「奇兵隊内閣」で何を訴える
「奇兵隊内閣」で何を訴える 06/23 19:54

参議院選挙は、あすが公示です。

選挙を前に発足した内閣を菅総理は「奇兵隊内閣」と名づけましたが、幕末に武士と庶民で結成された奇兵隊を通して、何を訴えようとしているのでしょうか。

●菅直人総理大臣
「奇兵隊内閣とでも名付けたいと思っています。奇兵隊というのは、必ずしもお殿様の息子たちがやった軍隊ではありません。まさに武士階級以外からもですね、いろんな人が参加をして、この奇兵隊をつくったわけです」

高校まで『長州』・山口県宇部市で育った菅総理は、就任後さっそく故郷を訪問し、同級生らと束の間の時をすごしました。

菅総理が尊敬する高杉晋作は171年前、山口県萩に産まれました。

自ら奇兵隊内閣と名づけましたが、奇兵隊はどのような運命を歩んだのか歴史を紐解いてみました。

奇兵隊を創設した高杉晋作は、長州藩の上級武士の長男として産まれました。

高杉晋作が奇兵隊を創設したのは1863年、23歳の時でした。

萩博物館の一坂太郎さんは、高杉晋作の研究では第一人者として知られています。

●萩市特別学芸員・一坂太郎さん
「長州藩が攘夷という方針を定めて高杉晋作を登用し、ゲリラ軍を作ろうとしたのが奇兵隊。武士は全人口の1割もいなかったため、これでは外国を相手に戦えない。そこで農家や商人の息子を軍事力として利用した」

一般に、奇兵隊は維新のため幕府と戦っていたと受け止められていますが、それは後のことで、当初は、関門海峡を通過するイギリスやフランスなどの軍艦を攻撃するために結成されました。

●菅総理
「今、日本の状況はまさに、この停滞を打ち破るために果断に行動することが必要だと」

高杉晋作は、吉田松陰の弟子として松下村塾で学びました。

松蔭は、安政の大獄で処刑される直前、晋作に「志を貫くためには命を惜しんではならない」事を手紙で伝えています。

●菅総理
「奇兵隊のような志を持って、まさに勇猛果敢に戦ってもらいたい」

菅総理が、山口県出身として奇兵隊内閣を名乗ることに反発しているのが、晋作と同じ晋の字を親子でつけていたこの方です。

●安倍晋三・元総理大臣
「大切なものを守るために、変えなければいけないものについては変えるのが自民党。一方、民主党は違う。改革に酔う。菅さんはもう酔っている。奇兵隊内閣なんて、長州出身の私は不愉快ですよ」

奇兵隊は明治維新後、存在意義を失い、解散させられます。

新政府に取り立てられず、帰るところを失った農民や商人の隊員は暴動を起して鎮圧され、100人以上が処刑されました。

●萩市・一坂学芸員
「庶民の力を使って大きく歴史を動かしたのだが、最後はその庶民の力で排除したというのがポイント」

27年8か月の人生を維新という時代に捧げ、駆けぬけていった晋作は、「ここまでやったから、これからが大事じゃ。しっかりやってくれろ。しっかりやってくれろ」という遺言を残しています。

明日公示される参議院選挙福岡選挙区には、7人が立候補を予定しています。

2議席を巡り、17日間の選挙戦で、誰が有権者の心に志を刻むことが出来るでしょうか。

投票日は7月11日です。