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【格闘技】

人間力さく裂 大和逆襲V

2010年7月6日 紙面から

63キロ級準々決勝、1回に裕樹(右下)をKOで下した大和

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◇K−1ワールドMAX63キロ級日本トーナメント・ファイナル、70キロ級世界大会開幕戦

▽5日▽国立代々木競技場▽観衆9907人

 大和、涙のV。63キロ級日本トーナメントは名古屋の豪腕ペンキ職人・大和哲也(22)が3連続KOで初代王者に輝いた。2連続KOで勝ち上がった大和は、決勝で魔裟斗二世の呼び声が高い久保優太(22)にド根性の逆転KO勝ちした。70キロ級世界トーナメントは“闘うコスプレーヤー”長島☆自演乙☆雄一郎(26)が、判定2−0で勝利をもぎ取り、10月予定のファイナル進出を決めた。

 マンガのような結末だった。壮絶な打撃戦の中、大和と久保の左のパンチが交錯する。そのまま、マットに崩れ落ちた久保。大和はよろめきながらも立っていた。あわや、ダブルノックダウンで優勝者なしの展開もあり得たほど際どい幕切れだ。

 1回戦の裕樹、準決勝の才賀を左フックでKO。しかし、決勝の久保戦はいきなりピンチが訪れた。1回、パンチの連打でダウン。大和の勢いもここまでかと思われたが、2回、逆襲に出て久保をぐらつかせ、3回、場内総立ちの打撃戦で逆転勝ち。両手を上げた大和の目に涙がにじんだ。まさに、人間力の勝利。

 大勝負の直前まで現場に出た。朝5時に起きてロードワーク。昼間はペンキ職人として働き、夜にジムワークという日課。2足のわらじをはく大和を、初戦の対戦相手・裕樹は「2足のわらじがはけるほど甘い世界じゃない」と批判。しかし、大和は「仕事をすることで、いばらの道を歩いている。ペンキを塗ることで集中力も養えるし、働くことで人間力もつく。裕樹選手の発言を全否定する」と反論。それを、リングの上で証明してみせた。

 やたら、虚勢を張る格闘家が多い中、大和は「自然体が好き。ただ、リングに上がれば、尊敬の念を持って相手を倒す」と語るニュータイプのK−1戦士。来年は、63キロ級の世界大会も開催される。日本の大和は世界を目指す。 (竹下陽二)

 

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