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川南でも口蹄疫疑い 2例計牛9頭陽性

(2010年4月22日付)
 都農町で口蹄(こうてい)疫に感染した疑いがある牛が確認された問題で、県は21日、隣接する川南町でも新たに牛6頭が感染した疑いがあると発表した。

 県は国と協議し、移動制限区域と搬出制限区域をいずれも拡大。この結果、移動制限区域に県家畜改良事業団(高鍋町)が含まれ、県内一円を対象とした人工授精用精液ストローの供給が停止した。また、県は同日夜にも川南町で別の感染疑いが確認されたと発表。同町での感染疑いが持たれる牛は計9頭となった。

 県口蹄疫防疫対策本部によると、都農町に次いで感染疑い2例目となったのは、川南町の酪農・肉用牛複合経営農場で飼育されている乳用牛4頭と黒毛和牛2頭。3例目は肉用牛肥育農場の黒毛和牛3頭だった。いずれも兆候に気付いた獣医師から報告を受けた宮崎家畜保健衛生所が20日に立ち入り検査を行い、口内の粘膜を動物衛生研究所(東京)に送付。21日に農水省から県へ遺伝子検査による陽性反応が報告された。

 感染疑いのある牛を含め、各農場の牛は22日以降、全頭が薬殺処分される。2例目は65頭、3例目は118頭。1例目となった都農町の農場では20日深夜に16頭を殺処分し、21日午前2時までに埋却された。

 2例目の農場は1例目からは南東へ3・4キロに位置。双方の接点は不明だが、飼料の購入ルートは別だった。3例目は2例目から北へ約400メートルしか離れていない。

 3例目に基づく移動制限区域と搬出制限区域の設定は未定だが、エリア的に2例目とほぼ重複しており、設定の有無による影響はないとみられる。
 県は21日、牛や豚の搬送で相当な迂回(うかい)を強いられる移動制限区域外の畜産業者に対する特例を設定。国道10号を通過し、区域外の食肉処理場に直行する場合、消毒ポイント4カ所を通過すれば牛、豚の搬送を認めた。

 県の対策本部は同日、対応を協議。本部長を務める東国原知事は「10年前の発生時よりも、価格低迷や不景気で畜産農家は疲弊している。生産者を支えたい」と述べた。

 また、問題を受け、東臼杵郡市畜連は21日、延岡市櫛津町の延岡家畜市場で30日に予定されていた5月期子牛郡共進会・春季育成牛郡共進会と、5月12日の成牛競り市の中止を決定した。

【写真】防護服に身を包み口蹄疫発生現場へ入る関係者=21日午後2時2分、川南町

【地図】口蹄疫感染疑い2例目制限区域



◇移動制限区域 (1)牛や豚など偶蹄(ぐうてい)類(2)区域内で採取された精液と受精卵(3)家畜管理の用具や飼料(4)発生地や近くで搾乳された生乳―などの移動が禁止される。家畜人工授精は、家畜所有者が区域外で採取した精液を用いる場合を除いて中止となる。屠畜(とちく)場と家畜市場は閉鎖。共進会や新たな放牧は中止。21日経過後は、区域外からの偶蹄類の移入などの一部規制が緩和される。