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えびのへ感染疑い拡大 鹿児島、熊本も移動制限

(2010年4月29日付)
 都農、川南町で口蹄(こうてい)疫の感染・感染疑いが相次いでいる問題で、県は28日、えびの市でも感染疑いが確認されたと発表した。これに伴い、西諸県地域や鹿児島、熊本両県にまたがる家畜の移動、搬出制限区域を設定。県は同日、両県に防疫態勢への協力を要請した。

 また、川南町でも同日、豚と牛の感染疑いが新たに確認された。豚の感染疑いは国内で初めて。感染・感染疑いは計10例となった。

 県口蹄疫防疫対策本部(本部長・東国原知事)によると、感染疑いが見つかったのは、川南町の肉用牛肥育農場の黒毛和牛5頭、えびの市の肉用牛肥育農場の黒毛和牛数頭、県畜産試験場川南支場の豚5頭。

 えびの市の農場は、1例目の都農町の農場から南西へ約70キロ。既存の移動、搬出制限区域の外に位置する。このため、半径10キロの移動制限区域と同20キロの搬出制限区域を新たに設定。移動制限区域にはえびの、小林市、鹿児島県伊佐市、湧水町、熊本県人吉市が入る。搬出制限区域にはさらに高原町、鹿児島県霧島市、さつま町、熊本県あさぎり、錦町、さがら村が加わる。

 県畜産試験場川南支場では本県ブランド「宮崎ハマユウポーク」の原種が飼育されており、本県養豚業界への打撃は小さくない。同様の農業施設である県立農業大学校に隣接する高鍋町の県農業科学公園ルピナスパークは当面休園となる。

 えびの市の農場で飼育している黒毛和牛275頭、川南町の黒毛和牛1019頭、川南支場の豚486頭は殺処分される。処分対象は10例で計2890頭に上る。

 殺処分を担当する獣医師が不足しており、県はえびの市の農場について全国農業協同組合連合会(JA全農)に派遣を依頼。農林水産省は、全国の動物検疫所などから本県に派遣する獣医師の増員を決めた。消毒作業員も増やす。

 東国原知事は「えびのに飛び火して、最悪の状況になりつつある。より気を引き締めて防疫対策に従事したい。生活支援で生産者に安心感も与えたい」としている。

 県内のJAや畜連が運営する7家畜市場は同日、5月中の競り市開催について、中止や延期を決めた。

 29日は農水省の疫学調査チームが現地入り。山田正彦農水副大臣も来県する。

【地図】口蹄疫感染疑いによる制限区域