中国が日本国債への投資を拡大し始めた。今年に入ってから期間1年以内の短期債を中心に買越額が急増。1~4月だけで累計額が5410億円に達した。投資拡大は欧州の財政危機に対する市場の不安が高まった時期と重なっており、中国当局が膨らむ外貨準備の運用先を日本国債にも広げた可能性がある。外国人保有率が低い日本の国債の中で、中国マネーの存在感が高まりそうだ。
これまで中国は日本への証券投資に積極的ではなく、2009年の証券売買でみると800億円の売り越し。ただ今年に入ってから急ピッチで投資が動き出した。財務省によると、05年以降の証券売買で買い越しとなったのは05年(2538億円)と06年(2091億円)、08年(378億円)の3年。今年は1~4月だけで過去最高だった05年の2.1倍の買越額を記録した計算だ。
売買は償還期間が1年以内の短期債が中心だ。4カ月間の短期債の買越額は5177億円。5年や10年の中長期債は234億円の買い越しとなった。4月単月でみると買越額は1978億円で、海外勢では英国に次ぐ2位。5月以降も同じ傾向が続き、中長期債にも買いが入っているもよう。
中国からの国債買いは急拡大する外貨準備の運用が大半とみられる。人民元相場を維持するため中国人民銀行(中央銀行)がドル買い介入を繰り返した結果、今年3月末時点の外貨準備高は2兆4471億ドルまで積み上がっている。中国で外貨準備を管理する国家外貨管理局は運用方針について「ドル、ユーロ、円など主要通貨のほか新興国の通貨で構成する」としている。具体的な運用比率は明らかにしていないが、市場では7割が米国債をはじめとするドル資産との見方が多かった。
08年秋の金融危機で、中国政府はドルに偏った外貨準備の運用を「多様化」する方針を表明し、ユーロの運用比率を高めたとされる。ところが今年に入ってからのユーロの急落で、外貨準備に多額の評価損が発生したもようだ。市場では「中国は外貨準備の増加分を、ドルや円に振り向ける動きを強めている」との観測が浮上していた。
日本国債の外国人保有率は今年3月末で4.6%(金額では31兆円)と他の主要国に比べて極端に低い。中国による日本国債への投資が数千億円単位で増え続ければ、国債の安定消化の追い風となり、市場金利の上昇を抑える効果がある。
その一方、日本国債は国内消化が多いため大量発行にもかかわらず財政不安拡大を抑えていた面がある。中国マネーの存在感が急速に高まれば、中長期的に日本の国債市場に影響を及ぼす可能性もある。「中国などアジア地域の外貨準備の振り向け先として円が注目されれば、中長期的に円高につながる」(クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミスト)との見方も出ている。
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