絶対夢はかなうと
信じて疑わなかった
「毎日が勝負。リラックスしている暇なんてないです」
そう言い、大輪の花のような笑顔を見せた。大きな瞳に意志の強さを感じる。
福田沙紀さんのデビューは2004年。女優の米倉涼子さんや上戸彩さんらを輩出した「全日本国民的美少女コンテスト」で演技部門賞を受賞したのがきっかけだ。すぐにドラマ「3年B組金八先生」への出演が決まり、その後数々のドラマや映画で活躍。今年8月には明治座で「つばき、時跳び」に主演し、座長も務める。
本番前はどんなに緊張していても、いざ舞台に上がってしまえば全然平気だという。
「大舞台に立てるせっかくのチャンスに、本来の自分の力を出せないまま本番が終わってしまうなんて、あまりにももったいないし、お客さんにも失礼。たとえ何か失敗したとしても、やって後悔した方がいいと思うから、とにかくベストを尽くします」
肝が据わっているのは、小さな頃から舞台に立っていたから。歌うことが大好きで「必ず歌手になる」と信じていた福田さんは、7歳からダンススクールへ通い始め、同時に芝居や歌のレッスンも受けていた。
「実は下積みが長いんです。毎週末スクールに通って、夏休みもほとんど発表会のけいこ。しかも先生が本当に厳しくてレッスンは心底つらかった。でも、あの時の自分があるからこそ今がある。芸能界へ入ってすぐドラマ出演が決まった時、変に動揺せずにがんばれたのも下積みのお陰だと思います」
母の教えが
自分の心を強くした
14歳でこの世界へ入った時から決めていることがある。それは「満足しないこと」。その時最善を尽くしたことでも、後で振り返ってみると「今ならもう少しうまくできたかも」と思えることがある。それこそがまさに成長した証拠。
「でもそこで満足したくない。ほんの少しでも日々変化していく自分でありたい」
負けず嫌いで、自分を甘やかすことができないストイックな性格。それはおそらく母親の影響だと語る。
「学校でいじめを受けた時がありました。それを母に話したら慰めてくれるどころか、反対に『あなたに悪いところはなかったのか』と。ふだんもほとんど褒めてくれない。でもその厳しさがあったから、忍耐強くタフになれたんだと思います」
そんな福田さんでも、さすがに心が折れそうになったことがあるのだという。ドラマ「ライフ」への出演の時だ。くしくもいじめがテーマの作品だった。
(井上理江=文 小山昭人=写真)
「後編」は7月4日(日)に掲載する予定です。
|