NHKは、大相撲生中継するべき(第550回)
NHKの福地茂雄会長が6日、野球賭博問題を巡り、大相撲名古屋場所の生中継中止を発表した。この決定に新聞各紙に関係者、知識人などのコメントが掲載 された。ほとんどの方々が「妥当」とする中で、「放送するべき」は少数意見だった。会長は放送反対の意見が多く寄せられた意見に寄り切られた感があるが、 個人的には毎日新聞でコメントを寄せている鳥越俊太郎さんの「放送と改革を求めるのは別。中継を望む人たちの楽しみを奪うのは公共放送としておかしい」の 意見に賛成だ。
小学校に上がる前、祖父とともに大相撲中継を見るのが日課だった。一番風呂に入る祖父は「星取り表を付けておけ」が口癖で、普通の漢字はまだ読めなかったのに、テレビの映像と音声から力士の名前はすぐに覚え、新聞の取組欄に、勝ち力士の方に〇を書き込んだ。1993年に胆石で約1か月入院した時も、夕方になると各病棟が夏場所の大相撲中継に沸いていたが、もちろん私も歓声を上げていた一人だった。
野球賭博に関わった力士は別にして、真摯に稽古をしている力士もいる。今回の措置では、高校野球の不祥事による連帯責任と同じではないだろうか。見たくないファンは見なければいいのだ。今回のNHK側の意思、大相撲に反省を促す一環として生中継の中止はおかしい。今回の事件の温床となっている相撲界の悪弊を検証する番組を作るべきである。金銭的な制裁の意味がなくなるといのうなら、年間25億円と言われる放送権料の大幅減額を要求した上で生中継することだ(確実に相撲協会は了承するはずだ)。放送すれば受信料を払わないファンがいるのではとの懸念からの決断だが、逆に放送しないのなら払わないというファンもより多くいるはずだ。私も今回の決断で受信料を払う気が失せてきた。
今回の大相撲でクローズアップされた野球賭博は、関西以西の暴力団の資金源としては大きなウエートを占めているという。改めて、日本ではルールが細かい野球というスポーツがいかに浸透しているかが分かる。7日に行われたプロ野球オーナー会議で加藤良三コミッショナーが大相撲の野球賭博問題に関連し「対岸の火事とせず、取り組みに遺漏のないように」と暴力団等排除の徹底を求めた。出来れば、野球賭博のハンデに大きく影響を与えるのは先発投手予想だけに、パ・リーグのような前日予告をセ・リーグも採用するべきではないだろうか。
【追伸】サッカー・カメラマンとして知られる今井恭司さんが、「写蹴」(スキージャーナル株式会社)=写真=を出版した。1972年、サッカー・マガジンの仕事をきっかけにサッカーの取材をスタートさせた今井さんが、約40年間に撮影した日本代表の姿が生き生きと甦るフォトエッセイ。我々の世代にとって、胸を熱くした釜本邦茂さんを筆頭に、今やサッカー界のご意見番・セルジオ越後さんの若き日の勇姿。W杯16強入りした日本代表。ちまたに乱発されているサッカー書籍にはまったくの興味のない私だが、この一冊だけは手元に置いておきたい。
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