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所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

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日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.07.08

 沖縄県議会が提出へ 「普天間移設」見直し決議案 日米両政府に 

カテゴリ沖縄問題 出典 読売新聞 7月8日 朝刊 
記事の概要
沖縄県議会の米軍基地関係特別委員会は7日、米軍普天間飛行場の移設先を名護市辺野古とした日米共同声明について、日米両政府に見直しを求める決議案と意見書案を提出することに決めた。

9日の本会議で、全会一致で可決される見通し。

両案はそれぞれ「(共同声明は)県内移設に反対する県民の総意を無視して頭越しで行われたのもで、民主主義を踏みにじる暴挙」「日米両政府は県民の思いに真摯に対応すべきだ」とし、声明の見直しを求めている。
コメント
昨日の午後、バイクで神田神保町の書店街に向かった。9日に発売予定の新刊本が大型書店ならすでに並んでいると思ったからだ。

しかし途中で雨が激しくなり、神保町はあきらめ、地元の大型ショッピングモールにある書店にバイクの行き先を変更した。

まず2階のコーヒーショップで濡れた上着を乾かし、3階の書店を覗くと、ここは子供書を扱う専門店で、一般書籍を扱うコーナーは全体の1/3にも満たない。それも趣味の雑誌が主で、私が買いたい新刊本を扱うコーナーは異常に狭かった。

書店の店員に、「新聞では9日に発売と書いてあったが、この書店ではいつ頃店頭に並びますか」と質問したいと思った。ちょうど、若い男の店員が本を抱えてやってきた。

近づいて質問しようとした瞬間、店員が抱えていた本に目がいった。「あ、あった」。まさに私が買いたい本を店員が抱えていたのだ。「今、届いたところです」とこの店員がいう。

さっそく1冊受けとってレジに向かった。その本が 「普天間」交渉秘録 守屋武昌著 新潮社刊  である。あの守屋元防衛事務次官が、普天間飛行場の返還に伴う代替施設を決める交渉過程を詳細につづった本だった。

すぐに自宅に帰って本を開いた。約2時間半、夢中で読み続けた。これほど詳細に沖縄基地利権の動きや、米側担当者や外務省との確執、利権をめぐる誹謗中傷の具体例など、その醜い実態を暴露した本(ノンフィクション)は今までにないと思った。

夕方、妻からの電話で、やっと本の中の世界から戻った。妻の電話は、私の誕生日のお祝いに、タイ料理のレストランにいくという話だった。

まだ本は半分しか読んでいないが、この普天間問題に特に関心を持っている知人に電話で知らせた。「守屋さんが普天間問題の自伝を書いた。凄い内容なので読んだ方がいい。5月末の日米共同声明を”紙くず”にする爆発力を秘めている。明日には書店に並ぶと思う」と。

そして読み残った半分をこれから読みます。皆さんにも購読をお勧めします。防衛利権の奪い合いの凄さ、外務省が日米同盟の主導権を握るための陰湿な仕掛け、国防族のドロドロした汚さなど、ヘタなテレビの政治ドラマよりも面白い。

これは今年最高のノンフィクション部門の評価を得られる本になると思う。今まで私は「守屋、あの守屋」と呼び捨てにしていたが、「守屋さん、あの守屋さん」という言葉に変わったことに気がついた。
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