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【行事の中止・延期】5月の競り困難か

(2010年4月25日付)

 本県での口蹄(こうてい)疫感染が確認されたことで、生産現場は苦渋の選択を迫られている。県は24日までに、県内の家畜改良協会に人工授精業務自粛を要請する文書を送付。移動・搬出制限区域外の一部協会は同日から、当面の間の業務自粛を決めた。また、県内7カ所の家畜市場関係者も対策を協議。「5月中の競り市開催は無理では」とする厳しい見方が広まっている。

 県は、感染拡大を防ぐため、県内の家畜人工授精師でつくる八つの家畜改良協会に業務自粛を要請。各協会に所属していない授精師へも個別に同様の文書を送付した。

 各協会が対応を協議している中、いち早く自粛を決めたのが、2000年に口蹄疫が発生した宮崎市、東諸県郡の2協会。24日から当面の間、人工授精の自粛を決めた。

 将来的に市場へ出荷される子牛の一時的な減少も懸念されるが、宮崎市家畜改良協会の川越良文会長は「農場を行き来する機会も多いし、前回つらい経験をしている農家の心情も考慮した」と説明する。

 県内7家畜市場を運営するJAや畜連でつくる県郡畜連合会議は同日、宮崎市で口蹄疫の対策会議を開き、5月の成牛や子牛、豚の競り市開催について対応を協議した。

 搬出制限区域内にあり、家畜伝染病予防法に基づいて一時閉鎖した児湯地域家畜市場を含め、7市場すべてが今月いっぱいの競り市中止を決めている。会議では、農家の収入減少を意味する中止に対し、区域外の農家には開催を望む声があるとの指摘もあった。

 当初、5月に予定されていた競り市は30回。会議の時点で中止が決まっていたのは中旬までの11回。残り19回は検討中や延期となっている。開催の判断は各市場に委ねられるが、感染確認・疑いが6例目を数えたことを踏まえ、「あまりに続発しており、一丸となって防疫に備えたい」とする慎重論が浮上。5月中の開催は難しい状況となっている。

 また、国や県への要望事項も協議し、10年前の口蹄疫発生時に準じた補償を軸にすることで一致。しかし、今回の殺処分対象の家畜は6農場で383頭と、前回(3農場、35頭)の10倍以上に上ることから、出席者からは「殺処分した家畜への補償は評価額の80%。実損額をみてほしい」と、前回とは異なる経営環境の苦しさを訴えていた。