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【安藤慶太が斬る】政治そのものが愚弄される社会にならないために (4/5ページ)

2010.7.4 18:01
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 ただ、今回の選挙は順当に考えれば、昨年あれほど熱狂した政権交代とその後の民主党の政権運営などが問われてしかるべき話だ。

 なぜそうなっていないのだろう。W杯や大相撲の野球賭博が盛り上がっているといえば、それは確かにその通りなのだが、菅直人首相が、会見を拒否したり、逃げまくっていることも見逃せない。

 鳩山由紀夫前首相からの首相交代のさい、小沢一郎前幹事長も一緒に辞任し、政権運営の足かせを一掃、民主党は変わったと印象づけた。本当は政治とカネの問題だってくすぶったままなのだが、支持率はV字回復した。それで選挙戦に突入、高支持率のまま逃げ切りを図るというのが菅内閣の戦略だったようである。

■山積みの懸案どうするの

 本来なら菅内閣は鳩山内閣の方針や遺産をどう具体的に受け継ぐのかを示すべき話である。例えば、膠着(こうちゃく)状態の続く八ツ場(やんば)ダムをどうするつもりか。子ども手当をどうするか。普天間をどうするか。日米関係をどう修復するつもりなのか。高校無償化で朝鮮学校をどう取り扱うか。外国人参政権や夫婦別姓、人権救済機関、事業仕分けで無駄づかいを引き続き洗い出すにしても「はやぶさ」の予算をいかに回復させるのか、政治とカネにどう臨むか…とにかく発信すべきテーマや明らかにすべきことは山ほどある。ところがそういうところは全部すっ飛ばして菅首相は消費税の増税をぶちあげた。短期間のワンイシュー選挙にすれば、こうした山ほどある懸案はかすんでしまう。これまでの政権運営は問われずに済むということだろうか。一点突破の高等戦術かもしれないが、消費税というのはそのためのアジェンダ設定だったのではないか。

 ところがふたを開けてみると、消費税発言は裏目に出た。V字回復した支持率は再びダウンし始めたのである。すると首相の周辺からは打ち消し発言が相次いだ。菅首相自身、低所得者には支払った消費税を還付すると発言し始めた。低所得者を線引きする額面は遊説先ごとに変わり、野党との対決の場であるTV出演は拒むなど、はっきりいって逃げの一手だ。一体これは争点なのか、公約といえるのか、どこまで考えての発言だったのかすらわからないままである。

 政府与党の姿勢としてけしからん話ではあるのだが、選挙戦術としては結局、この参院選、何が争点なのか、国民にはまるっきりうやむやでさっぱりわからない。何を判断基準に投票すればいいのかをつかませない点では彼らの狙いは成功しているようにも思えるのである。

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