鯵ケ沢町のナクア白神ホテル&リゾートが、米金融最大手シティグループのプリンシパル・インベストメンツ・ジャパン(東京都)から韓国企業へ譲渡されたことが18日までに分かった。同日、事業を継承する新会社「青森リゾート」(鯵ケ沢町)の代表取締役に、ナクア白神の総支配人・高橋浩康氏が就任し、全社員が同社に移籍した。ホテル、ゴルフ場、スキー場は名称を変えず営業を続ける。これまで韓国から観光客が多数訪れていたことから、今回の譲渡でさらに誘客に弾みが付くものとみられ、同町の東條昭彦町長は「現地法人を立ち上げてくれたので税収も見込まれる。鯵ケ沢にとっては良いことだ」と歓迎している。
譲渡先は韓国の投資会社「KICC」。引き続き総支配人を務める高橋代表取締役によると、同社が持つ福岡ゴルフマネージメント(福岡県)が100%出資し、今年3月に現地法人青森リゾートを設立した。KICCがグループ企業内で観光事業に参入するのは初めて。ナクア白神の従業員は夏場で約150人(パートも含む)、冬場で約200人(同)を数えるが、全員の雇用が確保されるという。
関係者の話を総合すると、シティグループはリーマンショックの影響を受け、アメリカ政府から公的資金注入を受けたため資産を売却しなければならず、ナクア白神から撤退したもよう。5月末にKICCに事業を譲渡したが、売却額は明らかにされていない。
ナクア白神の入り込み数は、2009年で宿泊者6万8952人、スキー場は9万2964人、ゴルフ場2万2110人。同年度は2000万円以上の黒字を計上している。
青森リゾートの財務内容は、総資産額約11億円(見込み)、純資産額が約8億円(同)。10年度の総売上目標は14億円、純利益(償却前)は5000万円を見込む。
高橋氏は取材に対し「08年度が赤字だったが、昨年度は従業員が一生懸命頑張って黒字にできた。全従業員が一丸となり、おもてなしの心を持ちながら、お客様に喜んでもらえるよう努めたい」と語った。
ナクア白神のホテル、スキー場、ゴルフ場の3施設は07年3月、西部ホールディングスの子会社プリンスホテルから、シティグループに売却された経緯がある。
【写真説明】韓国企業に譲渡、新会社「青森リゾート」が継承したナクア白神ホテル(18日)