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【支援策】農相、融資県全域に拡大の意向

(2010年5月12日付)

 本県で拡大している口蹄疫に関し赤松広隆農相は11日、当面の資金対策としての「家畜疾病経営維持資金」の融資対象地域を、搬出制限区域内(半径20キロ)から本県全域に拡大したい意向を明らかにした。関係自治体への特別交付税措置を表明している原口一博総務相は、新たな法整備や予算措置を検討する姿勢を示した。また、JA宮崎中央会(羽田正治会長)は、口蹄疫による県内畜産農家の被害額が8日時点で総額110億円に上るとの試算を11日までに明らかにした。

 同経営維持資金について農水省は4月23日、対象地域を移動制限区域内(同10キロ)から搬出制限区域内に広げたほか、融資枠を20億円から100億円に拡大している。

 衆院農林水産委員会で道休誠一郎議員(民主党・無所属クラブ、比例九州)の質問に対し、農相は「地元で話を伺うと制限区域外でも経営が非常に厳しくなっている方が多く、県全域への拡大を前向きに検討する」と述べた。

 また、農相は殺処分した家畜の埋却場所について、地元首長らとの10日の協議を受けて「海岸線の防風林は国有地であり使ってほしいと申し上げたが、水源に影響するので困るという話もある。水源に関係ない場所を早く指定してほしい」と要請した。

 同委員会では江藤拓議員(自民党・改革クラブ、宮崎2区)も、農相の4月30日から5月8日までの外遊に「発生拡大を受け途中で帰国する考えはなかったか」などと質問。農相は「随時連絡を取りながら対応していた。私1人いなかったからといって、支障があったとは思わない」と述べた。

 参院総務委員会では、外山斎議員(民主党・新緑風会・国民新・日本)が「特別交付税が実際の経費より少なければ困る」と見解を求め、総務相は「関係自治体が財政の不安なく万全の措置を取ることができるよう指示している」と説明。さらに「支援強化の観点から法律の作り替えや予算措置で対応すべきものがあるか、農水省と協議するよう指示した」と述べた。

 また、JA宮崎中央会の試算は約6万2千頭分が対象。内訳は、家畜の評価額が40億円▽出荷遅れによる餌代などの諸経費が10億円▽家畜を新たに購入するなど事業再開への必要資金が60億円―としている。算定の詳細は非公開。

◇家畜疾病経営維持資金 家畜伝染病が発生した場合、家畜や飼料・営農資材の購入、労賃の支払いなど畜産経営の再開や継続に必要な営農経費を低利融資する制度。年利(2月19日現在で2・95%)の半分を国が補助。今回の口蹄疫対策で、発生農家の経営再開資金、搬出制限区域内の農家の経営継続資金に対して、農家の手出し分を県と関係市町が折半で負担し、実質無利子にしている。