障害を持つ人が制作した絵などの作品は、その独特の感性が注目を集めています。
福岡市の施設に通う障害者たちが描いたデザインが、人気の携帯電話のアクセサリーに採用され先日、全国で発売されました。
福岡市城南区の障害福祉サービス事業所「葦の家」、重い障害を持つ人たちが、絵の制作などに取り組んでいます。
どの作品も独自の感性で描かれていますが、そのデザインが先日、ある人気商品のアクセサリーに採用されました。
今、注目を集めているi-phoneのカバーを、障害者の方たちがデザインしました。
福岡市天神のアップルストアで開かれた発表会、人気の携帯電話iPhoneのカバー「ギズモビーズ」に、「葦の家」の障害者の絵が使われることになったのです。
●ギズモビーズアジア総代理店・ベロシティ・寺口大介社長
「(作品を)初めて拝見したときにすごくパワーがあったので、そこから興味が沸いたというか、そこがまずスタートですね」
「葦の家」には現在、46人の障害者が通っています。
絵の制作や清掃活動などを行っていて、ひと月の工賃は一人当たり2,500円ほど。
個性あふれる作品を作りながら販売先の開拓ができていませんでしたが、福岡市が業者に委託して開設している「コミュニティビジネス販路拡大支援センター」=コミットの担当者がその作品に出会ったのが転機となりました。
(コミット・斎藤淳一さん)
「金額の交渉とか、ビジネス的な業務はやはりまだ慣れていらっしゃらない方も多いので、最終的には、みなさんが企業に堂々とアプローチできるような流れが出来ればいいなというところで支援させていただいている」
今回は、11人の障害者の絵を組み合わせた2種類のデザインがiPhoneカバーに採用されました。
●施設利用者・井手智隆さん
「(Q.ここで絵を描くのはどうですか?)結構頑張っています」
●施設利用者・山下修さん
「(Q.みなさんの描いた絵が商品になりましたが、どんな気持ちですか)嬉しいと思う。全国の人に見てもらいたい」
カバーの売上げのうち一定額は、デザイン料として「葦の家」の障害者全員に分配されることになっています。
●障害福祉サービス事業所・葦の家支援員・村谷つかささん)
「全国で発売ということで、不特定多数の障害者や、その作品を知らない方たちの手元にも届くことになるので、どういう人たちが描いたのかなという、そういった興味に繋がって、彼らの魅力の部分でいろんな人と繋がっていけたらいいですね」
彼らがデザインした商品は、福岡県内では福岡市天神の「福岡パルコ」一か所だけで販売されています。
●デザインを見た人
「色遣いがかわいい」
「他のはなんかありきたりだけど、これは自由ですごくかわいいんじゃないですか。なんか自分の世界観があっていいと思う」
これまでにおよそ150種類が発売されたiPhoneのカバー、どのデザインも最初の一か月間の売れ行きによって、その後も継続して販売されるかどうか決まります。
「障害者の作品だから」というのではなく、デザインそのものの良さが問われますが、独特の感性で制作された商品が私達の生活のなかで普通に使われることは、障害者と社会をつなぐ一歩となるのかもしれません。