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精液ストロー供給停止 県家畜改良事業団
(2010年4月22日付)
川南町で口蹄(こうてい)疫の感染疑いが確認された21日、新たに設定された移動制限区域に含まれた県家畜改良事業団(高鍋町)が、県産和牛の人工授精用精液ストローの供給を停止した。停止は1973(昭和48)年の設立以来初めて。本県の和牛生産の「要衝」だけに、関係者らは「一刻も早く供給再開にこぎ着けてほしい」と気をもんでいる。同事業団は、県の委託を受け、厳しい選抜を経た種雄牛55頭を飼育。精液を採取し、県内8カ所のサブセンターを通じ、各地域の家畜改良協会に所属する人工授精師約150人に年間15万本程度のストローを供給している。
同事業団は川南町での感染疑いの一報が届いた同日午前、ストローの出荷自粛を決定。その後、新たな移動制限区域が設定されたことを受け出荷停止の措置を取った。
22日がサブセンターでの精液ストローの定例支給日となっている宮崎市家畜改良協会の川越良文会長=同市田野町=は「会員で集まり協議する。農家への事情説明も考えないといけない」と危機感。一日に約10件の種付けを行う県央部の人工授精師は「ボンベの在庫は2週間分で200〜300本程度。人気のある種牛3、4頭のストローは早めになくなる可能性があり、農家の希望に添えないケースが出るかも」と漏らす。
サブセンターの一つ、都城市のJA都城は「約2400本を在庫として置いており、1〜2カ月間は管内での供給に問題はない」と説明。同JA管内の和牛繁殖農家でつくる都城和牛育種牛組合の久留雅博組合長=同市蓑原町=は「何より心配なのは事業団の種雄牛への感染。一刻も早く終息してほしい」と願う。
同事業団は、すでに種雄牛の感染防止に向け防疫措置を強化。車両を全面立ち入り禁止にしたほか、飼料運搬用コンテナの消毒も実施。普段は行わない消毒剤での牛舎洗浄も行っている。川田洋一常務は「できるかぎりの方法で種雄牛を守る。各改良協会には在庫分で何とかしのぐよう依頼する」と話した。
【写真】県家畜改良事業団から供給された県産和牛の人工授精用精液ストロー