静ちゃんの裏メニュー

開店すると同時に5人の観光客が。

駐車場のおじさんに薦められて来たんだよ。

ジャガイモ入り焼きそばとかいうやつある？

その時点でママは半切れ。

よっぽどなんかくれてやってんだろ。

客の会話が聞こえる。

よっぽど怒鳴り返して追い返そうと思ったが我慢我慢。

ママもじっと耐えている。

私がジャガイモ入り焼きそばを作って運んで行くと、大騒ぎしている。

唐辛子をくれという客。

漬物をくれという客。

めいめいが好き勝手を言っている。

そのうち仲間が通るのをみたらしい。外へ飛び出して行って呼び止めた。

また7名入ってくる。

こっちも入ってくるなり、ビールだの焼きそばだの大きな声で一斉にしゃべる。

収拾がつかないほど騒いでろくすっぽオーダーも取れない。

こんなときでもママは作り笑いができる。これってすごいなあと感心してると、

また2名入ってきた。全員老人だ。カルチャースクールか何かの旅行らしい。

先生と呼ばれている人がいる。

全員ビール日本酒を頼み、居酒屋状態。

この中に女性も入っている。

まあとっくに女性は廃業したと思えるのだが。

とりあえず女性の格好はしている。

ようやっと焼きそばが7つの注文が入る。すると一人の婆あが

「私少なめにしてくれる」

というのですかさず私が

「できません。残してもかまいませんから。」

と言い厨房へ。

ほかのお客さんも入ってきているのに、あまりの大騒ぎに。ついに私が切れた。

「ほかのお客さんの迷惑になりますのでお静かにおねがいします。」

精一杯の作り笑顔で優しく、しかしこれ以上騒ぐのは許さないぞ。と言う顔で注意した。

先ほどの少なめにと言った婆あきれいに食ってやがる。

こんな年のとり方はしたくないものだが。

一人の爺がこういった。

「ご主人若いころはもてたでしょ。しぶいおかおをしている。」

「今でももてますよ」

私はしゃあしゃあと言ってのけた。

「娘さんも美人だし。」

「娘じゃありませんよ。妻です。」

いつもなら笑って流せる会話にも私は少しむきになって答えた。

読者の皆さん。

本当に今ももてるんですよ。　笑