そこで、足を運んだのは東京都港区南青山の料理婚活教室「アールズキッチン」。20~30代の男女4人が、森由美子先生の指導を受けていた。フランス料理教室「パリ15区」を主宰する森さんのこの日のメニューは「スパイシーサマードリア」など3品。男性が混ぜたクリームソースに女性が牛乳を注ぐ。
女性2人は専業主婦志望。ウェブ関連企業の営業職、江副友美さん(26)は「数字に追われるストレスを抱え続けるのはきつい。子どもが生まれたら、仕事は辞めたい」と言う。一方、不動産会社勤務の森勉さん(35)は、「結婚したら専業主婦になってほしいが、経済的に厳しい。二人が料理を作れたら共働きでも便利」。男女の思いは微妙にすれ違う。
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「男は仕事、女は家庭」という保守的な価値観への回帰を示しているのだろうか。
女性の働き方の問題に詳しい実践女子大学の鹿嶋敬教授は、この見方を否定する。今回の調査だけで保守化傾向を肯定することはできないという。「女性が高学歴化し、夫をサポートする人生だけでは満足できなくなっている」
毎日新聞 2010年7月7日 東京夕刊