家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、宮崎県は31日、牛、豚のワクチン接種農家に対する損失補償を柱とする約426億円の本年度一般会計補正予算案をまとめた。全額が口蹄疫関連費で、口蹄疫の予算措置は4度目。総額は542億円に達する。6月7日に開会する6月県議会に提案する。
補正予算案の中心は、移動制限区域(半径10キロ圏内)でワクチン接種後に殺処分する約13万頭の損失を補てんする「感染拡大防止対策事業」約353億円。接種から殺処分までの飼料費なども含まれる。
このほか、搬出制限区域(同10-20キロ圏内)の畜産農家を対象に家畜のいない緩衝地帯をつくるための早期出荷を促しており、その価格下落分を補てんする「早期出荷促進対策事業」約66億円も計上。約2万9000頭を対象に、価格の下落分を家畜の種類や月齢などに応じて補てんする。
口蹄疫終息をにらみ、食肉、加工製品などをPRする販売促進支援費約5000万円も盛り込んだ。補正予算案の財源は、ほぼ全額国庫支出金で賄う。
同県は31日午前、県家畜改良事業団(高鍋町)で一元管理する種牛49頭の殺処分を開始したことも明らかにした。
また、搬出制限区域内の家畜の食肉加工をする処理工場「ミヤチク都(つ)農(の)工場」(都農町)の操業が同日再開された。同工場は移動制限区域内にあるが、口蹄疫対策で家畜ゼロの緩衝地帯をつくるために政府が特例で操業再開を認めていた。
=2010/05/31付 西日本新聞夕刊=