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【安藤慶太が斬る】政治そのものが愚弄される社会にならないために (5/5ページ)
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現状、政治が発信する言葉に支持率が連動してはいるから、国民は政治家の言葉にまだ聞く耳を一定持っているとはいえるのかもしれない。だが、こうしたことでいいはずがない。
■政治が愚弄される不幸
間違いなくいえることがある。このように選挙で勝てばいい。そのためには政治で何を為したかという内実よりも、いかに見せるかばかりに腐心し続けていれば、いずれ、そのしっぺ返しは厳しいものとして降りかかってくるということである。
政治家として願望はあっていい。しかし、政治家の真骨頂は願望を実現する計算や駆け引き、信頼関係の構築といった地道な営みであるはずなのに、耳目を引く願望を並べたて、それを言いつくろうことばかりに時間を費やしている。はっきりいえば実はこの8カ月間がその繰り返しだった。マニフェストの修正について、与党のマニフェストと野党のマニフェストは違うとか、マニフェストは生き物だとかケロっと言ってしまう。その危うさを自覚しているように見えないところが危ないと思う。
国民に愚弄(ぐろう)されても仕方ない政治家が現実にいるのは事実だ。これはこれで問題である。だが、私は、政治そのものが国民に愚弄される社会というのは不幸な社会だと思っている。政治はやっぱり重要なのである。政治家はそのことを肝に銘じて自分の発する言葉には気をつけてほしい。政治家が何を言っても国民がその発言を疑ってかかり、真意を邪推し、政治家の言葉の軽さに失望する。そんな社会が当たり前にならないことを願う。(安藤慶太・社会部専門職)