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処分家畜の全額国補償へ 赤松農相来県

(2010年5月11日付)

 県内で口蹄疫の被害が拡大していることを受け、赤松広隆農林水産相が10日来県し、東国原知事と会談した。農相は、感染拡大のために殺処分した家畜は事実上、国が全額補償すると表明。また、国やほかの都道府県から防疫のために派遣している獣医師を100人に倍増させ、県内の20人と合わせて総勢120人態勢とすることも明らかにした。

 会談には平尾豊徳農水省消費・安全局長、中村幸一県議会議長、本県関係の国会議員らも同席した。

 農相は会談で、家畜伝染病予防法により評価額の5分の4とされている家畜処分への国の補償について、「当面は県が残りを措置し、後で国が処理する。事実上、5分の5。畜産農家には負担させない」と述べた。共済未加入の農家に対しても、国が同様に全額面倒をみるとした。

 倍増させる獣医師は11日から順次本県入りさせる方針。九州農政局から補助員10人を出しているが、100人に増やすことも示した。

 知事は、県内一円の人工授精用精液ストローを供給している県家畜改良事業団(高鍋町)が移動制限区域に入っていることに関し「宮崎の種牛の大本」として、特別に移動を認めるよう求めた。農相は、安全性や県民の理解を得られることを条件に「考えたい」と述べた。

 また知事は、農家への当面の生活支援として「融資ではなく仮払いできないか」と要望。農相は「具体的にどういう方法があるのか検討させてほしい」と応じた。

 会談後、知事は「国は全力で対策を講じるということだったので、総括的には有意義だった。現場の状況を事細かに国に伝えたい」と評価した。

 農相はこの後、農業関係団体、関係市町村長と相次いで意見交換。農業関係団体との会合では埋却地をめぐり、出席者から「川南町の海岸端の国有林を開放して」との声が上がり、農相は「要望があれば、林野庁は私の所管なのですぐにできる」と応じた。

 会見で農相は「皆さんの意見を直接聞くことができたのはプラスだった。なぜこれだけ発生しているのかは究明できていない。何とか感染源を解明したい」と述べた。

【写真】口蹄疫発生に伴う国の対策について、東国原知事らと意見交換する赤松農相(左から2人目)=10日午前、県庁