2009年9月10日
イタセンパラ 淀川「放流計画」野生復帰めざす
人工繁殖させた国の天然記念物「イタセンパラ」を淀川に放流し、野生復帰させる計画を、近畿地方整備局淀川河川事務所と大阪府水生生物センターが進めていることが9日、分かった。淀川のイタセンパラはここ4年間一匹も確認できておらず、すでに絶滅していると指摘する声もある。天然記念物の魚を野生復帰させる試みは異例で、放流が実現すればコウノトリやトキのように注目を集めるとみられる。
河川事務所によると、ブラックバスなどの外来種の急増や自然環境の変化で、最大の生息地といわれた淀川のイタセンパラは平成18年以降見つからなくなった。このため、同事務所は今年3月から有識者を集めた検討会を非公開で実施。その中で野生復帰の案が浮上し、7月には日本魚類学会にも放流の可能性を報告した。
水生生物センターによると、30年以上前から同センターでイタセンパラの保存を始めているが、昨年3月に人工池を2面新設。年間数千匹の成魚の繁殖が可能で、そのうち400~500匹を淀川に野生復帰させる考えがあるという。
ただ、そのまま放流しても外来魚に襲われる恐れがあるため、ある程度自然繁殖が可能な場所を整備した上で、放流することを検討。密漁の恐れもあるため、具体的な放流時期や場所は非公開にするという。
河川事務所は、繁殖を可能にするための水のたまり(ワンド)を今年3月までに55カ所整備しており、8年後には計90カ所設置する計画を進めている。
水生生物センターの上原一彦主任研究員は「イタセンパラは自然保護のシンボルで今はそのシンボルを失っている状態。この魚が住めるような自然環境作りをしていかなくてはならない」と話している。
【写真説明】野生復帰の計画が進められているイタセンパラ=8月、大阪府寝屋川市の水生生物センター(天野健作撮影)
(2009年9月10日 09:15)
タグ:イタセンパラ, ワンド, 大阪府水生生物センター, 天然記念物, 近畿地方整備局
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