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日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)
2010.07.07
米の方針変更か 戦闘部隊 多めにグアム移転 抑止力の説明と矛盾
カテゴリ 在日米軍出典 朝日新聞 7月7日 朝刊
記事の概要
在沖海兵隊のグアム移転では、沖縄の司令部を中心にグアムに移転する計画だったが、米側はそれを見直して、戦闘部隊のグアム移転を増す考えだ。
海兵隊の抑止力についての説明と矛盾しかねない動きだが、「地元の負担軽減になる」(外務省幹部)との見方もある。
日米は06年のロードマップ(工程表)で、普天間飛行場の移設と関連し、海兵隊8千人と家族9千人をグアムに移転することで合意していた。
移設対象の部隊として司令部が例示されていたが、5月末の日米共同声明で「米側は沖縄に残留する海兵隊要員の部隊構成を見直す」と修正した。
日本の関係者によると、この修正は米側が共同声明に盛り込むように強く求めてきたという。
修正の内容はまだ日本側に伝えられていないが、「今までの計画よりも、戦闘部隊を1千人〜2千人多めの計画になるかもしれない」(防衛省関係者)という。
米政府は年末までに沖縄やグアムを含めた「世界規模の兵力構成見直し(GPR)」を発表する方針で、日本側の当局者の一人は、「米国は今回、見直し方針を『頭出し』した」とみる。
また、初動での指揮が課題になり、司令部を残そうとしているのかもしれない」(同省幹部)との見方ある。
日本政府はこれまで、「沖縄に海兵隊が引き続き駐留し、抑止力が完全に堅持される」と国会で答弁してきた。(浜田防衛相、額賀防衛相)。司令部はグアムに移転するが、戦闘部隊は沖縄に残るので、米軍の抑止力には影響しないという説明だった。
民主党政権も海兵隊駐留理由を抑止力と挙げていた。
しかしグアム移設部隊の構成見直しはこうした説明と相いれない。
日本側では「議論の根本を変えることになりかねない。危なっかしい問題だ」(政府関係者)との警戒感が出ている。しかし外務省幹部は「沖縄の基地負担軽減策になる」と強調する。
また、普天間のヘリ部隊がグアムに移転する可能性も、「排除しない」(防衛省幹部)としている。
普天間のヘリ部隊は定数60機のうち、アフガンなどに派遣され「駐留実数は半分以下」と言われている。さらにヘリがグアムに移ることになれば、代替施設不要論が勢いづきそうだ。
在沖海兵隊のグアム移転では、沖縄の司令部を中心にグアムに移転する計画だったが、米側はそれを見直して、戦闘部隊のグアム移転を増す考えだ。
海兵隊の抑止力についての説明と矛盾しかねない動きだが、「地元の負担軽減になる」(外務省幹部)との見方もある。
日米は06年のロードマップ(工程表)で、普天間飛行場の移設と関連し、海兵隊8千人と家族9千人をグアムに移転することで合意していた。
移設対象の部隊として司令部が例示されていたが、5月末の日米共同声明で「米側は沖縄に残留する海兵隊要員の部隊構成を見直す」と修正した。
日本の関係者によると、この修正は米側が共同声明に盛り込むように強く求めてきたという。
修正の内容はまだ日本側に伝えられていないが、「今までの計画よりも、戦闘部隊を1千人〜2千人多めの計画になるかもしれない」(防衛省関係者)という。
米政府は年末までに沖縄やグアムを含めた「世界規模の兵力構成見直し(GPR)」を発表する方針で、日本側の当局者の一人は、「米国は今回、見直し方針を『頭出し』した」とみる。
また、初動での指揮が課題になり、司令部を残そうとしているのかもしれない」(同省幹部)との見方ある。
日本政府はこれまで、「沖縄に海兵隊が引き続き駐留し、抑止力が完全に堅持される」と国会で答弁してきた。(浜田防衛相、額賀防衛相)。司令部はグアムに移転するが、戦闘部隊は沖縄に残るので、米軍の抑止力には影響しないという説明だった。
民主党政権も海兵隊駐留理由を抑止力と挙げていた。
しかしグアム移設部隊の構成見直しはこうした説明と相いれない。
日本側では「議論の根本を変えることになりかねない。危なっかしい問題だ」(政府関係者)との警戒感が出ている。しかし外務省幹部は「沖縄の基地負担軽減策になる」と強調する。
また、普天間のヘリ部隊がグアムに移転する可能性も、「排除しない」(防衛省幹部)としている。
普天間のヘリ部隊は定数60機のうち、アフガンなどに派遣され「駐留実数は半分以下」と言われている。さらにヘリがグアムに移ることになれば、代替施設不要論が勢いづきそうだ。
コメント
海兵隊の戦闘部隊の駐留が抑止力になるという”詭弁”を振り回すからこのように混乱してくる。
その上で、海兵隊の戦闘部隊が沖縄から出ていくとなれば、「沖縄の基地負担が軽減できて結構」と居直る。まるで軍事論など無関係の思いつき論でしかない。
海兵隊の抑止力とという言葉のために、沖縄の人々の気持ちを踏みにじったことなど知らん顔である。だから外務省は軍事を語るなと言いたい。
さて新しく出てきた「海兵隊の司令部を沖縄に残し、戦闘部隊をグアムに移転させることは可能か」という問題になる。軍事的な視点だけで言えば「可能」である。
米海軍の司令部が横須賀基地、米陸軍の司令部が座間基地、米空軍の司令部が横田基地、そして米海兵隊の司令部が沖縄ということになる。日本には米軍再編で陸海空の3軍と海兵隊の司令部が配置されることになる。
第3海兵遠征隊の司令部機能だけなら、大型の艦船に各種の通信・情報・指揮機能を搭載しても可能だからだ。必ずしも司令部を前線に配置する必要性はなくなっている。
だから沖縄でグアム所属の海兵隊部隊の指揮をアジア規模で調整する司令部を置くことはできる。
むしろ米軍では、これから嘉手納基地の重要性が増してくるので、沖縄に海兵隊の司令部を置くことはアメリカ軍として重視する傾向が強まると思う。
そこで日本としては、沖縄で海兵隊の戦闘部隊が訓練することや、常時駐留することに反対の意志を伝えることが必要だ。ここからが本当の沖縄の基地負担の軽減問題である。
それだけで嘉手納以南の米軍施設は勿論だが、北部訓練場、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫などが日本(地元)に返還されることになる。
あえて言えば、沖縄で米軍と自衛隊が必要な基地は、嘉手納基地は米空軍と海自と空自が共同で運用する。(自衛隊の那覇基地は沖縄に返還できる)。キャンプ・ハンセンは陸自部隊が移駐する。有事には米海兵隊の一部が嘉手納警備のためにハンセンに駐留できる施設を造る。
嘉手納弾薬庫は一部をMV22オスプレイが運用できる1600メートル滑走路を作り、その滑走路の一端を民間地を避けて海に面するように土地の買収を行う。(嘉手納基地との共同運用も考えられる)
また、沖縄に海上自衛隊の専用港を新設する必要がある。
今のところ、これ以上の米軍基地を米側から返還させることは難しいと思う。
ーーーーーーー
昨日(6日付)の毎日新聞の夕刊(文化面)に、「沖縄基地問題」というコラムが掲載されていた。テーマは「敵意に囲まれる日米同盟の姿」で、書いたのは三木 健氏 ジャーナリスト・元琉球新報社副社長)だった。
非常に明快な文章で、沖縄の基地問題が混迷する理由と将来像が示してあった。その中に、政治家は沖縄の基地の将来ビジョンを語れとある。
その通りで、私自身も沖縄の米軍基地のビジョンを書くべきと思った。そこで今回、自分が考える沖縄の基地の姿を書いた。
三木氏のコラムは非常にわかりやすく整理されているので、沖縄の基地問題が整理されていないと思う方には是非読んで頂きたい。
海兵隊の戦闘部隊の駐留が抑止力になるという”詭弁”を振り回すからこのように混乱してくる。
その上で、海兵隊の戦闘部隊が沖縄から出ていくとなれば、「沖縄の基地負担が軽減できて結構」と居直る。まるで軍事論など無関係の思いつき論でしかない。
海兵隊の抑止力とという言葉のために、沖縄の人々の気持ちを踏みにじったことなど知らん顔である。だから外務省は軍事を語るなと言いたい。
さて新しく出てきた「海兵隊の司令部を沖縄に残し、戦闘部隊をグアムに移転させることは可能か」という問題になる。軍事的な視点だけで言えば「可能」である。
米海軍の司令部が横須賀基地、米陸軍の司令部が座間基地、米空軍の司令部が横田基地、そして米海兵隊の司令部が沖縄ということになる。日本には米軍再編で陸海空の3軍と海兵隊の司令部が配置されることになる。
第3海兵遠征隊の司令部機能だけなら、大型の艦船に各種の通信・情報・指揮機能を搭載しても可能だからだ。必ずしも司令部を前線に配置する必要性はなくなっている。
だから沖縄でグアム所属の海兵隊部隊の指揮をアジア規模で調整する司令部を置くことはできる。
むしろ米軍では、これから嘉手納基地の重要性が増してくるので、沖縄に海兵隊の司令部を置くことはアメリカ軍として重視する傾向が強まると思う。
そこで日本としては、沖縄で海兵隊の戦闘部隊が訓練することや、常時駐留することに反対の意志を伝えることが必要だ。ここからが本当の沖縄の基地負担の軽減問題である。
それだけで嘉手納以南の米軍施設は勿論だが、北部訓練場、キャンプ・シュワブ、辺野古弾薬庫などが日本(地元)に返還されることになる。
あえて言えば、沖縄で米軍と自衛隊が必要な基地は、嘉手納基地は米空軍と海自と空自が共同で運用する。(自衛隊の那覇基地は沖縄に返還できる)。キャンプ・ハンセンは陸自部隊が移駐する。有事には米海兵隊の一部が嘉手納警備のためにハンセンに駐留できる施設を造る。
嘉手納弾薬庫は一部をMV22オスプレイが運用できる1600メートル滑走路を作り、その滑走路の一端を民間地を避けて海に面するように土地の買収を行う。(嘉手納基地との共同運用も考えられる)
また、沖縄に海上自衛隊の専用港を新設する必要がある。
今のところ、これ以上の米軍基地を米側から返還させることは難しいと思う。
ーーーーーーー
昨日(6日付)の毎日新聞の夕刊(文化面)に、「沖縄基地問題」というコラムが掲載されていた。テーマは「敵意に囲まれる日米同盟の姿」で、書いたのは三木 健氏 ジャーナリスト・元琉球新報社副社長)だった。
非常に明快な文章で、沖縄の基地問題が混迷する理由と将来像が示してあった。その中に、政治家は沖縄の基地の将来ビジョンを語れとある。
その通りで、私自身も沖縄の米軍基地のビジョンを書くべきと思った。そこで今回、自分が考える沖縄の基地の姿を書いた。
三木氏のコラムは非常にわかりやすく整理されているので、沖縄の基地問題が整理されていないと思う方には是非読んで頂きたい。