どうも皆さん、兵藤一誠だ。イッセーと呼んでくれ。
部長――リアス・グレモリー様の『兵士【ポーン】』として悪魔に転生してから、そりゃもう色々なことがあった。
堕天使と戦って光の槍でブスブス刺されたり、ライザーとかいう焼き鳥野郎と戦ってフルボッコにされたり、コカビエルに校舎をぶっ壊されそうになったり、天使と悪魔と堕天使が和平を結んだり、魔王ルシファーの血と白龍皇の神器【セイクリッド・ギア】を持つヴァーリから部長たちのおっぱいを守るために戦ったり、アーシアの純潔を狙いやがったディオドラをフルボッコにしたり……。
うーん、半年も経ってないはずなんだが、今までの人生でかなり内容の濃い約四カ月を過ごした気がする。
悪魔に転生しちゃってる時点で常識からかけ離れてるけど。
しかし! 悲観することなど何一つない!
なぜなら俺はそのおかげで長年の悲願――ハーレム王への道を見い出すことができたのだから!
レーティングゲームで名を上げ、上級悪魔へと昇格すればハーレムが作れる!
そうすれば……そうすればもう、女の子がよりどりみどりの酒池肉林! あんなことやこんなこと、そんなことまで……!
ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
やってやる! やってやるぞぉぉぉぉ!
バシバシ強くなって名を上げて、ハーレム王に俺はなる!
ん? なんだよ……「お前もうハーレム築いてんじゃん」だと?
ふっ、わかってるぜ。皆さんはオカルト研究部のことを言ってるんだろ?
でも違う! 悲しいけれど、悲しい事実だけれど、あれは違うんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
確かに、確かにオカルト研究部は美少女揃いだ! 美女のバーゲンセールだ!
麗しき我らが部長、リアス・グレモリー様!
エロス大王を自負する俺の上をいくエッチなお姉さま、姫島朱乃さん!
清純で可憐な癒しの天使、アーシア・アルジェント!
クールで大胆な美少女剣士、ゼノヴィア!
毒舌とごろにゃんのギャップがたまらないロリ猫、塔城小猫ちゃん!
シスターで天使な幼馴染、紫藤イリナ!
校内でもトップクラスの人気を誇る美少女たちと、俺は一つ屋根の下で暮らしている! そりゃもうムフフなイベントも盛りだくさんさ!
毎晩部長とアーシアと川の字で一緒に寝てるし、朝起きるとそこに朱乃さんや小猫ちゃんも加わっていたりする!
たまに部長やアーシアと一緒に風呂に入っちゃったりもするし、部屋で遊んでるときなんかは小猫ちゃんが俺のひざ上に座ってくる!
時にはゼノヴィアが過激に子作りを迫ってくる!
イリナが……そういえば家に来てからまだ日が浅いせいなのか、イリナ絡みでは特になにもないな。
ふ、次にお前は「やっぱりハーレムじゃねえかよこのモテ男が!」と言う。
しかし、しかしだ!
こんな、こんな桃源郷の中にいながら俺は……
俺はまだ、童貞を卒業できてないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!
ちきしょう! 周りの男共は夏休みの間に大人の階段を昇っていやがるのに、俺は未だ経験がないまま!
もしも松田と元浜に先を越されでもしたら、俺はショックで余裕で死ねる!
そりゃさ……確かに俺の周りは美少女揃いだぜ?
だけど皆レベルが高過ぎるせいか、どうしても一線が越えられないんだよな……
部長と朱乃さんにとって、俺はかわいい下僕といったところだろう。よく俺を巡って争ってるけど、お気に入りの玩具を取り合ってるような感覚に違いない。
アーシアは俺にとっては家族同然で、守らなきゃいけいない存在だ。体育祭でキスされたのは失神するほど嬉しかったけど、親愛とかそういう感情からのキスだったんだと思う。ほら、外人にとってキスはあいさつみたいなもんだって言うし。
ゼノヴィアは……そもそも子供を産むのが目的だし、相手に俺を選んだのは俺が宿す赤龍帝の力が目当てだもんな。
小猫ちゃんは……理由はよくわかんないけど、猫が最初は警戒していた相手の匂いに慣れてようやく懐いてくれた、っていう感じだな。
まあそういうわけで、おいしい思いはしてるけど恋愛対象としては見られてない。
くそう、俺にもっと甲斐性があれば! 女の子のハートをときめかせるトーク力があれば! ジャニーズばりの美貌があれば! 今頃は部長やアーシア達を囲んで桃色のユートピアを築いていたに違いないんだ!
ちくしょう! これがモテない男の限界だっていうのか!?
『……甲斐性とかトーク力の前に、お前はその鈍感さをどうにかするべきだと思うがな』
ん? なんか言ったかドライグ?
『いや、なんでもない。木場も言っていたが、覚え立ては怖いと言うしな。まだ知らん方がいいだろう』
……? なんの話だかちっともわからん。
まあとにかく、俺はハーレム王になっておっぱいを揉み放題な日常を手に入れるため、日々精進中なわけだ。
これはそんな俺と仲間たちが過ごした、とある日常の出来事だ。