------------------->
,
,
未確認名称判明 --> クロノ・ハラオウン
,
,

組織名判明 ----> 時空管理局
----> 惑星α(ミッドチルダ)に存在すると判明
,
,

 以前記録した危険度の理由は、エネルギー反応が
 複数集合していた結果と判明。
,
,

 肉体構成においては、コラ以下と判明
 肉体形状においては、ベラートよりと認識
 体内にエネルギー発生器官がある模様
,
,
 これらの結果により
 この銀河系には、アクレシアと同様の種族はいない模様
 不完全な模造品と思われる反応が惑星αに多数。
,
,
 また、暦の関連から〝過去〟と推測
,
,
 探査用バグからの報告により、
 この歴史において、最悪の種族ヘロディアンの存在は確認できず
 ホーリーストーン同様の反応は多数
,
,
 亜空間内に放置された都市より発見された無数の技術体系は、
 継承されていない模様

 複製、人工、補助などの人型生命体、非人型生命体の生成技術に特化していた模様
 一部、肉体改造の技術も発見
,
,
 現状の確認作業完了---->
. . . . .
---------------------------->


 確認作業が完了してしまうほど、空中で待機するなど愚の骨頂。
 まあ、私の様な存在がいるなどと考えもしていないのだろうが…。

 しかし、我々の先祖である初期人類に限りなく近い構造なのだが、
 歴史の違いからか、我ら三種族は生まれなかったのか…。

「薄々感じていたが…。
 最悪の外敵に怯える事のない歴史の人類か…。
 それ故にあの様な腑抜けた組織が出来たのだろうな。
 アクレシアならば、二人共々破壊してから目標の回収と成るだろうに…。」

 「くだらんな」と吐き捨てた後、私はその場を後にした。
 もはやあの場に留まった所で意味などない。


 魔法を機械化したまでは良かったが、肝心の技術があまりにも我々と離れすぎ、
 違いすぎている。
 同様であったとしても低すぎると言わざるを得ないだろう。
 この惑星に比べれば、高い技術力を持っている様に思えるが、
 この惑星の技術は、内向きに集中しており、最新技術は一般に露出していない。

 大体同じ程度か若干惑星αの方が上と言った所だろうな。


「さて、娘が家に戻らなければ行けない時間まで…まだ余裕があるな」

 ユーノの張った結界を出る直前にインビジブルチャージャーを使用して姿を隠し、結界をすり抜ける。
 そして、そのまま海の方まで駆けて行く事にした。
 海には、複数のエネルギー反応が感知されているが、今のところそれらに用はない。

 私が海へと向かった理由…。
 それは、バトルダンジョンと呼ばれる特殊な空間へと繋がる道を開く為だ。

 本来ならば、大型のゲート発生装置がなければ、バトルダンジョンと呼ばれる空間へ
 侵入する事は出来ない。
 私がよく使うゲート、これは指定された場所にのみ行く事の出来るものであって、
 別の空間へ渡ったりする事は出来ないのだ。
 惑星ノバスでは、一般的にディスク状のアイテムとして安値で市販されている。

 無論、別空間に渡る為のゲートも存在しているが、現状の出力ではゲートを安定させる事が
 出来ず、どこに飛ばされるか分からない。


 さて、本題に戻ろうか。
 この海鳴市が面している海岸、不思議な事にココでは、
 バトルダンジョンへ行く為のゲートを開く事が出来る。
 他の様々なところで試したが、この場所でのみ開く事を推測するに、空間が歪んでいるか、
 何か特殊な力場でもあるのか…。
 ただ単に複数のジュエルシードに反応し、副産物的にゲートが開かれている
 可能性も否定は出来ない。

「原因は何であれ、躯体の調整には丁度良い。
 好都合であるのだから、今の所は気にすべきではないな」

 私は脚部収容部位から30cmそこらの三角形の物体を取り出す。
 これが、バトルダンジョンへ至る為のゲートキーだ。
 
 ゲートキーを発動させ、海へと投げ込むと三角形の物体は、溶ける様に消えてなくなり、
 変わりに渦状の〝穴〟が姿を現す。
 この〝穴〟が現れれば、バトルダンジョンへと空間が繋がったという意味だ。
 維持時間が5~10秒と非常に短い為、私は直ぐに〝穴〟へと接近する。
 一定まで近寄れば、勝手に吸い込んでくれるので、便利と言えば便利だが…。
 うっかり別の存在まで、連れて来てしまうかもしれない危険性がある。

 そうなれば最後、アクレシア、ベラート、コラの三種族でない者達には、
 死しか待っていないだろう。

 バトルダンジョンと言い方は、ゲーム染みているが…。
 実際には、最悪の種ヘロディアンが作り出した殺戮兵器の貯蔵庫……。
 いや、何らかの失敗で制御不能となり、隔離された失敗作達が無数いる空間へと
 自ら赴く自殺行為にも等しい行動……。
 絶対的な力こそが正義であり、真実である惑星ノバスならではのゲームと言った所だ。

 二度とこちらの空間に戻ってこなかった同胞達も多くいるが、
 大半の理由は、仲間を庇った場合と自らの実力も弁えずに敵の群れに突っ込んだ
 愚か者の二択と言えるだろう。
 例外として、時空の狭間に落ちた者などがいるが……。

 空間は、基本的に小さな浮島の様な形状をしている。
 上級バトルダンジョンとも成ると空間と空間が歪にねじれ、様々な場所へと繋がっている
 ダークホールと呼ばれる物もあるが……。
 あれは、単体で臨むものではない。

 フォース(魔法)により生命を与えられた巨大な岩の化け物
 ありとあらゆる物を断ち切るチェーソーを両腕に装備した殺戮兵器
 巨大な蚯蚓のような姿に、これまた巨大な口しか持ち合わせない人工生命体
 灼熱の炎を口から吐き出す顔面だけの人工生命体
 無茶な遺伝子操作を行い誕生した生命体に機械化を施した背部に機械を積んだ生物
 死肉を繋ぎ合わせ、フォース(魔法)により無理やり復活させられた人型の生命体
 侵入者を的確に排除する為に用意された機械兵士
 機械兵士を統一する為に作られた巨大な管理兵士
 生物を捕食し進化する様に作られた蜘蛛の様な防衛兵器

 無数にいるこれらを倒し、最深部で待つ、あらゆる生命体の遺伝情報と
 あらゆるフォース(魔法)を操る異形の巨人を倒さなければ成らないダークホールに
 一人で行くという事は、ただの自殺志願に他ならない。

 いまは、単体でも問題なく戦えるバトルダンジョンへ侵入している。
 このスタート地点と言える場所には、敵が出現する事はない。
 まぁ、侵入はしてくるので早々に旧躯体になるとしようか…。


-------->>
--------------->>

 暗い光を放ちながらレティシアの後ろに白い巨人の体が現れる。
 レティシアの体が中に浮かび上がり、腕と足が巨人に同化した。
 そして、巨人の胴体が口を開けるかの様に開き、レティシアの体を捕えコードが絡みつき、
 胴体の中へと引きずり込む。

 白い巨人の胸の中でコードを絡ませ上半身を露出させレティシアは瞳をゆっくりと閉じ、
 代わりに白い巨人の瞳に光が灯り始めた。

 白い巨人は、唯一の生体部品である胸の隔壁を閉めて動き出す。


----------------------->>
,
---->起動開始<----
,
------------------>>


 旧躯体の転送が終わると同時に、生命維持装置にエネルギーを供給し
 続けていた武装の接続を切り離す。
 それと同時に真っ黒に染まったジュエルシードを生命維持装置へと繋げた。
 体を駆け巡る今までとは異なるエネルギーの量に多少の驚きを覚えたが、
 全盛期に比べるとまだ多少、少ない。
 やはり、銀河系を覆う程のエネルギーを発するホーリーストーンの結晶に比べると、
 劣るのは仕方がないようだ。

「ない物ねだりは良くないか
 現在の出力は84%、行けそうだな」


 自身よりも遥かに重く、全体的に赤い巨大なランチャーを両手で持ち、
 敵のいるゾーンへ向かって走り出す。
 
 相棒とも呼べる武装のセイントフレームランチャーは、巨大な火炎放射器と
 言っても過言ではないような見た目をしている。
 無論、放射するのはただの炎ではなく、様々な特徴を持ったエネルギーを放っているのだが、
 見た目は炎といっても問題ないだろう。

「さて、哀れな生命体たちよ…。
 私の糧となってくれよ?」


 敵対心を剥き出しにし、それぞれの武器を向けてくる化け物どもを焼き払い塵に返し、
 ランチャーで打ち据え、返り血を浴びながら、私は昔の技術をレティシアの脳に叩き込む。
 新しいコアが体に馴染んで来ている以上、私の役目もそろそろ終わりだ。

 考えている間も迫り来る敵を展開したCGで一掃する。
 燃やされながらも接近をやめる気配は一切感じられない。
 青白い皮膚が焼かれて赤黒くなり、指の先端などが炭化し、
 酷い者など目玉が半分以上飛び出し、
 顎が炭化した為か、舌を垂らしながら迫ってくる。


/////////////////////////////////////////////////


 一通り処理し終えた時には、焼け残った生命体の骨格と溶け残り泡立った皮膚、
 剣か何かだった武器だと思われる物が辛うじて形を保ち残っていた。

 後から来た生命体達は、そんな仲間だった者を見ても怯む事無く私に襲い掛かってくる。
 襲い掛かってくる敵を焼き払いながら、私は思考する。

 自己保存を失った生命体ほど恐ろしい者は存在しない。
 己の体が動く限り戦い続け、停止すると同時に自爆する者までいる始末…。
 そんなヤツラばかりと戦わなければいけない場所にいた時に比べ、
 この銀河系は…なんとも平和だ。

 コレだけ平和ならば、私の躯体と技術を持てば、如何なる事に巻き込まれようとも
 生きて行けるだろう。
 焼き払った敵たちの亡骸を踏み付けながら、ゲートの出口へと向かって歩む。

 さて、新たに現れた少年といい。
 動き出した戦艦級と随分前から停泊している戦艦級。
 そして、停泊している方で見つけた実験体の二つ…。

「何かが起こるにしても楽しい事になりそうだ」

 娘の未来に尽きる事のない充実感があらん事を……。

 そう願いながらゲートを潜り、旧躯体からレティシアの体へと戻り、
 図書館へと向けて歩き始めた。
 さて、意識下にこびりついたレティシアの我侭な任務を遂行せねば……。

 直ぐにでも起きるであろう戦いを思いながら、私は軽い微笑を浮かべのんびりと歩んだ。



-----------------------------------------------------
--------------------------------------------------------------




○あとがき

 バトルダンジョンの説明がなんとも……。
 バトルダンジョンとは、不思議空間へと行ってLvUPが出来るというものです。

 中に入ると、最初に出た場所以外に大量の敵がいます。
 その敵を殲滅するか、一体だけいるボスを倒す事がミッション内容となります。
 この内容をクリアする事で経験値がもらえるシステムです。

 また、クリアした際に特殊なアイテムを貰う事が出来ます。
 基本的に武装強化用アイテムなどですが、稀に特殊な武器の欠片や設計図も
 手に入る用に成っています。

 ゲーム内では、バトルダンジョン内で死ぬと強制退場となりますが、
 設定内では死ぬとその空間に亡骸が残されるようです。
 ダークホールというバトルダンジョン上位には、
 途中で力尽きたと思われる三種族の亡骸を見ることが出来ます。

 小型船や輸送船なんかが落ちている場合もあります。


 さて、次はやっと海上戦です!
 レティセンスがやっとこさ戦ってくれるかと……!!
 魔法使い達の目の前でー!!
 戦ってくれるかなぁ……。


 あと…フェイトの魔力光は、黄色と金色どちらなのでしょう?
 とりあえず、金色としたのですが、違っていたら教えてください;;





[14292] 【習作】機械兵と少女 第十一の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:552fae0e
Date: 2009/12/10 07:45
○今後の予定とか?

 RFでは、未実装のまま放置し続けられている宇宙編というアップデート内容があります。
 その中には、間星戦用人型兵器、間星戦用戦闘機、間星戦用無人兵器、戦闘母艦、巨大戦艦(移動要塞型)など
 キャラクター自身が装備する間星戦専用装備などもあります。

 画像、モデルデータなどは公開されているので(一部名前も公開されています)、
 出来れば出して行きたいと思っています。





」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



eleventh gear - first part
《Berserker who laugh》




 …カシャン
 …カシャッ

---> データ受信中 ---> データ受信中

---->> データ受信完了 <<----


------------------------>>

名称[時の庭園]---> 潜伏バグの報告. . . . . .
 
---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> --->

  フェイト・テスタロッサのオリジナルと推測される肉体の改造は順調
  小規模なエネルギー発生器官を確認
  体内に侵入したマイクロバグより解剖を行った所、
  生体部品ではないと判明

  一種のエネルギーが凝固した物と判明
  ここより発生しているエネルギー量および外部へ出力できる量が
  攻守能力に大きく影響する模様

  全身を解剖した結果、エネルギー器官以外は、初期人類と同様と判明
  肉体蘇生成功率 ---> 45%

  失敗した場合、体内に潜伏しているマイクロバグを集合させ、
  頭部のみ回収した後、帰還


  若い脳である為、外部記録装置として使用可能と判断
  レティセンス予備躯体を使用する事で起動可能と推測
  以前収集した自動人形のデータを用いれば擬態も可能と推測

  死亡してから発見までの時間が長かった為、
  脳の完全再生による記憶のサルベージは不可能


  瀕死の補助生命体の反応消失
  探査を繰り返すも発見できず、原因不明

  既に戦艦級内部には存在しないものと判断

--->> 追尾の必要性はなし

  全システム掌握完了

------>>エネルギー発生装置回収用ゲート生成完了
--->> 擬装用エネルギー発生装置設置完了
   発動から維持時間300秒セット ---> 後崩壊

---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> --->

------------->> 引き続き報告

名称[アースラ]---> 潜伏バグの報告. . . . . .
 
---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> --->

  管理局所属戦艦アースラ ----> ハッキング実行中

------> 搭乗している生命体のエネルギー反応多数
-----> 技術体系は初期人類と同様と判明 ----> ハッキングの感知される可能性 0%

-->>自律プログラム躯体、殲滅プログラム躯体に関する情報を収集した場合

  即座にデータを破壊
  映像、音声、その他、全ての関連データの破壊を実行

-------------------------->

  火器管制機構 ---> 制御移行トラップ設置
  航行管制機構 ---> 制御移行トラップ設置

 --> 発動後、制御を殲滅プログラム及び自律プログラムへ移行

 乗員名簿データ送信中 ---> 送信完了
 --> 攻守タイプ、戦闘データ
 --> 模擬線データ、実践データ
 --> 攻守特性データ、個体特性データ

<<----------------------------------------->>

---> 艦長室と思われる室内にアドバンスドクリティカルマイン設置
-----> 発動した場合の死亡率 100%
---> 防御した場合、左半身の消失
------> アクレシアと同種の場合 ---> 頭部維持で生存

---> 初期人類の場合 ---> 生命維持不可能
,
,

トラップ発動条件 ---> 殲滅プログラム及び自律プログラムによる思考入力

---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> ---> --->

 報告終了. . . . . .

------------------------>>



 ふと気が付くと、借りたかった小説「ライジング・フォース」2巻を持って
 自分の部屋に佇んでいた。
 制服のままということは、図書館でコレを借りて帰ってきたようだけど…。
 まったく持って記憶にない。

「???」

 学校の校門で姉様とすずかに見送られ、図書館へ向かって歩き始めた所までは、
 覚えているのだけど…。
 そこから…そこから……。

----------------->
,
,
記憶介入 ---> 行動記録を移植
---> 移植中 ---> 移植中 ---> 移植完了

,
,

リロード
----------------------->>


 そうそう、公園で見つけたワンちゃんを撫でてから図書館に向かって…。
 そこで「ライジング・フォース」2巻を借りて、バスに乗って戻ったんだ。
 偶然目に入った時計から、次にやるべき事を思い出す。

「ぁ、夕食の、時間だ。
 着替えて、行かなきゃ…」 

 姉様とお揃いの服を手に取り、ササッと着替えて夕食を食べに行く。
 その途中、廊下であったメイド達に呼び止められた。

「戻られた際に笑っておられましたが、
 何か良い事があったんですか?」

 と優しい表情で聞いてくるメイドたち。
 バニングス家に雇われているメイドたちは、私の事をマスコット的な存在と
 捉えている様な気がしてならないが、特に隠す事も無いので言う事にする。

「ぇっと、ね。
 読みたかった。 小説を、借りれた、の」

 私がそういうと「キャー、可愛い」とか「心のフィルムに焼き付けたわ!!」とか
 言っている声が聞こえた様な気がしたが、幻聴だろう。
 片手で鼻を押さえ、上を向いているメイドや白いハンカチだと思われる物を
 赤く染めているメイドなども見て取れたが、きっと幻覚だ。

 私は、ソレらを無視して目的地に向かって歩み始める。
 


<<-------------- バニングス家 <==> 食卓 ------------------------->>


 二人しかいないのに無駄に長いテーブル、料理の量は姉様と私の事を考えてか
 かなり少なめだが、それがよりテーブルの大きさを思い知らせてくれる。
 義父様、義母様は、仕事が忙しい為か、一緒に食事を取る事は殆ど無い。
 姉様は、姉様でチラチラと私の表情を伺い、何かを気にしている様子が見て取れる。
 さすがに気に成り、姉様に聞いてみる事にした。

「姉様、私に何か、よう?
 それと、も、顔に何か、付いてるの?」

 姉様は、一度だけ私の顔をじぃーっと見つけてから、意を決したように
 真剣な表情となり、言葉を紡いだ。

「ねぇ、レティ……。
 夜…何をしてたの?」

「ぇ……?
 寝てる、だけだよ?」

 その後、姉様は何も言わずに食事を終えて部屋に戻ってしまう。
 私は何の事だかサッパリ分からずに食事を続け、姉様の後に続くように
 自室へと向かった。

 自室に付いたのだけど、何故か姉様が部屋の中にいる。

「レティ。
 この前の夜中、何処に行ってたのよ」

 食事の時と同じ様に真剣な顔をした姉様が私に聞いてきた。
 だが、私には夜中に出かけた記憶なんてまったく無い。
 疑問で一杯になった頭を傾げ、姉様を見つめる事しか出来なかった。

「まさか、夢遊病とかいうヤツかしら?
 それとも、何らかのトラウマが…?
 今日は一緒に寝ましょう」

 姉様は「本当に小学生かよ?」とツッコミを入れたくなる位に真剣に
 私の事を考えてくれている。
 しかし、なぜ一緒に寝る事に繋がるのだろうか?
 私が少し悩んでいる間に姉様は、自分の部屋に戻ったらしく、
 寝巻きと枕を持って戻ってきた。

「さ、レティ
 お風呂に行くわよ」

 あれよ、あれよとしている間に、姉様に引きずられる様にして大浴場へと向かう。
 途中、なぜか姉様に「一緒にお風呂に入りませんか?」とか「お背中お流しします」とか
 言っているメイド達がいたが、みんなの視線は私の方に向いていたような気がした。
 姉様もその事に気が付いているのか、断り続けているが、最後の方など
 睨み付けるだけでメイドたちを払いのけている。

 姉様と一緒にお風呂に入っている間も私はメイド達が乱入してくるんじゃないかと
 怯えていたが、姉様はゆったりと浸かっていた。
 更衣室から浴場への出入り口にそれらしき影が複数見えた様な気がしないでもないが、
 最近私は疲れているのだろう。

 それとも、アレだろうか?
 今日は、メイド長が里帰りしているから、寂しいのだろうか?
 あの人は、いつも私に優しくしてくれるから…。
 きっと、そんな気持ちが、今のような幻覚を私に見せるのだろう。

「フェア、早く帰って来て、欲しい」

 私がポツリと呟いたつもりだったのだが、姉様には聞こえたようだ。
 いや、場所が場所だけに声が響いたのだろうか?

「フェア…?
 あぁ、メイド長のフェア・エアリエルの事ね」

「うん、私に、優しい」

「あの厳しいメイド長がねぇ…。
 でも、レティに優しいのならソレで良いわ」


 姉様は私にいつも以上に暖かい微笑を浮かべて言った。
 まあ、追加ですごい事も言ったが…。

「他のメイド達がレティに何かしないように…。
 エアリエルにしっかりと再教育させる必要があるわね」

 明日、フェアが帰ってきたら他のメイド達はボロボロになるまで再教育されるんだと思う。
 ちょっと可哀想だが、私自身の身が危険に晒される可能性がなくなるのだから良い事だ。


 それから少しだけ姉様と雑談しながらお風呂で暖まり、部屋へと戻った。
 姉様は本気で一緒に寝るらしく、一つのベッドに二人で眠りに付いた。



////////////////////////////////////////////////////////////////


 カシャン…。
 カシャン…。

 カシャッ…。


 普段とは異なる反応が室内に一つある。
 どうやら、守護対象に認識されているアリサ・バニングスが娘と一緒に寝ている様だ。
 余程、レティシアが大事なのか抱き付く様にして熟睡している。

「……。」

 今日は行動出来そうにない。
 だが、アリサ・バニングスがコレほどまでに娘の事を思っている事が確認できただけでも
 良しとしよう。

 我々アクレシアは、データとしてならば様々な事を知りうるが、人間の感情や心に関しては
 非常に疎いものがある。
 たとえ、感情と心を得たネオ・アクレシアンといえどもそれは同様だ。

 今でこそレティシアの肉体が在る分、生体部品が多くはなっているが…。
 本来の我々の生体部品は、脳のみである。
 肉体同士の触れ合いによる暖かさなど無縁の存在なのだ。

「アリサ・バニングス
 我らが命の恩人にして、娘の救い主よ。
 どうかこれからも、娘の事をよろしく頼む」

 寝ているアリサ・バニングスを見ながら私は呟いた。
 完全に熟睡している為、聞こえる事はないだろう。
 だが、何故かはわからないが、この娘ならば喜んで引き受けてくれると思えるのだ。

 私は一人納得し、眠りに付いた。


//////////////////////////////////////////////////////////////////


 次の日、最近と同じ様に登校したが、なのはを学校で見かけなかった。
 お昼休みを利用して姉様の教室へ行くと、なのはが何らかの理由で学校を当分に休む
 という事をすずかが教えてくれた。
 すずかは、どこか元気が無く、心配している表情をしている。
 姉様は、なのはがいつ学校に消えも良いようにノートとプリントを纏めをしていた。

 なんでも、なのはがいない間のノートとプリント関連の事柄を引き受けたらしい。
 やはり、なんだかんだ言っても姉様は、なのはが大好きなのだ。


 姉様は、学校から普段帰る時間になってもなのは用のノートをまとめている。
 すずかは姉様を待ってから一緒に帰るとの事なので、私は私で図書館へと
 向かう事にした。


 そして、図書館へと向かう途中、何とも言えない不思議な感覚に襲われ、
 胸が締め付けられる様に苦しくなった時、頭に声が響き渡っる。
 その声は、若い男性の様であり、子持ちの父親の様な雰囲気を醸し出す不思議な声だった。

『愚かな……!!
 それでは、身がもたんだろうに!!
 娘のコアにも影響が出る……!!』

 私の視線なのに自由に動かせない。
 私の口なのに別の人間の言葉が紡がれる。
 不思議な感覚を覚えながらも、何故か不安という感情は浮かばなかった。
 義父様、義母様に抱っこして貰っているような感じがする。

『しかたない…。
 インビジブルチャージャー注入!!
 ステルス展開後、旧躯体転送!!
 ゲート開放、目標地点ジュエルシード暴走位置!!』

 突然、注射器で背中を刺されたような激痛に襲われる。
 だけど、私の口からは嗚咽すら漏れない。
 痛いのに喋れない。痛いのに逃げられない。指一本動かせない。
 その痛みは、終わると同時に先ほどの激痛が嘘の様に消えてしまう。

 そして、私の体を包み込む様にして白い何かが現れる。
 まるでソレは、白い棺桶の様に見えた。

 私の体の上を細いコード、太いコードが這い回る。
 手で退け様にも肩から先の感覚が無い。
 走って逃げようにも太股辺りから感覚が無い。

 冷たい蛇が、皮膚の上を這い回っている様な錯覚に襲われながら、
 私は棺桶の中に引きずり込まれて行く。
 そして、白い棺桶の蓋がゆっくりと閉められた。

-------------------------------------------->
,
,

異常事態発生 ---> 異常事態発生 --->
----> 自律プログラムが起動しています。

,
,
ゲート生成完了 ---> 転送開始しています。
自律プログラム ---> 睡眠モードへの移行不可能
,
------------------------------------------->

 頭の中に先ほどとは違う機械的な声が響き渡る。
 異常事態とは、なんだろうか?
 自律プログラムとは、なんだろう?
 そして、先ほどの父親の様な声が頭の中に響いた。

『ふむ……。
 いつかは知る事だ。
 このまま、止めにはいる』

-------------------------------------------->
,
行動決定 ---> 自律プログラム現状維持
,
,
戦艦級「アースラ」 ---> システムハッキング開始
,
,

条件指定は現状のまま維持
----> ミッションスタート
,

-------------------------------------------->

 ゆっくり、ゆっくりと私の体と体を覆う棺桶が消えて行く。
 あぁ、気絶してしまえれば楽なのだろうが、気絶する事が出来ない。
 混乱しそうな頭を無理やり冷やされている様な違和感を感じた時、
 三度目と成る声が、私に向かって言葉を発す。

『…すまない。 私の娘よ。
 詳しい説明は、後でしよう。
 今は、急がねばならない!!』

 そして、気が付くと…私と私を包み込む誰かは、荒れ狂う海の上を飛行していた。



-----------------------------------------------------
------------------------------------------------------------



○あとがき

 なんだか非常に中途半端になってしまいました;;
 前編と後編で分けてみます。
 アニメの海上戦です!

 バニングス家のメイドさんたちの設定とか考えていたら
 最初に予定していたものよりも長くなってしまって……。

 メイドさんたちがオリキャラとして大量に出てきそうです><

 メイド長のフェア・エアリエルさんは、知り合いが名前を考えてくれました!
 モデルは、東方のサクヤさんとの事です。
 他にも色々と考えたので、どこかで出したいなぁーと思っています!




[14292] 【習作】機械兵と少女 第十二の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/11 23:39
○う~ん

 どの様な書き方が見やすくて、楽しいのか…
 中々難しいですね。
 色々と試行錯誤しながら、頑張って行きます!!



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



twelfth gear - sequel
《Berserker who laugh》


 荒れ狂う海の上を私と私を包み込む誰かは飛行している。
 周りは、異世界と言われても信じてしまえそうな状態だ。

『なるほど、複数のジュエルシードが暴走するとこうなるのか…』

 誰かの声が頭の中に響き渡る。
 声を発する事の出来ない私は、ただただ目の前の光景を見ているしかなかった。

 嵐の中央で必死に体制を立て直す金髪の女の子。
 たぶん、私と同年代か少し上くらいだろう。
 そして、やや後方に飛ぶ……大きな犬!! 犬!?
 いつから犬は飛べる生物になったんだろうか?
 どうやら完全に私の常識は、此処では通用しない様だ。

『これ以上暴走されると、コアも同調しかねないのでな……。
 そこの小娘、手を貸してやろう。
 私ひとりで何処まで抑え込めるかは分からんがな』

 私を包み込む誰かは、金髪の子を手助けをするらしい。
 巨大な犬が何やら言っている様な気がするが、ここまできたら犬が喋ろうが驚かない!!
 そして、上空から…真っ白な服を着た見知った顔が、良く知っている顔が……。
 なのはが…。
 なのはが降りてきた。
 それは、まるで天使の様にも見えたが、一度だけ此方を見て驚いた様な表情を
 作ったが、すぐに金髪の子の方へ向かって行く。
 それとほぼ同時に知らない少年も後方に現れた。

『フェイト・テスタロッサ、高町なのはに告ぐ!!
 私では、アレを封印できない!!
 今は何も聞かずに己のやるべき事を為すが良い!!』

 私を包み込む誰かは、4人に向けて言葉を放ち、両腕をジュエルシードへと向ける。


------------------------------>
,
,
フォース封印プログラム起動
--->Impactive Confusion(インパクティブ・コンフュージョン)
,
維持限界カウントスタート --> 297秒
,
------------------------------>


 両腕から不思議な水色の光の粒が溢れ出したのと同時に海上に歪な瞳のマークが現れた。
 そのマークは、まるで下から噴き出す力に蓋をしているかのようだが、
 数秒足らずで、マークに亀裂が入り、光の竜巻の何本かが暴れ始めた。

『ぐっ…。
 やはり、対フォース装甲が完璧ではない私では、
 全てを抑えるのは不可能か……』

 包み込む誰か苦しそうな声が聞える。
 そして、身体が悲鳴の声、全身から軋む音や何かが破裂する音が聞えた。
 
 ひと際大きな破裂音が鳴り、歪な瞳のマークがぐにゃりと歪んだ時、
 左右から鎖の様な鎖で無い様な不思議な物が、光の竜巻を縛り上げる。

「いまは、あの人の言う通り
 ジュエルシードを停止させないと!!」

 なのはとフェイトというらしい金髪の子が何やら話しているが、
 あの二人が、このよくわからない状態を止める為の鍵の様だ。


「ユーノ君とアルフさん、それに誰かは知らないけど、
 一度だけ私を助けてくれた人が止めてくれてる!」

 その言葉と共になのはが、漏れ出している光を避けながら中心へと向かって行く。
 金髪の子は何か迷っているようだが、決意を決めた様だ。

 なのはとフェイトが放った光が全てを飲みこんで行く。
 姉様の大事な友達である〝なのは〟だけを危険にさらす事なんて出来ない。

《助けたい。少しでも力になりたい》


------------------------------->
,
,
自律プログラムより要請認証 --->> システム移行
特殊プログラム発動

------------>> [征服者の保護]
,
,
全方位保護開始 ---> 発動後エネルギー残量 5%

------------------------------>


 あれだけの嵐が嘘の様に止み、なのはとフェイトの間には、
 キラキラと光る宝石が浮いていた。
 二人は、宝石を見るというよりも互いを見つめあっている感じがする。

『……』

 私を包み込む誰かは、何も喋らずにその光景を見上げていた。
 いや、視線だけは何故か、二人よりもさらに高く、
 上空を睨みつけている様な雰囲気を感じる。


--------------------------->
,
,
上空より高エネルギー反応
----> 現状では完全防御不可能
,
--------------------------->


 二人の仲を裂く様にして、紫の雷が降り注いだ。
 最初の一撃を私を包み込む人が肩代わりしたが、体中から煙をあげながら
 海の上で膝をつく様に蹲ってしまう。

 どうやら上では、何処からともなく現れた男の子と犬から姿を変えた女の人が
 光る宝石を取り合っていた。


--------------------------->
,
全機能低下 ----> 戦闘不可能
---> 離脱ゲート解放

,
--------------------------->


 新しく現れた男の子が、私と私を包む誰かに向かって
 武器と思われる物を向け、警戒の色を表している。

「ロストロギアを確認。
 機能停止している様だが…。
 アースラへ転送できないか?」

 なんだか独り言を呟いている様だ。
 だが、離脱ゲートとかいうものが解放された以上、
 またどこかに飛ばされるのだろう。

 私がこの海の上に飛ばされた時も、ゲートがなんたらとか聞こえたし…。

「!!
 まて、動くな!!」

「クロノ君、ダメッ!!」

 男の子が此方に向けている武器から、無数の光が放たれるのと同時に
 なのはの声が聞えた。
 聞こえた次の瞬間には、何処とも知れぬ山の中で佇んでいる。
 身体にある違和感…。

 普段の私の体よりも、しっくり来るような不思議な感覚…。
 そして、頭の中に響き渡る機械音声…。


--------------------->
--------------------------------->
,
,
プログラム修正中 ---> 再起動開始
,
,
,
データ破損を確認
---> レティセンス記憶データが
レティシア記憶データに逆流
している模様。

------> プロテクト不可能
,
緊急処理 --->>>
旧躯体プロテクト開始 ---> 完了
,
,

戦艦級 --> 名称[アースラ]に潜伏するバグへ
映像、音声データ削除実行 ---> 削除完了を確認
,
,

-------------------------------------------->>



 身体は動かない。
 だけど、この巨大な身体が自分の物だと分かってしまう。
 普通なら混乱する頭が、逆に冷静になり、自分が何者だかを思い出させてくれる。
 こんな身体を持つ自分が、姉様やすずか、なのはや入院している間に知り合った子に
 近寄って良い訳がない。

 ただただ、命令を実行するだけの鉄の塊である私が…。
 最終的に多くの仲間達を、判断ミスで死なせてしまって…。
 いつも、いつも、私を助ける為に仲間達が死んで行く。
 スクラップになって……。

 私が生きている事に何の意味がある?
 レティセンス・ゴーストが作り出した偶然に過ぎない私に、何の意味がある?
 
「あ…アハッ、アハハハハ……。
 私の存在理由って…なぁ~んにもないよね?
 あぁ、セインの餌をあげる人がぁ、いなくなっちゃう?」

 どうせなら心の準備ができたらとかにして欲しい。
 なんで突然、人間じゃないだなんて思い出さなきゃいけないんだ。

『娘よ。
 私達は、確かにこの世界に居る人間とは異なるかもしれない。
 だが、機械人類という人間だ。』

 頭の中に声が響く。
 もう、この声が誰なのか分かる。
 私を生みだした張本人、私の父親、私の母親、私の創造主、私を守ってくれた……人間。

「うるさい! うるさい! うるさい! うるさい! うるさい!
 お前が、お前が、私を生み出さなければ!!
 私という個を生かす事を決めなければ!!
 こんな苦しい思いをしなくて済んだんだ!!」

 私は、心の限り叫び続ける。
 途中から嗚咽が混ざり、自分でも何を言っているか分からなくなった。
 本当の父は、何も言わずに自身の身体を抱く様にして、ボディの中に納まる
 私を抱き締めたまま、何も言ってはくれない。

「何がアクレシアだ!
 心があるネオ・アクレシアンだって?
 心があるのに…なんで300年以上も殺し続けてるんだ!!」

 頭の中は、ここ数ヶ月の私としての記憶、300年以上も殺戮を続けたレティセンスという
 兵士の記憶がごちゃまぜになっている。
 そういば、最初に冷静だとか何とか思っていた様な気もするが、
 どうやら私は狂ってしまいたくても、レティセンスの身体を持つ以上、狂う事が出来ない
 だけで、冷静だったワケじゃないんだ。

「うぅ……グスッ
 姉様の所に帰りたいよぉ……。」

『あの娘、アリサ・バニングスは言っていた。
 この子は、私が守ると……。
 あの娘ならば、お前が例えなんであっても』


------------------------------------------->
,
精神負荷を感知 ---> 精神崩壊の可能性あり
,
---> 精神操作開始
,
,

------------------------------------------->


『お前は、力を手に入れた。
 その力は、大事な〝姉様〟を守る事が出来る力
 そして、あの海の上で戦っていた友達〝なのは〟の
 手助けを出来る力だ。』
 
 頭の中に、父の声が響き渡る。
 〝姉様〟を守る力を私は手に入れた。
 そして、戦っていた〝なのは〟の手助けをする事のできる力

「この力があれば、姉様を大好きなみんなを守れる。
 なのはの力になる事が出来る…。」


------------------------------------------->
,
精神負荷軽減 ---> 精神操作完了
,
,
---> 旧躯体プロテクト解放

,

------------------------------------------->


 私は、その言葉に促される様にして自身が何をやるべきかを決めた。
 まず最初に、〝なのは〟を助けよう。
 姉様にもすずかにも相談できない事をやっていたんだ。
 きっと、困っているだろう。
 いまの私ならその力になる事が出来る!!

「父様!!
 私は、なのはの力になりたい。
 どうすればいい?」

『ふむ、高町なのはに協力している組織がある
 ソレと私が交渉しよう。
 この身体を用いて、友を助けると良い』

 頭の中に響く、父様の声は優しい音色をしていた。
 そして、ゆっくりと動かなかった身体が動き出す。
 今までとは異なる視界、今までとは異なる身体だが、
 これは私の体であると同時に、父様の体なのだ。

『目標地点、亜空間に停泊する戦艦級
 名称[アースラ]へ、ゲート解放!!』

 頭の中に今一度、声が響き渡ると同時に
 真っ白な光が私を包み込んだ。



----------------------------------------------------
-------------------------------------------------------------






○あとがき

 やっと、管理局と接触します。
 ちょ~っとだけ、クロノ君には悪役を演じてもらおうかな?とか
 思っている次第です。


 機械文明が極端に進歩した人類を果たして受け入れられるかなぁ?

○アクレシア・スキル説明

 ・「Impactive Confusion」(インパクティブ・コンフュージョン)
  対象のありとあらゆる攻撃手段を封印する(フォース(魔法)使用不可)
  同時に対象を拘束し、動きも封じる事の出来るスキル

  だが、欠点として維持時間は、さほど長くない。

---------->

 ・征服者の保護(wikiで見つけました!)
  範囲内にいる同種族の戦闘参加者の攻撃力と防御力を20%増加させる。
  (この作中では、同種族ではなく範囲内におり、
   レティシアが指定した人物限定の保護と成っています。)

  欠点として、エネルギーを使い切ってしまう。
  効力を発揮していても、範囲外に対象が出た場合は、
  一瞬で効力を失います。

---------->





[14292] 【習作】機械兵と少女 第十三の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/15 08:54
○OPのアクレシアを見ると、弱そうに思えると知人に言われてショックを受けたすとろべりーアイスです……。



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



thirteenth gear
《weapon? human?》




 真っ白な光が晴れると、そこには見た事もないSFチックな光景が広がっていた。
 突然、私と父様が現れた為か、一様に凄く驚いた表情をしている。

 なのはと海の上で見かけた大人しそうな男の子と気難しそうな
 男の子が此方を凝視していた。
 特に此方を警戒しているのは、緑色の髪の毛をした女性だ。


-------------------------------->
,
ハッキングデータより人物参照中
,
----> 高町なのは
----> ユーノ・スクライア
----> クロノ・ハラオウン
----> リンディ・ハラオウン
,
,
-------------------------------->>

 とりあえず、この警戒を解かない事には、話が進まない。
 私が相手側に話しかけようとした時、先に父様が話しかけた。

『そう警戒するな。
 私の名は、レティセンス。
 わけあって、手伝いをしてやろうと持って参上した』

 そして、父様は何の武器も持っていない事を表すかの様に両手を上げる。
 男の子は、両手を上げた父様を見て突然武器を構えてきた。

「意思を持つロストロギアか……」

 ロストロギア…そういえば、海の上でもその名称を聞いた様な気がする。
 何かの名前なのかな? それとも、この世界における
 アクレシアの名前なのかな?

『ロストロギアか…。
 否定させてもらう。
 私達は、これでも機械人類という人間なのでな』

「機械……人類…?」

 一番、此方を警戒していた緑色の髪の女性、
 データ通りならリンディの呟く声が聞えた。
 父様にも同様に聞こえたらしく、しっかりと頷いている。
 他の人たちは、何か勘違いしたらしく若干警戒が緩まった様だ。

 まあ、男の子…データを参照した限りでは、クロノというらしいが…。
 クロノだけは、相も変わらず武器を此方に向け、警戒している。

「アナタ、手伝いに来たと言ったわね。
 なぜかしら?」

『なに単純な理由だ。
 娘が友を助けたいと願ったのでな』

 父様とリンディは、周りを気にせずに会話を続けた。
 そして、視線を一瞬だけ、なのはと茶色髪の男の子……ぇーっと、ユーノ?
 ペットのユーノと同じ名前の男の子の方へ向けた事から、
 リンディは、父様が言った私の友達がなのはとユーノだと理解したようだ。

「娘の為ね。
 それは、本当かしら?」

 緑髪の女性は、警戒する様にもう一度だけ睨みつける。
 なぜ、此処まで警戒されなければ行けないのだろう?
 父様は、相変わらず余裕の雰囲気を纏っているが…。
 なのはとユーノに至っては、混乱している様だ。
 ここは、私が表に出るべきだろうか?

『ふむ、息子のいる貴女ならば、
 分かるのではないかな?』

 父様は、此方を特に警戒しているクロノを見た後に緑髪の女性を見て言った。
 女性の方は、驚いている様にも取れるが、どこか納得している様にも思える。

「ぁ、あの……娘のお友達と言っていたけど…。
 それは、なのはの事ですか?」

 控え目な声が横から響く。
 父様が視線を向けると、ビクッと身をすくめる辺りが少しだけ可愛い。
 ユーノに名前を呼ばれたなのはも同様に身を竦める。

『そうだ。』

 その言葉を聞いたなのはは、思い当たる節が無い為か、
 難しい表情をしたまま此方を見つめた。
 父様の胸の隔壁が下されている為、なのはには、私の姿が見えないのだろう。

「……誰の事ですか…?」

 なのはは、蚊が鳴く様な声でおっかなびっくり聞いてくる。
 父様は、少し迷うな素振りを見せた。
 その顔は、機械仕掛けであるが故にどんな表情をしているか
 分かる事は無いだろうが。

『高町なのは、君の良く知っている少女だ。
 いまの名は〝レティシア〟だったな』

 そう言って、胸の隔壁をゆっくりと上げて行く。
 父様の胸が左右に開いて行く光景は、見ている相手にどのような
 印象を与えるのだろう?
 そして、私の姿を確認したなのはが驚きの表情を浮かべた。
 周りの人間も同様に驚きを隠せないでいる様だが……。

「クッ、やはり質量兵器だったか!!」

 クロノは、そう呟くと場所を考えずに此方に攻撃を仕掛けてくる。
 その攻撃は、父様の腕に阻まれて私に届く事は無かった。

『ほぅ…。
 貴様らは、ことなる進化をした人類を兵器と呼ぶのか?
 自分たち以外は認めないか?』

 先ほどの攻撃を無傷で受け切り、なお周りに被害の及ばない様に配慮した
 父様の言葉は、相手の在り方をどうやら傷つけたらしい。

「ち、違う!
 ボク達は平和を守る為に……!!」

『その平和とやらを守る為に、異なる進化は受け入れないのか?
 それとも、自分達の平和が守れれば良いとでも考えているのか?』

 父様の言葉攻めが続く。
 クロノは、父様を睨みつけ、私を一瞬だけ見た後に言葉を発した。

「ならば、なぜ娘という存在を拘束している!!」

 クロノは怒鳴る様に声を荒げて言う。
 やはり、この状態は拘束されている様に見えるのだろう。
 私は、溜息をつく様にクロノを見つめる。
 父様も同様に呆れている様だ。

『蜘蛛という虫を知っているか?
 アレの中には、この為に己の身を食わせる物が存在している』

 突然何を言い出すんだ? と言いたげな表情を全員がしている。
 ユーノだけは、父様が何を言いたいのか分かった様な顔をしていた。
 どうやら、かなり勘が鋭いらしい。

『我々は、子に体を明け渡すのだ。
 数百年を生きるこの身と技術を次世代に受け継がせる為に…』

 その言葉は、その場にいた全ての人間に衝撃を与えた。
 クロノに至っては唖然とした表情を浮かべている。
 自分の体を子に明け渡すなど、普通に考えたら正気の沙汰とは思えないだろう。

「……」

「そう、それがアナタ方の文明なのね。
 否定はしないわ…。
 手助けをしてくれるのならば、お願いしようかしら」

 そう言ったリンダィの顔を見上げるクロノ。
 リンダィは、優しい笑みをクロノに向けてから、仕事をする物の
 顔つきと成り、父様に言ってきた。

「無償で手を貸してくれるワケではないのでしょう?
 何がお望みかしら?」

『なに簡単な事だ。
 貴様らの組織も私を兵器扱いするだろう。
 それは、構わんが…娘を兵器扱いして欲しくは無い』

 父様は、自分のボディに埋め込まれている私の頭を優しく撫でる。
 クロノを除く全ての者が優しい視線を此方に向けていた。

「要するに、此方がアナタの娘を兵器扱いしなければ、
 力を貸してくれるのね?」

『その通りだ。
 お前達が纏うバリアジャケットだと
 偽ってくれても構わない』

 その言葉を聞いたリンディは、エイミィという人に命じて、
 私の存在をなのは同様に、魔力を持つ一般人の手伝いとする様に指示をした。
 クロノだけは、何か納得していない様だったが、言葉でも勝てず、
 その攻撃すらも父様に効かなかったのが堪えたのか
 沈黙をしたまま俯いている。

「これで良いかしら?
 私としても人間を兵器扱いするのはどうかと思いますしね」

 リンディは、父様のボディの中で興味に満ちた目で辺りを
 見ていた私を見つめて言った。
 そして、クロノに対して私達が自分たちの守るべき市民の
 一人だと言う事を説明している。
 それでも納得が出来ないのは、何かあるのだろうか?


------------------------------>
トラップ解除要請を確認
---> トラップ解除
,
,

------------------------------>


 なのはは、何か言いたげに私を見つめている。
 私は、なのはに少し言葉をかけようとしたが、父様とリンディとの
 会話はまだ終わっていなかったようだ。

『さて、我が娘には、娘の生活がある。
 協力する事があれば、呼ぶと言い』

「呼ぶ…?
 どうやって呼べば……」

 リンディの言葉は、なぜか途中から遮られた。
 アースラの機構が勝手に動き始め、リンディの目の前に父様との
 特殊回線が開かれる。

『これで私と何時でも会話できる。
 何か言いたそうだが、私は機械人類だと言ったろう?』

 父様は、その言葉で全てを分かれと言わんばかりの態度を示す。
 アースラのクルーとしては、たまった物ではないだろう。
 機械である以上、その支配を一瞬にして全て奪われるなんて…。
 そして、父様はゲートを解放したらしく足先からゆっくりと光に包まれて行く。
 私は、完全にゲートを潜る前になのはに向けて言葉を紡いだ。


「なのは、何時でも呼んでね。
 私は、すっごく強いんだから!」

 そうして、私は一瞬にして部屋へと戻って行った。
 部屋に居たセインは「にゃ~ん」と一鳴きしたが、全く驚いた様子が無い。
 父様いわく、すでに何度かこの姿を見られてしまったとの事だ。



////////////////////////////////////////////////////////////////////


 あれから、数日がたち、リンディから一端なのはを家へと
 帰らせるとの報告を受けた。
 姉様にも教えてあげようと思ったのだが、父様が言わない方が
 良いと言ったので、今はまだ教えていない。


 普段通り、姉様と一緒に鮫島が運転する車で家へと帰る。
 私は、携帯でメールを送っている姉様の右側に座りぼぉーっと外を眺めていた。

「送信っと…」

「アリサお嬢様、何か良いお知らせでも?」

 姉様はメールを送信し終えたのか携帯を閉じる。
 鮫島は、最近元気のない姉様を気遣う様にメールの事に関して聞いた。

「別に…。
 普通のメールよ」

 姉様は、そっけなく応え、私とは反対の窓に顔を向けた時、
 何かに気が付いた様で
 鮫島に車を止める様に言い、車が止まったのを確認すると
 直ぐに降りて走って行ってしまう。

「姉様、何処へ行くの?」

 私は、姉様の後を追いかけながら、その背中に問いかけた。

「気のせいかもしれないんだけど。
 犬が倒れていた様な気がしたのよ」

 そして、道路から入る横道へと向かって走り始めると…。
 土の上に血の様な物が点々と染み込んでいる。

「やっぱり、大型犬…。」

 走って行く姉様にやっと追い付いた私の目に入ったのは…。


---------------------------->
,
,

補助生命体 ---> アルフと断定
----> 生命維持機能低下
--> 何らかの戦闘後と推定
,
,
------->> 様子見を推奨

---------------------------->


 ひどく弱った大きな犬だった。
 父様は、この犬の事を何だか知っている様な気がしたが、
 姉様は犬が大好きだから放っては置けないだろう。

 私と姉様が犬を見ていると、鮫島が後ろから追い付いてきた。

「怪我をしているようですな…
 かなりひどい様で…」

 鮫島は、犬の様子を見て呟く。
 確かに、口からは血が出ており、両手足は痙攣している。
 ギリギリで生きている様な状態だ。

「姉様、まだ生きてる…。
 治療をすれば、間に合う?」

 私は、姉様を見上げながら言う。
 姉様はすでに次に何をすべきかを理解している表情をしている。
 そして、鮫島に命じて犬を車に乗せて、急ぎ家へと戻った。

 私はその間、ずっと犬を撫でていたのだが、ほんの一瞬だけ
 犬の青い瞳が開き、此方を見た様な気がした。


 鮫島は、決して飛ばしたりしないのだが…。
 今日は、姉様の命令もあって普段の半分程度の時間で家へと帰ってこれた。
 父様が頭の中で鮫島のドライブテクに戦慄を覚えているのを無視して、
 姉様と一緒に犬に包帯を巻いて行く。



 結局、犬が目覚めたのは真夜中になってからだった。

「アンタ、頑丈にできてんのね。
 あんだけ怪我してたのに、命に別条はないってさ」

 私は、姉様の後ろからひょっこりと顔を出して犬を見つめた。
 頭の上に乗っかっていたセインも同様に犬を見つめる。

「怪我が治るまでは、家で面倒見てあげるからさ
 安心していいよ」

 そう言って、犬の頭を撫でていた。
 姉様は、基本的に動物に優しい。
 動物の方も、それを本能的に理解するのか、
 姉様に危害を加えようとする事は少ない。

 姉様は、暫くの間、その犬がご飯を食べている姿を眺めていた。
 私も付き合って、それを眺めていたが、途中で眠ってしまったのか
 姉様に寝室へと運んでもらう事になる。



---------------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------------------

○あとがき

 さて、そろそろラストです。
 うーん、一期分を書き終えたら、少し構成を考え直そうと思っています。

 とりあえず、一期分書き終えるまでがんばります!





[14292] 【習作】機械兵と少女 第十四の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/18 21:14

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fourteenth gear
《warfare》



 翌朝、学校に行くとなのはが登校していた。
 すずかと姉様は、凄く喜んでいる。

 すずかに至っては、なのはの手を握り喜んでいた。
 姉様は、相変わらずの性格な為か喜んでいるのにそっぽを向いている。
 なのはもすずかもそんな姉様の気持ちを理解しているのか、
 頬笑みあっていた。

 だが、なのはが私に向ける視線には、困惑の色が見て取れたのが、
 少しだけ辛い。


 少しだけ顔に出ていたのか、途中で姉様に心配されたが、
 体調が悪い訳ではないので、「なんでもない」と言って
 三人と別れ自分の教室へと向かった。


 教室では、知り合った子と他愛もない話をしたりして過ごしたが…。
 やはり、海が荒れた事などの超常現象ぽい話題は一切なかった。
 何らかの魔法で情報が漏れない様に操作でもしているのだろうか?

 そうして、何事もなく時間は過ぎた。

 帰り際、なのはが家で保護した犬に会いたいという事で四人で一緒に
 鮫島が運転する車に乗って帰る事になる。
 姉様、なのは、すずかの三人が後部座席で盛り上がっているなか、
 私は鮫島の横、助手席でのんびりと外を眺めながら、稀に注がれるなのはの
 視線に耐えていた。

 その視線は、少しの恐れと興味が含まれている様で、あまり気分の良いものでは
 無かったが、なのはから話しかけてこれない以上、下手に此方から話しかけるのも
 何だか良くない様な気がしたので様子見をする。


 程なくして、家に到着した。
 三人は直ぐに犬の元へと向かって行くが、私だけは鞄を置く為に一端、
 部屋へと戻ってから犬の元へと向かう。

 姉様、なのは、すずかと横に並んで犬の入っている檻を眺めていた。
 犬の方は、体調が優れないのか後ろを向いて俯いている。
 少し視線を下に向けると、ユーノ君が犬を見つめていた。

「姉様、犬…。
 どうかしたの?」

「うーん
 なんだか気分が優れないみたいなの…」

 姉様、すずか、なのはの意見により、犬の体調が良くなるまで
 簡単なお茶会を開く事となった。
 偶然、姉様が美味しいお菓子を頼んでいたので、ソレを食べながら
 のんびりと話をする。

 この時ばかりは、姉様とすずかがいる事もあってか、なのはは私に話しかけて
 来てくれた。
 内容は、基本的に私の教室での事だったが…。
 

------------------------------------->
,
アースラの監視を確認
,
補助生命体アルフと接触した模様
----> 重要データの転送要請
,
,
------------------------------------->


 途中からなのはは、席を外し、姉様とすずかに至ってはゲームに熱中している。
 なんだかアイテムを入手しなきゃとか色々と言っているようだが……。
 なぜここで、多人数がで来るパーティゲームではなく、一人で遊ぶタイプの
 RPGゲームをやり始めるのかが不思議だ。

 私は、そんな状態でも楽しそうに遊んでいる二人を、セインと一緒に眺めながら
 お茶とお菓子を食べる。
 姉様が選んだだけあって、凄く美味しい。


------------------------------------->
,
,
ミッション確認
--->【プレシア・テスタロッサの捕縛】
,
-->>拠点の確認
----->>フェイト・テスタロッサの保護
--->>高町なのはへの協力

------------------------------------->


 突然、頭の中に機械音声が響く、どうやら私と父様のやるべき事が決まった様だ。
 そして、なのはの方も話が付いたのだろうか、戻ってきた。

「遅いよ。なのは」

「なのは、少し進んだ。」

「ほら、新しいダンジョンに入るの待ってたんだよ。」

 姉様、私、すずかがなのはに声をかける。
 普段の柔らかい頬笑みを浮かべたなのはは、
 テレビ画面を見て「うわー、かっこいいねこれ」と言いながらソファーに腰かけた。

 画面には、真っ黒な雲に覆われた場所に佇むお城が写っている。
 どの辺りが凄いのか…私には少し分からなかったが、
 ゲームをのんびりと眺めた。
 
 私は、一切ゲームをやらずに、すずかと一緒に攻略本を見ていたが、
 色々なイベントのあるゲームだった為、見ているだけでもかなり楽しかった。


 楽しい時間は瞬く間に過ぎ去り、夕日がテラスを赤く染める。
 みんなで「楽しかったねー」と言いながらアイスティーを飲みながら、
 話し合った。

「ふぅー。中々燃えたわー!!
 レティ、クッキーは沢山あるんだから、慌てて食べないの」

「やっぱし、なのはちゃんがいた方が楽しいよ」

 姉様もすずかもなのはが戻ってきた事でかなり気分が良いらしい。
 普段ならば、私が沢山クッキーを頬張っていたら怒るのに
 今日に限っては、一切怒られないのがその証拠だ。

 なのはは、そんな私達を見て少しだけ不安そうな顔をして言う。

「ありがとう…。
 たぶん、もうすぐ全部終わるから…。
 そしたら、もう大丈夫だから…。」

 今までの姉様ならその不安げな表情を見て、怒りそうなものだが…。
 何故か不思議そうな表情をしている。

「なのは…
 なんか、少し吹っ切れた?」

「え…?」

 その言葉になのはは、驚いた様な表情をしている。
 私は私で、クッキーを頬張り過ぎて、焦っていた所を
 すずかに背中を撫でてもらって事なきを得た。

「そんなに沢山、口に詰め込んじゃダメだよ?」

 私が必死になっている間も姉様となのはの話は続いていたらしい。
 すずかは、私を助けながらも二人と会話をしている。

 一通り二人の話が終わった後、四人で他愛もない話をした。
 まあ、大体は私がクッキーを貪って……いや、食べている姿を
 三人が微笑ましく見守るという様な感じだったが…。


 その日は、楽しく過ごし、なのはは帰って行った。
 私と姉様とすずかが玄関で思いっきり手を振りながら
 見送ったのだから大丈夫だろう。


 そして、その夜…犬が檻をこっそりと抜け出すのを確認した。


-------------------------------->
プログラム起動開始
---> 旧躯体転送
,
,

----> ゲート開放
-->> 海鳴公園 ----> 転送開始

インビジブルチャージャー注入 <--
,
,

-------------------------------->


 私が、その場に転移した時には、既に戦いが始まっていた。
 空中で繰り広げられる魔法を使ったバトル。

 何故かはわからないが、身体が熱くなる。
 私も戦いたい。
 あの地獄の様な日々に……私も戻りたい物だ。

 一瞬だけ、沈黙を守っている父様の意思が私に流れ込む。
 それは、なのはとフェイトの戦いを見て、過去に自分が経験した
 1対1の戦いを思い出しているのだろう。

 最大の敵にして、最強の友であるとある二人の事が脳裏に浮かんだ。
 それは、父様の記憶でありながら自分の事であるかのように思える。


 二人の戦いは激しさを増し、フェイトのバルディッシュがなのはに迫った。
 それを紙一重で回避したなのは…。
 だが、行動予測をしていたのだろう。
 四発のエネルギー弾と思われる物がなのはに襲いかかる。

 それを全て防ぎきったなのはの息は完全に上がっているが、
 どうやらフェイトの方も今ので体力が限界になった様だ。

『フェイト・テスタロッサは、次の一撃で決める様だな』

 父様の言葉が、頭の中に響いた瞬間、フェイトの周りにもの凄い量のエネルギー
 反応が現れる。
 ソレのいくつかは拘束用であるらしく、
 一瞬にしてなのはの四肢の自由を奪ってしまった。

「あぁ、父様……。
 私も戦いたい……直ぐにでも!!」

 フェイトが全力を込めた攻撃をなのはに向けて放つが、
 なのははソレを耐えきっている。
 かなり、無茶をしている様に思えるが…。

 そして、フェイトの方も防ぎきるが、なのはの持つ杖である
 レイジングハートに今までとは桁違いの高エネルギー反応が感知された。

『……あの娘、中々良い性格をしているな
 殺傷設定にすれば、私の装甲の一部を消し飛ばせそうだ』

 頭の中で父様が愉快そうに笑っている。
 けれど、既にバリアジャケットもボロボロになっているフェイトに向けて
 あの高エネルギーを撃ち込むのは、どうなんだろうか?
 防御力の無くなった状態であんなのを食らうなんて、
 きっともの凄く痛いだろうに……。


 極太のビームがフェイトに向かって放たれる。
 ちょっと、哀れだと思うが、今助けに入れば私も痛い思いをするので却下だ。

 なのはは、落ちてゆくフェイトを追って海の中へ。
 さて、戦いは終わった様だし…リンディから命令が来るまで部屋で
 寝ていよう。
 戦いたいという欲求を我慢してその場から私が去ろうとした瞬間、
 紫色の落雷がフェイトへと降り注いだ。


------------------------------------>
上空より高エネルギー反応
,
,

プレシア・テスタロッサ確認
---> バトルスタンバイ
,
,

セイントフレームランチャー転送. . . .

自律プログラムにより拒否

------------------------------------>


「アハッ、来た。来た。来た。来た!!
 私の戦いの場が!!
 なのはばかり戦ってずるい!!」

 父様は、リンディに向けて何やら通信を行っている。
 だが、まだ良い結果は得られていないようだ。
 父様が通信を行っている内容は聞こえないが、
 きっと何か重大な事を話しているのだろう。

「戦いたい……戦いたい。
 アハッ、ハハハハ……。」


 私は、我慢が出来なくなり身体を動かそうとするが、
 何故か指一本動かす事が出来ない。
 ただただ、地獄の業火の様な欲求を我慢しながら、
 紫色の雷が発生した場所を眺めていた。



///////////////////////////////////////////////////////////


 どうやら敵が姿を現したようだ。
 私の目の前で、高エネルギーがフェイト・テスタロッサを打ちすえている。
 フェイト・テスタロッサは、限界だったのだろう。
 海へ落ちて行き、それを高町なのはが追いかけていた。

 問題は、その間にジュエルシードが紫の光に包まれて転送された事だ。
 私は、フェイト・テスタロッサと高町なのはの戦いに触発され、
 アクレシアとしての本能に飲まれかけている娘に身体を乗っ取られない様、
 躯体にプロテクトを張り、二人がアースラに回収されて行くのを確認してから
 リンディ・ハラオウンに向けて通信を開く。
 どうやら敵の位置を確認し、部隊を派遣したようだが、全滅したらしい。

 そして、プレシア・テスタロッサがフェイトという人形を作り出したという
 我々、アクレシアからすればどうでも良い事を長々と語っていたが、
 聞き耳を立てる価値もないので無視をしてリンディに話しかける。

『どうやら、やられたらしいな…
 私の娘が、本能に囚われ戦いたがっているんだが、出ても良いかな?』

「聞いていたのね…。
 プレシア・テスタロッサがいったい何をするつもりか知らないけれど、
 あの内部には、無数の魔力反応が確認されているわ」

 リンディ・ハラオウンは、少し切羽詰まった様な口調で言う。
 そして、何やらアラームの音と狂った笑い声が通信から
 聞こえてくる。

「くっ、なんてこと……!!」

 慌ただしい声とアラーム音。
 そして、この高エネルギー反応から察するに、ジュエルシードがいくつか
 暴走を始めたらしい。


---------------------------------->
,
,

高エネルギー反応補足 ---> 危険認識"SSS"
---> 戦闘は無謀と判断
判断
判断
判断
------->> 戦闘プログラム強制起動確認
---> 自律プログラムよりプロテクト解除要請を確認
拒否
拒否
拒否
拒否
. . . . . . プロテクト維持不可能

---------------------------------->

 更に悪い事に、ジュエルシードの暴走を感知した娘も戦いを求めて
 暴走し始めたようだ。
 アクレシアとしての本能に目覚めた娘を止める事は、私には出来ないだろう。
 停まる事の無い殺戮兵器としての宿命を背負った身体は、その意思を汲む者を
 優先する。

『……ぐっ、リンディ・ハラオウン……。
 す……すまない、が…娘が、暴れ出してね……
 もう…抑えられそうに、な、い……』

「ぇ?…ち…っと、…丈夫…の!?」

 何とか、プロテクトが解除される前にリンディ・ハラオウンに通信を行い。
 私のレティセンス・ゴーストとしてのプログラムは、停止した。
 



///////////////////////////////////////////////////////////


--------------------------->>
-------------------------------->>

プロテクト開放 ---> 戦闘プログラムランク2ダウン
旧躯体ランクに合わせ形状変化
---->
,
,
,

------> 躯体支配プログラム --> 自律プログラム

転送開始

--------------------------->>
-------------------------------->>


 純白と美しい水色の光を放っていた装甲は、レティシアを中心にして
 真っ黒に染まって行く。
 そして、彼女の狂った笑い声に触発される様に胸の隔壁は、両サイドに大きく開き
 囚われているかの様な少女の身体が露わになる。

 水色の光は真っ黒に染まり、代わりに体中に血管の様な赤い線が浮かび上がる。
 肩のパーツは、鋭く鋭利に尖った無数の棘の様に変化し、
 膝からは一本の刃の様なパーツが装甲を突き破り生えてきた。

 そして、頭部は西洋の兜をイメージさせていた物か鋭い角を後方へ生やした
 悪魔の様な形相へと変わって行く。

 ギチギチと嫌な音を立てながら、純白を纏っていた身体は、
 一人の少女の狂気を体現した様な姿へと変わり果てた。

------------------------------------->>
-------------------------------------------------------------->>
-------------------------------->>


 やっと、私の自由に動く身体を手に入れる事が出来た。
 今までの身体を「正義の味方」とするならば、
 今の体はまさに「悪魔の化身」と言っても問題ないだろう。

 体中を這う様に現れた赤いラインは、脈打つように赤い光を放っている。
 私は、流行る気持ちを抑えきれずにゲートを開放した。

 そう目標地点は、私に喜びと快楽を与えてくれるであろう。
 プレシア・テスタロッサの城へ。



 私が転送された先には、なのは、ユーノ、クロノの三人がいた。
 三人とも目の前に展開された敵の数に驚いているようだが、
 私からすれば、嬉しい限りだ。

「三人とも
 この玩具達は私が引き受けるから先に行って…」

 突然、私が話しかけたので驚いたのか
 それとも、いまの私の姿を見せ驚いたのか酷い表情をしている。

「ほら、入口で止まってたら先に進めないよ?」

 そう言いながら、こちらへ迫ってきていた玩具の足をもぎ取った。
 メギッとかグシャとか派手な音を立てていたが、
 結構簡単に取れてしまう。

「ッ……」

 後方で、クロノが息を飲む音が聞えた。
 だが、今の現状を見て、私を頼もしい味方と捉えたらしい。

「…彼女の言う様に、此処は任せて先に行こう」

 クロノは、すぐさま自分のやるべき事を確認し、扉へと向かって行く。
 なのはは一度だけ私を見たが、私が「大丈夫だよ」と微笑みながら言うと、
 「気を付けてね」と言って、ユーノと共にクロノの後を追って言った。

 巨大な玩具達は、入口へと向かうなのは達へと殺到している。

「私は、私で此処の玩具達を片っ端から排除して行くから!!」

 私は、全力で走りながら横を通り過ぎる玩具達のボディを抉り取って行く、
 どんな厚い装甲だろうが、アクレシアたる私には何の意味もない。


 そして、なのはたちの後ろを追いかけようとしていた玩具を全て片付けた後
 分厚い壁をぶち抜きながら突き進んでみたところ…。
 なぜか三人よりも早く次の部屋へと辿り着いてしまっていたらしい。

 部屋の中にいた玩具達を片っ端から解体している最中に突然、扉が開き
 三人が現れた時は、一体何が起こったのかと思ってしまった。

 なんでもこの部屋から道が二つに分かれているらしい。
 最初は、クロノが一人でプレシアを捕えに行くと言っていたが、
 駆動炉くらいなら私でも何とか出来そうだったので、私ひとりで行く事を
 提案する事にした。

「駆動炉は、私がやるよ。
 機械である以上、私に操作できない物は存在しないから」

「でも、レティちゃん
 一人で大丈夫……?」

 なのはが心配そうな表情と声で私に言ってくる。
 クロノに関しては、一切心配した様な表情を見せなかったのが、
 少しだけムカツク…。

「うん
 私なら大丈夫だよ」

 そして、私は部屋の中の玩具を踏みつけて砕きながら、
 駆動炉への道を突き進む。


------------------->
-------------------------->

 敵の腕を引き千切り、武器にしたり、敵の残骸を盾にしながら突き進んだ。

 途中で、躯体の右腕が引き千切られてしまったが、エイドHPチャージャーで
 無理やり自己再生を行い力押しで行く。
 この先にある、機械仕掛けの高エネルギー体を取り込む為に…。

 螺旋状に続く室内の自由自在に飛び回る敵は、非常にうっとおしかったが、
 今まで壊してきた玩具のパーツを投げたりする事で対処する。

 敵達も機械である以上、何らかのプログラムで再起動しない様、
 頭部を確実に粉砕し、胸部へと腕を突っ込み、内部にあった
 エネルギー発生装置と思われる物を引き抜いた。


 巨大な腕が壁を付く破り私を殴りつける。
 右側の装甲が歪み、私自身の口からも血が垂れる。

「やはり、戦いとは…。
 こうでなくてはな!!」

 エイドHPチャージャーで歪んでしまった装甲を修正し、
 巨大な敵に向かって殴りかかる。

 両肩に着いた大砲と思われる個所の片方に、スクラップにした
 敵一匹を放り込む。
 そして、もう片方の大砲に向けて自らの左腕を叩きこんだ。

 敵は、丁度チャージを始め打ち出そうとした瞬間だった為か…。
 大爆発を起こす。

「クッ……アハハハ!!
 ボロボロになってしまったが、私の勝ちだ!!」

 私の左腕は消し飛んでしまったが、敵は上半身が消し飛び
 再起動する事は不可能だろう。
 今はもう下半身だけとなった敵が最後の一体だったようで、
 私は多少苦労したもののこの巨大な何かを起動させている装置を
 入手する事が出来た。

 それは、意外なほど小さな赤い球だったが、ホーリーストーンや
 ジュエルシードが小さいのに関わらずもの凄い能力を持っている様に
 大きさなどさして関わりないのだろう。

「さてと、欲しい物は手に入ったし…。
 なのは達の方へ向かうとするかな」

 そして、私は左腕を再生しながらなのは達がいるであろう
 プレシアのいる場所へと向かって急いだ。


--------------------------------------------------------------
---------------------------------------------------------------






○あとがき

 とりあえず、あと…たぶん1話で一期は終了です。

 
 RFでPKを見かけると…何故か自分も参加したくなってしまうあの不思議!!
 アクの人は、誘うとみんなで行くので結構楽しかった思い出があります!
 誰か戦い始めるとみんなで仲良く、周りを巻きこんでプチ戦争……。

 あれは、あれで楽しいものがありました♪





[14292] 【習作】機械兵と少女 第十五の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/15 23:01
○予定--------->

 RF宇宙編の未実装アクレシア装備(名称不明)の画像を大量に入手しました!!
 今後、レティシアの成長具合により使用していこうかと思います。
 現段階の装備は、Lv55のどう見ても悪役装備です!!
 本来の装備は、Lv65の正義の味方ポク見える装備が基本と成っています。



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




final gear
《I Am Accretian》



 あの巨大な敵が最後だったと思っていたのだが、
 他にもまだまだ大量にいたらしい。
 大爆発に巻き込まれたらしい残骸を踏み越えて、無数の敵が溢れ出してきた。

「まだ私を楽しませてくれるの?
 でも、なのはの所に急いでるんだ…。
 あと、セインのご飯までには帰りたいから邪魔」

 エイドHPチャージャーで半ば無理やり再生させた左腕を数回握ったり、
 開いたりした後、目の前にいる敵の顔面を蹴り飛ばす。
 吹っ飛んで行く頭が通路に叩きつけられたのを合図にする様に敵が群がってきた。

 その敵の真横を通り抜ける際、駆動部分をもぎ取り、頭部を粉砕する。
 同時に私の装甲も削れて落ちて行くが、父様の中にある戦士達との
 戦いの記憶に比べれば、此処の敵は玩具と言っても過言ではない。
 いや、玩具というよりも更に低レベルだ。

 一人、一人が命を掛け、ありとあらゆる手段を用いて相手を殺そうとする。
 戦場の戦士たちと殺しあった記憶、奪い合った記憶…。
 この人形たちも私を排除しようとしているのだろうが、
 命を理解していないモノである以上、戦いに狂喜を覚える事もないのだろう。
 そして、戦いに生命の尊さを見出す事も出来ない。


 その様な存在が、300年以上も戦い続けた父様の…。
 アクレシアの身体を破壊する事は不可能な事だ。


 私は駆け抜ける。
 遠い昔の思い出を胸に…。
 真っ黒な躯体から真っ赤な光を漏らしながら。

「そこをどけぇ!!
 私は(我は)、友達(友)の元へ行くんだ!!(行くのだ!!)」


--------------------------------->
武装解放 ---> レリック転送

,
---->>レリックウェポン[ケルベロス]
-------->> オリジナルプログラム開放
,

スロット--[7]---->>[無知]<<----
,

,
--------------------------------->


 そう咆哮した時、目の前に青い光を放ちながら、発射口が3つも
 付いている銃と言うには、異常なほど巨大な物体が現れる。

 父様のデータの中に存在する他種族の研究者が、
 狂気に憑かれ、偶然の産物として作り出してしまった最悪の銃火器…。

 その重量からアクレシアでしか持つ事が出来ず、
 その反動からアクレシアだけしか使用できない最悪の殺戮兵器…。

 その名を〝ケルベロス〟
 初期人類が記した神話に登場する3つの首を持つ、
 魔犬の名を冠した銃火器(ランチャー)。
 私は、ソレを手に取り、目の前に立ち塞がる敵に向かって銃口を向ける。


-------------------------------->
,
,

レリックウェポン --> 接続確認
---->>オリジナルケルベロス

,
能力解放 ---><---
,

CG転送 ---> 高速展開


-------------------------------->


 右腕で掴んだケルベロスを覆う様にして巨大な機械の塊が現れた。
 それは、躯体右側の機構と接続されながら展開して行く。

 銃口と銃身を上下から挟む様に装甲が現れ、
 右脚の後ろにショックを吸収する為のモノなのか、抑えの様な機械が現れた。
 見方によっては、身体の右側が一つの巨大な銃になってしまっている様に
 見える事だろう。

 そして、ケルベロスがその名に相応しい咆哮の様に聞こえる駆動音を響かせた。
 私は、その咆哮に応える様に思考入力で動き出す機構を使用する。

〔Compound Siege(コンパウンド・シージ)〕

 ケルベロスより放たれた三発にして一発の弾丸は、敵の中心部へと着弾すると同時に、
 周囲を巻き込みながら大爆発を起こす。
 着弾地点より、一定範囲の敵を消し飛ばすCGを用いて発動する特殊攻撃機構

 そして、続けざまに対象を確実に破滅へと導く一撃を放つ。

〔Doom Blast(ドゥーム・ブラスト)〕

 ケルベロスから三発にして一発の弾丸が合計三回放たれ、
 CGが何度も激しく揺れる。
 接続されている右腕が引き千切られてしまいそうな衝撃が私を襲った。

 私は、何とか衝撃を耐え、正面を見据えると…。
 射線上に存在していた敵、壁、ありとあらゆる物が消し飛んでいた。
 さすがに反動が大きい為、連続で使用する事は出来ないが、
 もはや対象とする敵すら存在しない状態である。
 CGを素早く収納し、反動で機能停止してしまった右腕を引きずりながら駆け抜けた。


 内部機構がボロボロになった状態で、なのは達の元へ向かって走っている時、
 揺れが一段と酷くなり、通路のそこかしこにヒビが生じる。
 どうやら、全ての事柄に決着が付いてしまったらしい。

「ちぇ……ここまでか
 ゲート開放、アースラへ転送開始」


-------------------------------------->
,
,

ゲート開放命令受理
---> ゲート開放
,
,

------> アースラ医務室

-------------------------------------->


 父様の体、旧躯体を亜空間に戻した時、ダメージが私の体にも
 影響を与えたらしく。
 傷だらけの状態で意識を失った。

 最後に見たのは、泣きそうな表情で私の治癒をしている
 見知らぬアースラ乗組員の女性だった。



////////////////////////////////////////////////////////////////////


--------------------------------------->
,
,

アリシア・テスタロッサ解析バグ集合
頭部回収後撤退 ---->

プレシア・テスタロッサ確認 ---->>
生命反応確認 ---> 感知できず
---> 死亡

---->> 生前の精神状態より
    脳の再利用は不可能と判断

脱出後 ---> レティセンス・スペアパーツ使用

*****
-->> アクレシア生成
--->> 記憶サルベージ不要
---->> 通常躯体作成
--->> バニングス家使用人を模倣

*****

------------------------------->
----------------------------------->
--------------------------------------->


 アリシア・テスタロッサの入っているカプセルが内側から割れる。
 割れた個所からは、ボロボロになり、骨が露出している小さな白い腕が見て取れた。
 目を閉じ、死んでいる少女は身体を起こして行く。


 そして…。
 突然、少女の腹部が膨らみ始め、限界まで達した瞬間、弾け飛んだ。
 ぐちゃぐちゃになった腹部からは、鋼の体を持った奇妙な虫の様な物が
 這い出てくる。

 その奇妙な虫は、足と思われる部分の全てを使い、器用に少女の頭を掴むと…。
 「ジュッ!!」という何かを焼き切る様な小さな音を響かせ、
 次の瞬間には、姿を消した。


 次元震に成り損ねた虚無空間に漂うのは、安らかな死に顔の女性と
 ぐちゃぐちゃになった首の無い幼い少女の亡骸だけ……。




////////////////////////////////////////////////////////////////////



 次元震が納まる数日の間、私はアースラで過ごす事になった。
 だが、体中がボロボロになり、中身までもボロボロになってしまった私は、
 アースラの医務室でベッドの上だ…。
 父様は、そんな私を治癒する為に作業している。


 なのはは、何回かお見舞いに来てくれた。
 他愛もない話をし、姉様に一緒にいる事を伝えてくれたらしい。

 そうそう、驚いた事と言えば、男の子のユーノ君が動物のユーノ君だと
 判明した事だろうか…。
 アレは、衝撃的だった。

 だってそうだろう? 究極の覗き魔だ!!
 あの温泉で……私の裸体どころか姉様とすずかになのはの裸体まで見るとは、
 今のうちに息の根を止めておくべきだろうか?
 その考えを読みとられたのか、数日後にユーノ君は土下座をして謝ってきた。

------------------->>

 クロノに至っては、無茶をし過ぎだのなんだのと、いちゃもんを付けてくる。
 エイミィさんが「あれは、クロノ君なりの心配の仕方なんだよ」と
 言ってくれなかったら、無事な左腕だけ呼び出してぶん殴っていた事だろう。
 そもそも、私と父様をロストロギアだと勘繰っていた男の態度だとは思えない。
 
 エイミィさんとは、結構仲良くやっている。
 話題の内容は、主にクロノに関してのことだ。
 〝どうやってイジメてやろうか〟と言う話に花が咲き、仲良くなった。
 そして、いつの日かクロノに和ゴスを着せるという目標まで出来てしまう。

------------------->>

 アースラの医療スタッフは、私の自己再生にかなり驚いていた様で、
 解剖されないかビクビクしていたのだけど…。
 私がアースラへ戻った際、一番に治療してくれた女の子
 …フェイリア・ラビという名前だそうだ… が庇い続けてくれている。
 彼女も医療スタッフの一人らしい。

 リンディに詳しく聞いたところ。
 なんでも、攻撃魔法や補助魔法は一切使えないらしいが、
 防御魔法と回復魔法の二つに限っては、天下一品との事だ。

 父様に相談して、フェイリアの持つデバイスに特殊回線を開ける様に
 設定してもらう程に仲良くなった。
 やはり、一番長く接していたという事もあるが、
 優しく包み込む様な雰囲気も感じる。
 この感覚は、やはり私との年齢差が9歳もある為だろうか?
 だが、私が16歳になってもフェイリアの様な雰囲気は纏えそうにない。

------------------->>

 私のアクレシアとしての力に関しては、リンディとの相談により、
 父様をデバイスとして偽装する為、声だけが届く青い球体のついた
 ネックレスを作成してもらった。

 物はそこまで複雑ではなく、デバイスの様に見える通信機だという。
 一応、勘繰られない様にデバイスとしての機能も
 ほんの少しだけ付いているらしいが…。
 私には、素質と言う物が無いらしく使用する事は出来ない。

 まあ、リンディいわく「リンカーコアに非常によく似た物は確認できたが、
 体内にエネルギーを送る心臓としての役割をしている為、使用できない」
 という事だ。

 父様が言うのは、それはアクレシアコアというらしく、私達の心臓部に当る
 大事な機構らしい。
 ここからエネルギーを外へ出す事は、心臓から直接血を抜き取るのと
 同じ事だと言われた。

 リンディ達に内緒で新たに取り込んだロストロギアも浸食が終わり、
 アクレシアコアの一部と成っている為、そこから力を抽出する事も
 出来ないそうだ…。

------------------->>

 魔法が使えない事を少し残念に思いながら、アースラで楽しい数日を送る。
 さて、明日は姉様の待つ家へと帰る日だ。
 



-----------------------------------------------
---------------------------------------------------



○あとがき

 さて、一期は一応此処でおしまいと成りますが…。
 次の話は、後日談にしようと考えています。

 A'sに入る際には、レティシアが入院していた時のささやかな薄い縁を
 使用する予定です。



○今回出てきたアクレシア・スキル!!

 アクレシア・クラス --- Gunner・Striker専用スキル

 Compound Siege(コンパウンド・シージ)
  CGを展開した状態でのみ使用可能な特殊スキル
  発射された弾丸の着弾地点から半径4m程を一瞬にして
  消し飛ばす事が出来る。

  エネルギーチャージ量が少なく、非常に使い勝手の良い広範囲攻撃
  また、Gunner・Striker専用スキルの中でも最も多くの命を奪っている
  スキルの一つではないかと…。

  ゲームでは、実装済み!!


 Doom Blast(ドゥーム・ブラスト)
  日本サーバーでは「Mightblast Siege」(マイト・ブラスト・シージ)と
  呼ばれていると思われるスキル

  攻撃タイプまたは上位のCGを展開した状態でのみ使用可能な特殊スキル
  対象に対して連続で弾丸を放ち、死を与える最凶の砲撃
  射程範囲に入った存在をこのスキルのみで葬る事も可能な程の高威力

  ただし、チャージ時間が非常に長い為、連続して使用できるものではない。
  
  ゲームでは、実装済み!!
  (日本サバとグローバルサバでは名称違いだけど、性能同じ)



○RF豆知識


 CG高速展開---->
  普通にCGを展開しようとすると6~7秒のタイムロスが発生しますが、
  高速展開をする事でこのロスタイムを無くす事が……。

  ちなみに、方法は二種類ありますが、今回レティシアが使用したのは、
  海外でよく使われているタイプの高速展開です。

  いまは、二種類とも出来なくなった様な気がしますが、
  やるとアカバンらしいですよ?
  バグ利用みたいなもんらしいです。
  アカバンでなくとも、仲間ハズレにされたりするみたいです。





[14292] 【習作】機械兵と少女 第十六の歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/18 22:49
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sixteenth gear
《another first》
 

 誰も近寄らぬ山奥に佇む洋館…。
 そこで、人知れず一人の女性が自殺した。

 その女性は、親族も血族も一切ないが、若くして莫大な資金を手に入れる。
 容姿端麗と言う事もあり、男にも困らなかった彼女は、たった一人の男に
 騙され、破産してしまう。

 彼女は、あまりにも若すぎた為、その絶望と多額の借金に苛まれ…。
 20代前半にしてその命を自ら閉ざしてしまった。


--------------------------------------->
,
,

機能停止した生命体を発見
----> 新規躯体としてボデイを使用
,
,

-------> 脳廃棄
--->入手脳「アリシア」をセット
,
,

ボディ名「イリス・ローウェル」と判明
---> 普通自動車 第一種免許
----> 大型自動二輪 第一種免状
,
--> その他多数のライセンスを確認

----> 制御検索 ---> 使用可能と判断
,
年齢 21歳 ---> 性別:女性
--> 内部生体部品不要
,
,
----> 生体部品「脳」のみ
,

-> 設定〔ファントムシャドウ〕

--------------------------------------->


 彼女、イリス・ローウェルの体は、鋼で出来た奇妙な虫により
 隅々まで弄られ、改造される。
 彼女を彼女としていた〝脳〟は、奇妙な虫が一本の足で
 グチャグチャに粉砕してしまった。
 そして、代わりの〝脳〟を彼女の頭部に埋め込み始める。


--------------------------------------->
,
--> 生体部品移植完了
,
----> 最終段階へ進行
--> 胸部コア移植開始
,
,
,

---> 胸部エネルギー反応確認
,
-> データ照合中 --> 照合中 --> 照合中

,

----> リンカーコアと判明
--> アクレシアコア浸食開始
,
,

--------------------------------------->


 ゆっくりと、ゆっくりと人間以外に改造されて行く…。
 そして、10時間ほど経過した時、その場に居たのは…。
 凍りついた様に一切の表情が無い冷酷そうな、良く言えば、
 どんな時でも冷静そうな一人の女性が佇んでいた。


--------------------------------------->
,
,

プログラム ---> ファントムシャドウ設定
---> アクレシア【アリシア】起動

,
目標地点 --> バニングス家

,
,

----> 使用人として指揮官機に接触


--------------------------------------->


 誰にも知られる事無く死んだ女性は、新たな脳と新たな身体を手に入れ、
 一人の少女を主とする為に洋館を去って行く。

 それは、この世界で初めて、不完全ながらも純粋な
 アクレシア兵が誕生した瞬間でもあった。



/////////////////////////////////////////////////////////////////////////


----> come home <----


 アースラの乗組員に見送られ、私はなのはと一緒に海鳴市へと戻ってきた。
 なのはとは、送還地点である海鳴公園で分かれ、家へと向かう。

 もちろん、足で行くのはキツイので電話をして鮫島に迎えに来てもらった。
 迎えの車の中には、瞳をウルウルさせている姉様と全然知らない新しい
 メイドさんが後部座席に乗っている。

「おかえりなさい。レティ」

「おかえりなさい。レティシアお嬢様」

「おかえりなさい。お嬢様」

 姉様の言葉、鮫島の言葉、知らないメイドの言葉に私は、目元にうれし涙を湛え、
 頬笑みを作りながら応えた。

「ただいま。お姉様、鮫島、ぇ~っと?」

「イリス・ローウェルと申します。
 お嬢様付きのメイドをさせて頂きます」

「わかった。
 よろしくね」

 感情を感じさせない声でイリスが自己紹介を行った。
 そして、鮫島の運転する車に乗って家へと帰る。

 車内では、なのはと遊んだ事、クロノと言う少年と遊んだ事、
 ペットのユーノ君と同じ名前のユーノと言う少年と遊んだ事、
 フェイリア・ラビという女性と知り合った事などを話した。

 姉様は、楽しそうに聞いてくれ、鮫島も微笑んでくれる。
 心なしかイリスも微笑んでいる様に思えた。



 そして、翌日…。
 学校へと向かう途中、すずかが泣きそうな顔で私を抱き締めてくれた。

「おかえりなさい。レティちゃん」

「ただいま。すずか」

 行きでは、なのはとは合流しなかったので、三人で学校へと向かう。
 途中で姉様達と分かれ、私は教室へと向かった。

 教室では、何事もなく普段通り対応だったが…。
 一応、隣の席の子がプリントとノートを纏めていてくれたらしく
 その日は、今日の授業と今までのプリントとノートを纏める事で
 一日を使い終えてしまった。
 姉様とすずかは、教室でなのはと会う事が出来たらしい。


 そうして、私は今まで通りの日常へと戻って行った。
 唯一の違いと言えば、専属メイドにイリスがいる事くらいだが…。
 そのイリスは、父様が用意した私を守る為のアクレシア兵らしい。

 本来、アクレシア兵を生み出すためには、アクレシア帝国の許可と
 特殊な洗脳教育を必要とするという話だけれど…。
 此処には、アクレシア帝国が無いので「許可など必要ない」と言って
 父様が勝手に同胞を増やしてしまったのだ。

 偶然入手した〝記憶の無い脳〟と〝新鮮な遺体〟を用いて作られているらしく、
 既存のアクレシア兵に比べると耐久力は脆いが、対応能力は高いらしい。
 あと、基本的に私の護衛として動いてくれるそうだ。

 罠の使用に優れ、隠密行動を得意とする「ふぁんとむしゃどう」とかいう
 クラスだというが、私にはよく分からない。
 とりあえず、移動能力にも優れ、呼べば何処へでも来てくれるのだそうだ。

 「魔法って便利だなぁー」と感じていた私も、
 「アクレシアの能力って魔法よりも便利かも?」と感じてしまった。



////////////////////////////////////////////////////////////////



 それから何事もなく数日が過ぎたとある日…。
 リンディから報告があった。

 なんでも、フェイトの事情聴取と裁判が行われるらしい。
 なのはがフェイトと会うらしいんだが、私も来ないか?と誘われた。

 私は、なのはの付きそうと言う形で会いに行ったが、
 なのはとフェイトを残し、クロノ、アルフ、私に会いに来たらしいフェイリア
 と一緒に離れた位置で見守る事にした。

 そして、私とフェイリアが会話を始めると「さて、少し周囲を見てくるよ」と
 クロノが言い「ぁ、私も行くよ」とアルフがそれに続き去って行く二人…。
 何故か、二人が頬を赤く染めていた様な気がしないでもないが、
 きっと気のせいだろう。
 その時の二人からは、家でメイド達から感じる視線とは別物だが、
 似たような物を感じた。

「レティシアちゃん、元気そうでなによりです。
 怪我の方も問題なさそうですね」

 フェイリアは、一番最初に私を診ている為、身体に関する秘密を多く
 知っているが、その事には決して触れない。
 私の体は、普通に見れば人間にしか見えないが、細部まで調べると
 生きている機械としか言い様のないものだ。
 生身の部分と言えるのは、私自身の胴体と頭くらいな物で、
 両腕と両足、頭髪の一部と背部の一部は、父様の体と接続する為の
 接続用プラグとなっている。

「うん、問題ない。
 内部は完璧に再生したし、出力も安定してるから」

「そう……。
 でも、あまり自分の事を機械の様に言ってはダメですよ?」

 一瞬だけ悲しそうな表情を見せるフェイリア…。
 彼女は、私が〝再生〟とか〝出力〟とか〝機構〟という言葉を
 自身の体の事を指す際に使うといつも悲しそうな顔をする。
 きっと、生命を助ける者として、身体を部品として扱う様な言葉が
 許せないのだろう。

 仲良くなったとはいえ、私にはまだフェイリアの本当の気持ちを
 理解する事は出来そうにない。

「ん…。
 わかった。」

「あと、レティシアちゃんはお嬢様なんだから
 言葉遣いもしっかりしなきゃね」

「え゛……?」

 超にっこりとしているのに〝怖い〟と感じる笑顔で迫ってくるフェイリア…。
 「髪も綺麗だし……」とかなんとかブツブツ言っている。
 何故か動けず、ブルブルと震えるしかない私の耳に
 遠くの方からクロノとアルフの声が聞こえた様な気がした。

「ま、まて、早まるなフェイリア!!
 ストップ、ストップだ!!」

「あぁ!! 白い嬢ちゃんが食われる!!」


 そんな軽い騒動の後、なのはとフェイトの別れは済んだようだった。
 二人の髪を止めていた紐が解けている事から交換でもしたのだろう。
 なのはがアルフに話している間、私はず~っと、フェイリアに抱き付かれていた。

 そして、別れの時……。


 フェイリア、クロノ、フェイト、アルフの下に転送用の魔法陣が展開される。
 なのはは、ユーノ君を肩に乗せ、フェイトから貰ったのであろう黒い紐を
 握りしめながら、瞳に涙を貯めていた。

「バイバイ…。またね…。
 クロノ君、フェイリアさん、アルフさん、フェイトちゃん」

 フェイトが転送される前に此方に向かって手を振る。
 なのはもそれに応える様に手を振っていた。
 そして、程なくし4人は転送され、戻って行ってしまった。

「なのは」

「なのは、また会えるよ」

「うん!」

 ユーノ君と私の言葉になのはは、笑みを浮かべた表情で応える。
 まだ、目元が赤いが、これなら大丈夫だろう。

 さぁ、帰ろう…。
 魔法がもたらした不思議な物語、不思議なお祭りはもう終わったのだから…。
 さて、明日は姉様、すずか、なのはと一緒にショッピングだ!!



///////////////////////////////////////////////////////////////////


----->〔 dicker 〕<-----


 薄暗く何をする為の部屋だか判別の付かない一室に男が一人…。

「いやまさか、この私よりも狂っている存在がいるなんてね」

〔我々から言わせれば、その様な肉を被っている時点で
 狂っているとは言わんよ。
 それに、貴様の言い方では、我が種の全てが狂っている事になる〕

「そうかい?
 ところで、君たちの同胞とやらを本当に提供してくれるのかい?」

〔あぁ、構わんとも
 我々としては、貴様らが殺され、ヤツがIMPERATORとして目覚めれば良し。
 破壊される程度ならば、元より不要だ。
 好きにするが良い〕

 スクリーンに話しかける男は、紫の髪に白衣を着た男性であり確かに人間だが、
 スクリーンに映り込む声の主は、真っ白な鎧と頭部に生えた真っ赤な角が
 特徴的な兜を着けたとても人間とは思えない存在だった。
 そして、薄暗い室内には、二つの笑い声が木霊する…。



///////////////////////////////////////////////////////////////////
------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------


○あとがき

 これにて一期後日談は終了です。
 最後の方にちょっとしたフラグぽい物を立ててみました。

 A'sでチマチマッとソレぽい事をやってみようと思います。
 とりあえず、此処までに出てきたらオリキャラ達のプロフィールとか
 詳しく書いて纏めてみようと思います。


 Stsを見直して、スカさんの口調とか確認したのですが、
 こんな感じかなぁ? と言うのになってしまいました;;




[14292] 【習作】機械兵と少女 第十七の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/21 20:20
○A's開始です!

 海外サイトを片っ端から調べまくってアクレシアの情報を集めました!
 A'sでは、実装されなかった装備(画像だけある)とか
 実装されなかったスキル、チップ(アクレシアのアクセサリー)等々を
 描写して行きたいと思っています。
 ただ、名前が無い為、見た目にあってそうな名前を私の方で見繕っています。


 あと、ヴォルケンリッターという名前の防具があるのですが、
 使うと混ざっちゃいそうですね…。



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」



○seventeenth gear of darkness
《square one》



-------------------------------------------->
,
,
,

緊急事態発生!
緊急事態発生!

未確認高エネルギー反応確認
解析不能
---> データ不足と認識

データ内のロストロギアに反応一致なし
,
,

----> 探査用バグ放出
--> 探査開始
,
,

-------> 高感度衛星索敵開始
,
,

--> 反応消失

,

高エネルギーパターン記録 ---> 完了
--> 同反応感知を確認次第
  探査バグ放出
,
,

----> 自律プログラムより停止指令確認
--> 承認
,
,

-------------------------------------------->


 それは、真夜中の出来事だった。
 突然、頭の中に無数のデータが展開される。
 空から見た状態、地上から見た状態、宇宙から見た状態、亜空間から見た状態の
 無数の海鳴市が頭の中に映像として表示された。

 緩やかな眠りを貪っていた私としては、たまったもんじゃない。
 普段は、父様がこういったデータの処理をしてくれるのだが、
 今は取り込んだロストロギアを解析する為、
 感情機能を閉ざしてしまっている。
 私は、頭の中に無数に表示されるソレらを手早く隅へと追いやり、
 寝ぼけ眼と目覚めぬ頭で時間を確認した。

「……まだ、夜のお昼過ぎだよ?
 私は、寝るのぉ~」

「お休み中、申し訳ありません。
 先ほどの高エネルギー反応、如何致しましょうか」

 私が寝ようとし、抱き枕を抱きなおした時、突然ベッドの横から声が掛る。
 その声には、感情らしい感情は一切なく、機械的なものだ。
 だが、問題はソコじゃない。

 「一体、いつからそこにいたんだろう?」と思ってしまう様な
 気配の無さで現れるのが問題だ。

「ねぇ…。
 何時からいたの?」

「レティシアお嬢様が御就寝なさった直後からです
 いついかなる時でもご命令を」

 私の問いに素直に答えるイリス・ローウェル…。
 いや、この世界で初めて生まれた暗殺特化のアクレシア兵

「何処で寝るの?」

「生体部品である脳が疲労を感じた際に20分程、リペア状態に入ります」

 私の求めている答えとは、異なる事を言うイリス…。
 本来、アクレシア兵は睡眠と言う物を必要としない。
 精々、脳が疲労を感じた際、10~20分ほど動かなくなるだけだ。

 だが、その状態はとてもではないが、睡眠と言えた代物ではない。
 常に周囲を索敵し、敵対反応を発見次第動き出す。

 半分人間、半分アクレシアの私には、真似など出来ない芸当だ。
 いや、このフワフワでモコモコな感覚を奪われるくらいなら
 一生真似などしたくない。

「指揮官機として命じます
 自室で待機!
 その後は、普段通りの行動!」

「Yes! Ma'am」

 言葉と同時に、両足を揃え、右手を左胸に当てたのち、右手を右前方へと
 持って行く、アクレシア風の敬礼した後、部屋を出て行った。
 なんだか、最後のポーズは、運動会で「宣誓ー」ってやる人にソックリだ。

「これで、ゆっくり眠れる」

「にゃー」

 呟きに答える様に返事をするセイン…。
 どうやら、イリスの気配で起きてしまったらしい。
 私は、愛用の抱き枕を抱き直し、眠りに就いた。

 結局、寝付いたのは深夜1時を回った後だったけど……。



/////////////////////////////////////////////////////////


 ピピピッ、ピピピピッ、と五月蠅くなるデジタル時計。
 現在、早朝6:23分

 なのはと訓練の約束をした時間の12分前だ。
 私は、手早く冬用の私服に着替え出かける支度をする。
 普通に出かけては、色々と問題があるのでゲートを使用する事にした。

「……ゲート開放
 場所指定、海鳴市の桜台」

「にゃー」

 白い光が私を包み込む寸前、セインが私を見つめて
 寂しそうな鳴き声をあげる。
 そして、さらにウルウルとした瞳で私を見つめていた。

「一緒に行く?」

「にゃぁーん」

 セインは、元気に応えて私の肩に乗っかってくる。
 爪を出さないで器用に登ってくる辺りが、
 普通の猫よりも少しだけ知能が高いイメージを与えた。


---------------------------------->
,
,

自律プログラムよりゲート開放要請
----> 追加転送要請 --> セイン
--> 承認
,
,
ゲート開放 ---> 目標地点:桜台
,
,

------> ゲート開放

---------------------------------->


 光に包まれた視界が鮮明になった時、目の前には驚いた表情の
 なのはが突っ立っていた。
 このゲート自体は何回も見ているはずなのだけど……?

「おはよう、なのは
 どうしたの?」

「……ぁ、おはよう、レティちゃん
 セインちゃんも連れてきたんだね
 ……ぇっと、普段の姿でも〝ソレ〟使えたんだね」

 そういえば、父様の身体を使用していない時にゲートを使ったのは、
 今回が初めてだったかな?
 なのはに一通りの力は、父様の身体を呼ばなくとも使用できる事を伝え、
 一緒に訓練を始める。


 なのはの方は、魔法の操作性を上げる練習なのか、
 空き缶を最低限まで威力を下げた魔法で打ち上げていた。
 カラン、カランッと空中を舞う空き缶……。
 レイジングハートは、なのはの魔法が空き缶を弾く数をカウントしている。


 私は、セインをレイジングハートが置かれているベンチに座らせ、
 ランチャーとは異なる、今の私でも使えそうな武器を呼び出した。


-------------------------------------->
,
,

---> 武装要請確認
--> レリックウェポン
  [ツインインパクト]転送


-------------------------------------->


 手の中に青白い光を放つ、私でも持てる様に
 調整された二挺の拳銃が現れる。
 そして、それと同時に腰のあたりに専用のホルダーと
 特殊弾が満載した〝マガジン〟も現れた。

 マガジンに至っては、一つ一つ名称が異なり、

 〝ギガ マガジン〟が普通の弾丸、いうなれば無属性
 〝ギガ エクスプローディング マガジン 〟が火属性
 〝ギガ アイス マガジン〟が水と氷属性
 〝ギガ べノム マガジン〟が土と毒属性
 〝ギガ ミネラル マガジン〟が風と雷属性

 とまあ、こんな具合に其々のマガジンに力が宿っている。
 見た目は、どう見ても20数発しか入らないエアガンのマガジンに
 ソックリなのだけど、内容量は500発と有り得ない多さだ。

 いまは訓練なので、片方の拳銃をホルダーに戻し、
 通常の弾丸である〝ギガ マガジン〟を装填する事にした。

「よいしょっと……」

 ガションという音をたて、マガジンが装填される。
 これがデバイスならきっと「magazine Load.」とでも言いそうだが、
 手動というのは、あまりにもカッコ悪い。

 父様の身体を使っている時は、全て自動で装填などが済まされるが、
 私自身の身体では、手動で弾を装填するしかないのだ。

 私は、左手に持った空き缶を空中に放り投げ、右手で持っている銃の
 狙いを定め、引き金を引く。
 ドムゥッと、重そうな音がするが、その割に反動は少ない。
 だが、その威力は、空き缶が粉々に消し飛ぶほどだった。

「……ほぇ?」

「………。」

 隣で集中していたなのはが〝ぽかぁ~ん〟とした表情でこちらを見つめ、
 制御を失った魔法は消え去り、空き缶は地面に落ちる。
 レイジングハートに至っては「over kill.」とか言っていた。


-------------------------------------->
,
,
---> 武装説明
--> レリックウェポン
  [ツインインパクト]

----> 障壁、防壁、防御 --> 100%貫通
--> 物理破壊特化

---> オートディフェンス
----> 敵対攻撃無効
--> 現耐久ポイント 100%

-------------------------------------->


 頭の中に使用した銃の詳細情報が流れる。
 どうやら、対装甲&対フォース(魔法)防御突破用に開発された銃らしい。
 敵の攻撃を無効化しながら、敵の防御を無効化するという。
 一見、最強そうに見えるが、攻撃無効化には限度があり、
 出力の高い攻撃は防ぎきれないらしい。
 あと、異常なまでに射程が短いという弱点もある。

「……と、とりあえず、それは、練習用じゃないよね?」

 武装に関して、色々と私が考えていると、
 なのはが酷く焦った様な表情と微妙に震えた声で話しかけてきた。

 何もそこまで怖がる必要はないと思うが…。
 デバイスと違って非殺傷設定なんてないから、
 普通の人、なのはやフェイト並みの障壁を持ってない人では、
 空き缶の様に消し飛ぶかもしれないけれど…。

「リンディに非殺傷設定のデータもらう」

「うん、そうして!」

 とりあえず、あとで非殺傷設定に関するデータをリンディに貰う事にした。
 データを貰って解析し、アクレシアの武器にも反映されるまでは、
 使用を控えた方が良いかもしれない。

「訓練用とかは、ないのかな?
 ほら、アースラには訓練用デバイスっていうのが
 置いてあったから…」


 なのはのその言葉を聞き、適切だと思われる武器を呼び出す。
 武器は、一種類しか持つ事が出来ない為、先に呼び出した青白い光を放つ銃は、
 ゆっくりと薄れながら消えていった。


-------------------------------------->
,
,

武装再要請確認 ---> 認識
---> 訓練用

---> [訓練用ハンドガン]転送
,

-----> 訓練用マガジン
--> 衝撃弾 <--

-------------------------------------->


 手の中に淡い光を放ちながら、無骨な拳銃が現れる。
 と言っても、両手でやっと持てる大きな拳銃だが……。

 同時にマガジンの方にも変化が現れた。
 500発マガジンが、50発マガジンへと変化し、今まで持っていた
 マガジンよりも何故か重い。

「うわぁ……。
 何だか、さっきのよりも凶悪そうなの……」

「むぅ、どうせだから擬装バリアジャケットも試す」

 なのはは、興味深げに私を見つめる。
 「どんな服装なんだろうね?」とか「可愛いといいね」とか呟いていた。
 そして、ハッキリとした言葉で…。

「レティちゃん
 がんばってなの!」

 と言ってくれる。
 私はその言葉に頷き、なのはがBJを展開する時に言っていた言葉を
 真似た言葉を口にした。

「我、鋼鉄の申し子なり
 拘束されし、この力を解き放て
 心は鋼に、血は水銀に、そして不滅のギアをこの身に、この手に破壊の化身を…。
 アクレシアコア、イグニッション!」

 言葉が紡ぎ終わると共に、体を純白の光が包んでゆく。
 その光は、無数の蒼いラインが引かれたスーツとなって身を包み、
 肩から胸にかけてを柔軟性の高い蒼い装甲が覆い隠す。

 膝から下を真っ白で所々から美しい水色の光を放つ
 アクレシアの巨大な脚部が覆い隠した。

 背中には、丸みを帯びた巨大な中継機器が現れる。
 まるで、登山用のリュックを背負っている様な見た目だが、
 背中に現れた中継機器の左右から、私を包み込むように
 巨大なアクレシアの両腕が現れた。
 感覚的には、背中から3つ目の腕と4つ目の腕が生えて来た様に感じる。

 そして、後頭部にリボンの様な形状をした純白のアンテナが現れ、
 最後に顔を覆う様に同色のフェイスが現れる。
 フェイスの中央へ向かって蒼いラインが4つはしる事で展開が完了した。


-------------------------------------->
,
,

イグニッション --> オールグリーン
---> 出力限定 5%
-----> これ以上の上昇不可能
,
,


擬装BJモード起動

-------------------------------------->


 アクレシアとしての力は全く発揮できない。
 はっきり言って見た目だけだが、アクレシアの脚部と腕があれば、
 辛うじて最下級のランチャーを使用できると言う事で、
 父様が急遽作り出した擬装BJモードだ。

 この擬装BJモードは、アクレシアの脚部が現れる為、
 身長は180㎝程と成る。
 だから、いまはなのはを見下ろす様な形となっていた。

「……。」

 しかし、ボディラインがほぼまるわかりというのは、如何なるものか…。
 アクレシアには、衣服を着る習慣が無いからって、無頓着にも程がある。

「……リ、リボンが可愛いの」

 なのはは、かなり迷った後に唯一可愛いと思われる
 リボン(アンテナ)の事を褒めてくれた。
 なんだか、あまり嬉しくなったが、気にしない事にする。


 その後、なのはと一緒に空き缶をどれだけ空中に打ち上げていられるかを
 競いながら練習をする。


 ある程度、時間が経過したのち、私はなのはをゲートで家の前まで送り、
 自室へと戻り、制服に着替え食事へと向かった。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////


 その夜、深夜2:23分…。
 海鳴市、オフィス街のビルの一つに重力を無視するかの様に直立する
 一人のメイドがいた。

 それは、ビルとビルの間で行われる一方的な戦いを静観している。
 眼前には、赤い服を着る少女と鎧の様な服を着た男性二人が戦っていた。

「確認済みの高エネルギー反応と同体確認。
 指揮官機の命令保留……。
 戦闘Lv,〝B〟と認識、現状でも破壊可能」

 誰に言うでもなくメイドは呟く。
 その瞳には、一切の感情は無く、冷酷なイメージを与えるものだ。

「戦闘Lv,〝B〟所有の個体より吸収能力を確認
 指揮官機のアクレシアコアにより浸食を提案」

 そして、メイドは少し考える様な素振りを見せた後、
 赤い服を着た少女がいなくなった路地裏へと舞い降りる。

「戦闘Lv,〝B〟個体の種族不明
 疑似生命体と識別
 浸食対象認識、個体識別名称〝hammer〟
 〝hammer〟浸食後の指揮官機エネルギー上昇率、推定17%」

 普段、決して見せる事の無い、闇よりも深い笑みを浮かべながら、
 メイドは風景に溶け込むように消えていった。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////



 学校が終わり、姉様、すずか、なのはと一緒に鮫島の運転する
 車に乗って家へ帰る。
 途中、すずかが図書館によると言う事で、私も付いて行く事にした。
 なにせ私では、頑張っても三段目の本を取るのが、精一杯なのだ。
 すずかと一緒に行けば、四段目の本まで借りる事が出来る。

「じゃあ、また明日ね。」

「なのは、またね。
 いってきます。姉様」

 私は、なのはと姉様に挨拶をしてから車を降りる。
 すずかは、既に車から降りて二人に手を振っていた。

「また明日、すずか。
 レティ、帰る時は電話するのよ?」

「バイバ~イ。すずかちゃん、レティちゃん」

「レティシアお嬢様、お迎えの際は此方に」


 私は、すずかと手を繋ぎながら図書館へと向かった。
 そして、図書館に入ると、待ち合わせの場所と時間を決めてから
 求めている本を探す為に分かれて行動する。


 目的の本を探している時、車椅子に乗った女の子が、
 本を取ろうと苦労していた。
 私は、ソレを手伝おうと近寄って声を掛ける。

「ねぇ、どれがとりたいの?」

「……?」

 振り向いた車椅子の女の子と私は、たっぷり1分ほど見つめあった。

「……病院で?」

「やっぱし、あの喋れない子やね
 突然居なくなるから心配したんよ?」

 この車椅子の女の子は、私がバニングス家に引き取られた際に
 入院した病院で会った子だ。
 無論、その時は私は喋る事が出来ず、相手が言っている事を
 ただただ聞いている事しかできなかったが……。

 その後、すずかを交えて雑談をした。
 なんでも、すずかと車椅子の女の子〝はやて〟は、この図書館で
 お互いを何回か確認した事があるらしい。
 「同年代の子だ」程度の認識しかなかったらしいが……。

 それと、結局私では、はやてが取ろうとしていた〝4段目〟の本棚には
 手が届かず、すずかに取って貰う事になった。


 すずかが車椅子の横に並び、私ははやての車椅子を押して
 図書館への出口へと向かう。

 出口付近に立っている金髪の女の人が此方に向かって頭を下げてきた。
 どうやら、はやての知り合いらしい。

「ありがとう。
 レティちゃん、すずかちゃん、ここでええよ」

「うん、それじゃ」

「ん…。」


 私は、車椅子から手を離して少しだけ下がり、すずか同様に微笑む。
 はやては車椅子を操作し、此方側を向いて笑顔で言う。

「お話してくれて、おおきに
 ありがとうな」

「またね。
 はやてちゃん」

「ばいばい」

 その後、迎えに来たイリスと一緒に家へと帰った。
 気になる事と言えば、イリスが何故か戦闘モードに切り替わっており、
 家に着くまでその状態を解除しようとしなかった事だ。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////



 図書館が管理する駐車場
 そこで二人の女性が互いを睨みつけていた。
 いや、片方の女性からは表情が欠落している為、
 一方的に睨みつけられているとも見て取れる。

 方や、ピンク色のポニーテールに白いコートの女性
 方や、青いセミロングにメイド服を着た女性

「キサマ……。
 何者だ?」

「私は、イリス・ローウェルと申します。
 主レティシアお嬢様付きのメイドにございます。
 貴女様の御名前をお聞きしても?」

 一切感情を感じさせない声でメイド服の女性が問いに答え、
 相手に名を問う。
 白いコートの女性は、拳を握りしめながらもその問いに答えた。

「私の名は、シグナム。
 この先には主がいるのでな…。
 貴様の様な危険な存在を通すわけにはいかん」

 その言葉を聞いて、不思議そうに首を傾げるメイド服の女イリス
 表情は一切変わっていないが、その行動が示すとおりに不思議に
 思っているらしい。

「私が危険?
 この私程度が危険などと……。
 過剰評価が過ぎます。
 私など、主に比べれば塵も同然
 戦いともなれば、攻撃を防ぐための盾にすらなれぬでしょう」

 そう言葉にした時の表情は、今までの無表情とは異なり、
 心から尊敬する者に酔っている表情をしていた。
 
「ッ……。」

 一人で勝手に悶え出すメイドを余所に、白いコートの女性シグナムは、
 一切警戒を解こうとはしない。

「ハッ……。
 見苦しい姿を見せてしまい申し訳ありません。」

 正気に戻ったイリスは、悶えるのをやめ、無表情に戻り謝罪する。
 そして、先ほどとは異なる闇よりも深い笑みを浮かべながら、
 シグナムにゆっくりと、ゆっくりと近づき、耳元で囁いた。

「私は、暗殺特化の存在故、正面から貴女と戦えば勝つ事は難しいでしょう。
 ですが、〝貴女方〟は私を捉える事は出来ません。
 私は自身の存在さえも消し去るファントムシャドウ…。
 〝貴女方〟が主レティシアお嬢様に手を出したい際は、
 その背を斬り裂き、心臓を引き摺り出して差し上げましょう」

 そう言ってイリスは、シグナムとすれ違い、主の待つ図書館へと歩いて行く。
 その歩みは何処までも美しく、メイドの鏡と言える歩き方だった。

「ッ……!!」

 シグナムが慌てて振り向いた時には、イリスの存在は元より
 そこにいた痕跡すら残さず、幻の様に消え去っていた。

「……。
 魔力の反応は無かった。
 イリス・ローウェル、危険な存在だ……。」

 そして、シグナムもまた主の待つ図書館の入り口付近へと向かって行く。

 こうして、主を敬愛する二つの存在は出会い……。
 運命の歯車が一つ狂い始めた。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 一つの船が管理局の戦艦ですら航行不可能な亜空間の中を潜航する。
 それは、惑星にも匹敵する巨大さを誇るアクレシアの宇宙要塞バトルシップ

 誇大なシップの指揮官室にたった一人だけ、全身に亀裂が入り、
 幾千、幾万の戦いを乗り越えてきたアクレシアが椅子に腰かけていた。

〔いやまさか、この私よりも狂っている存在がいるなんてね〕

 そのアクレシアが腰かける椅子の前には、巨大なスクリーンが広がり、
 紫色の髪をした白衣を着た男性が映っている。

「我々から言わせれば、その様な肉を被っている時点で
 狂っているとは言わんよ。
 それに、貴様の言い方では、我が種の全てが狂っている事になる」

〔そうかい?
 ところで、君たちの同胞とやらを本当に提供してくれるのかい?〕

 白衣の男は、アクレシアの言葉を気にするでもなく話を続ける。
 アクレシアは、たった一つ、スクリーンの脇に置いてある
 戦場で共に戦った戦友達の写った写真を眺めながら、男の問いに答えた。

「あぁ、構わんとも
 我々としては、貴様らが殺され、ヤツがIMPERATORとして目覚めれば良し。
 破壊される程度ならば、元より不要だ。
 好きにするが良い」

 そして、スクリーンに映る白衣の男は、喜びの笑いをあげる。
 同様にアクレシアも近い未来を予測して、暗く不気味な笑いを漏らした。

「クククッ……。
 このバトルシップには、もはや私一人…。
 彼の者がIMPERATORとなれば、ここの多くの兵器が目覚める事だろう
 さて、どの様に転ぶか楽しみだ」

 アクレシアがそういうと、スクリーンに無数の戦闘機と思われる物、
 アースラより小型の戦艦、同程度の戦艦、それすらも上回る戦艦、
 そして、無数の人型兵器が映し出された。



---------------------------------------------------------
--------------------------------------------------------------


○あとがき

 ぇ~っと、少し分かりにくいですが、擬装BJのモデルは、武装神姫の悪魔型ストラーフです。
 管理局へのポーズ用装備と言う事で、出てくる機会はもう無いと思います。
 ちなみに、魔法は一切使用していません。 転送の応用です。
 アクレシアは、魔法が使用できないという公式設定があるので、
 武器に宿る魔法的な力を除いては、使えないままで進めようと思います。


 また、ファントムシャドウは暗殺やトラップ等が得意なので
 正面切ってシグナムと戦うと…たぶん、負けるかな?っと思った為、
 「勝つのは難しい」という表現にしてみました。

 ファントムシャドウには、背後取られたくないです…。
 Gvで背後からグサッと刺されて何回も死んだ記憶が……ガタガタ




[14292] 【習作】機械兵と少女 第十八の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:552fae0e
Date: 2009/12/24 22:54





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○eighteenth gear of darkness
《Phantom Shadow》




 海鳴市のオフィス街に赤い閃光と桜色の閃光が奔る。
 そして、ソレを観察する様にビルとビルの間を移動する影が見て取れた。

 戦っている赤い服の少女と白い服の少女の後を追尾するその影は、
 かなりの距離まで接近しているのにも関わらず、二人に気が付かれる事は無い。

「〝hammer〟及び〝高町なのは〟の戦闘を記録」


 目の前で繰り広げられる戦い。
 桜色のビームが赤い服の少女を捉えた。
 だが、倒す事叶わず、赤い服の少女の帽子が宙に舞った程度であったが…。

「〝hammer〟のエネルギー反応上昇を確認
 戦闘Lv,〝B+〟と認識
 一時的な強化スキルと判断」

 赤い服の少女が持つ鉄槌の様な武器が変形して行く。
 そして、より激しくなった戦いを影は、ギリギリの距離を保ちながら観察する。

「現段階において〝高町なのは〟では、〝hammer〟を倒す事は不可能と判断
 〝高町なのは〟死亡率 30%
 敵対武装より非殺傷設定確認できず
 〝レイジングハート〟損傷率 73%、防御維持不可能、
 〝hammer〟の攻撃パターン、魔力パターン解析、監視続行」

 影が誰とも無く呟いた時、白い服の少女〝高町なのは〟の防御が、
 赤い服の少女に破られ、後方へと吹き飛んで行く。
 そして、トドメを刺す為なのか赤い服の少女が、高町なのはに近づこうとした時、
 巨大な鎌を携えた少女と優しそうな少年が現れた。

「空間跳躍を確認
 〝フェイト・テスタロッサ〟
 〝ユーノ・スクライア〟
 〝アルフ〟
 亜空間に管理局所属アースラを確認
 現領域内に展開されている結界を突破出来ていないと判断、追尾続行」

 影は、空中を移動し、戦いを続ける二人をビルからビルへと移動しながら追尾する。
 そして、その戦いにアルフも加わり、激しさを増して行くが、それでもなお
 互角の戦いを見せる赤い服の少女。

 アルフの拘束魔法が赤い服の少女を捉えた時、フェイト・テスタロッサの前に女の騎士が現れた。
 その一撃により吹き飛ばされるフェイト・テスタロッサ…。
 そして、アルフは後方より現れた青い男の攻撃を凌ぐので精一杯になっている。

「〝シグナム〟を確認
 未確認識別名〝fist〟を確認
 攻撃パターン、魔力パターン記録開始
 同時進行による解析開始」

 影は、一切驚く事無く機械の様に自身の作業を続けながら、新たに現れた〝騎士シグナム〟と
 青い男を直視し続ける。
 ほんの一瞬だけ、シグナムが影の方を向いたが、気が付く事は無かった。

「ん?
 どうした、シグナム」

「いや……。
 何か、イヤな気配を感じてな…」

「気のせいだろ?
 そんな事よりも、早くコレを何とかしてくれよ!」

 周りを警戒する様に見渡すシグナムに青い男が問い掛け、シグナムがそれに応えていたが、
 拘束されている赤い服の少女の言葉により、警戒をやめる。

 そして、シグナムが赤い服の少女に向かって手を向けると、
 掌に紫色の球体が現れ、アルフの拘束魔法が砕け散った。

「あまり、無茶はするな
 お前が怪我でもしたら、我らが主も心配する」

「わぁってるよ。もう…」

 シグナムの言葉に頬を膨らまし、不機嫌な表情を作りながら赤い服の少女が答える。
 そして、シグナムが何か言った後に赤い服の少女に帽子を被せているのを
 影は、目を逸らす事無く見つめ続けていた。

「パターン解析完了
 魔法付属物理特化タイプと判明
 疑似データ生命体と確認、生命パターン〝プリンセスヘラー〟と酷似」

 本来存在するはずの無い生命体〝プリンセスヘラー〟
 神聖同盟コラの技術により、データに精神を与える事で誕生したヘラーの上位個体だ。
 他のヘラーと異なり、人格を持ち合わせ、魔法を使用出来る事からアクレシアの天敵に近い。

 だが、その生れゆえにアクレシアに取っては、餌とも成り得る存在に他ならない。
 機械人類であるアクレシアに取って、データという存在は浸食しやすく、洗脳し易い
 最高の使い捨ての駒として使用できるのだ。


 そして、6人の戦いが始まるのを確認すると、影は移動を始めた。
 遠くに見つけた反応を目指して……。 


----------------------------------------><----------------------------------------


「なるべく急いで帰りますから」

 右手に嵌めている指輪に向かって話しかける緑の服を着た女性…。
 眼前で行われている戦いをその眼に捉えながらも、口調は穏やかなものだ。
 
「はい、それじゃぁ…」

 指輪から誰かの声が聞えなくなると、決意を固めた様な表情を浮かべ、ポツリと呟いた。

「そう、なるべく急いで…。
 確実に済ませます」

 決意を固め、何かを始めた緑の服の女性の後ろに…。
 そこに存在しているのかすら確認できない様な影が佇んでいた。

 緑の服の女性を正面からシグナムが見ていたのならば、その後ろに佇む
 メイド服を着た闇よりも深い微笑みを浮かべる女性を見る事が出来たかもしれない。
 いや、微笑を浮べる女性としてではなく、人の形をした不気味な影として
 捉えるかもしれない。

 それほどに、微笑む女性は不気味であり、恐ろしい雰囲気を纏っているのだが、
 その気配は一切無く、その存在すら一切無い亡霊の様な存在であった。


 そして、影は緑の服の女性が険しい表情から、やり遂げたという表情になった時、
 突如動き出し、女性に襲い掛かった。
 その動きすら一瞬であり、まるで暗殺者の様に見える。
 だが、唯一違うのは、命を取る訳ではなく、ただ気絶させるという事だ。


「データ浸食開始. . . . . .
 プロテクトブレイク
 名称判明〝守護騎士ヴォルケンリッター・シャマル〟
 武装判明〝クラールヴィント〟
 所有者判別不能、妨害を確認
 個体能力解析完了、データ転送完了
 浸食コア移植完了
 本体浸食率 0%確認、条件設定開始
 指揮官機を攻撃した場合、浸食率 100%
 肉体制御支配、魔力制御支配、データ制御支配、精神制御支配、人格制御支配」

 気絶した女性シャマルを抱き締めながら、メイド服を着た女はブツブツと呟き続ける。
 シャマルの手から落ちた本が何かに抵抗する様に淡い光を放っていたが、
 その抵抗も虚しく、女が微笑みを浮かべながら言った。

「もしもアナタが、自身の内にバグを抱えていなければ、
 私の浸食からシャマルを守る事が出来たでしょう。
 そして、私を倒す事も出来た事でしょう。
 怨むのならば、アナタを改変した過去の愚かな所有者を怨みなさい」

 そして、メイド服を着た女は風景に溶け込む様に消え去り、シャマルは〝何事もなかった〟
 かの様に買い物袋と本を持ち、その場を去って行く。

 たった一つの存在だけが、何が行われたのかを理解し、何が起こりうるのかを
 理解しながらも、何も出来ない事に絶望を抱きながら……。



////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 目覚めた時にイリスから、なのはが怪我をしたという報告を受けた。
 なんでも、早朝にリンディから通信があったらしい。
 私は、確認の意味も込めて連絡を取った所、大した怪我もなく回復に向かっているとの事だ。
 他にも一時的にリンカーコアの魔力が激減した様だが、既に問題ない値まで戻ったという。

 そして、なぜか…。
 なのはの家の近所に引っ越すという爆弾発言まで聞かされた。

「リンディ、お茶は飲んじゃだめ
 あと、非殺傷設定のデータ頂戴」

「ぇ? なぜかしら?
 非殺傷設定のデータね。
 あとで、エイミィに送らせるわ」

 そんな簡単なやり取りをし、通信を切ったのだが、一体何を考えているんだろう?
 リンディのお茶の飲み方が知れたら、何人の緑茶愛好家(?)とかを敵に回す事か……。
 とりあえず、それポイ事を言ってみたが、リンディには理解できないだとう。
 今度、エイミィとフェイリアと一緒にあのお茶に関して緊急会議を開く必要が在りそうだ。
 アレを認めることは出来ない!

「リンディのお茶の飲み方は、認めない!」

「レティシアお嬢様、人にはそれぞれ好みと言うものが御座います
 そう簡単に否定して良い物ではないかと存じ上げます。
 私個人としましては、糖尿病などになる可能性がありますので、
 やめる事をお勧め致しますが……」

「にゃ」

 イリスと何故か猫のセインまでもが、リンディのお茶の飲み方を良く思っていない様だ。
 イリスの場合は、なんだか微妙に違う様な気がしないでもないが、
 言っている事は正しいのだろう。

 それと、一度だけ飲ませてもらったが、とても私の口には合わなかった。
 抹茶オ・レとかならマシなのだろうけど……。
 アレは、甘くて美味しいし…。

 そして、リンディ茶に関して、イリスとセインを交えて良く分からない話を
 している間、なのはからの「友達が近くに引っ越してきた」という電話が在ったらしい。

 私は、姉様とすずかと一緒にお祝いというか、遊びに行く事になった。

 そうそう、イリスとセインは、お留守番をしている。
 イリスに至っては、何だか人に会うとか言っていた。
 きっと、人として行動している間に友達が出来たのだろう。
 良い傾向だと私は思うが、父様はどう思うのだろうか?


-------------------------------------><---------------------------------------------


 結局その日は、リンディの新しい家で合流した後、翠屋へと向かいのんびりと
 雑談をする事になった。
 以外に姉様が鋭く、アルフの事に気が付きそうになったりしていたが、
 何とか誤魔化したり、フェイトが同じ学校に入学すると言う良い出来事があったりと
 私的には、良い事ばかりで中々充実した一日だった。


 そういえば、その日の内にイリスは戻らず、次の日の早朝に戻ってきたらしい。
 セインに至っては、一日中ベッドで丸くなって寝ていたようだ。


//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 ビルの屋上で3人の女性と一匹の青い獣が地上を見下ろしている。
 そして、その3人と一匹とは異なる角度から、真っ黒で不気味な影が亀裂の様に裂けた
 口元を隠そうともせずに微笑んでいた。

「アナタ方が一生懸命行っている行為が、主の首を絞めるとも知らずに……
 データによると滅んだ文明の遺産という事でしたが、
 所詮、アクレシアの科学力の前では塵にも等しい存在でしかないのでしょうね」

 まるで、何かを再確認するかのように頷き、微笑み続ける不気味な影。
 影は、散らばってゆく3人と1匹の内、青い獣が向かった方向へと移動を始める。



 一撃必殺たる機構以外、そこまで高い戦闘能力は持たない〝幻影の影〟は、
 その名の通り、決して気が付かれる事無く対象に這い寄って行く。

 それは、ゆっくり、ゆっくりと確実に……。
 気が付いた時には、その影の持つ刃は、背部を深々と切り裂き、脈打つ心臓を
 掴み出している事だろう。


 微笑を浮べる存在は、ファントムシャドウ。
 幻影さえも実態ではなく、その影を実態とする気配無き、存在無き忠実なる暗殺者。

 影は決して手を出さず監視を続ける。
 不気味な微笑を消し去り、一切の感情が欠落した表情で……。
 瞬きをする事が無い機械仕掛けの金色の双眸を持って監視し続ける。




------------------------------------------------------------------
-------------------------------------------------------------------------------------



○あとがき

 主人公レティシアは、いまだにヴォルケンの誰とも接触していません!
 しかし、影で動き回るメイド〝イリス〟

 当分、レティシアの描写は、一般生活のものばかりになって、イリスメインで動く感じに
 なりそうです。


 シャマルの侵食に関して、アクレシアは脳という最高のコンピューターをフルで使用し、
 尚且つ機械で補助され恐ろしいほどの演算能力を持ち合わせています。
 機械人類として進化した故の特性と言えるでしょう。
 まあ、難点として完全な神秘の前では何も出来ないという事ですが……。
(ファンタジーの魔法とか、完全な無から有を生み出すとか、本当の不老不死とか)


 作中に出てきたヘラーに関して…。
 ヘラーとは、作中で紹介したように精神が発達し、魔法を所有する神聖同盟コラが生み出した
 データによる擬似生命体の一種類です。
 ですが、この開発はアクレシア帝国にバレてしまい。
 アクレシアが作り出したウィルスに侵されたヘラー達は、敵味方の区別が付かない
 ただの無差別兵器へと成り下がってしまいました。

 本来ならば、アクレシアの命令を聞く様にプログラムされるウィルスだった様ですが、
 自我を持つ上位個体を完全に乗っ取る事が出来ず、コラにとって都合の良い温厚な性格
 と設定されていた者が、ウィルスで間逆の性格となり暴走。
 全種族を敵として認識するようになったそうです。



○アクレシアとミッドチルダ式魔法&ベルカ式魔法の相性

 アクレシアは、基本的に物理攻撃に対する異常なまでの耐性を持ち合わせています。
 ちょっと、公式サーバーで確認するのが困難で在った為、海外エミュサバで確認を
 取った所、最強装備(防御特化強化+HP特化強化)+盾持ちの状態では、物理攻撃+
 魔法付属攻撃+遠距離攻撃による攻撃では倒すのにかなりの時間がかかりました。
 (HPチャージャーが切れるまで生存してました……。
  協力者、他種族20人)

 ですが、魔法攻撃のみで攻撃を行った所、物理攻撃+魔法付属攻撃よりも数分程ですが、
 早く倒せたのを確認しました。
 (協力者、他種族20人)

 この事から、アクレシアと相性が良いのは、ミッドチルダ式魔法と思われます。
 魔王様と雷神様が破壊する気で攻撃を行えば、そう長くは持たないでしょう。

 逆にベルカ式魔法では、一撃で大ダメージを与える事が出来ても、次に攻撃する頃には
 HPチャージャーで全快している可能性が高く、相性は最悪と思われます。
 魔法付属による攻撃では、アクレシアの装甲は貫けない為、キツイ戦いと成るでしょう。
 (物理攻撃で破壊出来たとしても、直後にHPチャージャーで回復してしまうので、
  回復力を上回り尚且つ、アクレシア兵の装甲と再生能力をも凌駕しつつ、
  生体部品にダメージを与える事が絶対条件になります)




[14292] 【習作】機械兵と少女 第十九の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2009/12/30 02:51
○アクレシア帝国以外の二つの国に関して、今回は神聖同盟コラ

 アクレシア帝国と争っている国は、二つ在ります。
 国以外には、宇宙海賊と最悪の種と言うのがいますが、これはまた今度…。

 まず、神聖同盟コラです。
 アクレシアと同じ人類を起源を持つ種族の一つです。
 精神が特に発達した文明を持ち、その精神によりフォース(魔法)を自在に操る
 事が出来ますが、肉体は他の種族と比べるとひ弱です。
 ディセムという神の名の元に、自種族以外を敵と見なしています。
 また、他次元に存在しているアニムスと言う精神生命体を召喚し、使役すると言う
 特殊な能力も持っています。

 そのフォース(魔法)の力は、強い物では小型戦艦から中型戦艦までなら落とす事が
 出来る様です。(英雄と言われる特に強い力を持つ存在のみですが…)

 コラは、基本と成る四大属性の他に、闇の力を使いこなす事が出来る唯一の種族です。



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○nineteenth gear of darkness
《servant》



 我々、アクレシアはありとあらゆる生命を殺戮する種族であるというのに…。
 私の後継機たるレティシアは、ソレを良しとしないという。
 さて、我が身を持った娘は、この殺戮の力を如何なる用に使用するのか、
 成長が楽しみだ。

「レティセンス様、お考えに浸るのも結構ですが、
 レティシアお嬢様から頼まれた事柄をなさらなくても良いのですか?」

「む?
 あぁ、ケルベルスに非殺傷設定を設けるというヤツだったか……。」

 我が娘ながら何処までも無茶な事を言う。
 何せ、狂気に憑かれた科学者が生み出した殺戮兵器の攻撃能力を残しつつも、
 殺傷能力を無くせと言うのだから…。
 そもそも、ケルベロスの能力には、ありとあらゆる魔法を打ち消すという物がある。
 ノバスの民や我が怨敵たる神聖同盟コラの民、ベラート連邦の民ならば、魔法を打ち消されようが、
 特殊な防具と遺伝子Lvで強化された肉体で耐えるだろうが…。

 この世界の魔法を使う民では、BJという物を剥がされた状態で
 ケルベロスの弾など当った日には、原形すら残らん。

「さて、非殺傷設定を設けた所で、当れば死ぬな」

「確かに非殺傷設定自体はプログラムですが、
 ケルベロスから発射させるのは、魔法ではなく実弾ですからね」

「はぁ、どうするか……。
 とりあえず、デュアルガンタイプの武装には設定できたがな…。
 私は設定の為に人格プログラムを今一度閉じる。
 娘を頼むぞ」

「お任せください
 私の命に掛けましても」

 ひれ伏すアクレシア【アリシア】を視界の隅に捉え、
 私はゆっくりと闇の中に落ちて行く…。

「えぇ、全ては……。
 主レティシアお嬢様の為に……うふふ、ふふふッ」

 最後に己で生み出したアクレシアの狂気を垣間見た気がした。
 だが、その狂気が娘の為になる事ならば、問題はないだろう。



/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 なのはとフェイトは、相変わらず早朝から訓練をしている。
 私は、なのはに付き合って、朝6:35分から海鳴市桜台林道で訓練をしているのだけど…。

 なのはは、まだ全快していないらしく、魔法による訓練は難しい様だ。
 さっきから、何回もチャレンジしているが、ユーノ君と一緒に溜息をつき続けている。

 私は私で、〝ビームガン〟という二挺拳銃を呼び出し、空き缶を撃ちづけていた。
 どうせなので、姉様と一緒に見たアクション映画で使われていた拳銃を用いて行う
 拳法(?)みたいなのを元にした、オリジナルの戦い方の練習をする。

 くるくると舞い、踊る様にしながら敵に見立てた4つの空き缶を撃ったり、蹴ったり
 しながら撃ち上げて行く。
 私は魔法が使えないので、アクレシアの身体能力を何時でもフルで使用できる様に
 する必要がある。
 元から身体能力が高くとも、日頃の訓練がなければ、使う事は出来ない。
 必要な時に使用できないのでは何の意味もないじゃないか。

「はあ、レティちゃんは良いよね。
 すっごく運動出来て……。」

「でも、魔法は使えない
 リンカーコアすら存在しない
 なのはなら魔力が回復すれば、直ぐに今までどおり」

 私の事を見て羨ましそうな表情をするなのはを宥めながら、空き缶を撃ち続ける。
 いくら羨ましそうに見られた所で、私の力はなのはの天賦の才と同じ様に
 真似できる物ではない。

 それに、私は……。
 確かに人類である事に変わりはないが、なのは達とはあまりにもかけ離れた
 存在である事に変わりは無い。
 父様は、この世界にも私達に限りなく近いが、全く違う不完全な紛い物は、
 存在していると言っていた。
 その人達と知り合う事が出来れば、なのはとフェイトの様な関係になれるだろうか?
 まあ、会ってみない事にはわからないか…。

 私はその後、なのはと一緒に今後の戦い方に関して話し合った。
 とりあえず、次に敵と接触した時には、私にも連絡してくれるという約束をする。
 私だけ仲間はずれと言うのは、なんとも微妙な気持ちになるのだ。

 フェイリアに至っては、私が戦うのを良しとしてないのか…。
 戦いとは別に、洋服の事や休日の過ごし方に関しての会話以外は行われない。

「…?
 どうしたの?」

 少し沈んだ顔でもしていたのか、心配そうな表情をするなのは。
 私はなのはに「なんでもない」と言い、戻らなければ行けない時間だった事を
 理由になのはをゲートで家の前まで送り、私も自室へと戻った。

 はあ、私ももっと強くなりたいなぁ……。



--------------------------------------->


自律プログラム「レティシア」より要望を認識
,

,
,
未確認エネルギー反応増大を確認


----> 緊急処置設定開始
--->

プログラムリミッター解放設定
---> アリサ・バニングスの生命50%低下

----> 武装選択
--> 星間戦仕様
---> 対大型生物戦艦戦武装
-->
----> Extirpate Gear
-->
---> Seventh Trumpeter

------> 設定完了
一時凍結開始 ---> 完了 . . . . .

--------------------------------------->



///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 姉様、すずか、なのは、フェイトの四人と一緒に学校へと向かう。
 なんでも、今日からフェイトとは一緒の学校で勉強をする事になった様だ。

 まあ、私は一年下なので一緒の教室になる事はないが…。
 フェイトは、姉様、すずか、なのはの三人と一緒のクラスになったらしい。

 せめて、見た目が同じ程度の年齢に見える人が凄く欲しい今日この頃だ。
 同年代を求めると1歳程の人間になってしまう。

「レティシアちゃんとも同じ学校なんだね
 よろしくね」

 フェイトは、一日にして多くの男子生徒を虜にした微笑みを私に向けて言う。
 ちなみに、最初は私の事をレティちゃんと呼んでいたが…。
 裁判の時にお世話になった〝レティ・ロウラン提督〟という方と混ざるとの事で
 レティシアちゃんに落ち着いた。

 クロノとアースラ乗員は、私の事をレティシアと呼ぶ。
 リンディ、フェイリア、エイミィの3人は、レティちゃんと呼ぶが、
 〝ちゃん〟を付けているのが私で、呼び捨て又は、提督を付けている方が
 レティ・ロウラン提督という区別をしているのだとか……。

 そういえば、今度通信を繋いだ時に話をさせて貰えるらしい。
 あだ名とはいえ、同じ名前で呼ばれた人と話をするのは楽しみだ。


--------------------------------->
,
,

魔力個体確認
---> 個体数 ---> 【 2 】

----> 探査用バグ排出
--> 監視開始
,
,
,


---> レイジングハート
---> バルディッシュ

武装データ申請を確認
---> 装甲に関する防御データと認識

*****データ転送開始*****
条件付け ---> レティシアを攻撃した場合
自爆プログラム作動
,
,

,
--------------------------------->


 昼休み時間と成り、姉様、すずか、なのは、フェイトと一緒に廊下を歩いていた。
 すずかは、フェイトが学校に関して抱いている感想が気になったのか、
 色々と話を聞いている様だ。

 私に至っては、廊下にある窓からポケ~ッと外を見ながら廊下を歩いてくる
 三人の会話に耳を傾ける。

「フェイトちゃん、初めての学校の感想はどう?」

「年の近い子がこんなにたくさんいるの初めてだから…
 なんだかもう、ぐるぐるで…。」

 四人とも私に気が付いていない様だけど、ぐるぐるって……。
 混乱してるという事なのかな?

「あははは」

「まあ、直ぐに慣れるわよ。きっと」

 なのはは、楽しそうに笑い、姉様は歩きながら後ろを向いてフェイトに言う。
 足元に転びそうな物が無いから良いけれど、あれで転ぶと凄く痛そうだ。

「うん…。
 だと良いな……」

 そう言って、私に気が付かないまま行ってしまう。
 まあ、こういう時もある。
 少し沈んだ気持ちになった時、頭の中に機械の声が響き渡った。

----------------------------->
通信確認--->
---> クロノ・ハラオウン <---

----------------------------->


 クロノから私に連絡なんて珍しい。
 普段ならば、リンディが私に直接連絡を寄こすのだけど、
 きっと忙しいのだろう。

「何か用事?」

[いや、捜査が順調だと言う事を伝えようと思ってね
 …なんだか機嫌が悪い様だが、何かあったのか?]

「特には…。
 少し暇、暴れたいだけ……。」

[はぁ…だが、あまり暴れない様に
君が怪我をしたらフェイリアに何をされるかわからないからね]

 頭の中に微妙に呆れた様な口調のクロノの声が響く。
 何故か、フェイリアの名前が出た際に怯えも感じて取れたが、
 一瞬のことだったので気のせいだろう。

「わかってる。
 だから、今度手合わせお願い」

[君と手合わせする気にはならないな]

「私が負けたら一緒にお風呂入ってあげる」

 私がそういった直後、何かを盛大に吹き出し、咽る様な音が聞えた。
 きっと、水でも飲んでいたのだろう。
 少し可哀そうな事をしてしまったが、後悔など1μもしていない。

[ゴホッ、ゴホッ……ハァ、ハァ…。
え、遠慮しておくよ]

[ぁ、なら私が……]

[フェイリア!?
いつからそこに!?]

[レティちゃん!
私が手合わせしてあげるから!
さっきの言葉忘れないでね!]

[落ち付けフェイリア!
エイミィ、フェイリアを……!]

 騒音が頭の中に響き渡り「どこから入ってきた?」だの「いつから居たの?」
 だのとフェイリアに問いかけるクロノとエイミィの声が聞える。
 そして、それすらも気にせずに私の名前を連呼するフェイリア……。

「クロノ、落ち着いたらまた連絡頂戴」

[あ、あぁ……わかった]

[あ! レティちゃん、まだお話が……]

 私は、フェイリアの言葉を無視して通信を切る。

----------------------------->
通信終了--->
---> クロノ・ハラオウン <---

----------------------------->

 フェイリアも私への個人回線を知っているのに…。
 何故か私が事件に関する会話をしようとすると、今の様に邪魔をしてくる。
 事件の事さえ伝わらなければ、私が関わろうとしないと踏んでいるのだろうが、
 姉様の友達が二人も関わっている以上、如何なる事をしたとしても
 私は事件に関わりあうだろう。

 それに、アクレシアは戦いを求める。
 あらゆる種族を敵に回し、ありとあらゆる惑星を支配し、ありとあらゆる存在を
 殺戮する。
 それは、本能に刻まれた最悪の種への対抗策なのかもしれない。
 あの種と再び戦いとなった時、必ず勝てる様にという。


 通信の後、普段通り、何事もなく授業を終えて家に帰る。
 もちろん、帰りはフェイトも一緒で5人だ。
 私はまるで人形の様に姉様に撫で回されながら、姉様達の会話を聞いている。

 時たま…。

「レティちゃん可愛いよね」
「お人形さんみたい」
「なでなでしても良い?」
「私の妹なんだから
 可愛いに決まってるじゃない」

 とか聞こえてきた。
 ちなみに、上からすずか、フェイト、なのは、姉様の順番で喋っている。

 すずかは最近の日課なのか、そのまま図書館へと向かって行く。
 私は図書館へと寄らず、姉様と一緒に帰る事にした。



 そして、その夜……。
 一つの大きな事件が起こる事になる。



///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 異常な角度で空中に静止する影。
 その下では、赤い服の少女ヴィータが巨大な生命体と戦っていた。

「なるほど…。
 リンカーコアとは、人類種以外にも持ち合わせていると、
 アクレシアコアと違い随分と下等ですね。
 それに、あの力の上昇は、武器に頼り切っている様子」

 その影は、まるで汚物でも見るかのようにヴィータを眺める。

「あの小娘を取り込めば、確かに指揮官機の出力は上昇するでしょうが、
 この様に劣等ともなれば話は別です。
 やはり、対象はあの本とシグナム一人」

 そして、影は去って行く。
 ヴィータとその近くで本を守っていたザフィーラに気が付かれる事無く、
 その気配、その存在すら一遍も残さずに…。

「さて、周りをうろちょろ嗅ぎ回る小汚い二つの反応、どうしましょうか?」

 小さな、小さな、風に消える様な呟きを残して……。


----------------->>イリス・ローウェル<<---------------------


 海鳴市のスーパーで三人の女性が楽しそうに話をしている。
 美しい金髪の女性、シャマル
 車椅子の少女、はやて
 蒼い髪のメイド、イリス・ローウェル

 その様子は、まるで三姉妹の様に見えた。

「海鳴市は他の街よりも物価が安く、美味し物が手に入れやすいですよ」

「そうなんですか?」

「足が治ったら、他の街にも行って見たいなぁ」

 普段のイリスを知る人ならば、誰だ? と言いたくなる様に豊かな表情で
 シャマル、はやてと話をしている。

「私ではお力になれませんが、はやて様の足が治る事を祈ります」

「イリスさん、ありがとなぁ」

「イリスさん、ありがとうございます」

 そうして、微笑みながら買い物を続ける三人…。

 シャマルは知らない。
 目の前の存在イリスが、戦いに特化し、進化を遂げた人類の結果の一つである事を…。

 はやては知らない。
 微笑みを浮かべるイリスの表情が、完全な紛い物である事を…。

 シグナムは知らない。
 己の仲間の一人が、イリスにより変えられ始めている事を…。

 2匹の猫は知らない。
 監視する対象に近寄ってきた存在が、暗殺のプロフェッショナルである事を…。

 そして、唯一全てを知り尽くし、なお己の創造主にして指揮官機、主である存在に
 全てを隠し事を進めるイリスは知らない。
 闇の書が発動した時に何が起こりうるのかを…。



 一つの封印された機構が動き出す為の歯車が回る。
 クルクル、カチカチ、カチャカチャと鋼の歯を軋ませながら、
 定められた運命の日を待ちながら。
 ゆっくり、ゆっくり力強く廻りながら……。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


------------------------------------------------->
,
,

魔力反応を感知
ゲート開放 ---> 隔離結界内

----> 自律プログラム【レティシア】
--> 調整後旧躯体 ---> 新規躯体転送 Lv50


---->【ignition】
------------------------------------------------->


 少女の身体を無数の機械が包み込む。
 両腕は、バラバラに砕け散り、巨大な白い腕へと再構成されて行く。
 脚部は根元から無くなり、代わりに巨大な巨人の腹部へと接続された。

 少女の胴体を包むように白く巨大な鎧の様な胴体が現れる。
 頭まで全てが胴体に納まり、その胴体の上に白い騎士の兜の様な頭が現れ、
 敵を睨みつける様に蒼い複眼が光を放った。


------------------------------------------------->
,
,
---> 【Systemu all green】


------------------------------------------------->


 動き、意思を持つ歯車は、純白の装甲に金の装飾が施された騎士の様な装甲と、
 4mを超える巨大な身体を以って、夜の戦場へと現れる。
 争い、傷つく事を否定しながらも、戦場こそが己の居場所だと言わんばかりに…。

「赤い服の子は、なのはと…
 ピンクの髪の人は、フェイトと…
 そこの蒼い人は、アルフには悪いけど…
 私と勝負!!」

 そして、機械の拳が蒼い服の男の顔面を殴り飛ばした。




---------------------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------------------------



○あとがき

 やっと、レティシアがヴォルケンと接触しました。
 最初の相手は、ザッフィーです!
 けれど、アニメ通りの流れとする予定なので……。

 ……。
 さて、久々にフィリピンRFの動画を見たのですが、
 あちらの国では、ユーザー達がドラマ形式で動画をアップしているので
 見ていて楽しいです!
 微妙にアクレシアが悪役ポクなっていますが、それはそれで……アリでした!



 主人公の行動を一人称
 イリス・ローウェルの行動を三人称

 次回予告ポイのを三人称で書いてみましたが、
 しっかりと分ける事が出来ているか、すごく不安です。





[14292] 【習作】機械兵と少女 第二十の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2010/01/02 21:26




○アクレシア帝国以外の二つの国に関して、今回はベラート連邦

 前回の神聖同盟コラに続き、ベラート連邦です。
 アクレシアと同じ起源を持つ種族の一つです。

 初期人類の原型を保ち進化した人類と言える種族であるベラートは、
 科学と魔法の両方を使用することが出来ます。

 ベラートは、有人兵器である機甲、基本と成る四大属性の他に光の力を
 使いこなす事が出来る唯一の種族です。

 また、加重力惑星で生活していた為、身長が低くなってしまいましたが、
 身体能力が全体的に高くなっており、頑丈な肉体を持っています。





」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○twentieth gear of darkness
《battle action》




 ゲートを潜りぬけた私は、今にもアルフと戦いだそうとしている蒼い服の人の
 目の前に割り込み…。

「赤い服の子は、なのはと…
 ピンクの髪の人は、フェイトと…
 そこの蒼い人は、アルフには悪いけど…
 私と勝負だ!!」

 グーで顔面を殴り飛ばす。
 相手の蒼い人は、私の言葉に反応してガードしようとしていたが、
 殆ど奇襲に近い形だった為、綺麗にHITする。
 そして、向かいのビルの壁に衝突した。

「うわ……。
 痛そうだねぇ」

 後ろから聞こえた声に私が振り返ると…。
 そこには、アルフがやれやれと言う感じに肩を竦めている所だった。

「それじゃ、私はガードに回るよ
 ほどほどにするんだよ?」

「うん
 わかってる」

 蒼い人が吹き飛んだ方から瓦礫の音が聞える。
 どうやらダメージを多少なりとも回復し、攻撃態勢を取った様だ。

「アハッ…。
 名も知らない蒼い人は、私を満足させてくれる?」

 そう呟き、私はコンクリートの地面を砕きながら走りだす。
 ドゴン、ドゴンっという音と共に舞い散る破片…。

「クッ、貴様は何者だ?」

「私? 私はねー。
 アクレシアのレティシア!!」

 蒼い人の言葉に大声で答え、私は辺りの損壊を気にせずに殴りかかる。
 私の一発、一発を確実に防ぎきる蒼い人…。
 だが、防ぐ毎に辛そうに顔をしかめた。

「そっちも名乗ったらどうかな?
 そして、避けるな」

 避けられた拳がビルの外壁を粉々に砕く。
 間髪入れずに蹴りを放つが、それも避けられてしまう。

「守護獣ザフィーラ……。」

 それだけ言うと、蒼い人ザフィーラは殴りかかってきた。
 その拳を右腕で受け切り、私の左の拳とザフィーラの右の拳が衝突する。
 両足が地面にめり込むが、力押しでは私に分が在るらしい。


---------------------------------->
,
,

ヘッドゲージ 100% --> ダメージ 0%
,
ボディゲージ 97% --> ダメージ 3%
,
アームゲージ 84% --> ダメージ 16%
,
レッグゲージ 99% --> ダメージ 1%
,
ブーツゲージ 97% --> ダメージ 3%
. . . .

レティシアダメージ 0%

,
,

. . . .

プログラムロード [Gladius]
---> [Rapid]

プログラムロード[Punisher]
---> [Magnetic Arm]

---------------------------------->


 本来ならば、複数のクラス機構を使う事は出来ないが…。
 多くの生体部品を持つ私ならば、劣化版では在る物の使用する事が出来る。

 ラピットで接近戦闘用に最適化し、隙を減らす。
 マグネチックアームは、自身の腕に強力な磁力を通し、攻撃力の向上と
 命中率を上昇させる。
 相手の武装に磁気に反応する物があれば、より高い能力の向上が見込める
 クラススキルだ。

「吹き飛べ!!」

 左の拳に更に力を込め、吹き飛ばす。
 思ったよりも力が強かったらしく、ビルの壁を数枚貫いて吹き飛ばしてしまった。


---------------------------------->

アームゲージ 63% ---> ダメージ 37%

非対応クラススキル使用時の反動 ---> 21%


---------------------------------->

 左腕から蒼い火花が散り始める。
 本来は〝持たないはず〟の機構を無理やり使用すると、
 反動でダメージを受ける様だ。
 いまはまだ、自己強化機構のみだったけれど……。

 もしも、攻撃機構を使用したらどうなるのだろう?
 片腕の破損くらいは、覚悟しなければ行けないかも知れない。

「ん?」


---------------------------------->
,
,

結界外から高エネルギー反応確認
---> 結界上方より高エネルギー反応
,
,
自己防衛プログラム起動
,

プログラムリロード[Battle Leader]
---> [Solid Mode]

---------------------------------->


 私の身体は、ソリッドモードの使用で金色の輝きを放ち始める。
 ソリッドモードは、あらゆるダメージを無効化し、危険を回避する機構だが、
 他の機構が停止する他、移動する事も出来なくなってしまう物だ。

 そして、突然発動したソリッドモードに困惑する中、
 結界に紫色の雷が落ちるのを目撃する。

「アルフ!!
 防御に回って、アレは危険」

「あいよ!!」

 後方で結界維持に当っていたアルフに聞こえる様に叫んだ私は、
 ザフィーラの方を睨みつけた。

「良い判断だ」

 ザフィーラはそういうと、戦線から離脱して行く。
 私は〝ソリッドモード〟の発動で動けないまま上空を見つめた。

「強かった…。
 父様の身体を使いこなせない私では、勝てない」


 そして、私はソリッドモードが起動した反動として、気を失った。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////////

----------------->>イリス・ローウェル<<---------------------


 ビルの屋上から結界を心配そうに眺める緑色の服の女性シャマル
 そして、それを不可思議な角度から見つめる人型の影がいた。
 シャマルは、影に気が付いた素振りを一切見せない。

 そして、突然現れたクロノも同様に影には一切気が付かなかった。

「捜索指定ロストロギアの所持、使用の疑いでアナタを逮捕します。
 抵抗しなければ、弁護の機会がアナタにはある。
 同意するなら武装の解除を…。」

 影は、シャマルとクロノから一瞬だけ目を逸らし、仮面を付けた人物を
 視界に収める。
 その直後に仮面の男に蹴り飛ばされるクロノ…。
 だが、直ぐに態勢を立て直し、空中へ舞い舞い戻った。

「何者だ!!
 連中の仲間か?」

「……。」

「答えろ!!」

 クロノは、仮面の男を睨みつけていたが、一瞬だけ目を離した隙に
 蹴りをくらい、空から落とされてしまった。

「未確認人物エネルギー反応確認
 二匹のうち一匹と推測
 書の能力解析開始」

 影は歪んだ微笑みを浮かべながら、三人の行動に見守り続ける。
 三人は、一切影に気が付く事無く、舞台へ上がった役者の様に
 役目を果たして行く。

「データ記録完了
 〝破壊の雷〟の記録完了
 戦線より、離脱」

 影は、その場にいる三人に気が付かれる事無く、頬笑みながら
 背景に溶け込む様に消えていった。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////////



------------------------------------------------>
,
,

. . . . アクレシア【アリシア】よりデータ受信
---> 破壊の雷のデータ確認
--> レジスト作製

-----> 結界内エネルギー反応解析
--> レジスト作製
 
------> 自律プログラム【レティシア】再起動開始
,
,
,

. . . . . . 再起動

------------------------------------------------>


 ソリッドモードの反動により、気絶した私が次に目を覚ましたのは、
 リンディ家のベッドの上だった。
 ふと視線を感じ、そちら側に顔を向けると…。
 フェイリア、なのは、フェイト、アルフが心配そうに此方を見ている。

「レティちゃん、気が付いたのね」

「よかったー。
 心配したんだよ?」

「レティシア、大丈夫?
 無茶したらダメだよ?」

「嬢ちゃんが強いのは分かってるんだけど、
 フェイトが言う様に無茶するんじゃないよ」

 本当に私を心配してくれている様だ。
 あの程度の事で、アクレシアたる私が死ぬはずなど無い。
 それよりも私には気になる事がある。

 今、此処に私が居ると言う事は…。
 姉様が凄く心配している事だろう。

「大丈夫。
 ところで、姉様に連絡してくれた?」

「えぇ、リンディ艦長が家に泊っていると伝えてくれたわ」

「そう、よかった」

 フェイリアが私の問いに答えながら、暖かいココアを持ってきてくれた。
 あぁ、そうだ…。
 レイジングハートとバルディッシュの説明をしなきゃいけない。
 私は、フェイリアに肩を借りて居間へと向かう。


 居間では、エイミィがなのはとフェイトに説明を行っている所だった。

「破損の危険があるからフルドライブは、なるべく使わない様に…。
 特になのはちゃん」

「はい?」

「フレーム強化間に合わなかったから、エクセリオンモードは起動させないでね」

「はい」

 丁度、新しい機能の説明が終わったらしい。
 私は、その後ろから三人に話しかける。

「新しいフレームには、私の装甲が使用されてる
 フェイトのバルディッシュ、なのはのレイジングハートの両方に…。」

「レイジングハートとバルディッシュが頼み込んだみたい」

 私の言葉を補助するようにエイミィが付け加えた。
 アクレシアの装甲が使用されると言う事は、常時自己再生能力が
 備わり、自己進化を行う装甲を手に入れると言う事だ。

 防御を行えば、徐々に防御能力が上がり、攻撃を行えば、
 徐々に攻撃能力が上がる。
 さすがに、直ぐに耐性が付いたり、直ぐに攻撃、防御能力が上がるわけ
 ではないが、将来を考えれば、かなり良い事だ。

「……成長するという事?」

 フェイトが私に聞いてくる。
 なのはの方は、クエッションマークを沢山浮かべている様に見えた。

「そう
 私は進化し、成長する機……」

「レティちゃん!!」

 私が自身の事を〝機械〟と言おうとした瞬間、フェイリアが怒鳴り声をあげた。
 周りのメンバーも驚きの表情を浮かべている。

「私から切り離された装甲でも進化し、成長する。
 それに、普通に強化するよりも私の装甲を使った方が、頑丈になる」

 〝機械〟という言葉を使わないようにしながら、フェイトとなのはに説明を行う。
 エイミィに至っては「レティちゃんから離れても成長をやめないなんて不思議よねー」
 とか言っていた。

「でも、油断は禁物
 自己進化、自己再生する私の装甲でも、壊れる」

 私のその言葉で緊張した表情に変わる二人。
 時の庭園でボロボロになった装甲を見ているからの反応だろう。

「はぁ…。
 ちょっと、身体がだるいから休む」

 自分で作り出した雰囲気をぶった切り、私は欠伸を一つし、
 フェイリアの肩を借りて部屋へ戻った。

 戦いに備えて、身体を休め、使いこなせる様にしなければ……。
 私はフェイリアにベッドに寝せて貰い、ゆっくりと瞼を閉じる。
 次の戦いでは、確実に勝てる様に…。


-----------------------------------------------------
---------------------------------------------------------------->


○あとがき

 明けまして、おめでとう御座います。
 元旦から色々と動いていて…1月1日に更新が;;

 ぇーっと、次回からとらハ板に移ろうかな? とか思っています。



○クラススキルに関して…。

 本来ならば、クラススキルはそのクラスでしか使用できません。
 ですが、レティシアに限っては、劣化版と言う形で使用していこうと思います。
 もちろん、本来使えないクラススキルを使う為、デメリットを設けて行きます。

 さすがに他種族のクラススキルは使用できませんけどね……。
 ランチャーの特殊能力として付いているフォースとか他種族クラススキルなどは
 使用して行くつもりです。





[14292] 【習作】機械兵と少女 第二十一の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2010/01/07 00:00




○アクレシア帝国により滅んだ又はほぼ皆殺しにされた種族

 今回は、アクレシア帝国に侵略された種族です。
 アクレシア帝国は、本国(拠点惑星)の周りの惑星を片っ端から
 植民地化し、現地の人間を自身達を量産する為の道具程度としている模様です。
 この辺りの詳しい設定がない為、これ以上は分かりませんが……。

 唯一分かっているのは、女性だけで構成された部族カリアナを絶滅まで
 追いやった事くらいです。
 なぜ絶滅させられなかったかと言うと…。
 神聖同盟コラとベラート連邦との戦いで疲弊してしまい。
 カリアナクイーン率いる部隊を殲滅する事が出来ませんでした。

 ゲーム内では、中級Lvになった際に行けるようになる極寒の浮遊島イダー
 三種族が一番最初に到着した場所でもあり、プレイヤーが拠点としている
 HQが出来る前は、イダーで戦っていた事を思わせる旧HQや発着地点などを
 多数見る事が出来ます。
 また、アクレシアの研究施設、アクレシア小型艦、中型艦
 ベラート戦闘機なども見る事が出来ます。
 よぉーく見ると、ありとあらゆる施設にアクレシアのマークが彫り込まれて
 いる事から、イダーに一番最初に到着したのはアクレシアかも知れません。




」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○ttwentyfirst gear of darkness
《rapture - first part》



 リンディ家のベッドで身体を休める少女…。
 突如、その室内の一部が歪み、メイド服を着た女性が現れた。

「守備は万全にございます。
 敵の一人は既に手の内に……。」

 寝ている少女に向かい頭を垂ながら言葉を紡ぐ。
 そして、寝ているはずの少女は、目を閉じたまま上半身を起こし、
 言葉を紡ぎ出す。

「そうか…。
 では、緊急時には〝ソレ〟を使用しろ」

 少女の口からは、とてもその身に相応しくない男性の声が紡がれた。
 その声色は重く、一種の威圧感の様な物がある。

「ハッ。
 レティシア様の御容態は…?」

 メイド服の女性は、その声に表情を一切変える事無く、心配そうな声色で聞いた。
 レティシアという名の少女は、相変わらず瞳を閉じたまま身体を確認するように
 両手を握ったり、開いたりしている。

「身体に関しては、問題ない
 我が娘の為、我が身を調整したとはいえ、
 やはり元々が私である以上
 あの程度の損傷など数秒で癒えるだろう」

 瞳を閉じたまま、腕を組み、考える様な仕草をする少女
 メイド服の女性は、何も言わずに次の言葉を待った。

「問題は、娘の気持ちの持ちようだが…。
 これは、私ではどうする事も出来ない。
 精々出来るのは障害の排除か……」

 〝障害〟という言葉に反応するように頭をあげるメイド服の女性
 ガラスの様な瞳からは、何の感情も読みとれない。

「屋敷のメイドに紛い物を一体確認しましたが、
 如何様に致しましょうか?」

「娘に好意を抱く様にしておけ…。
 我が身が目的だろうが、その身を守る存在にされようなど
 考えもしないだろう」

 口の両サイドを釣り上げ、邪悪な表情を浮かべる少女にメイド服の女性は頷き、
 部屋から消える様にして退出する。
 そして、一人になった少女は、小さな声で呟いた。

「感知される様なミスを犯したつもりはなかったが…。
 まあ良い、敵として来るならば、滅ぼすまでだ」



/////////////////////////////////////////////////////////////////////



 今日の朝の目覚めは、普段と違っていた。
 普段は、自分のベッドで寝て起きるのだけど……。
 何故かリンディのベッドで目を覚ました。

 何故? リンディのベッドだと分かったかと言うと、
 リンディが私を抱き枕にする様に寝ているからだ。

「ぅぅ~ん、お茶には、砂糖を入れると……
 美味しいのよ……?」

「もういっそうの事、抹茶オ・レとか
 既に砂糖が入ってる物を飲めば良いのに」

 幸せそうな寝顔で呟くリンディに呆れながら、私を抱く腕からすり抜ける。
 まだ、5:00にもなっていない。
 少し早起きし過ぎたようだ。

「とりあえず、書き置きを残して帰ろう」

 私は、居間のテーブルに「帰ります。ありがとうございました。」と書いた紙を
 置き、ゲートを開いて自宅前まで移動する。
 そして、イリスに玄関を開けて貰い、自室へと戻った。

 猫用ベッドで丸くなっているセインは、ぐっすりと寝ている様で、
 頭を撫でても反応が無い。
 時たま「にゃー」とか「みゅー」とか言っているが、猫でも寝言を言う物なのだ。
 たまに、寝言なのか、イビキなのか良く分からない鳴き声が聞える時もある。

 とりあえず、私はシャワーを浴びてから服を着替える事にした。
 あと、1時間もしたらなのはとの訓練時間になる。
 
 今日は父様が私の為に調子したブースターを試してみよう。
 ソレは、アクレシア帝国で開発された試作品らしい。

 いま父様が使っているブースターとは異なり、巨大な鋼鉄で出来た翼の様な
 形状をしているが…。
 アクレシア帝国内でのウケが悪く、戦争時に翼を展開した状態では、
 仲間にぶつかり損傷する恐れがあるとかで、採用に至らなかったものだ。

 起動性は、現在のブースターよりも上をいっているらしい。
 また、翼で身を包む事で、防御にも使用できるが、その際は飛行できないと
 父様が言っていた。
 これなら父様の身体を使う事無く、私のままで使用できる。
 それに父様の身体を使っている時は、このブースタと父様の使っている
 ブースター〝ペンジャープリゲル〟と相互性が在る事から、
 さらなる速度増加を見込めるのだ。
 しかし、どんなに頑張ってもランチャーを持っての飛行は不可能だとか…。

 一応、私のままなら翼で飛行している状態でデュアルガンは使える為、
 練習をしなければいけない。
 父様の記録の中でも、この翼型ブースター〝トリープフリューゲル〟を
 使用したのは、試験を兼ねての1年間だけだ。

「父様でも使いこなしていない飛行機構
 練習しなきゃ使えない」

 蒼い服の男性ザフィーラを思い出し、私は拳を握り締めながら再戦の日に備える。
 そう遠くない未来、ザフィーラと戦う事になるのは分かり切っている事だ。


------------------------------------------>
,
,
ゲート開放 ---> 転送開始
,
,
------------------------------------------>


 真っ白な光が私を包み込み、いつもの訓練場所へと移動する。
 私が到着した時には、既になのががアクセルシューターの制御練習をしていた。

 最初は、ゲートによる転送で突然現れる私に驚いていたのだが、
 見慣れた為か驚きの表情を見せなくなっている。

「制御、どんどん上手くなるね」

「うん
 なのはの制御はどんどん上手くなってるよ」

 私の言葉に応えたユーノ君からは、何故か自身の自慢をしているかのような
 雰囲気が伝わってきた。

「私も練習する」


----------------------------------------->
,
,

起動要請確認 ---> 未採用ブースター選択
---> 起動

*** トリープフリューゲル ***
,
,

----------------------------------------->

 純白の光が私の背中から伸びる。
 それは、天使の翼の様な見た目を持つ、銀色の鋼で出来た翼…。

 翼の付け根から先端まで、約3m
 合計4枚で構成され、翼の裏側には小型ブースターが無数に装備されている。
 そこまで高く飛べるわけではないが、かなりの速度で飛行できる物だ。

「……。」

 何も言わないユーノ君を不思議に思い振り返ると…。
 口を大きく開け、ポカァ~ンとしているユーノ君がいた。
 なのはの方も私の方を見て惚けている。
 そのせいか制御を失った魔法の弾は、互いにぶつかり合い消滅していた。

「なに…?」

「ぁ……いや、なんでもないよ?
 うん、なんでもない」

「ぇ、ぁ……。
 羽が綺麗だと思ったの」

 ユーノ君は、何か言いたそうにしていたが、何も言わずに首をブンブンと
 振っている。
 なのはからは、綺麗だと褒められた。
 褒められるのは、悪い気がしない。

 そのあと、私はなのはに飛んでいる時の感覚を教えて貰いながら飛行訓練を行った。
 本当ならば、その後に学校へ行かなければ行けないのだが、
 この翼を使いこなせなければ、ザフィーラと対等に戦う事は出来ない。

 何せ相手は、空を飛び、私の攻撃を回避する存在だ。
 この翼の速度を手に入れ、制御しなければ、負けてしまう。

 私自身には関係の無い事だが、アクレシアにとっての〝負ける〟という事は、
 死ぬ事と変わりない。
 ザフィーラが相手ならば、命までは取られないかもしれないが、
 父様の記憶にある〝負けた存在〟の事が脳裏を霞め恐ろしくなる。

 生きていたとしても、負けてしまえば溶鉱炉に放り込まれてしまう。
 アクレシアの装甲すら、いとも容易く溶かしてしまう特別製の溶鉱炉…。

 私は怖い…。
 〝負ける〟という事が…。

 だから、私は…。
 なのはとの訓練が終わった後、姉様に体調が良くないと伝え、
 その日は、学校を休んだ。

 訓練をする為、誰もいない場所へゲートを開き移動する。
 もちろん、行き先の座標などは、エイミィに報告済みだ。

 ゲートを開く際、イリスが付いてきたがったが、
 テレビで見たアニメでは、修業を一人で行っている物が多かったし…。
 きっと、一人でやった方が効果的なのだろ。
 私は一人頷きながら、イリスの同行を拒否してゲートを潜った。



/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 辺り一面に広がる、砂、砂、砂
 そして、照りつける太陽!!

 海があれば完璧なビーチだけれど、残念な事に此処には砂の海しかない。
 なんだか、とんでもない所にゲートを開いてしまったようだ。

 おまけに砂の中に巨大な生命反応が多数ある…。
 父様の記憶の中にあったサンドウォームという生命体を思い出す。
 強さは兎に角、数が多いのと見た目が良くない。

 反応にある大きさから考えると、サンドウォームよりも巨大で
 強いと思うけれど……。
 サンドウォームの様に目が退化していて、口だけミミズとかは
 やめて欲しい。

「イリス、連れてくれば良かった……」

 イリスならば、どんな見た目でも〝私に危害を加える存在なら〟
 お構い無しに倒す事だろう。
 そういえば、最近…メイド達と一緒に何かのファンクラブを作ったらしい。
 人間ポクて良い事だと私は思う。
 一匹の巨大な気配が近寄ってくる……。

「はぁ…。
 強くなる為、強くなる為…。」


-------------------------------------------->
,
----> 自律プログラム【レティシア】
--> 調整後旧躯体 ---> 新規躯体転送 Lv50


---->【ignition】
,

---> Triebflugel ignition <---

-------------------------------------------->


 少女の身体を無数の機械が包み込む。
 両腕は、バラバラに砕け散り、巨大な白い腕へと再構成されて行く。
 脚部は根元から無くなり、代わりに巨大な巨人の腹部へと接続された。

 少女の胴体を包むように白く巨大な鎧の様な胴体が現れる。
 頭まで全てが胴体に納まり、その胴体の上に白い騎士の兜の様な頭が現れ、
 敵を睨みつける様に蒼い複眼が光を放った。

 純白の鋼鉄の翼が背中から生える。
 合計4枚の翼は、撃ちつける様に空を切った。


-------------------------------------------->


「アハッ、どんな生命体だか知らないけど…。
 私を楽しませてよね?」

 翼を展開させ、砂の中から現れた1匹目の虫の頭部を粉砕し、
 2匹目の虫の胴体を引き千切る。

 虫を引き千切る際、体中の機構が活性化するのが伝わってきた。
 出力は尚も上昇する。

 この惑星ならば、多少ハメを外しても問題ないだろう。
 バグ達に探索させた結果、この星には文明は存在していない事は分かっている。
 そうして、私の訓練と言う名の虐殺が始まった。


 3匹目の虫が、下から現れ、私を丸呑みにする。
 私は腹の中で鋼鉄の翼を広げ、回転を始めた。

「アハハー。 巨大ミキサ」

 高速で回転する翼は、虫を内部から抉り取って行く。
 虫の悲鳴が聞こえた様な気がしたが、遠い昔も聞いた様な記憶のある
 悲鳴とは異なり、興奮を覚える事はない。

 やはり何か物足りない。
 本能で戦う生命体は確かに強く、心躍る戦いもある事には在る。
 だが、やはり本能と理性を併せ持ち、的確に私を殺しに、倒しに来る相手で
 なければ、楽しくはない。

 3匹目の虫をミンチにした後、私はさらなる強敵を求めて、砂漠の上を
 飛び回る事にした。

「強い敵はいないかなぁー。
 在ったらどうしよう?
 この惑星の生命体ならランチャーで消し飛ばそう
 ザフィーラなら殴り合いで遊ぼう」

 さすがにこんなに惑星に居るとは思えないが、もしもの事を考えて
 予定を決めておくのは良い事だと思う。

 どうせだから、溜まったストレスを発散しよう。
 相手から襲いかかってくるのならば問題ない、正当防衛だ。

「それに、私の良心よりも…。
 アクレシアとしての欲求の方が上回っちゃったしね」

 私に襲いかかる生命体を片っ端から駆逐しながら前へと進む。
 コレと言って目的はないが…。

 此方の方向には、何か良い事がある様な気がしたのだ。
 そして、その良い事は当り……。
 私は、早めの再戦をする事と成る。


---------------------------------------------------------------------------

○あとがき

 A'sのOPに「鉄の羽 纏った ボクを動かしてく....」と在ったので……。
 RFoがまだ開発段階だったころにボツになったアクレシアの装備を引っ張り
 出してきました!

 昔のアクレシアは、背中にゴツイクリスタルみたいな動力炉(?)を背負い
 そこから巨大な鋼鉄製の翼を出して高速移動している様な画像が在ったのですが、
 思いっきりボツにされた様です。
 現在のアクレシアには、その面影すら在りませんし……。

 防御機能は、私の方の後付けです。
 そもそも、この翼に関しては、プログラマーとデザイナーがおフザケで付けた物なのか?
 それとも、本当に実装するつもりで作成された物なのかの判断すら私には付きません…。


 RFoやっている方にイメージし易い様に言うと…アクレシアのブースターの部分に
 バールハモンの羽をメタリックにした奴を付けた感じです。
 幻のドラゴン装備みたいに未実装になるのが多い……。

 
・追記
 少し書く時間が取りにくくなってきた為、今後も短めの文章と成りそうです;;





[14292] 【習作】機械兵と少女 第二十二の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:552fae0e
Date: 2010/01/10 00:24



○裏切りシステム

 RFには、未実装で終わった裏切りシステムまたの名を、ターンコートシステムというものが在りました。
 それは、NPCのターンコートの様に未所属になるのではなく、他国に所属し自国を裏切るというシステムです。
 他国に所属した時点で、自国のもの達からは敵対し去れます。

 また、他国のスキルと自国のスキルを使う事が出来るようになるとの事でした。
 そして、他国の文明にあった姿へと変わるのですが、コラとベラートでは服装が変わる程度…。
 では、アクレシアでは?

 資料では、とりあえず服装が変わる程度でしたが、微妙に機械化されている部分も見て取れました。
 実装されていたら半機械の存在が大量にいたかも知れません。




」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○twentysecond gear of darkness
《rapture - sequel》



 無数の虫達が森の中を羽音すらさせずに飛んで行く。
 その虫の身体は、鋼鉄で出来ており、翅すらない。

 カシャン、カシャンっと、不気味な音を時折漏らすだけだ。


-------------------------------->
,
,
目標確認 ---> 包囲開始

,
,

---> 現在勢力190

-------------------------------->


 そして、その虫たちが追いかけているものは、バニングス家に使えるメイドの服を着ている。
 どうやら、その人物は虫の追跡に気が付いているらしく、撒く為に森へ逃げ込んだようだ。

「くッ…。
 何故。バレた?」

 顔を歪め、人間では不可能な速度を出しながら駆け抜ける。
 そして、何を思ったのか立ち止まり、周囲を見渡した。

「一度退いてドクターに報告を……」

 メイド服を着た女性は、背景に溶け込むように消えて行く。
 だが、ソレを奇妙な鋼製の虫は見逃す事は無かった。


-------------------------------->
,
,

対象 --> インビジブルを確認
----> 索敵モード変更
--> 音源感知
>>生体部品音 >>機械駆動音 ---> 確認

---> 熱量確認

---> 対象再認識完了

,
,
現在勢力1500
-----> 捕縛開始

-------------------------------->


 短い悲鳴が響いた時には、消えたはずの女性が少し先で虫達に四肢を拘束されている。
 足掻き、何とか脱出を試みているようだが、両手足に一匹ずつガッシリと押さえ込んでいた。
 女性が動けない状態になったと知るや否や、風景に同化し、身を隠していた無数の虫たちが
 いっせいに姿を現す。

 その光景に驚きの表情と絶望の表情を無い混ぜた顔を作りながら女性が呟く。
 
「なッ……。
 そんな、バカな……」


-------------------------------->
,
,

通信妨害開始
---> データ上にある魔法を使用しての通信妨害開始

,
,

-------------------------------->


 一匹の虫が女性の顔に近づいた。
 他の虫たちの瞳は、不気味な赤い光を灯し始める。

「く、来るな!」

 だが、その願いも虚しく、女性の顔に一匹の虫がへばり付く。
 同時に四肢を押さえていた虫達から不気味な駆動音が響き始めた。


-------------------------------->
,
,

ボディ変換機構展開
データ変換機構展開

改竄処置開始 ----> 4%
,
,

-------------------------------->


 喋る事も出来ず、もがき続ける女性の耳に、誰かの歩いてくる足音が聞こえる。
 だが、足跡の発生源には誰もいない。
 誰もいないのだが、地にはヒールで歩いた様な足跡が付いて行く。

 そして、誰もいないところから女性の声が響いた。

「気が付いていないとでも思っていましたか?
 あまり、調子に乗るものではありませんよ」

 声と共に虫達に拘束されている女性と同じ服装をした女性が現れる。
 その顔には一切の感情が無く、瞳は何も映してはいない。

 そして、ゆっくりと顔を拘束されている女性へと近づけて行く。

「不完全すぎますね。
 何ですか? その醜く歪な体は?
 まるで、出来損ないの塵ですね」

 一切顔には出してはいないが、その言葉の通りに拘束されている女性を下等な
 存在と認識している様な雰囲気を醸し出している。


-------------------------------->
,
,
過剰生体部品侵食
磨耗機械化部分侵食

改竄処置開始 ----> 59%
,
,

-------------------------------->


「でも、安心してください。
 その出来損ないの体を完全な物にして差し上げましょう。
 ただし、主レティシアお嬢様に永遠たる忠誠を誓ってもらう事になりますが…」

 一切表情を表さない顔が歪み、微笑み様な表情を形作った。
 そして、優しく拘束された女性の頭を撫でる。
 顔をゆっくりと耳に近づけて呟いた。

「我々アクレシアに逆らう者など必要ない
 特に唯一の女性体で在らせられる主レティシアお嬢様に……。
 いいえ、新たなアクレシアのQueenになられるお方に逆らう者など不要
 必要なのは、従順な子供達だけ、貴女もその一人に選ばれたのですよ」

 拘束された女性の瞳から血の涙が溢れ出る。
 ゆっくりと、ゆっくりと確実に換えられて行く拘束された女性
 生体部品、磨耗して行く機械化部品を取り替えられて行く。

 この歴史では、絶対に辿りつく事の無い機械文明の体へ
 それは、機械にして生命、生命にして機械たる存在


-------------------------------->
,
,
過剰生体部品侵食
磨耗機械化部分侵食

改竄処置開始 ----> 96%
,
,

-------------------------------->


 一切動かず、一言も喋らない拘束された女性
 既に四肢を拘束する虫はおらず、いつでも逃げる事が出来る様な状態にあるにも関わらず
 逃げ出そうとはしない。

「あと少しで、新たなアクレシアが…。
 主レティシアお嬢様の子供にして兵士が生まれる。
 2番目に成れた事を光栄に思いなさい」

 言葉を紡ぐ女性の体は、いつの間にか真っ黒な人形の様な姿と成っていた。
 そのシルエットから女性だと分かるが、その全身は黒く、所々から青白い光を放っている。
 瞳も無ければ、鼻も無く、口も無い。
 ソレは、ただ人の形を真似ているだけの様に見える。

 一人の女性と女性の形をした真っ黒な人形を囲む様にして、鋼の虫達が姿を現し始めた。
 その瞳は赤い光を放ち、不気味な雰囲気を醸し出しているが、新たな仲間の誕生を
 歓迎している様にも見える。


-------------------------------->
,
,
改竄処置開始 ----> 100%
,
,

アクレシア化完了
. . . . 再起動開始

-------------------------------->

 女性の顔に張り付いていた虫が離れて行く。
 そして、ゆっくりとした動作でメイド服の女性が立ち上がった。

「……。」

 その動作を見ていた虫達は、役目は終わったと言わんばかりに消えて行く。
 虫達の動作を見た真っ黒な女性の人形が、メイド服の女性に話しかける。

「アクレシア【ドゥーエ】、気分はどうですか?」

「えぇ、最高の気分です」

 ゆっくりと頷くメイド服の女性
 そして、ソレを満足そうに瞳無き顔で見つめる真っ黒な女性型の人形

「貴女の創造主には、今まで通りに報告なさい。
 あと、主レティシアお嬢様が不快と思うことは表立ってしてはなりません」

「わかりました。
 ところで、姉さんの名前は?」

「私の名は、イリス・ローウェル
 アクレシアとしての名は、【アリシア】」

 そうして、真っ黒な女性型の人形は、青髪に金の瞳をしたメイド服の女性へと姿を変えた。
 二人のメイドは、顔を合わせると、バニングス家へと戻って行く。


 その二人に付き従う様に、無数の鋼で出来た虫達は、その姿を隠したまま付いて行った。


 …カシャン
 …カシャン


-------------------------------->
,
,

ファントムシャドウ
アクレシア【アリシア】 -->帰還
アクレシア【プレシア】 -->帰還

,

,

指揮官機レティセンスに報告完了

アクレシア【プレシア】
プログラム確認
裏切り次第 ---> 自滅

-------------------------------->



-----------------------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------------------------




○あとがき


 今回は、裏で色々とやっているバグとイリス・ローウェル(アクレシア【アリシア】)を
 書いてみました。

 そして、RFの方では例の如く未実装に終わったら裏切りシステムぽい感じにしてあります。
 裏切りシステムでは、他国に種属する事が出来ますが、二度と元の国へと戻る事は出来ないようです。
 あと、裏切りは一回だけだと思います。
 裏切りを行うと他国の技術を使えるようになるとの事でした。

 機械文明であるアクレシアに来るという事は何を意味しているのか…。
 そして、本当に自分の意思で裏切っているのか…?




[14292] 【習作】機械兵と少女 第二十三の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2010/01/13 23:54

○ザブタイトルに関して

 英語でやってきたのですが、日本語にしようと思います!
 理由は、私が英語苦手だからです……;;


 ・現在の勢力図

  ----> 第一勢力 管理局 【アースラ】【なのは】【フェイト】【その他】

  ----> 第二勢力 ネオ・アクレシア 【レティシア】【アリシア】【ドゥーエ】【その他】

  ----> 第三勢力 闇の書 【守護騎士ヴォルケンリッター】

  ----> 第四勢力 不明 【仮面の男】

  . . . . 第一勢力と第二勢力は、協力体制
  . . . . 第三勢力と第四勢力は、協力体制(?)


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○twentythird gear of darkness
《その手に破壊を…》



 真っ暗な部屋の中、二つの人影が、窓の外を見つめていた。

「駒が足りません」

 外を見つめる影のうちの一人が、呟く。
 その声色は、どこまでも冷たく、おおよそ感情というものを感じる事は出来ない。

「バグ5機のボディを使えば、躯体は用意できます。
 ですが、新鮮な脳が無ければ、ただの入れ物……。」

 どこか困ったような仕草を取りながら、話を続ける中、
 部屋が月明かりに照らされ、影の姿がハッキリと映し出された。

 話をしていた方の影は、メイド服でその身を包む、青い髪で金の瞳を持つ女性の姿をしている。 
 もう片方の、話を聞いていた方も同様のメイド服で身を包み、擦れた金髪で赤い瞳を持つ
 女性の姿をしていた。

「死亡した局員の脳を手に入れるというのはどうでしょうか?」

 擦れた金髪に赤い瞳を持つ女性は、どこから取り出したのか、手元に資料らしき物を開きながら
 青髪の女性へと話しかける。

「そうですね。
 体の損傷に関係なく、脳にダメージが無い素材を13個入手しましょう」

 青髪の女性は、歪な微笑を浮べながら言った。
 その女性の言葉に反応するかの様に、無数の鋼製の虫達が動き出す。


 その数日後、ミッドチルダの病院にある霊安室から、若くして亡くなった局員
 男女13名の頭が盗まれるという事件が起こった。
 この事件は、結局犯人が捕まる事はなく、迷宮入りしてしまう。


 そして、亜空間を漂うバトルシップで、事件の詳細を聞いた錆付き、年老いたアクレシアだけが、
 この意味を理解し、愉快そうに笑い声をあげた。



//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 私がテレビで見たアクロバティックな飛行のマネをしながら移動していると、
 正面で巨大な蚯蚓モドキと戦っている人影を発見した。
 青い服装にケモノミミの人物が、戦いを繰り広げている。

「あの服、あの耳、どう見てもザフィーラ?
 でも、なんでこんな場所に?」

 疑問を口にしながら、疑問は泉の様に湧き出てくる。
 闇の書は、魔力を必要とするロストロギア
 そして、リンディから聞いた所によると、魔力は人間から奪うのが効率的らしい。

 一応、他の生物でも魔力を宿すリンカーコアを持っているらしいが、
 人間に比べるとその魔力量は、限りなく少ないとの事だ。
 管理局の人間に追いかけられて、対象が居なくなったのだろうか?
 いや、彼らほどの強さを持つ者達ならば、追いかけてきた管理局の人間から
 魔力を奪えば良いと思うのだけど……。

 私は、不思議に思いながらも速度を上げ、接近して行く。
 ザフィーラの方は、蚯蚓モドキと連戦をした様で、遠目から見ても随分と消耗している様が見て取れる。 

 肩で息をし、拳を握り締め、蚯蚓モドキに突撃するザフィーラ。
 戦い方からしてかなり無茶な物を感じる。
 まあ、ザフィーラならば、あの状態でも少しは楽しめそうだ。


------------------------------------------->
,
,

ギアチェンジ ---> [Assaulter]
デメリット ---> [遠距離攻撃不可能]


------------------------------------------->


 ザフィーラと戦う為に、体中のギアを活性化して行く。
 そう、接近戦闘用ギアであるアサルターのギアへと……。
 デメリットとして、一切の遠距離攻撃を行えなくなるが、ザフィーラ相手なら問題ない。
 手始めに、私とザフィーラの戦いを邪魔するあの蚯蚓モドキを血祭りにあげよう。

〔Capacity Engine(キャパシティエンジン)〕
〔Excel Ration(エクセルレイション)〕

 キャパシティエンジンにより、体中の攻撃機構が再活性化され始める。
 駆動音は、まるで飢えた獣の唸り声の様だ。

 そして、エクセルレイションにより、脚部の機構も同時に再活性化される。
 私は、二つの機構が正常通りに機能している事を確認し、
 ブーストへ回していたエネルギーを蚯蚓モドキの頭上当り切り、落下して行く。

 どうやら、ザフィーラと蚯蚓モドキは、戦闘に熱中していて私の接近には気が付いていない様だ。
 これで、アクレシアのマークが刻まれた紫色ぽいマントを纏っていたら、英雄にソックリなのにな…。


------------------------------------------->
---> 武装選択
->アックス<-


-------->[Hora Axe]
,
,
--> 転送開始

------------------------------------------->


 私の手元に純白に輝く、私の躯体と同じ色をした巨大な斧が現れ始める。
 それは、異常なまでの巨大さを誇る両刃の斧…。
 全長2m程度の、ハルバートを思わせる見た目をした武装だ。
 そして、その刃は2mの全長の半分ほど、1m位はありそうな気がする。

 ハッキリ言って、対人武装には見えないが、相手が蚯蚓モドキとザフィーラならば、
 問題ないだろう。
 私は、巨大な斧を振り被り、重力に身を任せ、斧を振り下ろした。


------------------------------------------->
,
,
skill ---> 《Death Blow(デスブロー)》

------------------------------------------->


 その一撃は、蚯蚓モドキの頭を叩き割るだけでは収まらず、砂の大地にクレーターを作り出した。
 私としても、此処までの威力は予想していなかったのだけど……。

 呻き声や断末魔の悲鳴すら漏らさず、絶命した蚯蚓モドキを一瞬だけ視界に入れた後、
 警戒する様に私を睨みつけるザフィーラの方に顔を向けた。

「折角助けてあげたのに……。
 睨みつける必要ありますかぁ?」

 私は思った事を口にしながら、地面…というか、砂に半分以上埋もれてしまった斧を引き抜く。
 改めてみると、その巨大さが良く分かる。
 とりあえず、ソレを肩に担ぎ、ボディの隔壁を開けて、ザフィーラと目を合わせた。

 ちょっと、前までは躯体転送時に服が破けてしまったが、今ではしっかりと白いワンピースを
 身に纏っている。
 両太股、両肩辺りからは、生身ではなくコードが躯体と私を繋いでいる歪な姿をしては居るのだけど…。

「蒐集対象を潰されたか……。
 ならば。」

 拳を握り締めなおしたザフィーラが駆けてくる。
 ほんの一瞬で互いの距離が縮まり、私の斧とザフィーラの拳が衝突した。

 この斧を持ってすら切れない拳
 手に伝わる感触は、異常に堅い物を叩きつけた様な感じがする。

「ぐぅ……。
 ウオォォォォ!!」

 咆哮と共に斧を押し退けたザフィーラの蹴りが、腹部に刺さった気がしたが、
 私の装甲は、一撃で破れるほど軟くはない。

「ッ……。
 でも、まだまだァ!!」

 片足を砂にめり込ませ、ソレを軸にして回転する。
 もちろん、右手に持った斧を振り回す様にしてだ。


------------------------------------------->
,
,
skill ---> 《Deep Injury(ディープインジュリー)》

------------------------------------------->


 私は、砂を巻きこみながら回転を続ける。
 さすがのザフィーラもコレを喰らっては、タダではしまないと判断したのか
 後方へと飛び退くのを確認した。

『ヌルいな…。
 これで〝守護〟か? 笑わせてくれる。
 相手にならん、今は退け。
 そして、次に出会う時は、もう少し強くなっている事を祈ろうか』

 私は、ワタシは、ワタシハ、飛び退くザフィーラの右脚を掴み、投げ飛ばす。
 そして、後方に向かって斧を投げ飛ばした。
 その斧は、砂の中に潜んでいた生命体の頭部に突き刺さり、その命を奪い去る。

「ぐぅ……。 貴様……。
 先ほどまで戦っていた者とは違うな…?」

『我の事など、どうでも良い
 今は退くべきだろう?
 アルフの反応も近づいてきている。
 それに、何か別の存在の反応もな』

 斧を放り投げた方向へ顔を向ける。
 無論そこには、生命体の亡骸が横たわっているが、私が視線を向けるのはその先、
 フェイト・テスタロッサとシグナムが戦いを行っているであろう場所だ。
 そして、アルフが来るであろう方向に顔を向ける。

「クッ……。」

 今の状態で私と戦う事は、得策ではないと判断したらしく。
 ザフィーラは、呻き声を漏らした後、転送魔法で去って行った。
 中々素直で、良い判断する。

 さて、ザフィーラの仲間が持っていた本…。
 あの微弱な反応が本当の意味で開放された時、私の必要性も無くなるのだろう。

『この身とアリサ・バニングスという贄を糧に…。
 我が娘は、どのような成長をするか楽しみだ』

 私は、砂の大地に足跡を残しながら、アルフと合流する為に歩を進めた。
 レティシアは、途中で疲れ、寝てしまった。と言う事にでもしておこう。
 ザフィーラとの接触時の記憶は、既に消し去っている。

『バグ達よ。収集せよ。
 新たなる英雄を産み落とす為…。』

 在りとあらゆる世界において、待機状態で監視を続けているバグに命令を飛ばす。
 命令の内容は、あらゆる生命の遺伝情報を集める事…。
 その血に刻まれた戦の記憶を娘に注ぎ込む為…。
 


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 …カシャン
 …カシャン

---------------------------------------------->

プログラム起動開始 ---> シャマル代理人格構成
---> データ再構築開始
----> 時限プログラムセット

------> 復元プログラム設置
---> 武装プログラムロード完了
----> スキルプログラムロード完了
---> 分離プログラム正常起動確認
-----> 時限プログラムセット

,
,

---------------------------------------------->

 シャマルの中で新たに構築され始める人格プログラム。
 それは、誰にも気が付かれる事はない。

 黒い、黒い微笑みを浮かべ、シャマルの影に潜みながら、
 目覚めの時を待っていた。




-----------------------------------------------------
-------------------------------------------------------



○あとがき

 ふぅー、最近はかなり冷え込んでいますね。
 なんだか、インフルになったようで……。
 季節型だから良かったのですが、辛いものは辛いですね。

 全然関係在りませんが、FF14が楽しみな今年です。






[14292] 【習作】機械兵と少女 第二十四の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2010/01/21 00:43

○以前あったプレゼント

 RFoでは、かなーり昔に…。
 アクレシア英雄の等身大フィギュアが1名にプレゼント!!
 というイベント(?)が在りました。

 私も応募したのですが、予想通りの〝ハズレ〟
 欲しかったなぁ~(。・x・)(置く場所困るけど…。




」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○twentyfourth gear of darkness
《誕生の時を待つ英雄》


 …カシャン
 …カシャン

------------------------------------------------------->

---breakdown---------------------------------

name,Letitia
type,ELIMINATOR
echelon,heroic
phylon,Neo-Accretian

---------------------------------------------

 プログラム更新完了
 武装生成開始 ---> データ参照

---> アクレシア帝国 ---> 英雄装備
クラス ---> フルコンプリート[ELIMINATOR]

 ----> ボディリミット設定:
 24時間中の戦闘時間固定 ---> 10800秒 <---

 ---> これ以上の戦闘は、負荷ダメージ発生

---> 15000秒超過確認により、強制シャットダウン
------> 強制ゲート開放により、本拠地登録個所へ、帰還


 ----> セット完了

-->自律プログラム:レティシア休眠状態へ、移行


------------------------------------------------------->


 レティシアの中で、ゆっくりと目覚めの時を待っていた一つの機構が動き始める。
 それは、あらゆる惑星を侵略し、幾万、幾億の戦場を旅した鋼鉄のギア。

 目覚めるは、闇が動き出した時…。
 アクレシア【アリシア】の施したウィルスに従い、闇がアリサ・バニングスを巻き込み、
 攻撃する瞬間の目覚めを待って…。

 心を持たぬ狂える鋼鉄の歯車は、宿主を眠りへ導き、目覚めの時を待ち続ける。
 あと少し、あと少し…。



////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

----> アクレシア【アリシア】<----


 レティシアお嬢様が眠りに入ってから36時間が経過した。
 アリサお嬢様は、謎の高熱で寝込んでいるレティシアお嬢様を心底心配なさっている。

 なのは様、フェイト様、アルフ様、ユーノ様、リンディ様、クロノ様、アースラスタッフの皆々様も
 心配している様だ。
 フェイト様に至っては、魔法が使えない状態だと言うのに、御自身の事よりもレティシアお嬢様の事を
 心配なさっている。

 だが、レティシアお嬢様の高熱…。
 これは、異常ではない。
 皆々様に伝える事が出来ないが、新たなる躯体を生成する為には必要な変化…。

 数刻前のやり取りを頭の片隅で考えながら、私とドゥーエは、レティシアお嬢様のお世話をしている。
 そして、定期的に転送されてくる情報に耳を傾けた。

〔助けて貰った…。って事で、良いのよね〕
〔少なくともヤツが、闇の書の完成を望んでいるのは確かだ〕
〔完成した闇の書を利用しようとしているのかも知れんな…〕
〔ありえねぇ!!
 だって、完成した闇の書を奪ったって……〕

 何やら色々と話し合っている様ですが、やはり守護騎士達のデータは、バグと欠損が大きいらしい。
 此処まで様々な情報を喋るとは、シャマルのデータを書き換えておいたのは正解の様です。
 そして何よりも、〝夜天の書〟と言わずに〝闇の書〟と言っている時点で、
 システムとして正常に機能していない事は明白。
 
〔……大事な事を忘れてる気がするんだ〕

 この言葉を発した守護騎士の名は、ヴィータでしたね。
 一人だけ、欠損に対して違和感と言う形で気が付いている様ですが、真実を知る事はないでしょう。

 さて、なぜ私がこの様な情報を持っているかと言うと…。
 ドゥーエが仕入れてきた、〝無限書庫〟と言う名のバックヤードへ至る専用回線。
 人間の検索能力では、かなりの時間が掛る様ですが、私達アクレシアにとっては造作も無い事…。
 誰にも知られぬ様に我々のコアで侵した〝無限書庫〟の中から、闇の書の本当の名前は、
 夜天の書という魔法を記録する書物である事が判明したのです。

 私がシャマルを浸食した際に感じたバグは、以前の所有者により改竄された部分だったと言う事になりますね。
 レティセンス様に限っては、最初の接触時に気が付いていたようですが…。
 あの方は、レティシアお嬢様の成長にしか関心が無い為、そういったデータを一切送信してくださらない。

「ドゥーエ、闇の書が暴走を開始した際、その莫大なエネルギーを用いて
 リーベラモーとアルトスSPを〝あちら側〟から拝借しましょう。」

 突然、話を振られたからなのか、それとも〝リーベラモー〟と〝アルトスSP〟という名に聞き覚えが無い為なのか。
 ドゥーエは、不思議そうな顔で私を見つける。

「……?
 アリシア姉さん、それは一体?
 それに、〝あちら側〟とは…?」

 その問いに、私は微笑みを漏らしながら答えた。
 この私の回答は、アクレシア帝国に唾を吐く様なものだが、私が仕えるべき存在は〝アクレシア帝国〟ではない。

「アクレシア帝国のドックに存在している〝小型戦艦リーベラモー〟と〝砲撃型侵略機アルトスSP〟を
 〝こちら側〟に転送します。
 失敗したとしても、そのツケを払うのは、書物と哀れなその主だけ……。」

 この言葉に、私とは異なり、青ざめて行くドゥーエ。
 彼女には、アクレシア帝国の基本的な情報を転写済みである。
 それ故に、アクレシア帝国その物と戦争をする事がどれほど無謀なのかを理解しているのだろう。
 だが……。

「未来、現在、過去へと行く技術を持ってしても、ifと言ってもよいこの世界に…。
 アクレシアの存在しないこの歴史に…。
 次元の壁を超えてやってくる事は、帝国の技術を持ってしても不可能です。」

 そこで私は、言葉を区切った。
 レティセンス様より与えられた情報により、アクレシア帝国は宇宙空間ならば、どの銀河にも侵攻し、
 未来、現在、過去の隔たりなく侵略を繰り返す文明だ。
 ですが、その科学技術を持ってしても〝if〟の歴史に侵攻したという記録はない。

 まあ、ダークホールと言う名の〝限りなく近く、遠い場所〟に存在する亜空間への侵攻記録は
 何百、何千、何万と記録されているのですが…。

 どの種族にも属す事の無いおぞましい存在達が闊歩する空間…。
 そんな空間へ、仲間を集い、喜々として向かって行く映像が複数残されている。

 ……脱線してしまいましたね。
 話を戻す事にしましょう。

「ですが、私達には、そのチャンスが一度だけあるのです。
 使わない手は無いでしょう?」

 私の言葉で、ハッとした表情と成るドゥーエ。
 どうやら彼女も気が付いた様だ。
 ifという名の次元の壁さえも超えうる可能性を持つ存在に…。

「なるほど…。
 八神はやてが暴走した際に発生する高エネルギー…。」

「そう、その空間すらも歪ませるエネルギーに指向性を持たせ、私達の中に存在する
 アクレシア帝国ドックの座標へ大穴を開けます。」

 うっかり巻き込まれて、整備兵も呼びこんでしまう可能性があるが、ソレはソレで都合が良い。
 プログラムを改竄し、アクレシア帝国からレティシアお嬢様に忠誠を誓う存在にしてしまえば良いだけの事だ。

 感情を有するアクレシア兵は、ノバスへと送られてしまった様だし…。
 苦労する事はないだろう。

「私一人では、この計画は失敗に終わった事でしょう。
 ですが、ドゥーエと13名にも増えたレティシアお嬢様の子供達(children)がいる。」

 私はきっと狂っている。
 だが、この狂気によって、レティシアお嬢様の幸せが訪れるのならば、安いものだ。
 私の素材として使われたアリシア・テスタロッサもレティシアお嬢様の幸せを願ってくれている。
 そして、フェイト・テスタロッサの幸せも……。

 私、アクレシア【アリシア】の優先すべき事柄は、レティシアお嬢様の幸せ…。
 そして、レティシアお嬢様が君臨する新たなる帝国、ネオ・アクレシア帝国を創り出す事…。
 私の元と成ってくれた〝アリシア・テスタロッサ〟に敬意を払い。
 フェイト・テスタロッサの幸せも願おう。

「children-Ⅰからchildren-XIIIを海鳴市の山中に待機させましょう。
 そして、必ずや成功させるのです。」

 私の言葉にドゥーエは強く頷き、childrenに連絡を始める。
 childrenは、私やドゥーエとは異なり、見た目においては、完全にアクレシア兵である為、
 無人惑星で待機せざるおえない。
 呼び出すのに多少なりとも時間がかかるのだ。

 さて、私の方も準備を始めよう。
 必ずこの計画を成功させるために…。
 そして、誤ってアリサお嬢様が死んでしまわない様に…。



 私、ドゥーエ、children-Ⅰ~children-XIIIは、レティシアお嬢様から生れたアクレシアのレプリカに過ぎない。
 盾を持たず、御身体であるレティセンス様に守られ、生れたレティシアお嬢様…。
 この世界で、この歴史で生れ出た唯一のオリジナルであるアクレシア。

 偶然という事故の名に生れたレティシアお嬢様を守る事こそが、私達が生み出された理由に他ならない。
 盾を持たぬ、レティシアお嬢様が浴びるのは、御自身の血ではなく…。
 反逆者、愚者、猛者、英雄、他者の血で無くては…。

「そう、レティシアお嬢様に逆らう存在など必要ない。
 そして、レティシアお嬢様よりも強い存在がいるのならば、
 レティシアお嬢様には、それ以上の強き者と成って頂かなければ……。」

 ドゥーエが去り、寝ているレティシアお嬢様のいる部屋で、私は微笑み続ける。
 あぁ、やはりレティシアお嬢様の寝顔は、可愛らしい。



/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


○あとがき

 何だか、暖かかったり、寒かったり忙しい気候ですね。
 体調崩し安いので、気をつけなきゃ(。・x・)
 皆々様も気を付けてください。

 ぇーっと、レプリカアクレシアの名称は「children」で統一する事にします。
 アリシア、ドゥーエなどの特別なキャラクターがアクレシア化した場合のみ、
 ネームキャラとして扱うつもりです。

 あと、「children」の数字は、ローマ数字で行く予定ですので、「ⅠからXIII」という感じになります。
 読み方は「チルドレン・ワン から チルドレン・サーティーン」です。


 あと、ELIMINATOR(エリミネーター)は、〝排除するもの〟という意味合いだそうです。
 私のお気に入りの単車なんですけどね(。・x・)




[14292] 【習作】機械兵と少女 第二十五の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:bd31547d
Date: 2010/01/27 21:24


○英雄

 アクレシア帝国を含め、他の種族にも英雄と呼ばれる存在が必ず一人はいます。
 アクレシアの英雄、コラの英雄、ベラートの英雄という具合にです。
 敵として登場する種族は、基本的にボスが英雄と同じ立ち位置となっている様です。

 さて、RFoでは、英雄という存在が、なぜ〝英雄〟と呼ばれているのか詳しくは語られていません。
 そもそも、同胞たちに英雄と呼ばれているだけなのか?
 それとも、国が英雄と認めた存在なのか?
 それすらも謎なのです。

 とりあえず、入手したストーリーでは、ベラートの英雄がコラの英雄を助け、その二人をアクレシアの英雄が
 襲い、コラの英雄がアクレシアの英雄を退け、一命を取り留めます。
 ベラートの英雄とコラの英雄の雰囲気はあくまでも友達以上にはならないのですが、
 何故か以前二人を襲ったアクレシアの英雄とコラの英雄は、共同戦線の折に仲良くなり、
 恋仲となってしまいます。
 ベラートの英雄は、コラの英雄に好意を持っていた為、アクレシアの英雄を良く思いませんでしたが、
 コラの英雄の幸せを願い身を引く…。
 と云った感じでした。
 英雄と呼ばれる様になった理由とは全く関係ない色恋ものでした。

 もちろん、ゲーム内ではストーリー自体が未実装である為か確認は難しいです。
 クエストで上記の色恋ストーリーが少し確認できる程度で…。

 英雄が英雄と言われるに至った理由は、さっぱりです…。


 とりあえず、アクレシアならもの凄い数を殺し、侵略し、生き残れば英雄扱いされそうではありますけどね。



」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




○twentyfifth gear of darkness
《ソレは、夢を見る》



 遠い、遠い未来の光景。
 そして、私ではない誰かの記録…。

 そのアクレシアは、一番多くの戦場を渡り歩き、一番多く生命を屠ってきた。
 宿した心を鋼鉄のギアで抑え込みながら…。

 数多の亡骸を踏みしめ、帝国が命じるままに惑星を侵略し、領土を侵し、死を振り撒いてきた。 
 鋼鉄の中で軋み続ける心は、同胞の死を悼み、己に向かってきた戦士に敬意を表す。
 唯一出来る戦士たちへの弔いは、一切の手加減をせずにその命を奪い去る事だけ…。

 この記録には、一人のアクレシアの苦痛が溢れている。
 それと同時に、同胞との楽しい思い出とも言える記録も…。


『全軍、突撃!!
 全ては、アクレシア帝国の為に!!』

 そして、幾つかの記録を見ているうちに、幾戦の戦場を掛けたアクレシアは、
 無数の同胞を率いる隊長と成っていた。
 彼の言葉に応える様に同胞達は、雄叫びを上げ、敵に向かって進軍をしている。

 どの記録を見ても、アクレシア兵は撤退をしていない。
 たった一人になっても戦い続けるその姿は、恐ろしい物を感じる。
 見ているだけの私でも恐怖を感じるのだから、直接戦っていた者たちは
 どのように感じたのだろう?

 無謀を繰り返す愚者?
 戦いを求める狂人?
 破滅を齎す者?
 帝国の狗?
 機械仕掛けのバケモノ?

 或は、戦い以外を許されぬ哀れな存在とでも思うのだろうか?

 特に、私が見ている記録…。
 この記録の主人公とも言えるアクレシア兵が赴く戦場では、喜々として同胞達は散って行く。
 散って行った同胞の倍以上の数が生き残り、死した同胞の分まで戦っている。

 同胞達は、彼が指揮する戦場でならば、必ず勝てるとでも思っているかの様に思えた。
 戦いの為に生れ出たアクレシアと言えども、自ら好んで死地へ向かう事は無い。

 彼は、勝敗に関係無く、生き残れる戦場を無数に生み出してきた存在だった。
 故に、いつの頃からか英雄と云う名で呼ばれている。
 帝国から送られた称号ではなく、多くの同胞が認めた存在…。

 そこからの記録には、戦場での生活しか映し出されなかったけれど…。
 鋼鉄の身体にアクレシアのマークが刻まれたマントを纏い、自身の後継者とも言える英雄が
 誕生した後も、機能が停止するその日まで戦場を駆け抜けた名も無き英雄…。

 他のアクレシアとは異なる独特の装甲。
 装飾の一切を排除し、外部からでも幾つかの機械部分が見て取れる銀色に輝く身体を持った者。

 そして、その英雄と云われたアクレシアを除いて、世界から色が抜けて行く。
 バニングス家で見かけた、セピア色の古い写真の様だ。

 一面、セピア色になってしまった世界の中で、私と英雄だけが色を保ち、取り残される。
 英雄は、片膝を着き、視線を私に合わせると、驚く事に話しかけてきた。

『呼んだのは、君だね』

 鋼鉄で出来た顔からは、表情こそ分からないが、英雄の声色は優しいものだ。
 だが、〝呼んだ〟とは、いったい何の事だろう?

『君が〝  〟を求めるが故に呼んだのだろう?』

 何を言っているのか良く聞き取れない。
 私が疑問に思っている事を雰囲気から感じ取ったのか、アクレシアの英雄は、
 優しい声で話を続ける。

『この〝  〟は、多くの者に絶望を与え、多くの者に希望を与えた。
 矛盾を抱え込んだ物だ。
 そして、様々な記録も宿している』
 
 セピア色の世界の中に、これまたセピア色の女性が現れた。
 それは、いつか父様の記憶の中で見かけた神聖同盟コラの英雄にソックリなのだけど、微妙に違う。
 記憶で見かけたコラの英雄とは、年齢が明らかに違うのだ。

 確か、見た目は20代後半にしか見えなかったはず。
 だが、いま目の前に現れたセピア色の女性の年齢は、どう見ても40代後半にしか見えない。

『彼女は、神聖同盟コラで当時、英雄と云われていた女性であり、
 唯一のライバルとも言える人だ。
 何度も戦場で刃を交えたが、最後には、最悪の種を倒す為、共に闘った。
 結果は、君の持つアクレシアの情報からも解る様に敗北だったが…』

 英雄は、ほんの少しだけ顔をコラの英雄へと顔を向ける。
 私からは、アクレシアの英雄が涙を流している様に思えた。

 アクレシアの英雄は、私の方へと顔を向け、話し続ける。

『この〝  〟を用いて君が何をするのか
 何をしたいのかは知らないが、失ったモノは二度と元には戻らない。
 くれぐれも注意する事だ』

 アクレシアの英雄はそういうと…。
 コラの英雄を抱き締め、彼自身もセピア色へと成って行く。
 寂しそうな雰囲気の英雄を最後に、私の視界は闇に閉ざされる。

 薄れゆく意識の中で、私は考えた。
 視界が闇に閉ざされる前に見た光景。
 アクレシアの英雄とコラの英雄が互いを抱き締め合う姿は、彼らの死ぬ寸前の姿だったのかも知れないと…。



/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

----> アクレシア【アリシア】<----


 レティシアお嬢様が御眠りになっている間に、クリスマス・イヴと言われる日となった。
 なんでも、サンタクロースとかいう奇人が〝良い子〟にプレゼントを持ってくるらしいのですが…。

 レティシアお嬢様の元にならば、一体、何百、何千のプレゼントが届く事か…。
 サンタクロースなる者が、レティシアお嬢様にプレゼントを届けなかったら、締め上げて、
 コンクリートで固めて海に埋めてやる。

「……リシア姉さん、アリシア姉さん
 その顔で、部屋から出ないでください」

 ドゥーエ、そんな呆れた表情で私の両肩を掴みながら何を言うの…。
 そこまで、私の表情はヤバかったのかしら?
 確かに多少の殺気が出ていた事は認めますが、表情に出した覚えはないのですが…。

「アリシア姉さん…。
 鬼の様な形相という言葉がピッタリな顔をしていましたよ」

 なんだか、ドゥーエに心を読まれた様な気がしましたが、気のせいでしょう。
 私の心理プロテクトは、アクレシア・レプリカの中でもトップクラスのはず。

 私は、ドゥーエに指摘された表情を引き締め直し、再度考えに没頭する。
 先ほどの様に脱線しない様にしなければ…。

 現状、フェイト様の魔力は順調に回復し、戦闘も問題なく行える状態となった。
 そして、バグに侵された夜天の書も残すは、60ページとなったと報告を受けた以上、
 計画を最終段階へ進めなければ行けない。

「ドゥーエ、childrenの配置は順調ですか?」

「はい

 childrenⅠからⅢは、海鳴市の東側へ
 childrenⅣからⅥは、海鳴市の西側へ
 childrenⅦからⅩは、海鳴市の南側へ
 childrenXIからXIIIは、海鳴市の北側へ

 配置は全て完了しています。」

 何処から出したのか、データ端末を見ながら報告する妹は、姿こそアクレシアではないが、
 心は完全にアクレシアとなった様だ。
 データ端末から顔を上げた、ドゥーエに口づけをした後、窓から外を見ながら最終段階の説明を始める。

「記録が確かならば、そろそろ騎士達は書に取り込まれる事でしょう。
 湖の騎士シャマルが書に取り込まれた際、仕込んでおいたプログラムを発動させます。
 名は、〝湖の魔女モルガン〟とでもしておきましょう。
 モルガンの起動と共に夜天の書内部、もっともバグに侵されている防衛機能に
 忍ばせている座標攻撃プログラムを解凍、座標地点に向かって無理やり攻撃を行わせます。
 ただ、問題があるとすれば……」

 同意も何も聞こえない事が気にかかり、振り返ってみると…。
 顔を真っ赤にし、フリーズしているドゥーエがそこにいた。
 私のボディと近しい年齢をしているが、存外初心らしい。

「はぁ…。」

 肩から力が抜け、溜息が出る。
 ドゥーエが再起動するまで、かなり時間が掛りそうだ。
 私は、視線を窓の外へと戻し、唯一の問題点とも言える存在を思い返す。

 
 唯一の問題点、夜天の書にマスターと認められた八神はやては、邪魔以外の何者でもない。
 childrenは、転送されてきたリーモベラー級戦艦とアルトスSPを確保する為、動かす事は出来ないが…。
 計画通りに進めば、その頃の私は、覚醒した夜天の書の攻撃により機能停止状態のはずだ。

 ドゥーエには、これからも裏方として動いてもらう為に舞台に上げるわけにはいかない。

 仕方無い、レプリカ・ヴォルケンリッターに働いてもらう事にしましょう。
 残りのヴォルケンリッター達には、シャマルと接触した際にプログラムが感染する様に
 設定すれば問題ないでしょうが、人格プログラムがモルガン以外未熟となりそうですが、
 贅沢は言えませんね。


----------------------------------------------->
,
,

レプリカ・プログラム作製開始

 基礎プログラム〝湖の魔女モルガン〟

----> 浸食プログラム設定
--> 発動開始プログラム設定
----> 時限認識完了
,
,


---->名称固定〝剣の妖女キュベレー〟<----

--> 複製プログラム[剣の騎士シグナム]
---> 武装プログラム[マグナ・マーテル]
--->[マグナ]
--->[マーテル]

-----> デュアル設定完了
---> 疑似人格サポートプログラム設定開始

-----> 人格設定プログラム
,
,


---->名称固定〝鉄槌の妖精エインセル〟<----

--> 複製プログラム[鉄槌の騎士]
---> 武装プログラム[ドッペルゲンガー]


-----> シングル設定完了
---> 疑似人格サポートプログラム設定開始

-----> 人格設定プログラム
,
,


---->名称固定〝盾の双魔獣ハティ〟〝盾の双魔獣スコル〟<----

--> 複製プログラム[盾の守護獣]
---> 武装プログラム[エクリプス]


-----> ダブル設定完了
---> 疑似人格サポートプログラム設定開始

-----> 人格設定プログラム
,
,

プログラム設定完了 ---> 浸食設定完了

---> 感染タイプ設定完了
シャマルに一定距離接近したヴォルケンリッターを対象認識

----------------------------------------------->


 シャマルの中で行動の時を待っているプログラムへ
 追加で浸食プログラムを送り、私は一息ついた。

 疑似人格プログラムを作成するのにはかなりの時間が掛る。
 ソレを無理やり短時間で行うのだから、元となったプログラムの影響を大きく受ける事になるだろう。

 あまりにもヴォルケンリッター側に近過ぎ、レティシアお嬢様の障害となるのならば、
 自壊プログラムを作動させ消滅させてしまえば良い。

 まあ、管理人格が表に出てきた時、暴走が開始するまで被害を最小限に食い止める役目だけ
 してもらえれば十分だ。
 管理人格がシールドブレイク系を放った時に、アリサお嬢様と私の方向に攻撃が向かう様にする事も
 忘れてはいけない。
 計算通りならば、私の身体は、半分以上持っていかれるだろうが、アリサお嬢様は下半身不随程度で済むだろう。
 アリサお嬢様が死んでしまっては、レティシアお嬢様まで暴走してしまう可能性がある。
 しっかりと死なない様に守らなければ、暴走したレティシアお嬢様に皆殺しにされるなど、
 在っては成らない事だ。


----------------------------------------------->

--->報告<---
プログラム浸食完了

残り対象
ザフィーラ

----------------------------------------------->


 …想像以上に速い浸食ですね。
 どこか一か所に纏まっていたのでしょうか?

「ドゥーエ、いつまでそうしているつもりですか?
 近くで妨害が行われている場所を探ってください」

 惚けていたドゥーエは、私の言葉で機能停止から復帰したが、まだ顔が赤い。
 普段ならば、直ぐにでも答えが返ってくるのだが、今回はかなり時間が掛っている。
 私も少しだけおフザケが過ぎたのかもしれない。

「……病院に妨害用の結界が張られています。
 通信妨害などですね。
 シャマルもそこにいる様です。
 アリサ様、すずか様、なのは様、フェイト様もそちらに……」

 そういえば、レティシアお嬢様、アリサ様、すずか様、なのは様、フェイト様のお話に八神はやての名が
 数回出てきましたが、本人だった様ですね。
 少々イレギュラーですが、アリサ様が暴走の場にいるのは好都合…。
 すずか様に関しては巻き込むわけには行きません。

「ドゥーエ、隔離結界が張られ次第、すずか様を結界外へお連れなさい。
 あの方は、人間とは多少異なっている様ですから、結界内に囚われる可能性があります」

 ドゥーエは、私の言葉に頷き、背景に溶け込む様にして消えていった。
 元より私と同じ行動パターンを持っていたせいか、ドゥーエには、簡単に事柄を言うだけで
 全てを理解してくれる。
 説明いらずとは、楽で良い。
 childrenもドゥーエ同様だと助かるのだけど、急いで用意した脳を使った代償なのか、かなり詳しく説明
 しないと内容を理解しないのだ。

「さて、私も動きますか……」

 私もドゥーエ同様に背景に溶け込む様に消えて行く。

 さぁ、始めよう。
 レティシアお嬢様を目覚めさせる為に…。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


---->湖の魔女モルガン<----

 何も無い闇の空間に一つの意識が漂っている。
 それは、本来の姿とは異なる姿を形作りながらゆっくりと瞳を開けた。

「あ~ぁ、どうやら私のオリジナルは、やられちゃったみたい。
 そろそろ、お寝んねから覚めなきゃダメかしら?」

 瞳を開けた紛いモノは、三日月の様な微笑みを浮かべながら声なき声で嘲笑う。
 その姿は、守護騎士シャマルとソックリでありながら全く違った。
 汚れた灰色の髪、血の様な赤い瞳を持つ存在である。

 白と緑の服装は、赤と黒の服装となり、純白さとは正反対の禍々しさを
 醸し出している。

「ほら、あんた達もさっさと起きなさい。
 未完成で悪いんだけど、お仕事の時間よ」

 手でパンパンっと鳴らし、眠れる存在達を叩き起こす。
 闇から這い出る様に現れた存在の数は、四つ…。
 それら全ては、まだ人の形すら形成していない粘土の様だ。

「じゃぁ、オリジナルから分離しましょうか
 こんな湿っぽい闇の中にいたんじゃ
 ゆっくり眠れもしないわ」

 闇を引き裂く様に腕を動かし、シャマルにソックリの存在は、その場より出て行く。
 そして、ソレに続く様に四つの存在も闇の空間から出て行った。


------------------------------------------------------------------------------->>



○あとがき

 久々の更新です。
 主人公が寝ているので、アリシア側のお話が多めですが…。

 また、アクレシアの英雄とコラの英雄は、ゲーム内設定でも未来に恋人同士になると言う物があります!
 しかぁーし! 見事に実装されていません。
 というか、ストーリー自体があまり進んでいません…。

 まあ、夢の中に出てきた英雄は、そんな英雄の中の一人
 過去にも居たであろう、他種族を愛する英雄です。




[14292] 【習作】機械兵と少女 第二十六の黒い歯車
Name: すとろべりーアイス◆2f4f1a6f ID:fcafbcb3
Date: 2010/07/08 00:29
○???

 戦いは続く、いつまでも続く、なぜ続く?
 最初の原因は何だったのか?
 ソレを知り者は、もう誰もいない。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

○twentysixth gear of darkness
《目覚めたモノは…》


 運命の日、クリスマス・イヴの夜。
 隔離された海鳴市の上空で戦いが行われていた。

 金色の閃光と桜色の閃光が向かう先には、闇を纏った様な女性の姿がある。
 その女性は、二つの攻撃を意図も容易く防ぐ。
 表情は、アリシアの様に無ではあるが、雰囲気からは深い悲しみが滲み出ていた。

「刃以て、血に染めよ。
 穿て、ブラッディダガー」

 ほんの一瞬、闇を纏った女性の周りに赤い光が迸る。
 次の瞬間には、なのはとフェイトが居た場所に爆発が起こった。
 だが、二人は瞬時に攻撃をやめ、防御を行ったのか無傷とまでは行かないが、煙の中から現れる。
 そして、闇を纏った女性が新たな攻撃を放つ為、動作に入った頃…。

 全ての目を掻い潜り、一つの影が移動を開始した。

「此処までは、順調ですね。
 アリサ様も予定通りに隔離結界内部に留まられたご様子…。」

 影は微笑みながら呟き、人間離れした速度で道路を駆け抜けて行く。
 全ては愛する主の為と小さく、小さく呟きながら。

 母を〝愛してあげる事が出来なかった少女〟の脳を用いて生み出されたアクレシアの暴走。
 それは、得られなかった愛を得ようとしてもがき苦しむ小さな、小さな想いから生まれたものなのか?
 いずれにせよ。その愛が歪んでいるとも気が付かず、行動を続けるアクレシア【アリシア】は、
 何の躊躇をする事無く、アリサへと近づいて行った。

「アリサお嬢様、御無事ですか?」

 アリシアは、如何にも心配した様な声色と表情を作り、話しかける。
 それは、イリス・ローウェルとして使った事の無い優しい表情をしていた。

「ぁ…イリス」

 普段のアリサならば、この段階で気が付いていたかもしれない。
 目の前にいるイリス・ローウェルが何時もとは異なる事に…。


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---->湖の魔女モルガン<----


 闇とは異なるモノより出でた魔女が、アリシアとアリサのやり取りを空中から見つめている。
 魔女は、辛うじて人型を保つ存在たちを引き連れながら、薄い微笑を浮かべていた。

「あらあら、自分の計画通りに全てが動くと思っているのね?
 アナタが私達を未完成にしてくれたお陰で…。
 私達の指揮権は、お前じゃなくて…。あのお方が持っているのにねぇ」

 戦闘の光に照らされ、露になるその顔は、守護騎士シャマルにソックリではある。
 だが、全てが真逆、対立の様なイメージを与える見た目と服装をしていた。

「……モル…ガ、ン…ねえ、様…」

 魔女の後ろで人型に成りつつある存在の一つが、
 のっぺら坊の様な顔に口らしき部分を作り、言葉を紡ぐ。

「彼女は…。
 オリジナル・アクレシアをぉ、し、し、支配できるつもり…。
 だけどどどど、我らの、オリリジ、ナルは…」

 言葉を一度区切った時、存在の姿が変化し始めた。
 ソレは、守護騎士シグナムにソックリでありながら、まったく違う。
 真っ黒な髪、血の様な瞳、黒と紺を基調とした騎士服を纏い。
 手には、レヴァンティンを二周りほど巨大化させた様な大剣が握られている。

「いまこの時も戦い。進化し続けている。
 そして、何よりも…。
 あの様な愚考に走る存在が、アクレシアに勝てるわけがない」

 黒き騎士は、鼻で笑うかの様に眼下のアリシアを一瞥する。
 魔女に至っては、その黒騎士を興味深い瞳で観察している様だ。
 そして、満足できたのか、魔女は騎士に向かい言葉を紡ぐ。

「そう、アナタの考えは正しいわ。
 でもね。 その考えを言う前に忘れている事があると思わない?」

 黒騎士は、その言葉を聞き、困惑の表情を浮かべる。
 きっと、自分は何か間違えたのだろうか? 何を間違えた? 等と考えているのだろう。
 魔女はため息を付くと、子供に語り掛けるかの様に呟いた。

「いい?
 アナタは、私を知っているのだろうけど…。
 私は、アナタを知らないのよ?
 一番最初に自己紹介なさい」

 黒騎士は、その言葉で「ハッ」とした表情となり、申し訳なさそうに魔女を見つめる。
 そして、虚空に跪き、頭を垂れた。

「申し訳ありません。
 我が名は、キュベレー。
 剣の妖女キュベレーと申します。
 そして、我が剣の名は、マグナ・マーテル」

 そう黒騎士…。
 剣の妖女キュベレーが名乗りを上げた時、後ろで蠢いていた残りの存在達の姿も変化し始めた。

 騎士ヴィータにソックリでは在るが異なる存在
 その髪は、紫であり、瞳はガラス球の用であり、人形の様な印象を与える。
 騎士服も全く同じでは在るのだが…。
 何故か違和感を覚える。
 眼を凝らしてみれば直にでも気が付く事ではあるが、鏡に映った存在の様に左右が逆転しているのだ。
 そして、その存在は優雅に一礼してから口を開く。

「はじめまして、お姉さま方
 ワタクシの名はエインセル、鉄槌の妖精エインセルと申しますの。
 この子の名は、ドッペルゲンガーですのよ」

 最後に現れた存在は…。
 多分、守護獣ザフィーラを基にしたのだと思われるのだが…。
 小学生ほどの二人の男の子がニッコリと微笑を浮かべていた。
 頭頂部に特徴的な獣耳を生やし、お尻からは尻尾が生えているのが見て取れる。
 服装、髪色などに変化は見られず、武装に関してもオリジナルそのままに流用しているようだ。 

「こんばんわ。
 ボクの名前は、ハティといいます。 ハティは笑みを浮かべながら手を振ります。」

「こんばんわ。
 ボクの名前は、スコルといいます。 スコルはめんどくさそうにお姉さん達に挨拶をします。」

 余りにも特徴的な喋り方。
 言葉の後に自身の行動まで一緒に喋っている。


 そうして、ココに夜天の騎士達とは欠けなれた特徴を持つ物たちが未完成ながらも誕生した。
 しかもソレらは、アリシアの意図していた存在とは大きく異なる。
 強い自我を持ち、自己進化能力を持ち合わせた存在。
 そして、指揮権がアリシアではなく、レティセンスにあるという事…。

 3人の騎士達は、長女たる魔女モルガンの方へ顔を向け指示を待っている。
 魔女は、出来るだけ優しい表情を作り、3人の騎士へと指令を伝えた。

「ネオ・アクレシアンではなく、アクレシアンが出現する可能性が高い以上
 アリシアの計画を成功させるわけには行きません。
 childrenの指揮権奪還、及びアクレシア・アリシアの再調整を行います」

 魔女がそう告げると、3人の騎士達は軽く頷き、虚空へと消えていった。
 そして、魔女も虚空の中へと消えて行く。


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○あとがき

 お久しぶりです。
 本当に久々の更新となり…書きが物凄く下手になっています;;

 一応、更新が滞っていた理由を少し…。
 PCが盛大に壊れました。
 ついでにデータも飛びました。
 暑さの余り、私自身がオーバーヒートしました。
 猫がキーボードの上に池を作った為、キーボードがお釈迦になりました。


 とまぁ、こんな感じです。
 唯でさえ、下手なのに…。
 さらに下手になってしまいましたので、色々と頑張ってみようと思います。

 たぶん、この第二十六は後々修正されると思います。
 それはもう、思いっきり!



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