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きょうのコラム「時鐘」 2010年7月7日
宇宙を旅した「はやぶさ」のカプセルの中に、小さなほこりがあったと報じられた。小惑星探査の貴重な土産の可能性がある
直径0・01ミリの微粒子を手掛かりに、宇宙の謎に迫る。砂ぼこりを相手に、そんなことができるのか。先端科学の挑戦と、大風呂敷を広げたような話との境目が、素人にさっぱり分からない。が、あの「はやぶさ」のほこりとあれば、おろそかにはできまい 吹けば飛ぶようなほこりでも、拍子悪く目の中に飛び込むと始末に悪い。涙を流して苦しむことになる。確かに、大小だけで物事の値打ちは決まらない。間もなく行使するわが1票も、県内90万人を超える有権者の中では、さながら微粒子。全国で1億を超す「民意」からすれば、ちりほどに映る 民主主義という学校は、そんな1票を粗末にするな、と教える。ちりを手にした科学者も、そう言う。大切だが、正体を究めるには時間がかかり、「登山に例えるなら、まだふもと」だとも 難題を克服した「はやぶさ」の科学者の言葉は、示唆に富む。政治の歩みも、まだふもと。わが1票も、大切な宇宙のほこりになればいいのだが。 |