DOL特別レポート
【第66回】 2010年7月1日
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米史上最悪!メキシコ湾原油流出が止まらない訳
~調査メンバーが明かす唯一の解決策とその難易度
スティーブン・ワーリー パデュー大学教授に聞く

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―オバマ大統領は6月15日の国民向けのテレビ演説で、BPに対して7月半ばまでに原油回収率を80%に高めるよう求めたとしたが、それは可能か。

 BPは事故の3週間後、大きな鉄筋コンクリート製のドーム型の囲いを海底の流出箇所に被せ、囲いの上部に接続したライザーパイプで油を海上に逃して回収する「ドーム型囲い」作戦を試みた。しかし、囲いのなかのメタンガスと水が反応して氷のような結晶(メタンハイドレート水化物)ができ、パイプの排水口をつまらせてしまい、失敗した。

 その後、海底に横たわる破損パイプを根元で切断し、その上にキャップ(蓋)をかぶせて油を海上へ逃して回収する「キャップ」作戦(LMRP)を試み、これはなんとか成功した。6月初めからこの方法で、1日の総流出量の3分の1から半分に相当する約2万バレルを回収している。

 回収率を80%以上にするには他の方法も必要だが、BPは現在、BOP(噴出防止装置)のなかについているパイプにもキャップをかぶせる作業を進めている。これが予定通り数週間以内に完了すれば、目標達成は可能であろう。

―流出した原油の燃焼処理もしているのか。

 残念ながら、その通りだ。BPは海面に浮き上がった原油の一部を燃焼させている。回収した原油の貯蔵施設が足りないという事情もあるようだが、これはエネルギーの浪費であり、二酸化炭素も排出するし、望ましい方法とはいえない。

―なぜ原油流出を止められないのか。

 BPはこれまでいくつかの方法を試したが、失敗に終わっている。

 事故の直後は遠隔操作無人潜水機(ROV)を使い、暴噴防止装置(BOP)を手動で操作して油井の流出を止めようとした。通常は掘削施設の爆発事故などが起きた場合、BOPが自動的に作動して原油流出を防止するが、今回はそれが機能しなかった。そこでBPはBOPを手動で作動させようとしたのだが、うまくいかなかった。

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