広島市の基町高校の生徒たちが被爆者の証言を元に原爆投下後の惨状を描いた油絵が完成しました。
全身が黒こげとなった赤ん坊を抱え、広島の街をさまよう母親の姿。原爆によって一瞬にして地獄と化した65年前の様子です。
こうした「原爆の絵」は、若い世代に被爆体験を伝えるため、原爆資料館が制作を提案していて、基町高校では2年前から取り組んでいます。
ことしは創造表現コースの2年生と3年生が9つの作品を完成させました。制作にあたって生徒たちは被爆者から何度も話を聞いて半年かけて描きました。
上田桃子さんは、爆心地から2.3キロの動員先の工場で被爆した梶本淑子さんの証言を元に絵を完成させました。梶本さんは逃げる時に川で人が流されているのを目撃しました。
顔にけがをした生徒を見つけ、励ます先生の姿―。生徒だった寺前妙子さんの証言に基づいていて、次第に気が遠くなり、周囲が見えなくなっていく様子が表現されています。
9枚の「原爆の絵」は基町高校で今月31日まで展示され、文化祭が開催される10日には一般公開もされます。(7/5 19:23) |