カゾクノキセキ

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職場復帰への不安 ~診療情報提供書~


午前中、夫からメールがあり、
診療情報提供書が出来上がったと病院から電話をもらったので、取りに行きたい】 との連絡でした。


私は、
【明日、ジェムザールの投与で病院に行くんだから、そのときに受け取ったら?】 と返信したが、

【来週月曜日(12日)から復職するには、復職前に会社の専属医と総務の労務担当との面談をする、
という会社の面倒な規定を今週中に済ませなければならないから、一日でも早く受け取りたい】
とのことだった。

そういうことなら、と夫の想いを尊重し、
私は仕事の昼休みに病院に取りに行って、一旦帰宅し夫に渡しておいた。

こういうときは、病院も職場も自宅から車で往復30分圏内であることは、
本当に助かる、とつくづく感じる。


夕方、仕事から帰宅してみると、夫はなんだか不機嫌そう・・・
いや、絶対に不機嫌だ。

私  「ただいま。どしたの?」

夫  「思うようにいかないな・・・」

私  「なにが?」

夫  「職場復帰・・・」

いつもなら、帰宅したばかりの私を捉まえて、昼間あったことやらを
ひとりで勝手にトークする夫なのに、この単語ぽつりトークは、ちょっと沈んだ様子。

だけど、ものすごーいしんどさでは無さそう・・・
むしろ、ちょっと言いにくい感じのようだ。


私  「全部吐き出してごらん。私が聞いてあげる。ラクになるよ。」
わざと明るく言ってみた。

夫  「12日(月曜日)からの復帰はダメになった!」

私  「ふ~ん・・・ なんで?」
何故なのかをあまり強調しないで聞いてみた。

夫  「復帰前の面談が、13日(火曜日)が最短なんだって。」
   「スケジュールが、空いてないんだって。」
   「復帰は、14日(水曜日)が、最短なんだって。」
   「俺、14日は通院日だし・・・」
   「16日は足の麻痺の方のMRIだし・・・」
   「・・・・・・・」


私  「うんうん。それから?」

夫  「週1回は、通院だし・・・」

私  「うん。だからそのための復職面談なんでしょ?」

夫  「そうだけど・・・」

夫がまだ言いたいことを全部吐き出せていないんだな、って、なんとなく分る。

私  「それで?」

夫  「俺の職場は、俺の企画指示と俺の責任で動いてきたんだよ。
    職場復帰したところで、こんな歯抜け出勤で、俺は何をしに会社に行くんだ?
    もしも俺の部下が俺だったら、「もっとゆっくり休んでいいぞ」と
    肩を叩いてしまうかもしれない。もしも俺の上司が俺だったら、代わりはいるのに…
    と思うかもしれない。・・・・・不安なんだ。」


私  「そっか・・・ じゃ、職場復帰、やめる?・・・退職する?」
(そんなこと言っちゃって大丈夫?)と心の中で自分に問いかける。

夫  「・・・・・それも不安。」

私  「それなら、復帰してみれば?
    退職はいつでも出来るけど、職場復帰は今か会社にいる間しか出来ないでしょ?
    こんな経験、初めてなんだから不安に思うのは当たり前。
    進んでみないと何も分んないじゃない?」


夫  「だよな・・・」

私  「お父さんさ・・・復帰するってことは、
    これからは、仕事のことを考えて会社に相談するんじゃなくて、
    自分の体のことを考えて、自分の体と相談するってことなんじゃない?」




************************************************
「診療情報提供書」

<病名>
膵癌・肝転移・その他の遠隔転移

<経過概要及び治療内容>
上記による閉塞性黄疸のため、本年4/28~6/12、入院。
4/30 胆管にtube stent 挿入、減黄順調で5/17~化学療法1クール施行。
現在6/23~化学療法(2クール)施行中。

<医療管理>
通院が必要です(にチェック) 1ヶ月3回

<職場復帰>
7月1日頃から可能。
ただし、しばらくは勤務時間の制限が必要。

<留意点>
化学療法中の骨髄抑制時感染や、tube stent閉塞及び原疾患の
進行等により(一時)就業中止を今後必要とする場合がありえ注意を要する。
*******************************************************


同じような境遇の人は、この不安をどんな風に乗り越えているのだろう・・・と考える。

そして、夫は、元々仕事が好きな人だから、仕事をやることが薬になる程度に復帰できたらいいな、って思う。


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by kazokunokiseki | 2010-07-06 23:51 | 経過と現状 | Trackback | Comments(8)
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Commented by もー at 2010-07-07 01:32 x
初めてコメントします。
ご主人さまの不安、よく分かります。
私の主人も約2年前、急に体調が悪くなり、病院に行った所、即入院・絶対安静だったので、仕事の引継ぎなど一切出来ない状況でした。
主人にとっては、仕事ももちろん、今後の生活全般に対して不安の一言だったと思います。
その後、仕事復帰に関しては、会社と相談し(小さな会社だから出来た事ですが)、健康保険組合の『傷病手当金』を頂きながら、リハビリ程度の出勤をしていました。
もちろん『傷病手当金』を受給しているので、会社からのお給料はありませんが、その代わり休む事も簡単でした。どうしても抗がん剤を外来で受けていると、通院やその後の副作用で出勤できませんから、仕事も他の方のサポート的な事をしていたようです。
ご主人様も、あせらずに何度でも会社に相談してみてはいかがですか。きっといい方向に進めると思いますよ!
Commented by 夢月 at 2010-07-07 02:53 x
ウチの父はなぜか職場復帰に積極的ではありません。
今は療養休暇を取っていて、半年間(8月いっぱいまで)は
お休みです。
でも今は凄く体調も良いので、私も母も9月から職場復帰して欲しいのですが
当の父は「お父さん掃除も洗濯も好きだし、これで料理が出来る様になれば
主夫になれるなぁ」とのんきな事を言ってます…。
私としては働ける時に働いて欲しいなぁと思うのですが…。
もしかしたら働く事によってストレスが溜り、また体調が良くなくなるのが
怖いのかもしれません。

ご主人様は職場復帰に積極的なんですね!長男君との約束もありますもんね。
でも、今は出来る範囲でお仕事するのがいいと思います。
前と同じ様に仕事が出来ないのは悔しい事かもしれませんが
それよりも「仕事が出来る」事を喜びませんか?
今までお休みしていた上に、入院している間に体力も落ちてしまっていると
思います。なので急に無理をしても体も心もついて行けなくなってしまいそうです。
体調と相談して、少しずつ前の様に戻ればいいと思います。
kazokunokiseki様が仰る様に、仕事が薬(希望)になる様な
就業体制になるといいですね。
Commented at 2010-07-07 12:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by katuko at 2010-07-07 17:07 x
私の夫も、同じ膵臓がんです。
今、同じように化学療法中です。
そして、同じように、職場復帰は、大変でした。
復帰するにあたり、夜勤や残業などの免除を、診断書に書いてもらい、提出しました。
上司は、はっきり言って、そんな体なら、辞めてほしいみたいな、言い方でした。
あまり必要とされてない感じでしたが、約半年つとめ、そのあと、上司が、代わり、今は、少しだけ理解を得て、部署も変えてもらい、働いています。
通院の日を、公休扱いにしてもらったり、今も、制限付きの勤務です。
職場は、健常者に都合の良い場になってるので、病人になり、通院しながら働くのは、厳しいものですね。私たちも、今回、初めて、その大変さを知りました。
でも、やはり、まだ、若いし、仕事が出来るってことは、夫の誇りや、生き甲斐にもなると思うのです。

職場になんと思われても、しんどい時は休み、出来る範囲で働くと、割り切ることも、大事かと思います。

同じことがあったので、つい、長いコメントになりました。
旦那様の場合も、簡単には、希望通りにはいきませんが、少しずつでも、復帰に向けて進みますように、祈っています。
Commented by kazokunokiseki at 2010-07-07 19:52
もーさん>
もーさんもご主人の不安な気持ちを支えてこれれたのですね。

うちの場合は、入院した時点で積立年休が45日と有給休暇が44日あったので、積立年休から使い果たし、今は有給を使っているところです。傷病手当金のことも総務で聞いてみると言っていますが、結局のところ、もーさんのおっしゃるとおり「不安」=今後の生活全般なんですよね。

同じような気持ちの方の言葉は、本当に心に響くものです。ありがとうございます。
Commented by kazokunokiseki at 2010-07-07 19:55
夢月さん>
夢月さんの言葉は、本当にいつも娘に言われているような気持ちになる、と言っています。

「まだ仕事が出来るんだ」という気持ちの反面、「前のようにはいかない」というギャップを受け入れることが怖いんですよね。
自分の気持ちと向き合うのって大切だけど難しいですね。

私は、夢月さんのお父様のような考えもあり、だと思っていて、夫にももう少しのんびりと考えても良いんじゃない?と言ったこともあります。

でも、私の言葉よりも、お父様の発言をコメントにして頂いたお陰で、また夫の気持ちが和らいだようです。ありがとうございます。
Commented by kazokunokiseki at 2010-07-07 20:00
鍵付きの「はや**」さん> (ハンドルネーム一部非公開)
お体の具合はいかがでしょうか? 
前回のコメントより、とても気になっており私たちの励みにさせて頂いています。
夫はこの所ずっとパソコンを見ていないので、今日もしっかり読んで聞かせました。

今回も具体的なご提案に、気持ちがラクになったようです。
私も同ように提案したのですが、はや**さんのコメントの方が、素直に聞き入れられ、具体的に考え直すきっかけになっているようです。ありがとうございます。
Commented by kazokunokiseki at 2010-07-07 20:02
katukoさん>
職場で理解してもらえなかったときのご主人様のお気持ちを考えると、胸がせつなくなります。
今は少しだけ理解を得られたとのこと、本当に良かったですね。

また、katukoさんがしっかりと支え、気持ちを分かち合っておられることがよく分ります。
とても勉強になり、私も見習いたいです。 ありがとうございます。
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ある日突然、夫が末期のすい臓癌。余命宣告。選択の余地もなく癌との闘いが始まった。どうか「奇跡」が起きますように。切実な願いを込めて、家族の「軌跡」を記します。


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