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【社会部発】多摩川高校生水死 悲痛な叫び…適正捜査を
このニュースのトピックス:◇衝撃のニュース
「背中を押した」。同級生の告白を契機に事故は一転、事件の様相となった。若い命がなぜ失われたのか、警視庁の捜査が進む。
東京都大田区の多摩川で昨年7月、当時日体荏原高1年の男子生徒2人が水死した。2人はサッカー部の練習後、同級生らと計8人で現場の川を訪れていた。
亡くなった1人は、村沢卓也さん=当時(16)。幼いころの体験から水を怖がっており、川に入ることをためらっていたが、他の生徒に背中を押され水中に落ちた。泳げないことを真剣に訴えたが、聞き入れられることはなかった。
「ぼ、ぼ、僕マジなんです」。こう叫んだのが最期だったという。
事故として、心の整理をつけようとしていた遺族に突きつけられた「新事実」。精神的ダメージの深さは想像にかたくない。
小学生でサッカーを始めた村沢さんは、中学でゴールキーパーとして活躍。能力を認められ、同校に推薦入学した。「サッカー選手になってほしい」。家族の期待に「無理だよ」と答えながらも、レギュラーを目指し、練習に励んだ。
「無口だけどまじめでいい子だった。たった16年の命で終わるような子じゃなかった」。居間にかけられたままの息子の制服を前に遺族は肩を落とした。
未成年者の事件は当事者の心への影響に配慮が必要だ。それだけに捜査は困難を伴うが、「死人に口なし」の事態を招かないよう、捜査の行方を見つめていきたい。(福田涼太郎)