歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ) <ЕВРАЗИЙСКАЯ ЧАЙХАНА> 

「チャイハナ」=中央ユーラシアの町や村の情報交換の場でもある茶店。それらの地域を含む旧ソ連圏各地の掲示板を翻訳。

“ピーター=フランクルになりそびれた男”の母国での評判(10)

2010-01-20 02:56:05 | トルコ関係
→(9)からの続き

アルピン:この間、私もミライカン(日本未来科学館)に行って、アニメ“宇宙エレベータ”を見てきました。とても良い作品です。ただ、それ以前にミライカン(日本未来科学館)はとても遠いですから、もっと近くで見たい気がしましたよ。公開される場所については、ウォーク(WALK)社の、アニメのプロデューサーである小池さんとお会いした際に伺ったのですが、氏の話では現在だと映画は公式サイトに載っている3−4箇所でしか公開されてない、とのことでしたが。


セルカン
:作品の公開は、28ヶ所で中継放送されると聞いています。4月以降、色んな場所で始められることになるでしょうね。というのも、4月には新学期が始まりますから。4月でなければ9月に。日本には28箇所のプラネタリウムがあります。ミライカン(日本未来科学館)で公開される際に、他の地域でもそうできれば、もっと楽になるでしょう。


アルピン
:それと、小池さんはそのアニメの別バージョンも用意していると言っておられたのですが、どんな違いがあるんでしょう?


セルカン:どこにでもプラネタリウムがあるわけではないので、二つの異なるバージョンを用意せねばならなかったのです。一つはプラネタリウム用に、もう一つは平らなスクリーン用に。


アルピン:なるほど。他にもアニメの計画はあるのですか?


セルカン:ええ。三つ目のアニメを作る計画があります。私の著書“タイム・マシン”を、“蟻のアトム”を作った手塚治虫の息子がアニメ化する計画を立てているのです。実際にアニメ作品となる可能性は非常に高い。計画としては、3年以内に完成させようと思ってます。実は、今晩も彼と会うんですよ。

手塚真氏のことらしい。

セルカン氏のブログには手塚真氏と知り合った旨を記したエントリー
があるが、その日付は2008年2月8日付けとなっている。

2008.02.08 Friday
そして、先日、そのご子息であられる手塚眞氏とご一緒する機会がありました。世界に誇れる手塚治虫氏とその『鉄腕アトム』の世界をすぐそばで見つめ、感じ 続けてきた方です。父親の遺志を引き継ぎ、幅広く活動されている彼も、手塚治虫氏が未来を託した、アトムの子に違いありません。

すてきな出会いに心から感謝を込めて。

このインタビューが行われたのは2008年の4月なので、“タイム・マシン”計画は僅か2ヶ月足らずで進んだことになる。ちなみに、セルカン氏の日本語の方のブログではこの“タイムマシン”アニメ化計画は何故か一向に出てこない


アルピン:“蟻のアトム”というのが気になりますね。あれは蟻ではありません。御存知かとは思いますが。


セルカン:ええ。でも、私は講演でよくこの言葉を使うんですよ。昔はあれを蟻だと思っていたと言うと、みんな笑うんです(笑)。


アルピン:トルコで“蟻のアトム”というアニメは放映されていましたが、これは手塚治虫の作品とは関係ないですよ。手塚の作品は“Atom Boy”(鉄腕アトム)です。主人公もロボットの子供ですし

※ “蟻のアトム”(Atom aunt):1965年に米国でWilliam Hannaらによって製作されたアニメ。蟻の町に住み、特殊な能力を持つ“蟻のアトム”が正義のために戦うとか、そういう話らしい。

参考↓



セルカン
:昔はあれと“蟻のアトム”は同じものだと思っていました。手塚の息子にそのことを伝えたところ、どんなに怒ったことか…“父はそんなアニメは作ってない!!トルコでは蟻ということになってるのか?!?”てね(笑)。


アルピン:“タイム・マシン”は、映画として公開されるのでしょうか?それともTVシリーズとして?


セルカン:1〜1.5時間の単発の映画としてです。それと、子供たちが鑑賞できるような形になるでしょうね。4月に始まった”RD 潜脳調査室”というTVシリーズは、大人向けで、信じられないほどよくできたアニメです。世界のどの国でも安心して放映できる。未来についての、本当に重要なアニメですね。自分でも信じられない。

“タイム・マシン”は子供向け。書籍の売り上げは今のところ22万部くらい。より子供たちが買うような本です。


アルピン:“RD 潜脳調査室”はテレビでは真夜中に放映されるとのことですが、何か特別な理由でもあるのですか?


セルカン:こちらにも分かりません。尋ねたこともないですし。


アルピン:スタジオ・ジブリ博物館でなされたお話が興味深かったです。

2007年8月に開かれた“トークイベント”
のことらしい。ここではドイツ生まれの“ギリシャ系トルコ人を名乗っていた模様。

なお、今のトルコ人という民族は、今から1000年近く前に中央アジアから小アジアに大挙して移住してきたテュルク系遊牧民の影響の下、それまで彼の地に住んでいたギリシア人やアルメニア人、スラヴ系にアラブ人にクルド人…といった諸々の民族が長い時間をかけて言語的にテュルク化、宗教的にはイスラーム化することによって生まれたものである。血統的に、ギリシャ人の血を引く人間なんてそれこそゴマンといるだろう。

現在のトルコで、一般にトルコ人と少数民族としてのギリシャ人を区分する決定的な要素となっているのは、片やイスラーム、片やギリシア正教という宗教の違いなのだが、
セルカン氏はギリシャ正教徒なのだろうか?


セルカン
:ジブリからも“タイムマシン”と同時上映用の 映画を作ろうと言われたのですよ。でも、ジブリはとても大きな会社ですから、仕事が進むのは大変遅い。私はその件をもう少し早く進めたかったのです。


アルピン:長い間国外の、様々な国で生活されたのですよね。ドイツ生まれで、スイスで学ばれたと。8つの言語をご存知で、その一つはシュメール語だとのことですが。


セルカン:シュメール語は分かりますよ。12歳のときから始めて、14年間勉強しました。私の一番好きな趣味です。それ以外にはラテン語があります。これはスイスに居るときに勉強しました。

※最近のプロフィールだと、セルカン氏は子供時代にスイスの寄宿制学校で学んだことになっているが、実際にはドイツで生まれた後、トルコに帰国。小学校から大学までずっとトルコ国内だったことが判明している。

ドイツに住んでいた頃、ルームメイトはギリシャ人だったのですが、私の誕生日プレゼントにと、わざわざ6ヶ月間のギリシャ語コースを申し込んでくれたのでした。彼の気を損ねないために、私はそこに通ったわけです。他にも、行ったことのある国々でそれぞれドイツ語、英語、日本語、オランダ語、スペイン語を….そしてもちろんトルコ語も(笑)。


アルピン:日本だと、トルコ語は外国語としてカウントされますよね(笑)。シュメール語を学ぶにあたって何か特別な理由があったのですか?


セルカン:ええ、あります。私が考えるに人間と他の生物を区別する最も重要な点は、知識の生産です。生み出した知識を違う世代に残していく。伝達は文字を使って行われますが、その文字を発見したのはシュメール人でした。シュメール人が文字を発明したのを知り、それがいかに発見されたか、その発端が何であったのかという点に興味を持ったのです。

私は12歳の時、フィンランドに3ヶ月滞在しました。その際に、ある専門家についてシュメール語の勉強を始めたのです。世界においてシュメール語の文書が解読される際は、こちらにも話が来ますよ

※セルカン氏に本当にシュメール語の知識があるか否かは極めて怪しいらしい。

参考↓

【4-3 シュメール語が使えるというのは本当か?】
 
セルカン氏は8ヶ国語と3つの古代語が使えると自称している。 ドラゴン桜16巻によると、その内訳はトルコ語、英語、日本語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、オランダ語、ギリシア語+ラテン語、古代ラテン語、シュメール語とのこと。

特にシュメール語は、著書「宇宙エレベーター」の第4章「歴史の旅」において、シュメール語の石板(A.セルカン訳と記載)を題材にするなど、セルカン氏の知識の広さをアピールする材料の一つとなっている。

また、ドラゴン桜16巻に掲載されているインタビューでは、
東大は簡単だ みんな東大に おいでよ。 という文章のシュメール語訳と称するものが掲載されている。

しかし、ドラゴン桜掲載のシュメール語の文章は、実はシュメール語ではなくアッシリア語であり、意味も全く別のものであるという可能性が指摘されている。


つまり、私のシュメール語の知識はそれほどのレベルにあるということです。シュメール語を学習した後では、漢字を勉強するのも楽でしたね(笑)。私は是非お勧めしたい。シュメール語は素晴らしい言語です。


アルピン:“宇宙エレベーター”を見ていて気になったのですが、キャラクターの一人の名はヘディエ・ハヌム博士といいますね。作中では宇宙エレベーターを生み出す人物ですが、恐らく御祖母さまと何か関係があるんじゃないですか。

※“へディエ”はトルコ語で“贈り物”の意で、女性名にも用いられる。なお、“ハヌム”は女性の名につけられる敬称。“へディエ・ハヌム”は“へディエ女史”とでも訳すべきか。

参考:へディエ・ハヌム博士(右側)↓


セルカン:そうですね。彼女の顔は私の祖母のものです。ヘディエという名も、日本語に適しているとして彼らが名前として選んだのです。


アルピン:つまり、お祖母様の本名ではないってことですね。


セルカン:そうです。顔は祖母のものですね。私が将来に見るトルコ女性像はこんな感じなのです。お婆さんになっても、一方では宇宙エレベーターを管理するであろう、という。現代的にして賢明、管理者としての能力を備えている。誰もがその前では敬意を払うような。私の祖母もそんな女性でした。知識人ではなかったけれども、全てを取り仕切っていた。

アニメでキャラクターの顔について話し合った際、我々は祖母の顔を採用しました。誰も反対はしなかったですね。ヘディエという名も、名前としては日本語に適しているということで彼らが選んだのです。


アルピン:“ヘディエ”と言う名を提案されたのは貴方なのですか?


セルカン:彼らは、トルコの人名でどういうものがあるのか聞いてきました。思いついた名前を数え上げていくのを彼らはずっと聞いていたのですが、私が“へディエ”と言ったとたん“おお、それだ”と言って、“へディエ”に決めてしまったのです。耳あたりがよく、頭に残り、かつ見る者にトルコ女性のイメージを与える名と言うことで…..


アルピン
:カタカナで書くのも簡単だ….。


セルカン
:そう。カタカナで書くのも簡単です。

 →(11)に続く
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