マーケティングアナリストで「下流社会」(光文社)などの著書がある三浦展さんは、専業主婦志向の強まりを「ないものねだり」と言う。働く女性が珍しかった時代は働きたい女性が増え、不景気で共働きが増える今は、逆に専業主婦にあこがれる女性が増えているというのだ。
「不景気で女性の仕事が減る中、たとえ正社員になれても入社2、3年目で居酒屋などの“名ばかり店長”となり、残業代も無く深夜まで働かざるを得ないような状況が増えている。年収200万~240万円で、収入が増える見込みも無い。そういう状況で専業主婦を望むのは、当然の感情です」と三浦さんは話す。
一方で自分の収入だけで家族を養える男性は減少している。大手結婚相談所「オーネット」が20、30代の未婚男性1135人を対象にした09年の調査では、結婚相手に「フルタイムで働いてほしい」が40・4%を占め、99年調査よりも13ポイントも増えた。「派遣などで働いてほしい」を合わせると8割近くに達する。
このギャップを女性たちはどうとらえているのか。日本女子大2年生(20)は「高校時代から目的は明確でした。一流大学、一流企業に入り、いい夫と出会うこと。だから、受験勉強で努力したし、これから就職に向け、資格を取るつもり。不況だからこそ、早い時期から頑張っているんです」。明確な目的意識と目標達成への周到な準備。まさに「婚活」だ。
毎日新聞 2010年7月7日 東京夕刊