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幹事長来県も具体的対策提示なし

(2010年5月8日付)

 「国の責任で解決を」―。7日来県した民主党の小沢一郎幹事長に対し、県や市町村長、生産者代表らが口蹄疫対策を次々と訴えた。与党最高実力者の来県に、関係者は期待を抱いて会談に臨んだが、小沢幹事長は「防疫対策の強化を政府に強く要請する」と理解を示しつつも具体的な対応策や予算措置の提示はなし。関係者は窮状を伝え、一部からは怒りをにじませる声も出たという。

 県市長会、県町村会、JA関係者と生産者が合同で臨んだ会談は午後4時50分すぎから20分余り。出席者によると、「わが子のようにかわいい牛豚を殺さねばならない。財産がすべてなくなる。その悲しみ、苦しみがある中で殺処分する」など、農家の痛切な胸の内を代弁する言葉も出たという。

 このうち都城市で豚8万5千頭、牛7500頭を飼育するはざま牧場の間和輝社長は「行政も一生懸命やっているというが、感染が拡大しており、やり方が古く即効性がない。全国の畜産農家が不安を抱いており、発生地域内すべての牛豚を殺処分するくらいのことをするべきだとの声も届いている」と詰め寄った。

 間社長やJA関係者らは、赤松広隆農水相がFTA(自由貿易協定)交渉のため中南米を訪れていることに触れ、「今なぜ農水相が外遊しているのか。宮崎で陣頭指揮を執ってほしい。対策本部が東京にあるのも疑問だ」と政府の危機管理体制も批判した。

 これに対し小沢幹事長は「事の重大さは分かった。みんなの気持ちを強く政府に申し上げたい」と答えたという。

 ほかの出席者は比較的淡々と受け止めた。市長会会長の黒木健二日向市長は「党としても政府に強く働きかけたいと、力強い言葉をもらった」と評価。JAえびの市の篠原一利組合長は「最後に(幹事長と)握手をしたが、その時の握手の重みを信じたい」と切実な思いを語った。防疫作業に連日職員を出しているJA尾鈴(川南町)の黒木友徳組合長は言葉少な。会談後は「国はもっと農業に目を向けてほしい」とだけ言い残し、会場を後にした。

 JA宮崎中央会の羽田正治会長は「口蹄疫は法定伝染病だから国の責任において解決してもらわないといけない」と語気を強めた。

【写真】東国原知事や県内JA関係者などから口蹄疫に関する要望書を受け取った後、記者の質問に応える小沢幹事長=7日午後、宮崎市・宮崎観光ホテル