シグナリングの重要性[実践編]

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シグナリングシリーズ:
なんでテスト勉強なんてしなくちゃいけないの?
シグナリングの重要性[基本編]
シグナリングの重要性[実践編]

今回は、いよいよ「シグナリングをどう使えば良いのか」ということについて書こう。

シグナリングの活用法は様々だが、今回は特に役に立つと思われる、「相手の嘘を見抜く方法」をお教えしよう。
その方法とは、その人自身ではなく周囲についてその人が思っていることを語ってもらうというものだ。
例えば、ある人の今まで付き合った人数を知りたいとする。そこで、あなたが相手の付き合った人数を訊ね、相手が「5人」と答えても、それを鵜呑みにしてはいけない。相手は「自分は謙虚な人間だ」とあなたにシグナルしているかもしれないからだ。
あなたが訊くべきなのは「普通は何人くらい付き合っているものなのか」だ。“普通”の人数を訊かれているのだから、相手には謙虚さをシグナルするインセンティブが無く、自分の本音を言う可能性が高い。そう、そこで相手が「普通は15人くらいじゃない?」と言った場合、相手の付き合った人数は5人では無く15人である可能性が高い。
この方法は、人は自己顕示欲を抑えることはできないという仮定に基づく。経済学は人の心をすら扱ってしまうのだ。

※このエントリは、タイラー・コーエン著「インセンティブ」を参考にした。書評もしているのでこちらもどうぞ。

シグナリングの重要性[基本編]

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シグナリングシリーズ:
なんでテスト勉強なんてしなくちゃいけないの?
シグナリングの重要性[基本編]
シグナリングの重要性[実践編]

まず、シグナリングとは「あるメッセージを伝えるために手間暇(=コスト)をかける」ことを指す。例えば、結婚記念日に夫が妻に花束を送るのは、妻が“花束そのもの”を欲しがっているからでは決して無く、妻に「君のことを愛している」ということを伝えるためだ。
シグナリングが必要なのは、情報が非対称だからだ。
例えばあなたが大学生だとする。自分の能力を自分は把握出来ているが、企業はそれを見極める術が無い。そのため、あなたは企業に「自分は優秀である」というシグナルを発するために「偏差値の高い」大学に入るために努力することになる。
1つ誤解しないでほしいのは、「中身が伴っていなければ、シグナルすべきものが無いためシグナルできない」ということだ。自分の優秀さをシグナルしようにも、そもそも自分が優秀でなければ有名大学には入れない。「中身があればきっと認めてもらえる」わけでもなく、まして「中身がなくてもシグナルでごまかせる」わけでは決して無い。

まとめ: 伝えるべきメッセージとシグナルの両方が必要だ。

なんでテスト勉強なんてしなくちゃいけないの?

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シグナリングシリーズ:
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シグナリングの重要性[基本編]
シグナリングの重要性[実践編]

誰だってテスト勉強はできればしたくないものだ(一部例外はあるが)。
なぜテスト勉強なんてしなければいけないのだろう?
それは、忍耐強さを示すシグナルになるからだ。
学校で一見無駄にも思える知識を覚えなくてはならないのは、「希少な」人間を企業が求めているからに他ならない。こんなにたくさんのことを暗記し、何度も何度もテストという形で選抜され、それでも残るような人間は数少ないからだ。
数が多ければ価値は無い。欲しがる人の数よりも少ないものに価値はある。
勉強以外に「希少価値」を持っている人ならばテスト勉強などしなくても良いだろうが(運動部で活躍している人が推薦でスポーツの名門校に進学するのが良い例)、そうで無いのなら勉強に精を出すべきだ。

まとめ: テスト勉強をするのは自分を差別化するため

結婚の役割

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結婚の役割とはなんだろう。

子どもを産み育てるのは、女性に非常に負担がかかる行為だ。妊娠してから子どもがある程度自立するまでに5~10年かかる。その間は女性の自由が奪われる。そのため、女性は相手の男性が自分を養ってくれるという確証がなければ子供を産み育てるインセンティブが生まれない。
結婚は、男性が女性に子どもを産んでもらうために行うコミットメントなのだ。

では、子供を産まない場合の結婚の役割も考えてみよう。
子供を産まない場合には同棲だけでも充分そうなのに結婚をするのはなぜなのか。
それは同棲よりも結婚している方が優遇されるからだ。世間からの風当たりもなく、税/各種保険の負担も軽減されるなど、さまざまな利点がある。

結婚の役割について考えるとき、次のエントリはとても参考になる。
結婚と市場 - 経済学101

いじめの経済学

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いじめるのもいじめられるのも、一見理不尽に見えるが、その裏にはとても合理的な理由がある。
いじめられっ子の特徴としては「コネクションが少ない」ということが挙げられる。友達が少ないので、コネクションが幅広いいじめっ子との関係を絶つと、自分の友達関係も縮小してしまう。
いじめっ子は、所属している共同体への忠誠心を示すために共通の「いじめる対象」をいじめる。そうしなければその共同体から外されてしまうからだ。
ここでy.kanedo(@Kanedo394)氏に「いじめられる側が好きでやってるわけはないですが、いじめる側に好きでやっている中核派と、被害者になるのが嫌でやっている人の二種がいるのは確かですな」と指摘されたが、好きでいじめている「中核派」の数はとても少ないと感じる。
大半のいじめっ子は「いじめられる側」に回りたくないがゆえにいじめているのだ。

この「いじめ問題」を解決するには均衡をずらす必要がある。
どのようにずらすかについては議論の余地がまだまだあるが、僕が有効だと思うものの1つに青木理音(@rionaoki)氏が提唱している「学校の流動性を高める」がある。
具体的には、転校を容易にするのだ。「逃げる」という選択肢が用意されていることは、子どもの心を軽くすることにもつながる。

まとめ: いじめを無くすには均衡をずらして、いじめるインセンティブを無くさせる必要がある。

自由と責任

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@GkEc 今思いつきましたが、問いの立て方が良くなかったかもしれません。「どうして自由に責任が伴うのか」ではなく、「自由に責任を伴わせるとどのようなメリット・デメリットがあるのか」の方が答えやすいかもしれません。なんだか経済学っぽいですしw9:31 PM Jun 15th via web
これに従って、自由に責任を負わせることのメリット・デメリットについて論じていく。
その前に、「自由」と「責任」の定義についてはっきりさせておこう。
自由とは個人が他人から強制されずに自発的に契約することであり、責任とは結んだ契約を確実に履行する義務だ。契約というのは、口約束などの軽いものも含まれる。
ここでの定義に対する反論は多々あるだろうが、このエントリの本題はそこではないので了承頂きたい。
デメリットを見ていこう。
自由に責任を負わせると、責任を負うコストを考慮して、責任を負わされなければ行われたはずの取引が行われなくなる可能性がある。
自由に責任を負わせないと、契約が履行される可能性が低いため、誰も契約を結ぼうとしない。結果的に自由は失われる。
自由に責任を負わせることによる取引の損失が限定的なのに対し、自由に責任を負わせないとほぼ全ての取引の機会が失われる。
メリットは上記のデメリットの逆なので省略する。
自由に責任を負わせないことは自由に責任を負わせるよりも損失が大きいのは明らかだ。なによりも、責任を伴わない自由は自由を殺してしまう

まとめ: 責任を伴わない自由は自由を殺す。自由を守るためにも、自由には責任を付属させることが必要だ。

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(皆のRSSリーダーのなかのとっておきをこっそり教え合いっこしようぜ…!!)7:38 PM Jun 8th via TweetDeck
ということで、自分が購読しているRSSを記しておく。ご参考までに。
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