歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ) <ЕВРАЗИЙСКАЯ ЧАЙХАНА> 

「チャイハナ」=中央ユーラシアの町や村の情報交換の場でもある茶店。それらの地域を含む旧ソ連圏各地の掲示板を翻訳。

“ピーター=フランクルになりそびれた男”の母国での評判(13)

2010-01-20 06:02:19 | トルコ関係
→(12)からの続き

アルピン:日本に将来についてどう思われますか?特に人口の高齢化問題については?

セルカン:私が知っている、我々が調べたデータによれば、2050年に日本の人口は8800万人まで減ります(現在は1億2700百万)。2025〜2050の間に信じがたいほどの人口減少が起こる。

その時、何が起こるか?日本は労働力を維持するために二つの道を試すことができるでしょう。電気産業の領域で大きな進歩を遂げて、完全なオートメーションの状態をもたらすか、あるいは外部から労働力を輸入するか、です。

日本は、外部から労働力を入れるのは不可能でしょう。大変閉鎖的な社会ですからね。その辺りが変わるとは考えられない。私が思うに、最初の選択肢に向かうことになる。技術は発展し、それを管理する人間も養成されますね。それも、バリバリやるでしょう。

正直なところ、日本の将来に大きな問題があるとは思えない。彼らは科学と技術に投資するんですよ。例えば、日本は私のような一トルコ人に1千万ドルの予算を割いています。技術を生み出してくれ、とね

※割いてない。

それは何故か?トルコが好きだからではない。彼らはそこに何があるか知っているのです。彼らはすぐにそれを実用化してしまおうと言います。どういうことになるか?日本人は28個の真新しい技術を持つことになります。彼らはそれを好きなように使うことができる。

でも私の本心としては、わがトルコでやりたいのです。1000万とは言わない。10万ドルくれれば良い。我々はそれでもやれます。どうなるか?私も海外に行くのが5回ではなく1回で済む。そういう展望があれば十分ですね。でも、我々にはそういう展望は無い。今のところ、我が国は発展途上国です。お金がそんなに必要のない所で使われている。これをもっと教育と技術に振り向ければ、我が国の地平も開けます。

私は、年に一回İTÜ(イスタンブル工科大学)の宇宙航空学科に行って、講義を行っています。完全にボランティアで、見返りは何ら望んでいない。あそこの学生らは皆腐ってますよ。彼らが作るべき衛星なんて無い。現時点では、我々は他の国々に行って衛星を作ってもらっているのです。宇宙航空学科を出た連中がバスの運転手になっている。残念なことですよ…。

思うに、我が国に最も必要なのは技術省です。国家予算の10%を使ってほしい。日本の教育省(文部科学省のことらしい)は8%を割いていますから。彼らは技術においてリーダー的な存在です。トルコで技術省を創設するには、予算の10%とは言わない。最初は1%くらいでいいんです。

国外に流出した頭脳をトルコに戻して使いましょう。若者たちを良い形で組織しましょう。5〜10年でトルコは発展を始めるでしょう。家畜場の柵は他の国に移しましょう。君は自分の大学の学生や教師に敬意を払ってないだろう、と。

トルコでもこうしたことを大っぴらに話す時期が来たと思います。我が国に最も必要なのは、現存する若者たちの能力を十分に引き出すことなのです。


アルピン:トルコの若年層の幅は広く、かつ人口の増加率も高い。その点においては、日本はそもそも悪い状況にあります。


セルカン:そうです。我々が若者をうまく活用することができれば、トルコは発展するだろうし、技術を他所に売れるでしょう。


アルピン:展望を持った指導者たちと、物的な可能性が必要です。


セルカン:絶対に必要です。思うに、物的な可能性は確保できます。そのための一歩は、技術省の存在にあると思いますね。予算のたった0.5パーセントでいい。それで十分です。一つの土台ができます。そこからトルコの技術が売れて収入が入りはじめれば、さらに多くの技術が開発できるでしょう。


アルピン:そうじゃないといけませんね。昔の日本に金なんてありましたか?第二次大戦の後は、荒廃した状況にあった。彼らはゼロから国家を再建したのですよ。


セルカン:どこからどこへですか。いざ日本モデルをトルコに適用するとしても…非常に難しいでしょうね。文化が違いすぎる。

例えば、私は35歳、貴方が34歳であるとしましょう。もしこの場で私が貴方を罵ったとしても、日本だと貴方は怒っちゃダメなんですよ。もしトルコだったら、私は胸倉を掴んで殴られるでしょうね。

我々の文化は違う。トルコの人々は情熱的だし、“やれ”、と言われれば率先してやります。何故なら我々には個人で働く能力があるから。

日本人はといえば、集団でなければ働けない。一人でやってみろ、といってもできないのですよ。トルコ人ならできます。

さあ、この能力を利用しようではありませんか。でも、いい加減なことを言う人たちではなく、展望を持った人々だけですけどね。

でも、その展望を持つ人間にしても、差し向かいで“子供の頃は何をしてた?”と尋ねたらどうか?信じていただきたいのですが、その展望の背後にはアニメーションがあったり、本があったり、映画があったりするものなのですよ。そうしたものから閃きを得ているというわけです。


アルピン:日本で、子供たちに将来何になりたいかと聞くと、その多くが科学者になりたいと言います。トルコではどうかと言えば、落第生かポップ歌手になりたいと言っている。


セルカン:ポップ歌手になりたいと言って、歌謡コンテストに出ている….。トルコで、子供たちに投資して、彼らが正しい展望を持てるよう保証せねばなりません。必ずしも科学者にならなくても良いから、法律家になれ、とかね

※あと“法律家にならなくても良いから、詐欺師にはなるな”とかw。

そういう展望であってほしい。そうした子供はトルコを進歩させるでしょう。展望はアニメーションによっても、書籍によっても伝えられる….そう願っています。


アルピン:つまり、子供たちに投資する必要があるってことですね。


セルカン:必ずね。アニメーションは一つの手段です。それをいかに用いるかは貴方にかかっている。宇宙エレベーターのアニメを作ったり、“RD 潜脳調査室”というアニメでプロダクションI.Gがやっていることも、まさにこれなのです。ある科学プロジェクトを取り上げて、それをアニメの形にして日本の広範囲の人々に普及させるというわけで

※セルカン氏によると、“RD 潜脳調査室”は実は科学啓蒙アニメだったらしい。


アルピン:トルコの子供たちは、毎晩科学的な番組の代わりに、ビリ・ビズィ・ギョゼティヨル(誰かが俺らを気にしてる)みたいなエンターテイメント番組を見ています。

※トルコで社会現象を引き起こしたリアリティ番組。元ネタはオーストラリアかどこかの番組らしい。


セルカン:アメリカナイズされた番組が沢山流れてますよね、トルコでは。


アルピン:インタビューもそろそろ終わりですが….“BBG”(←上述のTV番組“ビリ・ビズィ・ギョゼティヨル”の略)や“ゲリン=カイナナとアカデミー”(←これも人気番組らしい)といった番組のプロデューサーが東京に来ていて、昨日は一日中彼らと一緒だったんですよ。今晩もまた会うことになると思います。


セルカン(笑)私もこのすぐ後で手塚の息子と会わねばなりません。というか遅刻してますね。知らない間に随分と時間が経ってました….。


セルカン=アヌルル准教授とは虎ノ門の駅まで一緒に行き、近日中の再会を約してお別れしたのだった。
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 いやはや….随分と長い記事でしたが、最後まで読み通してみて納得できました。“アニメ・漫画・トルコ”に載っているセルカン氏絡みの誇張記事は、“同国人の英雄”に対する身贔屓なんぞではなく、本当に全てセルカン氏自身の発言が基になっていたわけです。

そして、サイトの側は何ら疑いを差し挟むことなく、そのまま記事にしていたと。

大手メディアの情報操作、捏造等に惑われず、第一情報源としての取材対象に直接当たっていこうという“アニメ・漫画・トルコ”の記者、アルピン氏の報道姿勢は実に立派なものだとは思いますが、当の“第一情報源”に対してはその批判精神が完全に麻痺してしまうのは何故なのか?

それにしても、自分が少しでも関わったプロジェクトは全て自らによる、自分主体のプロジェクトに、多少なりとも会ったことのある人間は全て近しい知り合いに、いかなる接点も無い場合は0からそれをでっち上げる、というセルカン氏の詐術の基本形が如実に現れているような、そういうインタビューでしたね。

日本語版のブログや講演など、日本人向けには“大友克弘氏と一緒にアニメ映画を作るのが夢です”とか“手塚治虫氏のご子息が云々”と殊勝な姿勢を見せておきながら、トルコ人が相手だと

“大友?手塚?ああ、あいつら昔から仲の良いダチっていうか、パシリみたいなもんだけどな。なんか俺の本をアニメにしたいらしいね。まあ、どうでもいいけどさ”

みたいな感じで途端に尊大になるという
、その豹変振りも素敵でした。やっぱり詐欺師はこうじゃないとw。

長々と語っていた非常にステレオタイプ的な日本と日本人観も、これまで日本人相手に披露したことなんてないんじゃないでしょうかね。

あと、後半にあった帰国を匂わせる発言や、国は“技術省”を創設し、科学技術の振興により予算を配分すべしといったトルコ社会への提言は、将来の“凱旋帰国”の受け皿作りの一環だったのか?

→(14)に続く
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コメント

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Unknown (ななし)
2010-01-20 19:06:51
怒涛の更新お疲れ様です
回を重ねる度に管理人様の正体がより気になっちゃいます><

しかしインタビューは…なんというか…酷すぎて頭クラクラしてきました
ここまで酷いとは思ってなくて…というかセルカン氏は何かの精神病としか思えない
インタビューの中でのチラ見せさせるフランスや日本への視線から、
かえって先進国へのどうしようもない劣等感・嫌悪感があるように見えました
ていうかセルカン氏はどう見ても差別主義者じゃないですかね…
いや詐欺師に人品を期待するのもおかしいんですけど

トルコは歴史や文化面でありのまま誇れるものがあると思うのですが、
どうしてこんなにメディアにしろ何にしろ捏造してまでホルホルしているのか…

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