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都農で口蹄疫疑い 繁殖牛3頭陽性反応

(2010年4月21日付)
 県は20日、都農町の繁殖牛農家で牛3頭がウイルス性の家畜伝染病、口蹄(こうてい)疫に感染した疑いがあると発表した。家畜伝染病予防法に基づき、3頭を含む農家飼育の全16頭は殺処分される。国の口蹄疫に関する防疫指針などに沿って、農家から半径10キロを家畜の移動制限区域、同20キロを搬出制限区域にそれぞれ指定した。口蹄疫と確認されれば、国内では2000年に本県と北海道で発生して以来となる。

 県畜産課によると、口蹄疫の疑いがあるのは生後1年10カ月から11年1カ月の黒毛和牛3頭。動物衛生研究所(東京)の遺伝子検査で陽性反応が出た。正式に判明するのは、同研究所によるウイルス検査結果が出る約1週間後という。

 今月9日、農家を往診した獣医師が、牛1頭の口腔内がただれているのを確認。17日に再度立ち入り検査をし、2頭に同様の症状を確認。宮崎家畜保健衛生所の立ち入り検査で3頭に口蹄疫が疑われたため、19日に唾液(だえき)などを同研究所に送付。20日早朝、農水省から陽性反応との連絡が入った。

 県は同日、東国原知事を本部長とする県口蹄疫防疫対策本部を設置。国とともに防疫措置や風評被害の防止、牛の購入経路を含め感染ルートの解明に努める。

 移動制限区域では、牛や豚などの偶蹄(ぐうてい)類家畜のほか、近くで搾乳された生乳などの移動が禁止、屠畜(とちく)場は閉鎖される。搬出制限区域では、偶蹄類家畜の区域外への移動が禁止。両区域では家畜市場が閉鎖され、共進会などの開催は中止される。期限は確認農場の防疫完了から最低21日間。

 また、日向市、高鍋、新富町の計4カ所に畜産関係車両用の消毒ポイントを設け、防疫に努めている。

 本県では00年3月、国内で92年ぶりとなる口蹄疫が発生。宮崎市内の農家3戸で感染・感染疑いの牛35頭を殺処分した。

 東国原知事は「口蹄疫は人には感染せず、感染した肉は市場には出回らない。風評被害などの影響をできるだけ抑える。ピンチをチャンスに変える前向きな姿勢で取り組む」と述べた。


◇口蹄疫 牛や豚、シカなど偶蹄(ぐうてい)類に感染するウイルス性の家畜伝染病。発症すると、口や蹄(ひづめ)に水ほうができるほか、発熱や水ほうによる歩行障害などの症状が出る。急性で感染性が強く、各国で厳しい防疫体制がとられ、国内で感染疑いの家畜は殺処分が義務付けられている。人への感染はないとされる。今年に入って中国と韓国で感染が確認された。