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米韓軍事演習、中国が警戒感 「裏庭」に米空母派遣予定

2010年7月3日18時38分

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 【北京=峯村健司】韓国の哨戒艦沈没事件を受けて準備を進めている米韓の軍事演習に、中国軍が神経をとがらせている。米国が中国の「裏庭」である黄海に空母の派遣を予定しているからだ。「哨戒艦事件を口実に米軍が黄海に進出しようとしている」(国際情報紙、環球時報)と警戒しており、派遣されれば軍事的緊張が高まるのは避けられない。

 中国軍の東海艦隊は6月30日から、浙江省の舟山から台州にかけた東シナ海沖で実弾射撃訓練を始めた。7月5日までの予定で、一帯の海域は航行禁止となっている。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島や台湾に近い敏感な海域だ。

 詳しい訓練の内容は明らかになっていないが、北京の外交筋の間では、超音速で艦隊を追撃する「空母キラー」と呼ばれている対艦弾道ミサイルを試射するとみられている。中国軍は、台湾有事などの際、米軍の空母艦隊が近海に進出するのを防ぐ「アクセス拒否」能力を高めているからだ。訓練は定期的に実施されているが、同筋は「今回の訓練は米韓の演習を牽制(けんせい)する意図がある」と分析する。

 米韓両軍は今月中にも黄海上で軍事演習する予定で、米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンはすでに配備先の米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を出港している。黄海に米空母が派遣されたことはこれまでほとんどない。

 中国軍が防衛ラインと定める沖縄、台湾、フィリピンにつながる「第1列島線」を米空母が越えることについて、中国筋は「中国に対する重大な挑戦と脅威で、軍事衝突に発展しかねない」と警戒感をあらわにする。中国外務省の秦剛・副報道局長も6月22日の会見で「事態の推移を注意深く見ており、これ以上緊張を高めることは国家の利益を損ないかねない」と述べた。

 台湾の総統選があった1996年、中国軍は独立志向が強い李登輝氏を牽制するため、大規模なミサイル演習を実施したが、米軍が空母を台湾近海に派遣し、演習は中止に追い込まれた。中国軍内部には米空母への抵抗感が根強くある。

 米中関係に詳しい中国人民大学の時殷弘教授は「東シナ海での訓練は、米韓の演習への対抗措置と言える。軍事力の象徴である空母が北京や上海から数百キロのところまで近づけば、さらに緊張が高まる」と強調する。

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