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きょうのコラム「時鐘」 2010年7月8日
事業仕分けで無駄遣い扱いされそうになった理化学研の次世代スーパーコンピューターの愛称が「京(けい)」に決まった。1秒間に1京回の世界最速の演算を目指すという
億の次の数値が兆。その1万倍が「京」である。実社会で使うことはほとんどない。凡人には理解不能だが、仏教界では極楽浄土までの距離は「京」を使うと分かりやすいと言う。東洋の知識は奥が深い 漢字の「京」は、すごく大きいという意味で、魚偏に京と書けば鯨(くじら)。京都も大きな都と理解できる。数値でありながら、数式に使うよりも天文学的で抽象的な思考を支える言葉のように思える 藩政時代、北前船が遭難してハワイ沖で米国の捕鯨船に救われた。富山の船頭が「10万億土」や「1千億年」に相当する数を知っていて、米国側を驚かせたという(弁才船(べざいせん)と加賀藩海運=清水幸一著)。加賀藩の教育水準の高さを示す話でもあろう 船頭だから数字に強かったろうが、一介の平民がそこまでの知識を持っていたことが驚きだったのである。無限の可能性に挑むには1番を目指すしかない。頂点の高さがすそ野の広がりを示すのである。 |