報道陣に囲まれる二所ノ関親方(中央左)=名古屋市中区の愛知県体育館で
|
 |
NHKの大相撲生中継中止を受けて、二所ノ関名古屋場所担当部長は、言葉を絞り出すように切り出した。「残念ですが、NHKも熟慮に熟慮を重ねた結果と思う。真摯(しんし)に受け止めたい。暴力団とのつながりや中継に、7割の反対という数字が一番の原因と思う」
NHKは夕方、ダイジェストを放送するが、十両以下の取組は放送されない可能性が大きく、若い力士は故郷に勇姿を伝える手段がなくなる。二所ノ関親方は「若い人には申し訳ないけど、協会の出来事での連帯責任で償うという気になってもらうしかない」と話した。一方で、対応策として「(両国国技館で放送している)館内FMや、インターネットの動画配信ができないか調査している」という。協会の情報資料管理室の映像制作グループが毎場所、取組を撮影。5月場所から相撲協会の携帯電話サイトで幕内全取組を有料でムービー配信しており、技術的には可能だ。
生中継の中止は、場所の進行にもかかわってくる。支度部屋の力士は、NHKを見ながら、取組の進行状況を把握しているが、これができなくなる。映像制作グループの映像を支度部屋にも分配することでも解決できるが、二所ノ関親方は「(進行を)分かってもらう伝え方はあるとは思うが、いろんな意味で仕事は増えると思う」と覚悟を見せた。
テレビの露出がなくなることで、スポンサー撤退もさらに増えそうだ。すでに永谷園、富士ゼロックスなど数社が懸賞金中止を発表。呼び出しの着物への広告提供社もすべてが撤退し、異例の無地の着物になる。くしくもこの日、全農と日本コカコーラが世論を考慮し、優勝力士への賞品贈呈を中止する方向であることも分かった。
二所ノ関親方は「相撲協会のまいた種。生中継を楽しみにしていた人にはおわびするしかない。土俵の上で、手に汗握る喜んでもらえる相撲を見せて、観客には会場に来て良かったと思わせたい」と決意を見せたが、野球賭博問題の被害は小さくはない。
この記事を印刷する