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現場から:’10参院選/4 医療 吉本清信さん /奈良

 ◇総合医の養成必要--前山添村国保東山兼豊原診療所長・吉本清信さん(65)

 全国的に国民医療費が増える中、山添村は06年度の1人当たりの老人医療費が、県内の市町村で最も低い57万1000円だった。少子高齢化で、国民医療費は今後も増え続けると見込まれ、適正に抑制していくことが求められる。

 山添村は、病院など入院施設が少ない一方、大家族が多くて介護力が期待できたため、在宅医療を支援してきた。医師がすぐに来てくれるのかという不安があったが、それを打ち消すために積極的に往診し、健診も促した。深夜に呼び出されても、丁寧に対応することで住民の安心感を醸成できた。不必要な検査の実施や薬の処方も控えてきた。診療所の取り組みや患者側の意識が、医療費抑制につながったのではないか。

 こうした診療を可能にするためには、どんな症状でも対応できる総合医の養成が必要だ。医療現場では、専門医志向が強いが、総合医が患者を最初に診て、高度な治療が必要なら専門医に振り分ければ両者の間ですみ分けが可能になる。医師不足解消策の一つになり得るだろう。

 臨床研修制度は地域医療も必修となっているため、総合医を目指す人が出てくると期待している。制度の見直し議論もあるが、総合医の養成という点では逆行するのではないか。「地域が医師を育てる」という意識を共有してほしい。【聞き手・阿部亮介】

 ◇国民医療費

 病院など医療機関にかかった診療費や調剤費、入院費用など。正常な分娩や健康診断、予防接種の費用などは含まれない。厚生労働省によると、07年度は34兆1360億円で、前年度比で3%増加。10年前に比べると5.2兆円増え、財政を圧迫する要因となっている。このうち、老人医療費は10兆2785億円(07年度)。県によると、高齢者が多い国保医療費と、後期高齢者医療費は計約2298億円(08年度)だった。

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 ■人物略歴

 ◇よしもと・きよのぶ

 大和郡山市生まれ。東北大医学部卒。山添村国保東山兼豊原診療所に25年間勤務。現在は同診療所の嘱託医。内観寺住職も兼ねる。

毎日新聞 2010年7月8日 地方版

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