菅直人首相は7日、参院選の応援演説のために訪れた島根県庁(松江市)で、民主党代表として記者団と直接やり取りをする「ぶら下がり取材」に応じた。首相の意向を踏まえ、民主党側が呼び掛けた。11日の参院選投開票日をにらみ、選挙戦が終わる10日まで連日行うとしている。首相は就任以来、ぶら下がり取材に慎重な姿勢をとり続けていたが、参院選の情勢が与党に厳しくなる中、方針転換したとみられる。
首相は7日、島根県庁前広場で、記者団から自ら掲げた54の目標議席を達成できなかった場合の政治責任を問われ、「人事を尽くして天命を待つという気持ちで、頑張り抜く」と強調。ぶら下がりに応じた理由については「地域の元気な姿について、私の気持ちを伝えたいと思った」などと述べるにとどめ、取材も約1分40秒で打ち切った。
ぶら下がりは参院選公示日の6月24日以来で、「首相本人がやりたがった」(民主党幹部)という。仙谷由人官房長官は7日の記者会見で「党のマニフェスト(政権公約)を国民にご理解いただけるよう説明する。(参院選の)後半戦に向かってその方がいいと判断された」と説明。記者側には同日午前、党本部から実施方針が伝えられた。
菅内閣は政権発足後、ぶら下がりを原則1日1回に減らし、代わりに首相の記者会見を月1回程度開く方針を内閣記者会に打診している。ぶら下がり自体を減らしながら、この時期にメディアへの露出を増やす選挙戦略といえ、都合のいい情報発信のやり方には批判が出そうだ。【青木純、念佛明奈】
毎日新聞 2010年7月7日 21時29分(最終更新 7月7日 21時32分)