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2010-07-06

アイマス2に思う

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 XBOX360で展開されてきた家庭用アイドルマスター、通称無印アイマスは、アイドルマスター2の発表をもって事実上の終わりを迎えた。

 DLCの供給も絶えて久しく、実質的に2年前には既に終了していたのだけれど、どうにも終わった気がしない思いは、多くのファンに共通してたんじゃないかしら。

 そんな中、雪歩担当声優の交代劇は幕引きを象徴する事件となり、本当に終わったんだなあと今さらながらに実感する。しかしまあ、雪歩がみんな持っていってしまった。まさか無印を看取るのが雪歩だとはね。メインなんとかの春香さんは泣いていい。

 起源であるアーケード版もまもなく終了の運び、アイマスの一つの時代は間違いなく終わった。公式がリスタートと呼ぶアイマス2では、新しい仕組み、そして試みが待っていることと思う。

 それらに関するあれこれを、少し語ってみたい。


■ライブの位置付け

 

 今までの状況から見れば、まず、ライブに参加できない声優は、少なくとも本流には組み込まれないというルールが明確になった。

 EX雪歩役の長谷優里奈の降板しかり、たぶん、伊織役の釘宮さん(言うまでもなく売れっ子のため、しばしばライブには不参加だった)や、小鳥役の滝田さん(事務員設定ではあるものの、ほぼアイドルの一員としてライブに参加)たちが、7/4の幕張ライブで涙を流した理由の一つがこれだろう。

 今回、期待を集めながらも、アイマスDSメンバーが舞台に登場しなかったのも、上述のルールとは無関係ではないと思う。

 もちろん、彼女らは既に声優として一線の売れっ子で、ギャラや事前の色づけ等の問題も大きかったのだろうけれど、本質的には芸能活動としての765プロが拘束できるか否か、あるいはそれに最優先で協力できるかどうか決め手であったように見える。

 つまり、アイマス2の方向性は、少なくとも一面で、ライブ興業に大きなウェイトを置くことになる。今回の幕張公演はその意味で、関係者にとって自信になったはずだ。ファン参加者の一人としても、あのライブは素晴らしかった。

 僕はサイリュームの振りすぎで、少々肩がこったのも事実だけれど(ちなみに、2キロ痩せた)。

 この文脈を踏まえて、ファンの一部、当然ながら雪歩ファンの中に、この方向性への懸念と反発が生じていることも押さえておきたい。

 ライブにこそ来ないものの、雪歩として十分な仕事をしてきたゆりしーを切らなきゃいけないくらいなら、ライブなんて要らない、そんな声は確かに存在しているし、気持ちは分かる。


■関係性の扱い

 

 次に、アイドル同士の関係性が、大きく前面に押し出される、あるいはゲーム内でも公式に演出されるという方針の確認だろう。

 これまでの公式情報から判断する限り、アイマス2では、3人のアイドルでユニットを結成し、彼女らの関係性をメンテナンスしながら、ユニットとしてトップを目指す、という方向が基本であるようだ。

 無印アイマスでは、最大3人まで同時にプロデュースが可能ではあったものの、実質的にやりとりするのはメインに選んだアイドルだけで、他の二人はせいぜい横に並んでいる程度の扱いに過ぎなかった。

 もちろん、アイドラやCDなどのサプリメントでは、公式に彼女らの会話が描かれてはいたものの、ゲーム本編の中で、つまり攻略に関わる要因としては一切触れられて来なかった。

 これへのファン心理的な欲求が、ニコニコ動画で一般化しているアイドル同士の掛け合いとなって現れていたのは明白で、むしろ、ニコニコ動画からアイマスに入ったファンは、無印でのアイドル同士の無関係さに衝撃を受けるほどに、公式とファンとの認識の間には差ができていた以上、こうなるのは当然の流れと思われる。

 現状、それらの関係性が公式へとフィードバックされたように見える事例も多く(文脈とは少し異なるが、前述の事務員音無小鳥の設定に関しては、ほとんど明らかでなかった彼女のプロフィールに関するファンの想像が、現在、非常に大きなウェイトを占めている)、ファンの要望を汲み取る公式サイドの姿勢、また敏感さには、好感が、そして期待が持てる。


■対話から空間へ

 

 何にせよ、これまで「アイドルとプレイヤーの1対1の関係性」を描いてきたアイドルマスターは、アイドル同士の関係性も含めて、一種、最近流行りの学園ものというべきか、「仲良しグループの長閑な毎日」的な要素を持つようになるだろう。

 ただし、これはある意味で、公式がニコニコ動画でのファン活動の領域に食い込むことでもあり、自由な創作への影響も予測される。その結果はこれから明らかになるはずだ。

 個人的な意見を述べるなら、僕は、無印アイマスの持つ、どこか乾燥した関係性は嫌いではなかった。何せ、目が出ようが出まいが、アイドルユニットを一年で強制解散させるゲームなのだ。アーケード版に至っては、目が出なければ中途でも容赦なく解散である。

 こうしたシビアさは、アイドルマスターというゲームに、その華やかでコミカルな表情とは裏腹の、リアリティーのようなものを与えていたと思う。切なさと言ってもいい。気になる人は、結成したてのユニットで、何度かオーディションに落ち続けてみよう。

 ファン人数が一人になった時、何かしら心に訪れるものがあると思う。


■オーディションシステムに関して

 

 無印のシステムに関して触れたついでに、ゲームとしてのアイドルマスター2について触れたい。

 ニコニコ動画でのファン創作のための素材としてのアイマス2は、現時点での情報からも十分に期待できるものになりそうだ。綺麗なグラフィック、多彩なカメラワーク、改善されたモーション、映える舞台に、5人でのダンス(3人ユニットが基本だとすると、「人数を増減させるDLC」が発売されるのではという悪い冗談もある)。

 発想を制限する可能性はあるとは言え、待望といってもいいアイドル同士の掛け合いがゲーム内で見られることも、いよいよ楽しいファン創作の下地を提供することになるだろう。会話パターンの数次第では、何度も遊び、攻略する楽しみも増える。

 まだ見えてこないのは、アイマスのもう一方でのかなめ、あるいはゲームとしてのアイマスの根幹である、オーディションまわりのシステムだ。

 異論はあろうが、アイドル育成という現実離れした素材を扱うアイマスを、かろうじて地上に固定しているのは、あのオーディションシステムの重さではないか。

 事実、オーディションシステムを搭載しなかったL4Uは早々にファン離れを引き起こし(あんなに綺麗で、しかも簡単にステージが楽しめ、続々と魅力的なDLCがリリースされたにも関わらず)、大きく簡略化したそれを搭載したアイマスDSは(ニコニコ動画に極めて良質のコメディ系ファン創作が生まれる素地となったものの)、おそらく今や殆ど遊ばれてはいない。

 オーディションシステムは軽視してはいけない。僕はそう思っている。あれはアイマスの骨だ。

 主観の判断ばかりなので、この話題は早々に切り上げることにしよう。ぶっちゃけた話、僕はアイマスの対戦オーディションシステムが好きなのだ。あれは熱い。できることは限られているけれど、未だに無印の対戦で遊ぶ人は存在していることが、あのシステムの魅力を明らかにしていると思う。

 せっかく今回もXBOXでの発売となったのだから、整備されたオンライン環境を生かして、前作以上に対戦環境が整えられることを祈る。月ごとの公式トーナメントであったり、他のユニットの対戦をリアルタイムで観戦できるシステムであったり、期待はモリモリ膨らんでいる。


■団結の功罪

 最後に、ついでながら、主観的な意見を述べて終わろう。アイマス2のテーマは団結だという。僕は若干、それに関して、危惧するところもある。

 一つに、上でも書いて来たが、それはアイドル同士、あるいはアイドルとプレイヤーの関係性を制限し、これまでのような自由なファン、あるいはプレイヤーごとの発想の広がりを妨げるのではないか、ということ。

 二つ、(巷の予想に反し)今回もまたXBOXでの発売ということが、あるいは旧来のアイマスファンのみを対象とする方針の結果であり、単に新規市場の開拓を諦めた結果であるのなら、それは団結というよりも身内ウケの肯定に他ならず、忌地による自然衰退は避けられないであろうということ。

 三つ、今回の長谷優里奈さんの降板の原因の一つであろうと予測される、団体行動への不適が、今後も比較的容易に適応されることで、団結という言葉が、アイマスにとって、一種の重い鎖になってしまわないかということ。

 ことに、第二、第三の項目に関しては、既にニコニコ動画上のコミュニティにおいて実証済みであり、僕個人としてはこの言葉に極めて複雑な思いを抱かざるを得ない。確かに、団結が必要とされる時代もあるだろう。しかし、副作用は間違いなく大きかった。なおさら、目を三角にして団結と叫ぶ場合、共産主義的な匂いまでするというのは、僕の想像力過多に過ぎないとは思うけれど。


 


 なんにせよ、今はワクテカしている。

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