700戸以上の繁殖農家がある佐賀県は、出荷できなかった子牛の餌を肥育農家が使う飼料に切り替える指導を始めた。ブランド牛「佐賀牛」などを育てる肥育農家は通常、生後9〜10カ月の子牛を買い付け、特別な飼料を与えて育てる。子牛が育ちすぎてから肥育に切り替えると、より良い肉質に仕上げるのが難しくなる。同県畜産課は「出荷できない間に肥育用の餌を与えることで、子牛の生育を止めないようにしたい」。
肥育農家も苦労している。佐賀県は鹿児島、宮崎、大分など県外からは年間約2万頭の子牛を買い付けているが、家畜市場の中止・延期で供給が途絶えた。県畜産課の担当者は「月約2千頭の子牛が必要で、早く再開しないと牛舎がガラガラになってしまう」と不安感を隠さない。県は、肥育農家に対しても、育ちすぎた子牛への餌やりの技術指導をする予定だ。(神崎卓征、阿部彰芳)