小惑星の石はあるか?13日地球帰還の「はやぶさ」、プロジェクトリーダーに聞く
2010年6月11日
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打ち上げから7年、60億キロの長旅を終え、満身創痍(そうい)の小惑星探査機「はやぶさ」が13日夜、地球に帰還する。カプセルの分離・大気圏突入は成功するのか。そこには、人類が初めて手にする小惑星の石が収められている可能性がある。宇宙航空研究開発機構相模原キャンパスで苦難に満ちた計画を率いたプロジェクトマネジャー、川口淳一郎同機構教授に話を聞いた。
▽野心的探査機
2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」の任務は、小惑星イトカワ(長さ約540メートル)に着陸。金属弾を打ち込み、飛び散った破片を採取。地球に持ち帰り、太陽系成立の謎解明に寄与するとともに、地球に飛来する隕石(いんせき)回避の研究に貢献すること。
もう一つは、遠い天体の調査のため造られた新型のイオンエンジンや自ら姿勢制御を行う自律飛行の性能実験を行い、技術を確立すること。川口教授は「科学と技術の成果を一つの機体で望める野心的な探査機」と話す。
▽危機乗り越え
打ち上げ直後から「はやぶさ」は一部のエンジンが停止したり、姿勢制御装置が故障するなどトラブルが続いていた。
最大の危機は05年12月に訪れた。11月にイトカワに2回着陸したが、その衝撃で燃料が噴出。その影響で姿勢が乱れて太陽電池パネル、アンテナが大きく乱れ、交信が途絶えて行方不明に。
「探査機の状態やどこを飛んでいるかが分からなくなり、帰還する予定も立たなくなった。この計画は駄目かなと思った」と振り返る。
迷子の「はやぶさ」に「探査機の姿勢を直せ」「イオンエンジンを作動させろ」など指令を発信し続けたが、「1回の電波が届くまでに30分以上かかる。返信がない以上、こちらからは何もできない。もどかしい時間でした」。
あきらめかけた1カ月半後、「はやぶさ」からかすかな返信をキャッチ。「指令が伝われば大丈夫。イオンエンジンが使えるし、少しずつ地球への帰還準備をすればいい」。計画完遂に光が差した瞬間だった。
▽最後の大仕事
昨年夏に残った、4基中ただ1基のイオンエンジンが停止する危機も乗り越えた「はやぶさ」。13日夜、最後の大仕事、カプセルの分離・大気圏突入に挑む。カプセルはアルミ合金製で直径約40センチの中華鍋のような形。秒速12キロで大気圏に突入。地上から10キロでパラシュートを開き、オーストラリア・ウーメラ近くの砂漠に帰還する。7年間カプセルと一緒に旅を続けた機体は大気圏で燃え尽きる。
予定より3年長く飛行しているため、機体の劣化からカプセルが分離しない、パラシュートが開かない可能性もある。「機体が燃えてもカプセルは残り、たとえ地上に激突しても、全体が破壊されるのではなく、試料容器を回収できる可能性がある」
注目の石の採取だが、「はやぶさ」はイトカワに着陸した際、横倒しだったため、うまく採取できなかった可能性もある。川口教授は「石の有無は帰還後に調べないと分からないが、入っていてほしい。ただ、帰還が成功しただけでも日本は小惑星探査で世界をリードする技術を手にできる」と胸を張った。
▽野心的探査機
2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」の任務は、小惑星イトカワ(長さ約540メートル)に着陸。金属弾を打ち込み、飛び散った破片を採取。地球に持ち帰り、太陽系成立の謎解明に寄与するとともに、地球に飛来する隕石(いんせき)回避の研究に貢献すること。
もう一つは、遠い天体の調査のため造られた新型のイオンエンジンや自ら姿勢制御を行う自律飛行の性能実験を行い、技術を確立すること。川口教授は「科学と技術の成果を一つの機体で望める野心的な探査機」と話す。
▽危機乗り越え
打ち上げ直後から「はやぶさ」は一部のエンジンが停止したり、姿勢制御装置が故障するなどトラブルが続いていた。
最大の危機は05年12月に訪れた。11月にイトカワに2回着陸したが、その衝撃で燃料が噴出。その影響で姿勢が乱れて太陽電池パネル、アンテナが大きく乱れ、交信が途絶えて行方不明に。
「探査機の状態やどこを飛んでいるかが分からなくなり、帰還する予定も立たなくなった。この計画は駄目かなと思った」と振り返る。
迷子の「はやぶさ」に「探査機の姿勢を直せ」「イオンエンジンを作動させろ」など指令を発信し続けたが、「1回の電波が届くまでに30分以上かかる。返信がない以上、こちらからは何もできない。もどかしい時間でした」。
あきらめかけた1カ月半後、「はやぶさ」からかすかな返信をキャッチ。「指令が伝われば大丈夫。イオンエンジンが使えるし、少しずつ地球への帰還準備をすればいい」。計画完遂に光が差した瞬間だった。
▽最後の大仕事
昨年夏に残った、4基中ただ1基のイオンエンジンが停止する危機も乗り越えた「はやぶさ」。13日夜、最後の大仕事、カプセルの分離・大気圏突入に挑む。カプセルはアルミ合金製で直径約40センチの中華鍋のような形。秒速12キロで大気圏に突入。地上から10キロでパラシュートを開き、オーストラリア・ウーメラ近くの砂漠に帰還する。7年間カプセルと一緒に旅を続けた機体は大気圏で燃え尽きる。
予定より3年長く飛行しているため、機体の劣化からカプセルが分離しない、パラシュートが開かない可能性もある。「機体が燃えてもカプセルは残り、たとえ地上に激突しても、全体が破壊されるのではなく、試料容器を回収できる可能性がある」
注目の石の採取だが、「はやぶさ」はイトカワに着陸した際、横倒しだったため、うまく採取できなかった可能性もある。川口教授は「石の有無は帰還後に調べないと分からないが、入っていてほしい。ただ、帰還が成功しただけでも日本は小惑星探査で世界をリードする技術を手にできる」と胸を張った。
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